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INTERVIEW

2023.03.06

2ndフルアルバム『サファイア』をリリース!中島由貴へ本作に込めた想いを聞く

2ndフルアルバム『サファイア』をリリース!中島由貴へ本作に込めた想いを聞く

アーティストデビュー2周年を迎え、中島由貴が2ndフルアルバム『サファイア』を3月1日にリリースした。本作のテーマは「空」。息の成分をたっぷり吸い込ませた透明感のある歌声、爽やかさの中に切なさを感じさせる楽曲が、変化していく空模様と、色とりどりの感情を映し出す。その中に既存曲の「Day of Bright Sunshine」(TVアニメ『失格紋の最強賢者』EDテーマ)、「Route BLUE」(TVアニメ『可愛いだけじゃない式守さん』EDテーマ)もしっかりと溶け込み、アルバム楽曲として輝きを放っている。また、新規制作楽曲には気鋭の作家・sky_deltaが携わり、より鮮やかに情景を描き出した。冬晴れの青空が広がる日。笑顔で迎えてくれた彼女に、その想いを聞く。

INTERVIEW&TEXT BY 逆井マリ

デビューから2年 新たな気付き

――2月からオンラインサイン会が始まってはいますが、アルバムが完成した今のお気持ちはいかがですか?

中島由貴 いよいよ発売なんだ、という気持ちと、サンプルを今日いただいたので、自宅に帰って早く開けたいなという気持ちです。いつもCDを開けるときってワクワクするんですよね。ファンの皆様にも、はやくこのワクワクを楽しんでもらえたらなという気持ちでいっぱいです。

――CDを開封する瞬間ってワクワクしますよね。2周年の生放送のときにも今までのことを振り返られていましたが、デビュー前と今、どのような変化があったと感じています?

中島 作品を通して、キャラクターと一緒にステージに立たせてもらう機会はあったんですけど、完全に1人でという経験はなかったので、はじめは不安な気持ちがありました。でも1stワンマンライブや「アニサマ」(“Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-”)をはじめとしたフェスなどへの出演を経て、少し自分に自信がついたような気がしています。「あ、こんなに楽しいものなんだな」と改めて実感できました。ファンの皆さんに中島由貴の音楽を届けられていることが、今とても幸せです。

――じゃあ、今はすごく前向きというか。

中島 そうですね。やりたいことがどんどん増えています。というか、自分で考えなければいけないんだ、って気づきました(笑)。パフォーマンスをするにしても、今までは「キャラクターとしてどう動くか」を考えていたんです。でも自分でパフォーマンスをする場合は、自分で考えなければいけない。というか、「やりたいことをやりたい放題できるんだ!」と(笑)。

――ソロ活動だからこそ自由にできるという発見が。中島さんはダンスが得意だからこそ、パフォーマンス面には特に力が入りますよね。

中島 そうですね。ライブの衣装も振り付けもできるだけ自分のアイデアを入れたいなという気持ちがあります。でも今回の『サファイア』に関しては全体的にしっとりとした楽曲が多いので「ライブではどんな振り付けにしようかな?」と今考えているところです。

――『サファイア』というタイトルは、中島さんの誕生石からつけられたのでしょうか?

中島 実は私がつけたわけではないんですよ(笑)。プロデューサーさんとsky_deltaさんがつけてくれたんです。「色々な意味が入っているよ」とうかがっています。

――サファイアには、誠実さっていう意味もあるんですよね。色や石の意味なども関係しているのかなと思いました。

スタッフ そうですね。サファイアブルーや、石の意味など……実は中島さんの誕生石だと気づいたのは、最後の最後だったんですよ。

中島 そうでしたっけ!?

スタッフ サファイアブルーの色を意識した楽曲を表題曲にしたいということで制作を勧めていたら、「あれ? 誕生石だ!」と。最初は『サファイア』だけだとシンプルすぎるかなとも思っていたんですけど「これしかなくない?」と。

中島 運命的(笑)。

――個人的には『Chapter Ⅱ』の可能性もゼロではないのかなと思っていました(笑)。

中島 ファンの方にはめちゃくちゃ言われたんですよ。『Chapter Ⅱ』じゃないの~?って(笑)。でもそれにしてしまうと、ずっとそのまま続けていかなければいけなくなるので。

――たしかに(笑)。本作のテーマは空。空をテーマにした楽曲はこれまでもありましたが、今回テーマにした理由は何かあったのでしょうか?

中島 これもですね、上からどんっ!て降りてきたんですよ!(笑)。でも個人的には、『Chapter Ⅰ』も「Route BLUE」も白、水色、青を思い出すような曲でしたし、特に『Chapter Ⅰ』は爽やかな曲が多かったので、“次の爽やか”は空だったのかな、と私は思ってます。

スタッフ 補足させていただくと、実はこのアルバムは『Chapter Ⅰ』から繋がっているお話でもあるんです。『Chapter Ⅰ』で上京してきた女の子が、都会で生活してしばらく経って……。そういうときに色々な心情を切り取りやすいのが、どこにでもある空なのかなと。

――「Chapter Ⅰ」のMVでは和歌山の様々な場所で遊んでいた女の子が、あのバックを持って上京して、そして社会に出て……というストーリーなのですね。

中島 「Chapter Ⅰ」から繋がっていることは、「サファイア」のMVで一番感じてもらえるんじゃないのかなと思っています。上京して、ひとり暮らしをしている中、突然お母さんから荷物が届いて。箱を開けたらみかんとチェキが入っていて、そのチェキを使っていろいろな風景を撮りながら「いつもありがとう」というメッセージを送るっていう。その繋がりはエモいと思っています。「Chapter Ⅰ」のMVを撮ったときは、「笑顔多めで」「自然体で」というディレクションをいただいていたのですが、「サファイア」のときは「あまり笑わないで欲しい」と言われていて。だからド頭のリップシンクも笑顔なしで、「キリッと決めた感じで撮りたいです」と。

――「サファイア」は大人っぽい雰囲気の曲だったのでドキリとしたのですが、そうした背景があったのですね。だからこそMVも大人っぽく。

中島 アルバムの中でも一番大人っぽいですよね。ちょっと大人になった部分も見せられるように、と意識していました。

――「サファイア」を受け取ったときはどのような印象がありましたか?

中島 『Chapter Ⅰ』になかったようなサウンド感で、「これが表題曲になるんだ!」と少し意外でした。スタッフさんとは「スルメ曲になるんじゃないか」なんていう話をしていたんですけど、試聴動画を公開したら「もう、好き!サファイアがいちばん好き!」というコメントをもらって(笑)。みんなこういうのを求めてたんだ!って嬉しかったです。この楽曲は大人っぽさを意識したのですが、その他の曲は優しめだったり、年齢感を引き下げるために細めに出してみたりという、今までにないことに挑戦しています。

――年齢感というのは主人公像があるので意識されるポイントだと思うのですが、その繊細な匙加減はどのように調整されているのですか?

中島 声優というお仕事をさせていただいていることによって……なのかは分からないんですけど、「年齢感を少し低めで」などとディレクションいただけると自分的に分かりやすいんですよね。例えば「明るい」という言葉だけだと、いろいろな明るさがあるから、どの明るいが良いのか迷ってしまって。そういう時に「もう少し幼さが必要ですか?」などと尋ねています。そのほうが声の作り方を意識しやすいんです。今回のアルバムでは、ちょっと年齢低めで、と言っていただくことが多かったです。

わたがしのような雲が雨に そしてその雨があがり……

――4曲目の「わたがしわたし」は少しゆるめでおしゃれな雰囲気。セリフっぽい言葉もありますね。

中島 ほかの楽曲と比べると、掛け合いのようなコーラスや、セリフっぽい言葉があります。なめらかさのようなものを意識していました。

――ライブでどう進化するのかが気になる曲です。

中島 私も気になってるところです!雲がテーマなのでふわふわした感じがありつつ、少し跳ねるところもあるんですよね。そんな振り付けになるのかなとは思うんですけど、いつも予想とは違うものになることが多いので、まだ分かりません(笑)。

――その次の5曲目「雨と、待つ」はこれまでの曲とはまた違った低音ボイスのギャップが新鮮でした。サビ前からは明るくなりますけども。

中島 Aメロは低いんですよね。レコーディング当日はアレンジされる前の楽曲だったので、ド頭のイントロがついていなかったんです。ピアノ単体だけの、低音が響くようなサウンドで。だからこんなにキラキラする楽曲だと思ってなかったんですよね(笑)。歌詞としては「悩んでいてもきっと芽は出るよ」という前向きな内容なのですが、自分としては少し暗めに捉えてしまっていて。暗めにしているつもりはなかったんですけど、それだとちょっと年齢感が上がってしまったようで。だからキラキラ感を意識して歌いました。デモの段階では音数が少なくて、けだるげに歌う印象だったんですけど「そうじゃなくて、もっと前向きな気持ちで、ネガティブさは消してください」と。「え〜!いらないの!?」と(笑)。どんよりとした雨じゃなかったんだ、って。

――たしかに雨ってシチュエーションによって違う印象があるものですものね。

中島 私の中で、雨で良い気分になったことがなかったんですよね。だから勝手に、少しどんよりしたイメージがありました。でも「明るい雨もあるよな」って。deltaさんには雨がキラキラ見えていたんだな、と(笑)。違うかもしれないですけど。

――その雨があがるのが、6曲目「雨あがりシンフォニー」。それこそキラキラした曲ですよね。

中島 そうですね、雨が上がったときの水たまりのキラキラ感というか。そこには雨が上がってうれしい、って気持ちも入っていて。この曲も「こんなにキラキラ感が増しているんだ!」と。「サファイア」以外はアレンジ前の楽曲でレコーディングさせてもらっていたので、できあがったときのイメージに驚きが変わりました。

――アレンジが入ると、やはりまったく違うものになるんですね。

中島 そうですね。『Chapter Ⅰ』やシングル「Day of Bright Sunshine」「Route BLUE」と、これまで発表した曲はそこまで変わることはなかったんです。今回はsky_deltaさんに編曲していただいているので、作曲家さんと編曲家さんが違うというパターンの曲が多くて。事前にピアノの音色やキラキラ感を増やすとは言葉では聞いていたんですけど、全曲通して印象が変わった印象があります。だから自分でもびっくりしていますね。

――sky_deltaさんからのサプライズですね。

中島 そうですね(笑)。それと、最初に聴いたときは「歌始まりの曲が多いな」と思っていたんですが、これでも少なくなっていて。「雨あがりシンフォニー」も最初は歌はじまりでした。

次ページ:情景を思い浮かべながら歌った曲たち

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