INTERVIEW
2016.05.20
ついに公開を迎える劇場版『牙狼<GARO>-DIVINE FLAME-』。本作は、2014年から2015年にかけて放送されたTVシリーズ『牙狼<GARO>-炎の刻印-』の4年後を舞台にした、待望の続編となる。TVシリーズからさらにパワーアップしたアクションや、深みを増したキャラクターたちの掛け合い。そして魅力的な新キャラクターなど、ファンならずとも気になる本作の魅力やシリーズへの熱い思いを、林 祐一郎監督と主人公・レオン役の浪川大輔が語りつくす!
キャストと制作スタッフの真剣勝負!?
──いよいよ劇場版『牙狼<GARO>-DIVINE FLAME-』が公開されますね!
林 祐一郎監督 試写会での評判は良いので、手ごたえは感じています。
浪川大輔 『牙狼-紅蓮の月-』をやっていた頃から、TVシリーズの『炎の刻印』が劇場アニメになることは聞いていました。林監督からも途中経過を聞く機会があったので、どんなものになるのか尋ねたところ「すごいよ~」とおっしゃられていたので、実はプレッシャーを感じていました(笑)。
──実際に映像を見た感想はいかがでしたか?
浪川 TVシリーズの頃からすごい映像でしたが、劇場版になったことで熱量、パワフルさ、スピード感がとんでもないことになっていました。あの手この手を尽くし、さすがのひと言です。今回は、ドラマにも深みがあって本当に良いものになっていますし、バトル・シーンも爆発力のある表現が多すぎて、アフレコ現場では声優陣もみんなヘロヘロになっていました。監督の作り込みには、絶対に追いつけないなと感じましたね。でも、絶対に負けたくないという思いで、僕らも演じさせていただきました。ただ、TVシリーズからOKテイクが出にくい現場だったんですが、今回はそれ以上に出ませんでした(笑)。
林 アフレコは2日にわたってやらせていただいたんですが、声優さんの力の入り方がすごくて、ブースで見ているこちらも体力を使う感じでした。OKが出にくくて、申し訳ありませんでした。
──声優とスタッフの真剣勝負のようなアフレコ現場だったんですね。
浪川 絵もほぼ完成した状態での収録だったので、「ここまで作りこんだよ」っていう監督からのメッセージが画面から伝わってくるようでした。それを見ると、こちらも「これは生半可な演技だとまずいぞ」と気を引き締めました。
林 TVシリーズでは絵コンテ撮での収録が多かったので、今回はちゃんとした絵で芝居してほしかったんです。役者さんの芝居がすごくいいのに、絵ができてないのは申し訳ない。完成した絵にこれだけの芝居が乗ったら、どれだけいいものになるんだろうと思っていましたし、TVシリーズでは正直に言って芝居に絵が負けていると感じることもありました。そこを何とかしたかったんです。
浪川 うれしいですね。力強く愛情あふれる挑戦的なメッセージですよね。
──その思いが、超高速で繰り広げられるアクションシーンにも表れているように思います。
浪川 たぶん僕が携わったアニメの中で一番速いんじゃないでしょうか(笑)。
林 僕も今回のアクション・シーンを見て、ここまですごいものになるのか、とびっくりしちゃいました。
浪川 アクション・シーンはアフレコも必死でした(笑)。斬っている物の大小や、受ける傷が浅いのか深いのかといった反応をリアルに演じ分けないといけないんですが、スピードが速すぎて反射するのが本当に大変で……。汗だくになりながらやっていました。
林 浪川さんは、あのスピードの絵にも的確に声をあててくるので、すごいと思いました。
浪川 いやいや。「あのスピード」って、作ったのは監督じゃないですか(笑)。
──久々に『炎の刻印』キャストが集合しての、アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
浪川 和気あいあいでしたよ。ゲストキャラ・ダリオ役の萩原聖人さんも初めてこの作品に参加されたという感じではなく、ずっと前から一緒にやってたのかなというくらい馴染んでいました。サラ役の小宮有紗さんは、ほぼ初めてのアニメ・アフレコということで緊張されてましたけど、すごく声が出ていました。いいチームワークで収録できたかなと思います。1年ぶりの僕らはどうでしたか?
林 すごく楽しかったですよ。僕も早く収録したいと思っていたので、待ちに待ったアフレコ現場でした。
浪川 声優陣もスタッフ陣のことを尊敬し信頼してるし、スタッフとは遠慮なく意見を言い合えるという、すごくいい雰囲気の中で収録できました。その分、疲労感もすごかったんですが。
林 充実の収録でしたね。
見どころは特撮版『牙狼』のオマージュも詰まったアクション・シーン
──TVシリーズから4年後のストーリーということで、レオンのビジュアル、演技ともに少し大人っぽくなっていましたね。
浪川 TVシリーズの最初は「青い感じで」という演技指導がありました。もともと憎しみなどの感情を爆発させて力を使ってしまう青さがあったレオンですが、大切な人を守れなかった悲しみなどを知り成長したことで、後半はだいぶ落ち着いてきた感がありました。それを経ての劇場版なので、ただ年をとって落ち着いたのではなく、いろんな経験を積んだ上で守るものができた、という雰囲気を出そうと思いました。
林 TVシリーズ初期のレオンって、すごい青臭くてかわいいんですよ。今回の劇場版でもかわいいレオンを見せたかったんです。エマとのやりとりとかではそれが出せたかな。
浪川 エマとのシーンは、「そこまでこだわるの?」っていうくらい何テイクも録ったんです。最終的に、監督は納得したものが録れたんでしょうか……?
林 大丈夫です!薄暗い編集室で映像チェックしながら、スタッフみんなで「レオンかわいいなあ」って言っていましたよ。
浪川 それはそれで、相当怖い絵面ですよ(笑)。
──劇場版において、レオンはロベルトに対しては親であり兄であり。ヘルマンに対してはやはり息子でもあり、というふうに様々な表情をみせます。
林 TVシリーズで成長しきったかと思いきや、レオンはまだまだ劇場版で成長するんです。
浪川 そうですね。印象に残っているのが、ラストシーンのロベルトとの会話です。あれは心のゆとりがないと出てこない言葉ですよね。アルフォンソやヘルマンのおかげで、さらに成長したなと思いました。ずっと内にこもっていたキャラなので、今回、様々な人と関わることでさらにレオンのいろんな面を見れたのがうれしかったですね。
──そのほか、ここに注目して見てほしいところを教えてください。
林 あえてテレビと同じようなシーンも入れてあります。
浪川 きっとTVシリーズを見てくれている人には、懐かしいなと思ってもらえるシーンがあるはずです。レギュラー・メンバーがそろって話してるシーンとか、ララが出てきたり……。その辺に注目すると、より深く楽しめるんじゃないかと思います。あとヘルマンがかっこいいんですよね。特にラストシーンの……(以下、ネタばれになるため自主規制)。
林 ヘルマンが最後に活躍するシーンのくだりは一か月くらい悩んでて。二宮エグゼクティブプロデューサーや雨宮慶太監督からもアイデアをいただきました。
浪川 あれは本当にいいシーンですよね。その後のレオンの行動にも注目です。あんなレオンの姿は初めてだし、すごくかっこいいんです。
林 あのシーンはレオンの声のトーンや音楽との相乗効果もあって、すごく感動的になりました。
浪川 それはうれしいコメントです!
林 TVシリーズの面白いシーンばかりを集めて作り直したような内容になっているので、もともと作品を知っている方が観ると、より一層楽しめる内容になっていると思います。また、TVシリーズで微妙に消化されてなかったシーンなんかも拾ったりしてるので、そこも注目してもらいたいですね。それと実写版のオマージュというわけではないのですが、実写版『牙狼』でよくやっている召還のポーズとか魔導馬上でのアクションも取り入れています。これらのシーンはTVシリーズからやりたかったんです。特に魔導馬のアクションは、特撮でも無茶な動きをかなりやっているので、アニメで普通の騎馬戦を描いてもダメだと思い、バイクや車のチェイスシーンみたいなイメージで作りました。そこは実写版からの『牙狼』ファンにはうれしいポイントかもしれませんね。
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