プチミレ、初の賞レースの結果は……？ “petit milady 5周年記念スペシャルイベント『弾けろ！プチパリ・ミュージックアワード！』”レポート

7月8日、TOKYO DOME CITY HALLにて“petit milady 5周年記念スペシャルイベント『弾けろ！プチパリ・ミュージックアワード！』”が開催。petit miladyがデビュー5周年を記念して開催したこのイベントは、プチミレならではのなんでもあり感に加えて、見せるところはピシッと見せるという、エンターテイメント性のしっかり存在するライブとなった。

そのエンターテイメント性は、チケット発売時から発揮。今回は、プチミレ1stライブで実際に関係者の座った席を“関係者ヅラ席”に指定。その座席に座ったひとは、起立NGであくまで関係者っぽく観覧しなければならない……という面白い試みだ。

開演時間を迎えると、interludeに続いてまずはステージのひし形の階段上にふたりが登場。「ハジマル…よっ？」のセリフからスタートする、イベントのOPにふさわしい「ハジマリズム」での幕開けだ。Bメロのラップ調のフレーズをはじめキュートに披露しつつ、ボーカルのみになるDメロではしっかり歌い上げて聴かせるふたり。そんなふたりの腕に合わせてムッチュ☆（＝プチミレファンの総称）も一斉にワイパー。イベントに一体感が生まれる。“関係者ヅラ席”のムッチュ☆も、騒ぎすぎず、それでいて手元にはしっかりとペンライトを携え、しっかり関係者風の振る舞いでプチミレにエールを送っていた。

歌唱後には、司会を担当する鷲崎健が登場。前半は『プチパリ・ミュージックアワード』の授賞式という体で、トークとライブを交互に行う。ここでの自己紹介で、照れながら「弾けるフレッシュソーダ、petit milady・悠木碧です！」とアイドルっぽい口上を悠木碧が行うと、直後の竹達彩奈がなぜか「キラッと輝くトゥインクルスター☆ 竹達彩奈です！」と完璧な口上を披露。これには「かわいいよー！1回もしたことないのに！」と悠木もびっくり。

そしてムッチュ☆から5周年を祝福する声が送られたところで、前半のトークの中核となるVTRコーナー「マル秘ドキュメント！オトナたちはプチミレをかわいい女性声優ユニットとして売り出そうとしていたはずだった……？」へ。一昔前のワイドショーによくあった手描き風フォントでタイトルの描かれたこのコーナーでは、主にプロデューサーT.K氏と構成作家のM氏が登場。まず最初のVTRでは「とにかくかわいらしく、ファンの皆さんに夢のぎゅーっと詰まったユニットに（T.K氏）」との第一コンセプトが明かされ、構成作家M氏は文化放送『碧と彩奈のラ・プチミレディオ』について「とにかくかわいらしいラジオを作ろうね」「面白いコーナーとかいらない」というコンセプトだったと明かし、初回放送第一声で悠木が言ったという、ほわほわっとしたセリフの内容も読み上げられていた。

そんな流れから、その頃にリリースされたデビュー曲「100％サイダーガール」の歌唱へ。イントロ中のふたりの煽りで場内はますます盛り上がり、Aメロでは定番となったふたりの名前のコールも大きく上がり……と、ここでハプニング。悠木の衣装にトラブルが発生し、一旦曲を止めてステージ袖へ！ムッチュ☆との絡みで竹達がしっかりフォローしたところで、編集点を作って曲をリスタート。比較的ゆるめのAメロ等ではボーカルにキュートさを上乗せし、5年の積み重ねを感じさせてくれた。

曲明け、VTRの続きでは「ふたりの才能がかわいいに収まりきらなかった」と、サブカル感のあるオシャレアーティスト展開を目指し「“つけまつける”から“はにわかぶる”を連想した」とT.K氏が主張。ふたりは今度は、“オシャレ”について鷲崎に疑問を呈されるが、衣装になぞらえて「ドットストライプマジ原宿ー」と悠木がギャル調に上手く切り返す。その一方で「オシャレな単語」を問われるもひねり出すのに苦戦した竹達から「ファンデーション」との名言が飛び出し、あらたな伝説も誕生したのだった。

トーク後には「恋はみるくてぃ」と「緋ノ糸輪廻ノGEMINI」をメドレー形式で披露。時期に加えてサビの三連符という共通項を持つこの2曲、まずは前者が赤のペンライトの中、甘くも切ない歌声で歌われていき、サビのラストにふたり手を合わせて向き合ったところで、後者へスイッチ。ファルセットを強めに出し曲の世界観をより強く反映した悠木と、太さと強さを前面に出した竹達とがそれぞれカチッと歌声を切り替え、アーティストらしい一面をはっきりとした形で見せてくれた。

ここでふたりは一旦降壇。続けてVTRでアルバム『cheri*cheri? milady!!』の製作にあたって、プロデューサーT.K氏から「大人っぽさも出していかなきゃいけない→大人っぽさといえば峰不二子→怪盗？」との連想から「あなたのハートを盗むわよ」というコンセプトで製作されたと明かされると、そのアルバムのリード曲「Fantastique♥（ハート黒塗り）Phantom」でふたりがステージに再登場。冒頭からサビラストまで随所に入るコールで、会場全体で一緒にぶち上がっていく。またステージ上では、竹達のソロ中の悠木の表情など視覚の部分も含めて魅せ、ラストは竹達が跳ねながらのワイパーで楽しく盛り上がって締めくくり、階段下のメインステージへ。ちなみに「トークのために階段を降りるのってやってみたかった」という念願を、ここで悠木が叶えていた。

また、証言VTRで明かされた路線については、ふたりそれぞれは知らなかった模様。さらに悠木が「プチミレのスタッフには気分屋しかいない」と暴露すると、1stアルバム『プチミレディア』を“結構暴れん坊な1枚”と形容。それを「バラエティに富んでて、捨て曲なし！」とさらに続けた竹達、「竹達、あたまいいなー！」と悠木に褒められるひと幕も。

さて、証言VTRもラスト。T.K氏は「与えた以上に振り切れすぎる」ふたりを“野放し”にすることを決意。ここで初めて登場した振付の先生K氏はふたりをベタ褒めするも、意図的にクスッとできるポイントを振り付けに入れていることを明かし、それをステージ上で初めて知ったプチミレはまたも衝撃を受けていた。そして構成作家M氏はラジオ番組内のコーナー「ふつうの言葉だから、エッチじゃないもん！」について“一番の人気コーナー”と触れ、「これがふたりの自然な姿」と総括。きれいにオチをつけていた。

そのVTR後には、悠木の「無法地帯ゾーン、いっきまーす！」との雄叫びに続いてタオル曲「#彼氏いません」を披露。七夕翌日の昼という歌唱タイミングドンピシャなこの曲で、頭サビから盛り上がりまくる。竹達がサビ前の「困っちゃうな」のフレーズでキュートさを存分に発揮したかと思えば、悠木は1サビの「一緒にいようね」のフレーズでMAX甘え声を出したかと思えば直後のラストフレーズでドスを利かせたりと、コロコロと表情を変えるボーカルで遊びまくり。直前に語られたような、今のプチミレが持ついい意味での“なんでもあり感”を表すのにはうってつけのナンバーだったように思う。

ラストに、振り回しまくったタオルを客席へと投げ入れると、そのまま「Eat or Love??」へ突入。ここでも、間奏に入るヒゲダンスチックなおもしろカワイイ振付が、直前の証言を裏付ける。しかしポップでキュートなデジタルチューンのなかで、その要素はあくまでかわいく映るもの。最後までキュートに魅せ続け、この曲のモチーフ『赤ずきんちゃん』になぞらえて、狼のようながおーっとしたポーズで曲を締めくくる。

そしていよいよ、『プチパリ・ミュージックアワード』大賞発表の時間。封筒を渡された鷲崎が読み上げた名は、petit milady！
発表の瞬間スポットライトに照らされ歓喜する（小芝居をする）ふたりは、授与されたトロフィーを早速背中のツボ押しに使い「これで元気になって末永くプチミレを続けていきたい（悠木）」とひとボケ。だが、改めてムッチュ☆へのコメントとして「どんなに無法地帯になっても、一緒に楽しむ空間を共有してもらえなかったら、こんなに楽しく続けられませんでした。本当にありがとうございます！（悠木）」「こんなにふざけられるのも、ムッチュ☆の皆さんがいつも温かく見守ってくれているからです。このあとの、マジメなコーナーもお楽しみに！（竹達）」とそれぞれコメントを送り、“大賞受賞者の記念ライブ”が行われる後半に向けて準備のため、一旦ステージを降りた。

降壇後、ステージには結成時の回想映像が流れるも、いきなり映し出される“30年後”の文字。そこには、虎柄のTシャツにパーマの“おばちゃんルック”な“オバミレディ（通称：おばみれ）”の姿が！老眼だったり孫がいたりと、それなりにしっかりとした設定のもとトークを展開。25年前（＝5周年）のプチミレへメッセージが送られると、後半戦・ライブパートがいよいよスタートする。

まずは階段上ステージの両側にふたり分かれて登場しての、「キラリキラリ」。ここからは生バンド”リアジュボーン”を従えてのライブとなり、悠木の伸びやかさを生かした歌声と、それと対比になる竹達のコロコロしたキュートなボーカルとがそれぞれの魅力を放ち、ライブらしい空気を作っていく。

歌い終わったところで、ふたりは再びムッチュ☆への感謝を語る。前述の通り、この日の会場は1stライブの会場。「ぶっちゃけた話、KSシート（＝見切れ席）もあるからあのときより全然お客さん入ってると思う！来てくれてありがとー！」と、急遽販売になったKSシートまですべてのムッチュ☆に改めて感謝すると、「ここからは、座らせないから！」と雄々しく煽る悠木。まずはブルーのフロアを前に歌う「世界中が恋をする夜」から、新曲ゾーンに突入だ。ふたりとも、再び前述のような各々の歌声の個性も見せつつ、サビでは歌詞に沿って手を回したりといった振付も含めて、爽やかキュートに披露していく。2サビでは竹達の、手を振りながらの腰の左右の動きはキレがあり目を引くものだったし、Dメロでの悠木の歌い上げと直後の竹達の甘いウィスパーとのコントラストも実に聴き心地がよいもので、見どころ・聴きどころともに満載の1曲に仕上がっていた。また、続く「360°星のオーケストラ」では、ふたりのファルセット風味の歌声からスタート。アッパーなナンバーの中において、たっぷりと歌い上げる悠木のボーカルと竹達の強めのボーカルとが、絶妙なバランスで爽快感を生じさせてくれる。その一方でサビ中で各々が歌い上げるソロも聴きどころだし、落ちサビでは相方のボーカルを聴きながら曲にさらに没入していくふたりの姿が印象的だった。

曲のラストを甘くしゃくって締めくくると、そのまま爽快なシャッフル・ナンバー「キミと」へ。この曲は気持ちよく楽しくリズムに乗りながらの披露で、特に竹達が2サビのソロでシャウト気味になるほどノリノリだった姿が印象的。Dメロでふたり向き合ったり、その後バンドで絡んでからハイタッチを交わしたりと、振付よりも音に合わせて楽しむことに重点の置かれた曲になっていた。その一方で2-Aメロ「キミ変えちゃったの？」のフレーズでは、竹達のボーカルに極限まで寂しさが現出していた一方、それを悠木が「テヘッ」と受けてコミカルに曲中の情景を再現する、というちょっとした芝居調のシーンも、印象に残るポイントだった。

曲明け、新曲への反応をムッチュ☆へ確認したりと、ひとしきりトークを繰り広げると、「次も盛り上がれるヤツです（悠木）」との言葉に続き披露されたのは「azurite」。ここでは竹達がイントロからエモさ爆発。煽りで太ももまで上げて、その内にあるパッションを感じさせる。ふたりのかっこいい攻め曲の代名詞的存在のこの曲で、場内はさらにヒートアップ。悠木の落ちサビの情感深い込め方にも、改めてクッとこさせられた。

こうして最後までこの曲を駆け抜けたところで、続いては「Ma Cherie」で、物理的にふたりが場内を駆け抜ける。両サイドに分かれてトロッコに乗り、通路を疾走しながら引き続きかっこよさの強い楽曲を、スタンドとも視線を合わせながら歌っていく。2サビ明けには最奥部で合流すると、ふたりは“最前”となった最後方のスタンドへと手を振る。そのスタンドでは、プロンプター代わりの歌詞パネルを“関係者ヅラ席”のムッチュ☆が手動で掲示。

それはまさしく、関係者ヅラ席が本物の“関係者席”になった瞬間だった。

その“関係者”の協力も得ながら凛々しくこの曲を歌い切ったふたりは、笑顔で手を振りながらメインステージへと戻り、そのままラストナンバー「A or A!?」へ。イントロを中心に随所に織り込まれた腰振りも歌声も、何から何までキュートなこのナンバー。ときにふたり対称になり、ときにふたり揃えるかわいさ満点の振付もしっかり魅せつつ、落ちサビでは歌詞に沿うようにふたりで手繋ぎも見せる。またムッチュ☆とも、サビの「Cheerio!」のコールを中心に盛り上がりまくり、最後の最後に再び楽しさで場内を満たしてくれたのだった。

そして曲明けには、10月27日(土)にオーケストラ・コンサートを開催することを発表。またもプチミレ初となるこの試みを前に、やりたい曲にも触れつつハロウィン時期ということで「かわいく、でもふざけて（竹達）」と語ると、「シスターのかっこしたい！（悠木）」などと仮装についての話題にも花を咲かせ、ムッチュ☆に秋の到来を楽しみにさせたところで、「サリュー！」の挨拶とともにふたりはステージを降りたのだった。

茶番や謎のクオリティで作り込まれた映像など、全力でふざけた点は実にプチミレのイベントらしいポイント。しかし同時に、序盤ではその映像とともに5年の歴史をなぞり、後半では新曲中心に盛り上がるナンバーを次々と披露するという点を見れば、実は王道で5周年にふさわしいイベントでもあったのだ。そして5年間で培った様々な魅力を見せ、最後に一周回って原点である“キュートでポップ”な「A or A!?」に戻ったのも、実に良い構成だった。これから“2周目”に入ったプチミレの、次の一手はいかなるものか。その一歩が感じられるであろうオーケストラ・コンサートが、今から待ち遠しい。

Text By 須永兼次

“petit milady 5周年記念スペシャルイベント『弾けろ！プチパリ・ミュージックアワード！』”
2018.07.08＠TOKYO DOME CITY HALL
【SET LIST】
M1.ハジマリズム
M2.100%サイダーガール
M3.恋はみるくてぃ～緋ノ糸輪廻ノGEMINI（メドレー）
M4.Fantastique♥Phantom
M5.#彼氏いません
M6.Eat or Love??
M7.キラリキラリ
M8.世界中が恋をする夜
M9.360°星のオーケストラ
M10.キミと
M11.azrite
M12.Ma Cherie
M13.A or A!?