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INTERVIEW

2025.03.26

TVアニメ『名探偵コナン』シリーズで関連楽曲で鮮烈なヒットを届ける第5期WANDSの最新アルバム『TIME STEW』はいかに制作されたのか――その裏側を柴崎 浩と上原大史に聞く

TVアニメ『名探偵コナン』シリーズで関連楽曲で鮮烈なヒットを届ける第5期WANDSの最新アルバム『TIME STEW』はいかに制作されたのか――その裏側を柴崎 浩と上原大史に聞く

TVアニメ『名探偵コナン』(以下、『コナン』)シリーズ関連楽曲で鮮烈なヒットを記録しているWANDSが、8th アルバム『TIME STEW』をリリース!「大胆」「Shooting star」をはじめとした第5期WANDSの魅力を伝える最新ナンバーに加え、ライブでも大好評の名曲セルフカバーも盛り込まれた本作は、活動6年目に突入した第5期WANDSの“今”を、声高らかに宣言するインプレッシブな1枚になっている。第5期の歩み、アニソンへの想いを振り返りつつ、WANDSサウンドを牽引するギタリスト・柴崎 浩とボーカリスト・上原大史が、『TIME STEW』を語る。

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

『TIME STEW』は今のWANDSを表すのにぴったりの言葉

――2023年8月の『Version 5.0』から約1年半ぶり、WANDSファン待望の8th アルバム『TIME STEW』がリリースとなりました。まず『TIME STEW』というタイトルがとても印象的なのですが、これにはどういった想いを込められましたか?

柴崎 浩 2025年は全国ホールツアーが4月にスタートすることが決まっていましたので、まずはそのツアーに向けて新しいアルバムを出そうじゃないかと。その制作が積み重なっていくなかで、思いついたワードが『TIME STEW』でした。“STEW”は “混ぜ合わせる”“煮込む”という意味。僕らの現在の心境を表す言葉としてぴったりじゃないかなと思ったんです。最初にWANDSがデビューしたのが1991年。WANDS第5期としての活動も丸5年を過ぎましたが、元々ある味があり、そこに上原が入ってまた新たな魅力が生まれ、僕も上原に呼応するように反応している。2024年のツアー(“WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~”)を振り返ると……第5期、結構いい味出てきてるよなと(笑)。

上原大史 僕もすごく符に落ちましたね。『TIME STEW』という言葉もかっこいいですし、まさに今のタイミングにぴったりで。

――収録曲にも美味しさが詰め込まれていますよね。最新曲あり、この1年半で第5期WANDSの魅力を高めたタイアップナンバーあり、柴崎さんがおっしゃった「 元々の味」に新しい美味を混ぜ込んだ[WANDS第5期ver.]と題したセルフカバーもあり。そのすべてに「滋養溢れる第5期WANDSの今である!」という宣言を感じました。

柴崎 はい。そう受け取っていただいて問題ないです。

上原 実際、僕も(WANDSに加入して)6年目に突入したんですけど、最初は僕だけじゃなく、スタッフを含めて本当に探り探りだったし、試行錯誤を繰り返しながらここまで来た感じなんですよ。考え方にも変化はあったし、それこそ3年目ぐらいからですね、昔の曲に対する自分の立ち位置や第5期としての住み分けがわかってきた。第5期WANDSの“取説”がここ1、2年で出来上がり、自分の手応えも見えてきました。だからこそ色んな味が混ざった第5期は今、すごく美味しい味になってますよね。

――まるで老舗の料理店の秘伝のタレのようですよね。長年継ぎ足された中に、上原さんという新しい食材、調味料が投入されて熟成したという。

柴崎 僕としては、そこで過去と違う味になっちゃっても別にいいよなとは思ってはいたんです。今のメンバーで最良のものが作れればそれでいい。でも、全然違う味にはならないだろうなということも、なんとなくは感じていて。

――その味の源は何だと思いますか?

柴崎 うん……なんでしょうね。90年代の数年間で刻まれてきたイメージは、意識せずとも滲み出ますよね。

――ハードなロックテイストがあってもメロディックでキャッチーなメロディが必ず耳に残る曲調。音の出し引きが緻密に構成されているアレンジ。デジタルな上物のハイキーな音色などの90年代サウンドが現在形のサウンドと融合する重厚感などは、“全然違う味”ではないWANDSらしさを醸し出しているなと感じます。

柴崎 なるほど。そういう言語化って、自分の頭の中ではまったくしていないんですよね。自分がいいなと思うことを抑えずに作っていったら、結果的にそう聴こえることがあるんだなと(苦笑)。

上原 やっぱり、柴崎さんがずっと曲を書いてるから、そういうのは自然と出ますよね(笑)。

柴崎 あとは……年齢的なものもあるかな。例えば20代、30代の人がかっこいいと思うもの、今売れているものがあったとしても、それをただ真似しても僕らの魅力にはならないでしょうから。

アニソンフェスに出演して感じたアニメファンの温かさ

――音楽面ではこれまでのWANDSを受け継ぎつつ、第5期の活動としてワンマンツアーはもちろん、精力的にライブを行っている印象です。アニソンフェスへの出演もありましたし、そこは過去のヒストリーにはない第5期ならではの試みですよね。

柴崎 確かにそうかもしれないです。アニソンの立ち位置も昔に比べて随分変わりましたよね。

上原 むしろ今は、日本から世界的に活躍できる音楽となると、アニソンが一番!という感覚じゃないですか?

――言い方は難しいのですが、ロックバンドやアーティストによっては、自分たちの音楽をアニソンに括られることに抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思うのですが。

上原 いや、僕らはその抵抗はまったくないですね。僕が音楽をしっかり聴き始めた頃くらいから……それこそWANDSがTVアニメ『SLAM DUNK』のEDテーマ「世界が終るまでは…」を大ヒットさせたり、アニソンアーティストじゃないバンドがアニメの主題歌を歌う時代の洗礼を受けてきたので、むしろやりたくてしょうがないくらい(笑)。ロックバンドってなかなかハマる立ち位置を見出すのが難しいんですけど、むしろ今はアニソンのシーンのほうが絶対ハマりがいいじゃないですか。

柴崎 僕はアニメにすごく詳しいわけではないのですが、映像の表現もすごく進化していますしね。

――アニメファン、アニソンファンの前に出ていくことにはどんな手応えを感じますか?

柴崎 アニメと音楽が合わさって、お互いに高め合えることを光栄に思っていますね。なんだろうな……「逃げも隠れもしないので、堂々と聴いていただきましょう!」という気持ちでアニソン関連のライブには臨んでます。出演後は反響もすごくいただきますしね。

上原 すごく良いですよね。なんだか温かくて、いい空気があって。僕らがアニソンの大型フェスに初めて出していただいたタイミングは第5期も始まったばかりで、まだまだ僕自身WANDSが板についてなかったんですよ。だから「俺がボーカルとして出ていって大丈夫かな?」という不安もあったんですけど、皆さんすごく盛り上がってくれたし、基本スタンスがまさに“迎え入れスタンス”。「この人たちは知らないアーティストが出て来ても、ちゃんと一緒に盛り上がってくれるんだろうな」と思える優しい世界で、共通の趣味を持った人たちの一体感を感じましたね。

柴崎 本当に素敵な空間だなと、僕も思いました。

上原 機会があれば、これからもぜひ出演したいですよ。

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