REPORT
2025.04.05
2025年3月15日(土)、FOSTERホール(昭島市民会館)で“イロドリミドリLIVE’25 第5話 ~ようこそ!ライブ喫茶あけさか~”が開催された。「イロドリミドリ」は、セガの音楽ゲーム「CHUNITHM (チュウニズム)」から生まれたメディアミックスプロジェクト。ミュージシャンを目指して全国から舞ヶ原音楽大学附属舞ヶ原高等学校へと集まってきた少女たちによる学園ストーリーがマンガやアニメなどで展開され 、「CHUNITHM」の他に「maimai でらっくす」や「オンゲキ」でプレイできるオリジナル楽曲はCDでもリリース。主人公の明坂 芹菜が結成したガールズバンド・イロドリミドリの他に、HaNaMiNaとS.S.L.(舞ヶ原シンセ研究会)という3ユニットがコンテンツから誕生し、担当声優によるライブが幾度も開催されている。
今回のライブは、2021年10月31日に開催された“イロドリミドリ LIVE’21 第4話 ~No Limits Colors~”以来となるナンバリングライブだったが、約3年半という隔たりを感じさせない、熱く熱く盛り上がる一夜を作り出していた。
TEXT BY 清水耕司
PHOTOGRAPHY BY Litchi
まずオープニングムービーとして、ライブに出演する声優陣が担当するキャラクターがスクリーンに次々と現れた。桔梗 小夜曲(CV:原田彩楓)、藤堂 陽南袴(CV:八島さらら)、芒崎 奏(CV:立花理香)、萩原 七々瀬(CV:東城日沙子)、小仏 凪(CV:佐倉 薫)、天王洲 なずな(CV:山本彩乃)、御形 アリシアナ(CV:福原綾香)、そして最後は勿論、主人公の明坂 芹菜(CV:新田恵海)だ。ムービーが終わる頃、ステージ上には1人のシルエットが浮かび上がっていたが、その姿こそ芹菜を演じる新田。流れてきたのは、「音楽に卒業はない」「始まりの音鳴らそう」と歌う「Rhythmic Ride」だ。プロジェクトの開始から10年近くが経ち、主人公・芹菜たちの代は卒業の時期を迎えている今、久々のライブの始まりを飾るにもふさわしい楽曲だ。客席では「ライブ喫茶あけさか」オリジナルペンライト(無線制御で楽曲に合わせて自動的に色が変えられていくペンライト)がカラフルな海を作り、その揺らめきを見ながら軽快なステップで歌っていく新田。最後は右手を高く掲げ笑顔で歌い終えると、その後ろのスクリーンには「イロドリミドリ」のオリジナルストーリーが上映される。芹菜が実家である「カレー喫茶あけさか」の定休日を生かし、店内を「ライブ喫茶あけさか(仮)」に変貌させるという物語が展開される。まず、芹菜の元を訪れたのはなずなとアリシアナ。3人の話は徐々に盛り上がり……。
というところでステージにバトンタッチ。スタンバイしていた新田、福原、山本による「Help me, あーりん!」に突入する。一世を風靡したビートまりおの「Help me, ERINNNNNN!!」を「イロドリミドリ」用にアレンジした楽曲で、会場は統率の取れた掛け声で“あーりん×2”“助けてあーりん”コールが巻き起こっていく。会場が一体化できた理由の1つとして、ライブ中にスクリーンで流れる歌詞の力も大きい。「イロドリミドリ」ライブに初めて参加したとしても、周囲と一緒に盛り上がれる親切設計となっていた。続いてタオル曲である「光線チューニング ~なずな妄想海フェスイメージトレーニングVer.~」でも観客たちは体全体でライブを体感していた。
序盤とは思えないほどに観客から声を引き出した3人は給水タイムからMCへ。新田が「芹菜のカレーは」「世界一っ!!」という定番のコール&レスポンスを堪能するなど、自己紹介を行っていく。会場には“イロドリミドリ LIVE’21 第4話 ~No Limits Colors~”のライブグッズ「にぎって鳴らせ!チュウニペンギン」を持参した者も多く、ステージ上の3人はそこかしこから聴こえてくるキュッキュッという音に反応していた。「CHUNITHM」のマスコットキャラクターであるチュウニペンギンをモチーフに、コロナ禍で声出し禁止のなかで誕生したライブグッズということもあり新田、福原、山本は改めてファンの声援を浴びる喜びを噛み締めてもいた。そこから3人はこれまで重ねてきたライブに想いを馳せる。開催場所であった赤坂、中野、台場、そして羽田を振り返ると、この夜の会場となったFORSTERホール(昭島市民会館)への来場手段を問いかける。「ここまで歩いてきたよ、って人はー?」「自転車だよ、っていう人は?」「車だよ、っていう人は?」、そして最後に「でもやっぱり……、電車で来たよ、っていう人ー?」。これは次なる曲へのイニシエーション。「それでは3人で盛り上げていきたいと思います!」から「Kattobi舞高Riders」が走り出す。歌い出しから“でん、ででん、でんでんででんしゃー!”と会場全体が曲に参加する。歌詞に繰り返し部分も多く、サビは早口、さらに曲の途中では前後左右にウェーブを実施というライブソング。新田、福原、山本が入れ替わりノンストップで歌い続ければフロアも負けじと連結。声で、腕で、体全体でライブを味わえる時間が運行されていた。
続いてスクリーンには2本目のエピソード映像が。ライブは、スクリーンに上映されるドラマパートとステージでのライブパートを行き来する構成だ。ライブ喫茶あけさか(仮)を次に訪れたのはS.S.L.こと舞ヶ原シンセ研究会の奏、陽南袴、小夜曲。小夜曲がDJコントローラー、陽南袴がマイクを持参していたことから店内でDJライブが開催されることになる。ここから舞台はステージへとバトンタッチされ、下手高台のキーボード前に立花、上手高台のDJブースに原田、そしてステージセンターに八島という布陣で「We Are Us」を届ける。3人が入れ替わりながらそれぞれ高速ラップを披露していくと、観衆は横揺れでリズムを刻み、フロアに林立するペンライトは3人のカラーであるライトピンク、ライトグリーン、ライトブルーを点灯、会場はクラブ空間へと様変わりした。
続いての「We Wish You a Merry Christmas」をサンプリングした「超Rock The Party」を終えたところで3人がセンターに集まってくる。MCではドラマパートの内容に触れ、3年生の奏ではなく2年生の陽南袴が現生徒会長職に就いていることを改めて確認。その流れで立花が付けていた「生徒会」の腕章を八島の腕に付けるという(原田曰く)歴史的瞬間が訪れた。その流れで八島が新会長として「盛り上がっていく準備はできてるかー?」と声を挙げると3人は再び持ち場に戻ってトライアングルを形成、「CHUNITHM」に実装されたばかりの新曲「We don’t need tears!」をファンにプレゼントする。作詞・作曲・編曲を佐高陵平(Hifumi,inc.)が手がけた跳ね曲を会場全体がクラップで心を合わせ、次の「Limits」でS.S.L.のターンを締めた。
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