INTERVIEW
2021.08.11
高槻かなこの2ndシングルが完成した。1stシングル「Anti world」に引き続き、今回もTVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』のタイアップで、第2シーズンのEDテーマとなっている。彼女が手がけた歌詞とボーカルではコーラスワークやフェイクに注目してほしい1曲だ。バラエティに富んだカップリング曲含め、彼女に話を聞いた。
――高槻さんの周りにも2020年にデビューした方が多いと思いますが、ライブをするにも制限があったり、思うような活動ができないなというストレスもあったりしますか?
高槻かなこ いえ、コロナ禍でのデビューだからといってネガティブに思ったことは一度もなく、むしろコロナ禍だからこそ、アニメの需要も増えてきていると思うんです。そのなかでTVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』のOPテーマ「Anti world」でデビューできたことは、すごくラッキーで幸せなことだなと思っています。
――そうやってポジティブに捉えることができるのは、素敵なことですよね。
高槻 ネガティブに考えても過去は変えられないですし、それよりはこの先、悪い方向に転がらないようにすることのほうが自分のなかでは大事なんです。ただのんきなだけかもしれないですけど(笑)。でも焦らずにやればいいかなって。
――今回のシングルもそうですが、作詞にも積極的ですよね。
高槻 元々作詞をしたくて10代の頃から書き溜めていたりしましたし、作詞は色々とやっていたので、それがこのソロ活動に活かせているのかなと思います。自分が書きたいことや言いたいことを、自信を持って書けたりもしますし。
――自分名義ですから、自分個人の主張を歌詞にも曲にも込められますからね。
高槻 すごく楽しいんです!元々モノづくりやクリエイティブなことが好きなので、できたときの快感も大きいですね。自分の曲だからこそ、飾らない言葉で表現できますし、すごくやりがいがあります。
――今回のシングルの表題曲「Subversive」は、引き続きTVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』のタイアップになります。その喜びはあったのではないですか?
高槻 嬉しかったです。前回がOPテーマで、今回はEDテーマということで、同じ世界観だけど違う一面が描けてます。また物語が進んだことにより、キャラクターそれぞれが成長していっているので、その成長過程を楽曲でも表現したいと思いました。
――OPテーマとEDテーマで、やはり曲調も変わってきますか?
高槻 それはすごく変わると思います。「Subversive」もエンディングらしさや、エンディングでしか表現できないビートは意識したので。
――OPテーマはタイトルが出るタイミングなどもあって、個人的にはある程度型がある印象があるのですが、それに比べてEDテーマは自由度が高いイメージがあります。
高槻 自由度は高いと思います。自分がアニメを見ていて思うのは、歌始まりだとセリフと被る可能性もあるので、イントロがあったほうが、最初から使われる可能性があるなとか(笑)。そういうことは考えてしまいます。でも今回に関しては、アニメチームから洋楽っぽい曲にしてほしいという要望があったんです。それもあって、「Anti world」に引き続き、睦月周平さんが曲を書いてくださって、私はそれを受け取り、歌詞をつける形になりました。
――歌詞をつける意識で、楽曲を聴いたときはどう思いました?
高槻 不思議な曲だなぁって思いました(笑)。だから歌詞を付けるのも難しかったんです。“Subversive”のところは、メロディを聴くと同じ音が3つ繋がっているだけだったので、ここに何を入れるのかで悩みましたし、ラップもあって、ここのリリックも自分が考えなければいけないのかな?と思ったり。
――歌詞とも感覚が違うから、大変ですよね。
高槻 だからあまり上手くやろうとかは考えず、原作を読み、そして自分が書きたいことをば~っと書き出してから、パズルのように組み立てていきました。でも結果、色々考えて難しくなってしまったので、提出するときは一度ゼロに戻してから再度組み直したりしたんです。そうしたらシンプルな言葉がハマったりして、ラップ部分もしゃべっているような言葉になっていき、最終的には良くなったかなと思います。
――作品を読んだときに、どこを切り取ろうと思ったのですか?
高槻 今回、作詞に関してもアニメチームから「命」というテーマをいただいていたんです。そこから原作を読んでいくなかで、主人公たちがさらなる過酷な戦いに挑んでいくんですね。オークとの戦いがメインになるんですけど、彼らにとってはクエストでもあるから、何度も何度も戦いにいかなければいけない。でもそのオークとの戦いも過去から繰り返されていることで、恐らく昔から悲しい思いをしている人がたくさんいるんです。そこで感じたのは、人ってきっと同じことを繰り返していくんだなということで、それは歴史も同じですよね。なので、その“繰り返し”ということをテーマに書いていこうと思ったんです。
――繰り返すことから、変化していきたい、それを超えていきたいという思いも込められていますよね。
高槻 繰り返していくのですが、自分たちでその流れを壊していかなければいけないので、今の矛盾、流れを変える言葉というのを探していたら“Subversive”(破壊する、倒壊させるという意味)という言葉が見つかったので、その言葉を軸にして書いていきました。
――でも、“命”や“繰り返し”を壊して進んでいくというのは、アニメタイアップでなければなかなか書かないテーマですよね。
高槻 そうですね。自分では考えたこともなかったです(笑)。1番Aメロのラップ部分の“How to do 生きる意味を聞かれたって 探してるんだ僕だって”とか、命って言われたってまだよくわからない、ということをそのまま歌っていますからね。
――ただ、2番では“守るためじゃなく変えるための war 革命を起こす determine”と、力強くラップになっています。
高槻 死ぬくらいなら生きるために頑張ろうって、この作品を見ていると感じるので、そういう思いを入れたいなと思いました。
――ちなみに、こういう歌詞の中で自分の伝えたいことも入れ込むのですか?
高槻 この曲にはまったく入れていないです。「Anti world」では、主人公と私の境遇が似ていると感じたのでそこでは入れましたけど、この曲はいただいたテーマに沿って書いていく感じだったので、自分が伝えたいこととかではないんです。でも、生きている人であれば誰にでも当てはまるようなことではあるので、もしかしたら高槻かなこらしいと感じてくれる方はいるかもしれないです。
――歌からは力強さや熱さを感じたのですが、特にコーラスがかっこいいなと思いました。
高槻 曲自体も繰り返しがある楽曲なんですけど、コーラスが入ることによって人間らしさとか深みが増すような感じがしました。あとフェイクもかなり多かったんです。そのフェイクが入ることによって熱さやエモさが出たのかなと思います。
――素晴らしいフェイクですが、得意だったりするのですか?
高槻 歌うたいとしてはフェイクは気持ちいいので、その気持ち良さを全面に出していきました。
――ラップ部分はどうでしたか?
高槻 ラップ部分はずっと不安でした。やったことがないので、初めて自分の声を録って聴いたときみたいな感覚で、「うわっ、これ自分の声?」って久々に思いましたね(笑)。
――最初に自分の声を聞いたときに、誰もが感じるあの感情ですね(笑)。
高槻 最初にラップの声を聴いたときは恥ずかしかったんですけど、もう今は慣れてきましたし、今後もラップ曲をやってみたいなと思うようになりました。歌詞を覚えられるかどうかは、相変わらず不安ですけど(笑)。
――MVについてはいかがでしょう。
高槻 MVは監督が何パターンか提示してくださって、そこからハマるなと思ったものを選びました。今回のMVはずっと私が中心にいて、周りの景色が変わっていき、どんどんアップデートされていくというストーリーになっています。
――徐々に色づいていき、高槻さん自身もアップデートしていきますよね?
高槻 そうですね。周りの衣装も変わっていき、私自身も最終的には近未来的な衣装を身に着けて、アップデートされて自信を持った姿になるという形です。
――全体的に、すごくアートを感じました。
高槻 これは前作からですけど、衣装とかジャケット写真もそうなんですよね。色々アイデアを出してくれるんですけど、スタッフさんたちは私のInstagramなどを見てくれているらしく、「かなこはこんなものが好きなのか」みたいに、似合いそうなものを選んでくださるんですよ。今回のジャケットとかもお部屋に飾りたくなるようなものになったと思いますし、ジャケ買いしたくなるようなところは目指しています。
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