DJをテーマにしたメディアミックスプロジェクト「D4DJ」。そのなかに登場する大学生ユニット・燐舞曲(ロンド)の1stアルバム『神蕾-シン・ライ-』が、5月25日(水)にリリース。燐舞曲がこれまでに生み出してきた数々の心揺さぶる楽曲に加え、ユニットのこれまでとこれからを描くかのような新曲「神蕾-シン・ライ-」を収録した濃厚な1枚が完成した。本稿ではリリースにあたって、メンバーへのインタビューを敢行。ここまでの足跡を振り返りつつ、新曲を含めアルバム全体について、じっくりと語ってもらった。
――まずは、活動開始からこれまでの燐舞曲としての3年間の活動を振り返っていただけたらと思います。
大塚紗英 ズバリ、「青春だったな」と思っていて……今も青春中ですけど(笑)。燐舞曲チームのすごく大きな熱量のもと、「本当に3年!?」というくらいのものすごく濃い年月を過ごせたなと感じています。あとは、出会ったときから良い意味でみんなそんなに変わってないんですよ。でも尊重しあえて絆を深めてこれて……普通にめっちゃ仲良いやん?
加藤里保菜 うんうん。
大塚 それもまた、こういう活動のなかでのすごく大きな財産だと思うので、真剣にコンテンツと向き合っていくという面でも仲間としてわちゃわちゃしているという面でも、本当に「青春」なんですよ!
つんこ 私も、3年なのに“一瞬”という感じがしていて。でも思い出がぎゅうぎゅうに詰まっていて、燐舞曲としてもですし、並行して役を離れた4人としても同じように仲良くなっていったというか。キャラクターと中の人が同じように真っ直ぐ成長してきた感じがするから……うーん、「青春」以上の表現が出てこないなぁ(笑)。楽しいことばかりじゃなくて、苦しいことやぶつかったりしたことも含めて“青春”だから……部活みたいに頑張ってきた3年だったなぁという感じがします。
もものはるな それに3年っていうと、中学や高校の卒業単位と一緒ですよね。顔合わせのときもお互いのことをほぼ知らなくて、初めましてだったり1回しか会ったことがなかったり……というのも、学校のスタートと似ている気がして。最初は(大塚)紗英ちゃんが一番引っ張っていってくれたんですよね。最初のライブの前にもご飯に誘ってくれて、そこからだんだん仲良くなっていって。
大塚 あはは(笑)。
ももの しかも、この3年間を通じて、みんなステージ上ではキャラクターにしか見えなくなったんですよ。最初の頃は「ディレクションしていただいたものをそのままやる」という形だったんですけど、1回自分が考えていることをお伝えする、話し合いの機会を設けていただいたことがありまして。あれは、とても大事な時間でしたね。ほかにも会議とか各々の個人練習の時間もあったりと、全体としての絆をどんどん深められた3年間だったので、その信頼の元に4年目以降に向けてさらに成長していけるんだろうな……と思っています。
加藤 私もみんなと同じになっちゃいますけど、燐舞曲として活動してきた期間の濃度の濃さを感じていて。こうやってアルバムができたり、ライブが成功したり……何か1つの仕事が形になるたび、それを感じるようになりましたね。キャラクターも皆さんもスタッフ陣も初めましてだった頃と比べて、お互いの信頼関係もできたしキャラの深掘りもよりできていますし、手探りだった第一章から第二章では、ちょっとまた形を変えてキャラクターのこともわかって。また進化した燐舞曲としてのアプローチができるための第一歩だったんじゃないかなと思います。
――そもそも、各ユニットのお披露目である最初の“D4DJ 1st LIVE”でいきなり幕張メッセでのステージに……というところから始まりましたからね。
加藤 それも、「このメンバーでやります」と決まったのは何年も前からではなくて、ライブの数ヵ月前なんですよ。出会い方も、まず私がほかのメンバーよりも先にレコーディングで楽曲と出会って、それをみんなが聴いて……というちょっと特殊なものでしたし。
大塚 その顔合わせって、たしかライブの3週間くらい前じゃなかったっけ?
ももの うん。しかも「初めまして」って言って、そのあと「じゃ、レコーディングしまーす」みたいな流れだったよね(笑)。
大塚 しかも燐舞曲はスタートのときから一番自己発信的な表現を求められるユニットだったから、メンバーの負担も結構……というか正直大きかったなぁって(笑)。1stライブのゲネプロから椿以外は「はい、好きに動いて」みたいな感じだったから。
つんこ DJとVJは特に難しいよね。楽譜が存在しないから。
ももの うん。私はそれまでにもほかの作品でのライブに出演したことはあったんですけど、「自由に」というのは初めてで。それにまだキャラクターの声も自分の中に落とし込めていない頃だったから、そのときのプロフィール情報から「このキャラだったら、どう動くのかな?」みたいなことを必死で考えていきました。でももう、ハテナがいっぱいで。コーラスとパフォーマンスとVJというものに接したのもそのときが始めてでしたし、ゲネまでの練習のたびにハテナが増えていくような状態だったんです。
――考えれば考えるほど。
ももの だいぶ迷子になりました。でも今は振り付けを相談できる先生にもお会いできましたし、キャラクターについてもどんどん理解が深まってきたことが「一緒に歩んできているな」という自信にも繋がっていて。切磋琢磨した時間は無駄ではなかったですし、1stライブではそのときの精一杯の矢野緋彩にはなれたんじゃないかな、と思います。
つんこ 私もももはるちゃんと一緒で、1stのときは本当にもう何もわからなくて。特に私自身が元々DJをやっていたので、「DJが現場でやること」と葵依というキャラクターとがすぐに融合できなかったんです。やっぱり自分はDJとして好きな曲をかけたときにはお客さんと一緒に騒ぎたいし、みんなとコールアンドレスポンスとかもしたい。でも葵依は、プロフィールを見るとそんな感じのことはしなさそうだな……って、そこがすごく脳内で喧嘩して(笑)。
――最初は、その両立が難しかったと。
つんこ そうですね。ただ、その当時の事務所のマネージャーさんが「キャラクターのことはわかるけど、ちょっとふわっとした状態の今はまだ、自分が『こうしたい』と思うことをやったほうがいいんじゃない?」と言ってくれて。それで「じゃあ今は、みんなと一緒に盛り上がるほうを選びたいな」と思って、今の葵依では考えられないことを叫んでみたりしたんですよね。そのあとは「こうするべき」という指示をもらえるようにもなりましたし、自分でイメージするべきこともどんどんわかって、キャラクターとの擦り合わせができていくようになりました。
大塚 私は「D4DJ」の前から「BanG Dream!」で、ギターを弾いてキャラクターを演じるという活動の経験があったので、その物事自体に対してはそんなに構えた気持ちはありませんでした。ただ、いただいたギターの参考資料がプロのギタリストの方への発注するときのようなものだったんですけど、私自身はギターを初めてまだ間もない時期で。そんなに技量もないし……という感覚もありながら必死に取り組んだ覚えがあります(笑)。
――ゲネプロで、新たに掴んだものなどはありましたか?
大塚 私が担当している月見山 渚は、割と「背が低くて、ムードメーカー的な元気っ子なんだろうな」と読み取りやすいビジュアルだったので、それに準じてゲネプロでは動いたつもりだったんですけど、「本番ではその3倍暴れて」と言われまして(笑)。それから本番までの2~3日で「ギターを持って暴れるとは?」というのを突き詰めて臨みました。
加藤 私も、音楽活動としてしっかり歌うという経験がなかったので、燐舞曲でメインボーカルを務めることになったときには「そんな大役、私にできるのか?」と思いました。それに、燐舞曲としての初ライブの会場が幕張メッセというのはすごく恵まれていることだけど、大きなステージに立つ機会もなかったので不安しかなくてすべてが手探り状態ではありましたが、椿のパフォーマンスに関しては初めから徹底されたコンセプトと指示が明確にあったので、教えていただいたことを忠実に……というので精一杯だった覚えがあります。
――実際ステージに立ったことで、何か得られたものはありましたか?
加藤 はい。もちろん不安はありましたが、実際ライブをしたあとに「これで良かったんだ」という確信や自信にやっと繋がったという感じがして……でもやっぱり、ライブ前は4人とも不安しかなかったと思います(笑)。
つんこ 1stライブのあと、プロデューサーさんが「良かったよ!」みたいに言ってくれたから、「あ、間違いではなかったな」って安心はしたよね。ただ、キャラの確立はやっぱりゲームの収録をしてからだったかも。
大塚 うん。ゲームに向けてキャラクターの声の収録をしたところで、「形になったな」くらいまで思えるようになってきたかな。ただYouTubeにもUPされているキャラの自己紹介ボイスも、まだセリフからいただける情報量が少なかったから、それはそれで手探りだったりもして(笑)。「自分の中から勝手にキャラクターの声が出てくる」ようになるまでには、もう少し時間がかかりましたね。
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