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INTERVIEW

2023.03.02

TVアニメ『ノケモノたちの夜』OPテーマ「明日のカタチ」を担当!本作でウィステリアも演じた竹達彩奈に作品と楽曲への想いを聞く

TVアニメ『ノケモノたちの夜』OPテーマ「明日のカタチ」を担当!本作でウィステリアも演じた竹達彩奈に作品と楽曲への想いを聞く

3月1日に、竹達彩奈の12枚目のシングル「明日のカタチ」がリリースされた。表題曲は、彼女が銀髪の少女・ウィステリア役として出演するTVアニメ『ノケモノたちの夜』のOP主題歌で、作品に寄り添いつつも、誰もが共感できる楽曲になっている。カップリングには10周年記念ソング「Endless Symphony」も収録。10周年イヤーの締めくくりを飾るシングルについて、たっぷりと語ってもらった。

INTERVIEW&TEXT BY 塚越淳一

孤独に寄り添える曲にしたかった

――TVアニメ『ノケモノたちの夜』、すごく面白いと思いながら拝見していますが、改めてウィステリアを演じて、現時点でどのような物語だったと感じていますか?

竹達彩奈 ウィステリアの成長物語だとは思うんですけど、彼女を中心に、周りのキャラクターたちも成長している感じがするんです。不老不死の大悪魔であるマルバス(CV.小西克幸)なんかは、彼女の前向きさとか、ひたむきで健気だけど芯が強いところを近くで感じて、それに影響されていますし。孤独な人たちが集まっているから、寂しい雰囲気とかツラいシーンも多いんだけど、心が温まるシーンもたくさんあるので、不思議な作品だなと思いました。ダークファンタジーだから戦闘シーンとかもかっこいいけど、胸がキュ~ってなるんですよね。それと、多くの作品で悪魔って敵側として描かれますが、この作品は味方側で描かれていて、人間側が敵というのも面白い見せ方ですよね。悪魔は怖いイメージがありますけど、悪魔にも色んな悪魔がいるんだなって思いますし、誰から見て正義で、誰から見て悪なのかというのはわからないものだなって感じました。これは作品だけでなく、すべてのことに対して言えることですけど。

――マルバスもナベリウス(CV.諏訪部順一)も大悪魔なんですけど、ツンデレでかわいいなって思いました(笑)。

竹達 そこが彼らのいいところで、愛おしいところなんですよ(笑)。

――ウィステリアは、自らの視力を対価にマルバスに助けを求め、彼と契約して盲目になりますけど、本当に芯の強い魅力的なキャラクターですよね。

竹達 普通に生活できていた……と言っても、物乞いをしながら生きていたから普通ではないかもしれないんですけど、目が見えていた頃に比べて、盲目になってマルバスと生きている時間のほうが、生き生きとして幸せそうだから、すごいなって思います。どんなことがあっても彼女は前向きだから、その姿に勇気をもらえます。

――誰か心を許せる人といることが大切なんだなと、作品を見て思いました。

竹達 それがウィステリアにとってマルバスで良かったですよね。

――今回は、主役であるウィステリアを演じて、さらにOP主題歌も担当されました。その話を受けたときはどうでした?

竹達 「わーい、やったー!」って感じでした(笑)。すごく嬉しかったんです。『ノケモノたちの夜』はオーディションを受けるときに原作を読ませていただいて、そこでファンになってしまったので、やりたいと思っていたんです。でもこの仕事は受からないことのほうが多いので……。でも、そこから役をいただけて、そのあとにタイアップのお話までいただいたので、ダブルでハッピーなことが舞い降りてきた感じで、すごく幸せな気持ちになりました。

――OPテーマ「明日のカタチ」はどのように作っていったのですか?

竹達 まず、どんな楽曲にしようかという話をポニーキャニオンの方々としたんです。そのときプロデューサーから「毛蟹さんという方がいて、この作品に合うと思うんですけどいかがですか?」と楽曲を何曲か聴かせていただいたんです。それがすごく素敵だったので、ぜひお願いしたいですと伝えました。そのあとに毛蟹さんと、どんな曲にするかの打ち合わせをしました。そこで、作品の世界観は大事にしていただきたいというのと、孤独に寄り添える曲がいいですと伝えたんです。人間って誰しも孤独な部分があって、陽な部分だけじゃなく陰の部分もあるんですよね。そこを見つめ直したときに、誰もが「そうだよね、わかる!」みたいな感じになる曲がよかったんです。

――そういうダークな面もありつつ、温かさも感じるような曲でした。

竹達 温かさや切なさが曲にあったら嬉しいなって思っていたんです。戦ったりもする作品だし、オープニングだから、しっとりしすぎたり、暗くなりすぎるのも、それはそれでバランスが難しいじゃないですか。でも、切なさもありつつ疾走感のある不思議な曲が届いたので、そのときも、「わーい、やったー!」ってなりました(笑)。

――静かなところから始まるけど、サビでは疾走感がしっかりあるんですよね。

竹達 そのサビの疾走感にグッときてしまうんですよ。暗いところは暗いところで寂しさはあるんですけど、サビの疾走感でひたむきな芯の強さがにじみ出てくるので、そこにキュンときてしまって。

――OPアニメーションも暗闇をウィステリアが歩いているところから始まっていましたからね。

竹達 あの映像でフルのMVを作ってほしいくらいでした。これはこれで「明日のカタチ」のMVなんですよね。そのくらいぴったりでカッコいい映像でした。

――わかります。アニメ関係なく共感できる歌詞でありつつ、ものすごくアニメに寄り添ってもいるんですよね。

竹達 作品を好きな方も楽しんでいただけるし、普通に聴いても素敵な曲と思ってもらえる1曲になりましたよね!

――歌詞でグッと来た部分はありますか?

竹達 全部グッとくるんですけど、最初の“ハローハロー”が印象的でした。隣にいる誰かに言っているのではなく、一人ぼっちの世界で、まだ出会っていない誰かに言っている感じというのかな。届くかどうかもわからない誰かに対して言っている感じが切なくて。自分の心の中でつぶやくくらいの「ハロー」で、届くわけがないんだけど届いたらいいのにな……くらいの感じなんです。「ハロー」って本来は明るい言葉なのに、なんだか悲しい感じが、毛蟹さんの巧妙さだなって思いました。

――歌うときは、自分でそういうテイストにしたんですか?

竹達 どうだったのかなぁ。結構前に録ったから覚えていないんですけど、サビに向かって盛り上がっていくまではポツリポツリじゃないけど、独り言みたいな感じを出せたらいいよねって話しながらレコーディングをしていたと思います。

――レコーディングには毛蟹さんもいらしたのですか?

竹達 はい。すごく緊張しながら録ったことは覚えています。打ち合わせはリモートだったので、実際にお会いするのは初めてだったんです。曲を作られた方がいる前で歌うプレッシャーってすごいんですよ。自分が大事に作った曲を人が歌うわけじゃないですか。それを託してもらって歌うという、何とも言えない緊張感があるんです。

――沖井礼二さんなら慣れているんでしょうけどね。

竹達 沖井さんとか小林俊太郎さんはよくお会いするし、ライブを一緒にやっている方なので、私が得意な部分と苦手な部分をわかっているんですよね。それをフォローしてもらえる安心感もある。でも、はじめましてだと、できないと思われるのがイヤで、怖いんです(笑)。託してもらったからには、できなければダメなわけですから。

――それで言うと、この曲はできているということですよね。

竹達 であればいいんですけど……。サビよりAメロやBメロに入っていくところがすごく難しくて。でもそれが毛蟹さんの楽曲の世界なので、それを表現することは、すごく刺激的で楽しいことでした。

――ピアノイントロから歌に入っていくところですね。

竹達 ピアノしかない、ガイドがほとんどない感じってこんなに難しいんだなと思いました。スッと入って、しばらく同じようなメロディが流れてBメロになるので、オケだけ聴いているとキッカケがないんです。ピアノの旋律に合わせて歌うしかないので、声が前に出ちゃう感じが怖かったです。

――そのピアノと声だけの感じが切なさになっていました。そこからオケも徐々に盛り上がっていきますけど。

竹達 最後のほうは盛り上がって、クライマックス感がありますよね。切なさもそのぶん、増し増しになったりするので。あと、2番以降は聴いてほしいところなんですよ。歌詞も後半はすごく好きで、“もしも昨日に 昨日に戻れたって もう一度今日という日を選ぶのでしょう”という歌詞があるんですけど、きっとウィステリアは、何度昨日に戻ったとしても、自分の目を対価にしてマルバスを選ぶんだろうなと思ったんです。一人でいる昨日よりも、あなたといる今日、明日のほうが彼女にとっては価値のあることなんだなっていうことが、この歌詞に詰まっている気がするんです。

――ウィステリアって藤の花を意味する単語でもありますが、竹達さんがツィッターで「ウィステリアの花言葉はいくつかありますが、印象的なのは『決して離れない』。」とおっしゃられていて、ぴったりだと思ったんです。

竹達 そうなんですよ!作品で藤の花はまったく出てこないんですけどね(笑)。それをジャケットやMVに出すのは、私のこだわりだったんです。ウィスエリアだけ見ると白とか銀色のイメージがあると思うんですけど、私は絶対に藤の花で撮りたいんだ!ってポニーキャニオンさんに言って(笑)、撮らせていただきました。

――ジャケットはイメージ通りだったのですね。MVも藤の花推しでしたが、見どころは?

竹達 最初はモノクロで、一人の部屋で口ずさんでいる印象的なシーンが続くんですけど、個人的には、自分の手を出して、黒い影とクロスして手を繋ぐシーンがエモエモのエモで、すごくお気に入りのシーンです。それをどう受け取るのかは、見てもらう方の楽しみだと思いますけど、私はそこがお気に入りです。

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