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INTERVIEW

2023.01.25

早見沙織、絶望に抗う新曲「視紅」と“夜明け”の2023年への思いを明かす。「どんどんワクワクを高めていただきたい」

早見沙織、絶望に抗う新曲「視紅」と“夜明け”の2023年への思いを明かす。「どんどんワクワクを高めていただきたい」

早見沙織が、アニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 深章 厄災篇』のOPテーマとなる新曲「視紅(しこう)」を配信リリースした。作詞・作曲は、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』のEDテーマ「Guide」に続き渡辺 翔が手がけている。渡辺いわく「完全に別ベクトルで表現された『ダンまち』の世界観」だという楽曲に、早見沙織はどのように向き合ったのか。初披露の場となった、自身3年ぶりとなる有観客ワンマンライブの感想を皮切りに、新曲に込めた思いや現在制作中だというニューアルバムの話を聞いた。

INTERVIEW&TEXT BY 永堀アツオ

「Guide」とは対照的な「絶望の始まりを表しているような楽曲」に

――1月2日にTOKYO DOME CITY HALLで開催されたワンマンライブ“Hayami Saori Special Live 2023 Before Dawn-夜明けに君と”を終えられたばかりですが、まずはその心境から聞かせてください。

早見沙織 個人的に1月2日という日にライブをするのも初めてでしたし、年末年始にずっと準備をしていくという経験もあまりなかったので、初めてづくしだったんです。しかも、有観客ライブは3年くらいできていなかったので、ある意味、またここから始まっていくぞっていうような真っさらな気持ちで1から準備したものを無事に終えられてよかったなと思います。

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――3年ぶりにお客さんを前にして歌って、どんなことを感じましたか。

早見 すごくドキドキでした(笑)。もちろんまだ声出しができる状況ではなかったんですけど、お客さんがすごく近く感じられる会場でもあったので、歌っている目の前で笑顔でいてくださったり、ときに涙を流してくださってる姿がダイレクトに入ってきて。歌いながらこれが生のライブだよなって思って、熱がこもりましたね。

――夜明けに向かって一緒に歩んでいくというコンセプトの中で、本編最後の「Awake」の前に新曲「視紅」を初披露されました。夜明けを迎える直前にこの曲を入れたのはどういう意図でしたか。

早見 新曲なので、本編のラストの方に持っていこうというのをイメージしていたんですけど、特に今回の「視紅」は、アニメでの『ダンまちⅣ』の『深章 厄災編』という、一番重たいというか……一番シリアスで、一番過酷で、一番暗いところが存分に描かれている物語のOPテーマになっていて。当初から、明るくて華やかな曲ではなく、絶望に満ちあふれていて、必死な要素を感じられる曲というイメージがあったんですね。作詞・作曲をしてくださったた渡辺 翔さんも、「絶望に落ち切ったところから、また這い上がる力をくれる曲だ」というお話をされてて。だから、「Awake」という「希望に向かって共に歩んでいく曲」の前に、一度どん底に落ち切るというか。ただ、これまでも、決して明るいだけの曲は作ってきてはいなくて。明るいところもあれば、暗いところもある。色んなものを踏まえた上で前に進んでいくというイメージをずっと持っていたので、「視紅」は絶対にこのライブの本編に入れたいって思っていましたね。

――ライブの流れで聴くと、本当に夜明け前の一番暗い時間を表現しているように感じました。楽曲の制作はどんなところから始まったんですか。

早見 翔さんとは『新章』EDテーマの「Guide」でもご一緒させていただいたんですけど、全然違う楽曲にしていきたいって話をして。『新章』も激しい冒険で、重たい話でもあったんですけど、作品のエンディングだから、物語全体を包み込んでくれるような温かい楽曲を作ろうって言っていたんですね。でも、今回はオープニングということで、絶望の始まりを表しているような楽曲にしようっていうところは決まっていて。

――最初にデモ音源を受け取ってどう感じましたか。

早見 「視紅」の元になるデモを聴かせていただいたときに、ちょっと妖しげな闇の部分が刺さって。本当に1回聴いただけで引き込まれて、この曲を歌わせていただきたいなって強く思ったんです。「Guide」はすごく優しくて、1回聴いただけで浄化される感じがしたんですけど、「視紅」はデモの時点から曲に引っ張られていくような引力みたいなものを感じて。しかも、仮歌を翔さんが歌われていたんですけど、結構ニュアンスをつけた歌い方をされていて。そんなことはこれまでになかったんですよ。だから、きっと、翔さんの中ではもう出来上がってるイメージがある、強い思いが入っている曲なのかなと感じまして。個人的にはこの曲がいいですっていうことは最初に伝えました。

早見 私もそうでしたけど、チームのメンバーも、翔さんもこの曲が一押しっていう部分で共通していたので、それを『ダンまち』の制作スタッフの皆様にも受け入れていただいて。でもそれは、こういう物語だからこそなし得た選曲だったのかなって思います。私も物語の中で、リューさん(リュー・リオン)役でずっと関わらせていただいているんですけど、リューさん的にも物語のマッチ具合を考えたら、個人的にはもうこの曲だって強く思って。

――キービジュアルからもうボロボロになってますよね。

早見 リューさんとベルくん(ベル・クラネル)がダンジョンの深いところで絶望しながら進んでいく話なので、だいぶ、そこは意識しましたね。歌詞からもギリギリでもがいている感じというか、どうにか前に進もうとする思いを感じて。絶望はもう味わいきっているし、絶望に埋もれているけれども、だからこそ一筋、辿るものが見えてくる。それは歌詞からも感じましたね。諦めてない。

次ページ:「視紅」というタイトルに込められた様々な意味合い

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