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INTERVIEW

2023.03.02

『GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.2』&『黒子のバスケ』10周年記念ソングを連続リリース!武道館ライブ直前のGRANRODEOに今の想いを聞く

『GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.2』&『黒子のバスケ』10周年記念ソングを連続リリース!武道館ライブ直前のGRANRODEOに今の想いを聞く

アニソン界を代表するロックユニット・GRANRODEOが2月、3月と立て続けに、ファン待望の強力な2作をリリース!1作は、2月22日に発売された2枚組ライブアルバム『GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.2』。もう1作は3月15日に発売となるファン待望のシングル、『黒子のバスケ』アニメ10周年を記念して、同作の主人公を演じる小野賢章と初コラボしたGRANRODEO feat.小野賢章「ゼロステップ」だ。あらゆるジャンルとスタイルを横断するGRANRODEO最新作の制作エピソードと、3月11日に開催を控えた全曲アニメタイアップによる日本武道館ワンマンライブ「GRANRODEO LIVE 2023 “Rodeo Jet Coaster”」への意気込みを、KISHOW(Vo)とe-ZUKA(Gt)に聞いた。

INTERVIEW&TEXT BY 阿部美香

爆音ロックバンド・GRANRODEOのイメージを覆す極上のライブ盤

――GRANRODEOの2023年がいよいよ本格始動しました。2月22日にリリースされた『GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.2』は、昨年9月に東京・ブルーノート東京で行った同名のアコースティックバンドによるライブセッションを収録した豪華2枚組アルバムですね。

e-ZUKA そうですね。僕らは、2020年から、あのブルーノート東京で“Rodeo Note”というアコースティックバンド編成でのライブセッションシリーズをやっていまして。

KISHOW そうそう、おこがましくも“あの”ブルーノート東京でね。

――ジャズを中心に、あまたの海外トップクラスのアーティストが伝説的ライブを行ってきたという。

e-ZUKA そうなんですよ。1回目は2020年の11月にやらせてもらって、その時の演奏も『vol.1』としてリリースしたんですけど、その第2弾がこれですね。基本的には、いつもはロックバンドとして演奏している自分達の楽曲を、ジャズだったりファンクだったり、ゲストミュージシャンを迎えて全く違うアレンジでお届けしようという企画でして。

KISHOW その前から、アレンジを一新した曲を交えてファンクラブ限定でのアコースティックライブというのは、折に触れてずっとやっているんだけどね、“プラグナシ”っていうシリーズとか、“ Naked Show ”というタイトルでだったり。そこでもGRANRODEOナンバーを、アコースティックな感じで全くアレンジを変えてやることはしてきたんだけど。

e-ZUKA “Rodeo Note”のほうは、タイトルにも“ノート”と名付けたくらいなので、まず会場もブルーノート東京限定。GRANRODEOの曲だけでなく、こっちはカバー曲を交えて、ジャズ・ハウスであるブルーノートにふさわしく、小編成でよりセッション感を高めたライブをちょっと格式高くお届けしようという試みですよね。ドリンクをたしなみながら。

KISHOW 『vol.1』の時はコロナ禍まっただ中だったもんだから、無観客のCSテレビ生中継でお届けしたんですけど、今回の『vol.2』のほうはお客さんにも来ていただいて。ようやくちゃんと“ライブ”ができた気がしてうれしかったし、やっぱり目の前にお客さんがいてくれるとこっちのテンションも上がった。よりいいものをお見せできたんじゃないかという、自負はあるかな。

――GRANRODEOといえば、ハードな爆音ロックバンドのイメージが強いですが、“Rodeo Note”を聴くと同じバンドとはとても思えない。お二人の音楽がお得意のハードロック/ヘヴィメタル一辺倒ではないことは、ファンはよくご存じですが、ここまでジャジーでアダルト、ラグジュアリーなセッションライブを初めて耳にした方は、とても驚くと思うんですよ。

KISHOW うん、そうだよね。僕も自慢のシャウトを封印してますし(笑)。

e-ZUKA それぞれの曲のアレンジ自体も、ロックバンドの演奏を単純にアコースティック楽器に置き換えただけじゃ、面白くない。イントロを聴いただけじゃ原曲が分からない、KISHOWの歌が始まってようやく「あ、あの曲なんだ!」と驚いてもらえるように、ジャンルも様々なアレンジを心掛けてますね。僕らは、“あの曲がこんなになっちゃった!シリーズ”なんて呼んでますけどね(笑)。その上で、『vol.1』は初の“Rodeo Note”でもあるので、ジャジーでおとなしめのアレンジが多かったですが、今回はお客さんもいらっしゃるということで、ファンキーな感じを意識しました。

――ゲストミュージシャンは、GRANRODEOのライブサポートでおなじみの瀧田イサムさんのベースのほか、ドラム&パーカッションにはe-ZUKAさん、瀧田さんと共に栗林みな実さんのバンドでも叩かれている岩田ガンタ康彦さんが。

e-ZUKA はい。この日はSHiNくんがスケジュールの都合で参加できなかったもんですから、GRANRODEOのレコーディングにも以前よく参加してくれていて、ジャジーな曲もお得意な人ということで、ガンタさんにお願いしたんです。ジャジーな曲でいうと、僕らの「進化と堕落の二元論」はガンタさんが叩いてくれてるんですけど、4ビートになるところなんて、やっぱりすごく上手いんですよね。パーカッションもできますし、適任だと思いましたね。

――ピアノ&キーボードは、こちらもGRANRODEOのアコースティック系のライブによく参加されているMaoさん。そしてサックスは、ヒロムーチョさんが担当されました。

e-ZUKA Maoくんは、去年1月の代々木第一体育館での“G16 ROCK☆SHOW”の時、コロナで本人が参加でいなかったというアクシデントがあったので、リベンジしてもらいました(笑)。ヒロムーチョくんは、Adoさんや大黒摩季さん、Superflyのサポートもやっていて、若いけど経験抱負。ソプラノ、アルト、テナーと曲に合わせてサックスを持ち替えてもらえる上に、フルートもクラリネットも吹ける。管楽器をあんなに一度にたくさん持ってくるのは、めちゃめちゃ大変そうでしたけど(笑)、すごくいい演奏をしてくれました。

KISHOW そうそう。やっぱりサックスやフルートが入ると、グッとブルーノートっぽい雰囲気になるし。リハーサルから、気持ち良く歌わせてもらってましたね。

e-ZUKA 今回も1曲目の「アサメシマエのヤサシイセカイ」なんかは、ビッグバンド風のスウィングジャズにアレンジしたんですけど、ヒロムーチョくんがクラリネットができるからというので、似合う曲は何だろう?と選曲したりしましたね。

ジャンルを超えた珠玉のアレンジと名曲カバーも聴きどころ

――今言われた「アサメシマエのヤサシイセカイ」も「BEASTFUL」のカップリングだったり、収録曲を見ると、選曲もシングル曲にこだわらず、幅広くセレクトされていますね。

e-ZUKA そうですね。前回の『Vol.1』もそうでしたけど、こういうジャンルのアレンジがやりたいな、というのが先にあって、それに合う曲はどれかな?と、選んでいった感じですね。シャッフルブルースなら「CRACK STAR FLASH」、ボサノバなら「慟哭ノ雨」、アフロビートなら「フォルテ」、ダンサブルな曲をよりファンキーにしたかった「オレンジピール」、もともとファンクな曲をジャズっぽくした「Soul crazy」、90年代に一世を風靡したアシッドジャズなら「Treasure Pleasure」がいいかな……といった感じで。

KISHOW だから歌うほうも、「こう来たか!」とすごく新鮮でね。アレンジは全部e-ZUKAさんがやってくれてるけど、こういうライブだとなおさら、音楽の引き出しの広さと多さにはいつも驚かされる。オリジナルを聴いたことがなければ、「元々こういう曲なのかな?」と思わせちゃうかも知れないよね(笑)。

e-ZUKA いやそこは、サブスクにもGRANRODEOの曲はあるので、聴き比べていただきたいですよ。あと「JUNK-YARD DOG」「オレンジピール」「Rain Beat」「Soul crazy」や「welcome to THE WORLD」なんかは、今までこの編成のアコースティックバンドでやったことのない曲も多かったので、僕らを知ってる人にはそこも楽しんでいただきたいなと。

――縦横無尽なアレンジを軽々と弾きこなすバンドのグルーヴも楽しいですが、どんな曲調でも歌いこなしてしまうKISHOWさんもすごいですね。

KISHOW お褒めにあずかり光栄です(笑)。僕はもともと、普段のライブでも歌い方を変えたり、フェイクを入れたりして歌うのが好きだし、頭で考えてこうしてやろうと思っていつも歌ってるわけじゃないから、その場でバンドの音に乗せられてるところはありますよね。でも何でも変わったことをやりゃあいい、というわけでもなくて。僕が敬愛する玉置浩二さんなんかも本当にライブが素晴らしいんだけど、フェイクを入れて崩して歌うにしても、聴き手が納得できるものじゃないと意味がない。

e-ZUKA その意味でも、“Rodeo Note”というのは、いわゆるマスターリズムというか。こういう感じですよというアレンジの譜面は僕が作ってますけど、ライブセッションと銘打っているだけあって、演奏の中身はミュージシャンの皆さんの技量とセンスにお任せですからね。僕も「ああ、この時もっとこう弾けたなぁ」という反省も常にあるけど(笑)、ライブ盤というのはそういう一期一会が楽しめるところがいいですよね。

――初回限定盤には当日のライブ映像も同梱されていますしね。

KISHOW そう! 音源で聴くのもいいんだけど、ライブ映像も僕は大変気に入ってますね。リリース前にチェックする段階から、何度も繰り返し観ちゃってたな。

e-ZUKA この音が、どんな風に演奏されてるとか、そういうのが確認できるのもいいですよね。楽器が好きな方にもオススメですし。

――音源だけでも全16曲入りと大ボリュームなんですが、中でもオススメしたい楽曲は?

e-ZUKA KISHOWが選曲したカバー曲は、ここでしか聴けないから貴重ですよね。ロックバンドスタイルのワンマンでは、カバーはめったにやらないですし。

――『Vol.1』の時も、椎名林檎さんの「丸ノ内サディスティック」の映像が公式YouTubeチャンネルでも公開されて話題でしたね。

KISHOW 今回も4曲ほどカバーさせてもらったんだけど、今回はなぜか、何曲か候補を出した中からスタッフに選ばれてしまって、今まで避けていた久保田利伸さんの曲「Missing」も歌わせていただいちゃったんですけど(苦笑)。

――避けてたんですか?(笑)

KISHOW 玉置浩二さんと久保田利伸さんは、手を出しちゃいけないって思ってたんですよ。ご本人の歌唱が素晴らしすぎるから。まぁ思い切って歌わせてはいただいたんで、あとは聴く方に判断はお任せしたい(笑)。

――とても素敵でしたけど。ほかにもKISHOWさんがお好きな桑田佳祐さん、KUWATA BANDの「スキップ・ビート (SKIPPED BEAT)」や女性曲だと一青窈さんの名曲「ハナミズキ」を原曲キーのまま歌われているのも、KISHOWさんらしい。

KISHOW まぁ「スキップ・ビート」も、僕のタイム感というか、もっとブルージーなグルーヴが出せたらなとは思ったりもしましたし。女性の曲を原キーで歌うというのは、僕にとってのこだわりではあるんでしょうね。そのほうが気持ち良く歌えるもんだから。「ハナミズキ」も一青窈さんの島唄感のある独特の節回しも頑張りました(笑)。

e-ZUKA 「スキップ・ビート」も「ハナミズキ」も改めて楽曲の良さを再確認しましたし、GAOさんの「サヨナラ」は、大ヒット曲だったのに僕はちゃんと聴くのが初めてだったから、すごく新鮮でした。カバー曲というのは、そういう意味でも新しい発見があって楽しい。アレンジもできるだけ、オリジナルだったり、その方のライブバージョンを聴き漁って参考にしていますから、GRANRODEOを知らない方にも十分に楽しんでいただけるんじゃないですかね。

KISHOW まぁ手前味噌になっちゃうんで口にするのは恥ずかしいけど、これを聴いたら、皆さんのGRANRODEOに対するイメージも、ちょっと変わるんじゃないかな。リリース日は2月22日で、e-ZUKAさんの誕生日だったから、いい記念になると思うし(笑)。

e-ZUKA 誰の? 俺の?(笑) まぁ、この“Rodeo Note”シリーズも幸い、ファンの方にもとても評判がいいですし、できれば続けていきたいですよね。KISHOWが次に何をカバーしたいと言い出すか、気になるし。

KISHOW うーん、そうだなぁ。場所がブルーノート東京だけに、ジャズのスタンダードナンバーとかもいいんじゃない?

e-ZUKA まだ予定はないですけどね!(笑)

KISHOW 僕らも楽しみに待ちたいですね(笑)。

次ページ:『黒子のバスケ』10周年記念ソング「ゼロステップ」は原点回帰の1曲

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