REPORT
2025.04.04
一息ついたオーイシは改めて1万3000人の観客を見渡し、直前の2曲になぞらえて「デカなったなぁ、オーイシマサヨシという船。マジで嬉しい」と感慨深げに言葉を綴る。15年前、ピザ屋でアルバイトをしていたしがないシンガーソングライターを救ってくれたのがアニソンだったこと。カタカナのオーイシマサヨシが、今年で11年目に突入したこと。そして「実はなんですけど今45歳。40歳の時にアニソンシンガー辞めよう思ってたんですよ」と振り返る。理由は2つ。いつまでもこの高い声を出せるのか?40歳を越えてもこのキラキラとしたステージに立てるのか?そこで悩んだというが、結局辞めることはできなかった。
「これも2つ原因があります。1個は(曲の)締め切り。もう1個はお前ら。お前ら、辞めさせてくれへんやん(笑)。人がワンマンライブやったら2秒で帰れ!言うたり、アニソンフェスやったら罵詈雑言浴びせたり。俺のことなんやと思ってんの?それで“クソメガネ!”って返すお前らもお前らやで(笑)。いや、でもな……辞められへんわ。だって俺、今めっちゃ幸せやもん。そんなみんなに囲まれてマジで幸せです。俺にアニソン辞めさせへんでくれて、みんなありがとうね」
そして、ショッピングモールのイベントで小さな子供が「アニソン王」と書いたウチワを持って応援してくれるというエピソードを話しながら、「まだ早い。でもさぁ……武道館2回目をさ、360度で埋めたらさ、欲出ちゃうよね。多分俺1人だとアニソン王にはなられへんけど、僕の心強い仲間たちとみんながいたら、なんかなれそうな気がします。もうちょっとこの船続いてもいいですか?」と客席に問うと、「おおー!」と賛同の声が上がる。そして今はアニソンシンガーがちょっと元気ないけど、「俺……ちょっと背負う気になってるから。オーイシマサヨシがアニソン界を盛り上げていきたい」と語って、「決―めた、アニソン王に俺はなる!頑張るわ」と照れくさそうに頬を緩める。
そして放たれたのは、アニソンシンガーとしてのオーイシマサヨシを体現するような1曲「ロールプレイング」。オーイシを先頭にダンサーたちが振り歩いた白い大きなフラッグと、“手を 手を 繋ぎ合いましょう 共に居れば何にも心配ない”と力を込めた歌声が、彼の決意とファンの絆を強く結び合わせた。
船長服を脱いだオーイシが次に呼び込んだゲストは、テレビ朝日公式YouTubeチャンネルで配信中のバラエティ「オーイシマサヨシ×鈴木愛理のでしょでしょ!!」で共演し、デュエットシングルもリリースした鈴木愛理。「こんにちはー!」と元気に駆け込んできた鈴木は360度のファンに手を振りながら「すごいね!」と感嘆。前回の“オーイシ武道館 Vol.1”を観に来ていた鈴木にオーイシがその場で1年後のオファーをし、今回のゲスト出演が実現したのだという。そして鈴木がオーイシロゴ入りのパーカー、オーイシが着ているカットソーの端切れを使って仕立てたというかわいいミニスカート、そして髪型もオーイシが好きだというポニーテールにしたのだと紹介すると、客席も拍手喝采だ。
そんなお揃いコーデに身を包んだ2人が歌うのはもちろん「主人公になろう! feat. 鈴木愛理」だ。屈指の歌唱力を誇り、ソロアーティストとして武道館公演を成功させている鈴木とオーイシのデュエットは相性も抜群。MVでも披露されていた軽やかなダンスと2人のハーモニーに大歓声が。さらにもう1曲、「なまらめんこいギャル feat.鈴木愛理」をコラボレーション。客席から叫ばれる“なまらめんこい道産子ギャル”のコールが、キュートすぎる鈴木とオーイシに贈られた。
鈴木がステージを後にすると、おもむろにオーイシがアコースティックギターを手にする。「ちょっと聴いて!」というように指を振り、リズミカルにソロを弾き始める。そして「一言、言わせていただいていいですか」とブレイク。「武道館じゃなきゃダメみたーい!!」と大きく叫んでファンキーなスラップを決め、「君じゃなきゃダメみたい」へ。伸び伸びと冴え渡るハイトーン。テクニカルな彼のギターワークを聴けたのは、今回この1曲だけだったが、エンターテイナー・オーイシマサヨシに共存するミュージシャン・大石昌良としての顔が垣間見えたのは、ファンにも嬉しかったことだろう。
この日のサプライズゲストを改めて振り返り、“オーイシ武道館 Vol.1”とは違い今回は事前にゲスト発表をしていなかった理由を、オーイシマサヨシという名前だけでチケットを売り切りたいと思ったからと告白。こうしてソールドアウトしたことに改めて感謝したオーイシは、ライブ終盤を迎えて「みんなと盛り上がりたい曲やりたいじゃないですか」と、次の曲がOxTの「UNION」であることを告げる。しかし今日は、相方のTom-H@ckが来ていないため、客席から「我こそはTom-H@ckの代わりにエアギターできるよ!」という人を募る。指名されたのはオーイシいわく“面構えの良い”ユウヤくん。一夜限りの“OxT”ならぬ“OxY”が結成され、「UNION」は大盛り上がり。アリーナでスポットライトを浴びたエアギタリスト・ユウヤくんに大きな拍手が贈られた。そんなサプライズなファンサービスもオーイシワンマンならではのお楽しみだ。
本編最後を飾ったのは、多幸感に満ちた「uni-verse」!再びステージに4面ビジョンが静かに下りてきて、「グリッドマン参戦!」の文字とアニメのシーンが映し出される。そしてビジョンの中から、今度はオーイシと共にグリッドマン(Universe Fighter)がリフトに乗って登場。ブライトなオーイシの歌声とゴスペル感溢れる大合唱。日本武道館の上空に向けてグリッドマンが大きく手を伸ばし、ラストは、2人はギュッと固い握手を交わした。
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