『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)が、TYPE-MOONのシナリオライター・奈須きのこを中心に描かれる人理と神秘を巡る壮大な神話だとするならば、坂本真綾はその神話を象るうえで欠かせないミューズと言えるだろう。彼女の音楽は、奈須きのこおよび『FGO』という作品に多大な影響を与えている。そもそも奈須が『FGO』のローンチに向けて全体プロットを作成している際に、坂本の楽曲「スクラップ~別れの詩」(2003年)をよく聴いていたことが主題歌のオファーに繋がったと、両者の対談にて語られている
通常の“作品と主題歌アーティスト”の関係性に留まらず、より深い核の部分で共振し合っているのが、『FGO』と坂本真綾の音楽である。2015年夏にスマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order』がスタートしてから、2025年12月に盛大なフィナーレを迎えた「第2部 終章」までの約11年。その間に坂本が作詞と歌唱を担当した『FGO』関連の主題歌をまとめたベストアルバム『余韻』には、両者が紡いできた軌跡のすべてが詰まっている。互いに惹かれ合い、高め合うことで生まれた人理の極みと言うべき音楽に、全曲レビューで迫る。
TEXT BY 北野 創
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