DEARSTAGEとLantisが共同プロデュースを手がけるボーカルユニット・ARCANA PROJECT。彼女たちの5thシングル「恋衣」が、1月25日(水)にリリースされる。TVアニメ『もののがたり』のOPテーマとして制作されたこの曲では、数多くのアニメソングの作編曲を手がける神田ジョンと初タッグ。疾走感のあるロックナンバーにのせてメンバーそれぞれが魅力を放ち、ARCANA PROJECTの新たなステージを感じさせる1曲となっている。今回は本シングルの話題を中心に、ユニットとしての挑戦の多かった昨年の振り返りや今年ファンへ見せたい姿など、多岐にわたる話題について語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
――2022年も本当に多岐にわたって活躍された1年でしたが、そんななかで皆さんが印象深かった出来事を挙げるなら、何になりますか?
桜野羽咲 色々活動させてはいただきましたけど……やっぱり“Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-”(以下、“アニサマ”)かな?当初から目指していた目標でもありましたし、体感的にはすごく早い段階で出させてもらえたというのも大きかったです。
空野青空 “アニサマ”のステージ、すごかったよね?
天野ひかる うん。大きかった……。
空野 ポップアップでステージに上がった瞬間に飛び込んできた光景が、本当に『白い砂のアクアトープ』で描かれている海のような、すごくきれいなペンライトの海だったんですよ。だから、ちょっと豪語しちゃう形にはなっちゃうんですけど……あの景色をワンマンとかでも観られるくらいのグループになりたいなぁとも、強く思いました。
花宮ハナ “アニサマ”以外だと、1stアルバム『創世記』をリリースさせていただいたこともですね。私自身アルバムを通じてハマったアーティストさんもたくさんいるので、こういう活動をするなかでアルバムを出すことが夢の1つで、それをARCANA PROJECTで叶えたいということをファンの方とみんなで言っていたんです。それを、しかもユニットのコンセプトを活かせるように2枚組で出させていただけたのは、本当に理想の形でした!
相田詩音 2022年は2回ツアーをやらせていただいたんですけど、これまでは東京や関東でのライブが多かったので、大阪とか名古屋だと来てくださっている方の顔ぶれが違うのもよくわかって。そういうものを通じて、地方の方にも届けることの嬉しさを感じました。
天野 あとライブじゃないんですけど、アルバムでも新曲を作ってくださった草野華余子さんとのスペシャルトーク&ライブを生配信でやらせていただいたこともすごく印象に残っています。5人ともウルウルきてしまうようなありがたい言葉をいただけましたし、そういう機会や楽曲を通じて華余子さんのファンの方にもARCANA PROJECTのことを知ってもらえたことも、すごく嬉しい出来事でしたね。
――そういった素敵な縁も結ばれつつ、今回のシングルでは新たに「恋衣」と「革命的レイメイ」で神田ジョンさんとタッグを組まれています。その2曲はともに『もののがたり』にまつわる楽曲ですが、作品自体にはどんな印象をお持ちですか?
桜野 『もののがたり』はバトルものといえばバトルものなんですけど、付喪神というものを恨んでいる主人公の男の子・岐 兵馬が、自分軸で憎しみのために戦うところから、正反対の女の子・長月ぼたんちゃんに出会うことで人としての温かさを知っていく物語なんです。だから“絆と恋の物語”と言ってますけど、私は兵馬の人間としての成長もすごく感じるんですよね。
――そのうえでOPテーマ「恋衣」は、そのバトルモノという要素に非常にハマった曲のように思いました。
天野 ARCANA PROJECTでこんなにかっこいいロックな楽曲を歌うのは初めてなんですけど、元々ロックな楽曲を歌ってみたいという気持ちがあったので、最初に聴いたときにはすごく嬉しかったです。特にギターがすごくかっこ良くて、そこがお気に入りですね。
――あと、歌詞にアルファベットの表記が1個もないのも、作品の雰囲気にマッチしていますね。
花宮 しかもカタカナもないんですよ。スペシャルPVの挿入歌だった「革命的レイメイ」はカタカナがすごく多かったので、「同じ作品でも、こうも違う歌詞で表現できるんだな」って、その対比がすごく興味深くて見比べたりしていました。
――そんなこの曲、レコーディングの際にはどんなことを意識しながら臨まれたんでしょうか?
桜野 作詞の安藤紗々さんからは「恋衣」には兵馬の気持ち、「革命的レイメイ」にはぼたんちゃんの気持ちを込めたと聞いていたので、特にA・Bメロでは序盤尖っていた兵馬の(笑)、スレたところもイメージして歌いました。あと、この曲はユニゾンじゃなくてソロパートで作る曲になるとジョンさんから聞きまして。「個々のボーカルのクセが出るように録りたい」ともおっしゃっていたんです。
天野 そうなんです。だから私も「自由に、思い切り歌っていい」と言っていただけて。今までは的確な指示に従って歌うことが多かったんですけど、「恋衣」はギターのメロディだったりから戦っているシーンを思い浮かべて、自分でイメージした通りに力強く歌い切れたような感じがしています。
花宮 ARCANA PROJECTは歌声の個性が全然違うから、今までサビのユニゾンでは落ち着かせることを意識していたんです。でも今回は、自分でも「こんなにやって大丈夫ですか?」って何回も聞いちゃったくらい、個性をすごく大事にしてくださったんですよ。私自身、また1つ自分の殻を破れたように感じたレコーディングだったので……終わったあと、今までよりめっちゃお腹が空きました(笑)。
――エネルギーを使ったと(笑)。
花宮 はい。すごく楽しく気持ち良く歌わせていただいたので、ほかのメンバーの歌声も含めて、また新しいARCANA PROJECTを見ていただけるのが楽しみです。
空野 たしかに、歌を聴いていてもすごく気持ち良さそうだったし、今回はみんな結構「自分の歌!」というものを前面に出せている気がします。
――空野さん自身もそうでしたか?
空野 はい。私は元々電波ソングみたいな曲を歌うことが多かったのと、歌っていると声が甘めになってしまうので、ARCANA PROJECTのときはそのクセを引いていく作業をして挑むことが多いんです。でも今回は、その甘い要素をちょっとずつ引いて、クールとか妖艶なイメージを持って挑んだら、1回歌って「もっと良くできる、何かがあるんじゃないか?」みたいな空気感になりまして。
花宮 そうなんだ。
空野 それで歌声のクセについてのお話をしたら「そのバージョンでもう1回歌ってみましょう」と言っていただけたので、まるでソロ曲のような気持ちで歌ったら(笑)、「いいんじゃない?」となって。ジョンさん的にはこのあおにゃんの声がスパイスにもなったのかもしれないし、今回のみんな等身大の形で歌を表現する、というところにもすごくハマったのかなぁと思いました。
相田 私も最初に一通り歌ったときに「すごく『恋衣』にピッタリの声だね」ってジョンさんに言っていただけて、ありのままに真っ直ぐ歌っていきました。ただ、レコーディング順がトップバッターだったのもあって、Bメロの“凛 見据えて”とかのフレーズの方向性がまだ定まっていなかったんですよ。なので、そこはすごく模索した記憶がありまして。
花宮 そうだったんだ!
相田 単に歌うだけじゃなくて、呟いた声を入れたり、お経みたいにブツブツ歌ってみたり……(笑)、というのを試して何回も録り直したので、ここは方向付けにすごく関わらせてもらった記憶があります。
桜野 逆に私は、今までのディレクションと同じく引き算をした部分もあったんですけど、それも自分の中でできるようになったのを感じていて。ジョンさんが「良いよ良いよ」と言ってくださるところでも、「ここはもう少しフラットにしたほうがいいな」みたいに自分で考えて歌えたんです。それは、今までの経験もあってできたことなのかもしれません。
――そして、リリースに先駆けて公開されたMVもまた今までの作品とは少しテイストの違う、リリックビデオのようなものになっていますね。
桜野 今回MVを作ってくださったえむめろさんという方が元々すごく好きで、「こういうMV撮ってみたいね」みたいな話をスタッフさんとして、今回お願いすることができたんですよ。「恋衣」は単語が作品とすごくリンクした歌詞が多いので、言葉が見えるMVというのも、作品と合っていて素敵だなと思います。
空野 すごくかっこいいですよね……バトルスーツみたいな衣装も相まって、すべてがプラスに働いている感じがして。表情もみんなすっごく良い感じなんですよ。特に眼光がすごく良かったし。
天野 ただ私、えむめろさんがかっこ良く余裕のある笑みをしてほしいとおっしゃってくださったところで、それが上手くできずに終始真顔になってしまって……。
桜野 え、できてたよ?
花宮 うんうん。そんなことないよ?
天野 あ、ほんと?キリッとした表情でリップシンクをしてほしいというところではかっこよさを出せるように気をつけましたし、ダンスシーンとかでは余裕のある笑みとかも少しできたので、そういう表情の部分は私以外のみんなもすごく気を使っていたように思います。
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