声優・アーティストとして活躍中の和氣あず未が、自身が出演するTVアニメ『くまクマ熊ベアーぱーんち!』のオープニングを彩ることに。そして、その「キミトノミライ」が4月12日、5thシングル「キミトノミライ/Invisible stars」としてリリースされた。
第1期(『くまクマ熊ベアー』)のOPテーマに続いて、第2期の幕開けも飾ることが決まり「とても気合いが入りました!」と語る和氣。同じ布陣が楽曲を手がけていることもあり、前回のOPテーマ「イツカノキオク」の続編とも言えるような、さらに眩しい爽やかなナンバーとなった。一方「Invisible stars」はデビューシングルに収録された「ふわっと」を彷彿させるような曲に。彼女の瑞々しい感性、キラキラとした歌声が輝く。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
――2月11ひ(土・祝)に開催された、“和氣あず未 2nd LIVE -STAY BEAUTIFUL-”のライブはいかがでしたか?
和氣あず未 1st LIVE(2021年7月和氣あず未 1st LIVE -超革命的恋する音楽会-)のあとにアコースティックライブ(2022年9月和氣あず未 アコースティックライブ2022 〜品川フォークジャンボリー〜)がありましたが、1st LIVEから数えると久しぶりのライブで。みんなが「ずっと披露して欲しい!」と言ってたタイアップの3曲も、やっと2nd LIVEで披露することができました。みんながすごく喜んでくれたことがとても嬉しかったですし、ナンバリングライブで初めての声出しライブを体験できて。
――ついにですね。
和氣 やっとでした! お昼の部のときは、久しぶりの声出しでみんな動揺しちゃうんじゃないかなと思っていたんです。1曲目が「Darling」だったのでしっとりとしたはじまりだったのですが、終わった後にみんなが声を出してくれて。声を出していない期間があったにも関わらず、こんなにたくさん声援を送ってくれるんだ!とビックリしつつ「さすがだなぁ」と思いました。同時になんだか不思議な感覚でもあって。コロナ禍でのソロ活動だったということもありますし、コロナ禍の前はキャラクターとしてステージに立っていたので、みんなにたくさん自分の名前を呼ばれる機会ってなかったんです。声出し解禁になってみんなに「あじゅじゅー!」って呼ばれる感覚がなんだか不思議な感じがして。「◯◯役の和氣あず未じゃなくても、こんなにたくさんの人が応援してくれてるんだな」って改めて知った1日でした。
――「わきこ」の声援はありませんでしたか?(笑)
和氣 (笑)。あったかなぁ〜。わきこは呼ぶ人が少ないんです。アコースティックライブのときに「みんななんて私のことを呼んでるの?」と質問したことがあって。やっぱり「あじゅじゅ」がいちばん多かったです。その次が「和氣さん」で、「わきこ」は2〜3人でした(笑)。
――声出しのライブになったことで、曲も変わったのではないでしょうか。
和氣 変わりました! 今までは手拍子だったので「みんながどれくらい声を出してくれるのかな?」「この曲で掛け声を言ったりするのかな?」と、自分でも未知数だったんです。でも一生懸命声を出してくれたことで、みんなのパワーが加わって曲の雰囲気が変わったなって。ライブをしながら「みんなこの技はどこで身につけてるんだろう?」と思っていました(笑)。
――アコースティックライブではギターで参加されていた、プロデューサーの井上さんも感動されていたのではないでしょうか。
和氣 そうですね。アコースティックライブのときも一緒にライブができて喜んでくださっていたんです。2ndライブはコンセプトアルバム『STAY BEAUTIFUL STAY BEAUTIFUL』を5曲連続で披露させてもらっていて。そのときに着ていた衣装が白いワンピースとデニムジャケットという、ナチュラルなデート服っぽいものだったのですが、それは井上さんが選んでくださったものでした。特に『STAY BEAUTIFUL STAY BEAUTIFUL』は井上さんの思い入れが強いんだろうなと。今回歌えてよかったです。
――今回のシングルは両A面シングルで2曲入り。これまでシングルが4曲入りだったので「珍しいな」と思ったのですが、4曲分に負けないパワーが入っていますね。
和氣 そうなんです! いつも井上さんが曲数を決めてくださっているのですが、今回は2曲と聞いて「珍しい!」って私も思いました。今後どうなっていくかは分からないのですが、今回は今までの4曲に負けないくらいの強い2曲を出そうと思っていました。“つよつよ”な2曲です。
――濃密ですよね。A面の曲「キミトノミライ」は、TVアニメ『くまクマ熊ベアーぱーんち!』OPテーマ。再び本作のオープニングを飾ると聞いたときのお気持ちを教えて下さい。
和氣 実は「アニメ2期やりますよ!」とは結構前に聞いていたんです。それだけでも嬉しかったのですが、「オープニングも和氣さんにお願いします!」と言っていただけて、嬉しさ2倍でした(笑)。今回はどんな曲になるんだろうなって楽しみにしていました。
――作詞・作曲は宮崎まゆさん、編曲は高橋修平さんと、前作のOPテーマ「イツカノキオク」と同じ布陣ですね。共通点も感じる曲になっています。
和氣 そうなんです! 「イツカノキオク」の続きのような曲になっているとうかがっていました。歌詞を見ても「続きになってる!」って。レコーディングするときにはアフレコもはじまっていて。アフレコも1期の続きからなので、アフレコのときも、レコーディングのときも気持ちが乗せやすかったです。
――アフレコ現場はどのような雰囲気でしたか?
和氣 2年半前と変わらない雰囲気のままというか。1期も2期も分散収録で全員と一緒に録ることができなかったんですけど、絡みがある人たちと一緒に収録ができて。みんなで休憩時間に話す内容も「変わらないなぁ〜」って。その距離感がとても心地よかったです。
――本作もですが、和氣さんは長く携わられている作品が多いですね。
和氣 多いですね。作品によっては(キャラクターの)立ち位置やみんなとの関係性が変わっていくものもあるのですが、この『くまクマ熊ベアーぱーんち!』はまったく変わらなくて、だからアフレコもとても和やかです。中の人と、キャラクターの立ち位置も近しい感じがするんですよね。気張らずにアフレコできています。
――視聴者としても気軽に楽しむことができる作品ですよね。そしてその和やかな空気で、レコーディングにも挑まれて。
和氣 はい。でもサビが高くてそこは苦戦しました。「イツカノキオク」も高かったんですけど、今回もサビが高くて。また、いつも気合いを入れて歌っているのですが、タイアップ曲とあっていつも以上に背負っているものがあったので「しっかり歌おう!」と、時間を掛けて何回もテイクを重ねました。基本的には楽しい気持ちで歌っているのですが、技術の面では苦戦しました。
――「イツカノキオク」はキャッチーではあるんですけど、どこか「これからどうなるんだろう?」と思わせるような雰囲気もあって。でも「キミトノミライ」はハートフルで、すごく明るい曲ですよね。
和氣 そうなんです! 「イツカノキオク」は明るい曲ではあるけど、ちょっと切なさがあって。「キミトノミライ」に関しては「未来が明るいよ、今! パーっ!」って感じの曲で(笑)。主人公のユナちゃんと私が演じているフィナちゃんの関係性もより近しい関係性になっているので、2人の距離感や自信のついた感じがさらに乗っているなって思っています。
――歌詞が一部カタカナになっているところも1つまた共通点ですよね。
和氣 そうそう、良いですよね! “イツカ思い出すの”という言葉があるのも、「イツカノキオク」と繋がっている感じがして良いなって。あと“触れたら壊れそうなくらいに”というところは、「イツカノキオク」の歌詞を引用していて。「イツカノキオク」を聴いてくださっていた方は、歌詞も、MVもグッとくるんじゃないかなって思っています。
――MVの撮影はいかがでしたか? 今回のMVもとても楽しそうでしたね。
和氣 楽しかったです! 絵を書いたり、キラキラがいっぱいあったり。額縁だけだったものがサビが重なるにつれて絵が増えていって。もともと何もないセカイだったところから、きみと出会ってすべてがはじまってセカイが輝き出したというのが、ユナちゃん、フィナちゃんや他のキャラクターたちの心を描いているような気がして。私自身も重なる部分があるので、ありがとうの気持ちを乗せながら撮影することができました。
――MVはとてもカラフルで「イツカノキオク」とは少し対照的ですよね。
和氣 そうなんです。「イツカノキオク」の時は時間をモチーフに、過去の自分と比べて切ない気持ちになったり、しっとりとした表現があったり、という感じだったのですが……「キミトノミライ」も最初はひとりぼっちなんですけど、空を見上げたら眩しい光が輝いていて。きみがいるからセカイが眩しいんだー!って華やかになっていくので、アニメにもリンクしているMVになりました。
――和氣さんはイラストも得意ですけど、あの抽象画っぽい絵は和氣さんが描いたものなんですか?
和氣 美術さんが描いてくれたものです。本当は描いてみたかったんですけど衣装が汚れてしまうので絵の具は使わないでくださいと(笑)。あの絵を使うシーンは撮影の最後のほうに撮ったんですけど、それまで美術さんたちがずっと描いてくださっていました。それと、私が手に持ってる透明な石が光る場面があるんですけど、もともとはキラキラしていないんです。私はああいうのってあとから編集で光を足すのかな?と思っていたのですが角度を変えることで反射してピカピカすると言われて。「光を生み出してください!」と。
――じゃあ、あのシーンは本当に光を探しながら(笑)。
和氣 「どこ? どこ〜?」って言いながら動かしていました。監督さんに「そこ!!」って言われて「どこ!?」って(笑)。でもそれも楽しくて。とても和やかなムードでした(笑)。
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