INTERVIEW
2025.03.26
――ではここからは『TIME STEW』のお話を。リスアニ!読者にとっては「大胆」と「Shooting star」、2曲の『コナン』関連曲が収録されているのも聴きどころです。改めて制作エピソードを聞かせていただけたらと思います。まずはTVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』テーマソングの「大胆」ですね。
柴崎 怪盗キッドは僕も上原も好きなキャラなんですよ。アニメ制作側からは「それに合う曲を」ということだったので割とすんなりイメージが浮かびましたね。怪盗キッドはいつも劇的で神出鬼没。彼が登場すると急に空気が一変するようなイメージがあるので、曲の中でも場面場面がキリッと変わるようにしたくて。結果、Aメロ、Bメロ、サビと全部キーが違う作りになりました。イントロでも神出鬼没感を出して、びっくりさせたかったですし(笑)。
――『TIME STEW』でも「大胆」は1曲目ですから、アルバムとしてのインパクトもすごく感じました。上原さんが書かれている歌詞でこだわったことは?
上原 怪盗キッドが出ているシーンを全部見直してから書いたんですけど、アニメ側からは「あまりベタにはしたくない」という要望があったので、僕は逆に「完全にキッドのことを歌ってるよね!」という歌詞にはしないようにしました。もっとナチュラルで普通にいい歌詞でありながら、キッドをちょっと匂わせるくらいがいいなと。
――(指定がなかったら)“神出鬼没”とか、パワーワードとして入れたくなりますよね(笑)。
上原 そうなんですよ(笑)。でも結果的には、ダブル、トリプルミーニングじゃないですけど、キッドを離れた別の物語としても成立する歌詞にはできたと思います。雰囲気としてキッドを彷彿とさせたのは……“どんな宝石さえも霞むような 君を────”の“宝石”くらいですかね。『コナン』関連楽曲だと「RAISE INSIGHT」も同じような作詞の仕方をしていて。あれはたまたま僕が描いた歌詞のニュアンスが、コナンを彷彿とさせると評価いただいたので、「大胆」もそういう方向性は意識しました。
――現在オンエア中のTVアニメ『名探偵コナン』EDテーマ「Shooting star」は、どのように?
柴崎 この曲は、何曲か候補を挙げた中から主題歌として選んでいただいたものですね。『コナン』曲はそういうパターンが多く、書き下ろしだった「大胆」がむしろ珍しいくらい。ただ、そういう中でもおぼろげに『コナン』を意識しながら作っていくのが僕らのスタイルにはなってます。
――「Shooting star」は構成も非常に凝っていますよね。随所にテクニカルなプログレッシブロックやジャズフュージョンの香りを感じつつ、サビはWANDSらしくキャッチー。作曲・アレンジでその辺りは意識されました?
柴崎 いや……自分では特に。曲を発表した後のファンの方の反応を見ると、皆さん「リズムが難しい!」と言っていて、あ、そうなんだ!と(苦笑)。
――とても緻密に計算されて出てきたものかと思っていましたが、自然体でそういう凝ったメロとアレンジが生まれるのが、柴崎さんスタイルなんですね。ちなみに普段作曲はどのようにされているんですか?
柴崎 打ち込みで作っていきます。第一段階はピアノでコード、笛のような音色でメロディを打ち込んでいくんですが、ずっとそれに向き合っているとイメージが萎んでしまうことがあるので、そういう時は一度PCを離れて頭の中でイメージが膨らむように、例えばボイスレコーダーの前でコードを弾いて歌ってみたり、メロディだけ歌ってみたりしますね。
――上原さんの作詞スタイルは?
上原 僕は怠惰というか(苦笑)、リラックスしていたほうが想像力が働くので、スマホを片手にソファーやベッドに寝そべって、ずっと柴崎さんからもらった曲をループしながら、言葉を打っていくスタイルですかね。そこで「よし、やるぞ!」と気合いが入るとちゃんと机に向かう、みたいな感じが多いかな。
――曲のどのパートから書き始めるんですか?
上原 それは曲によりますね。メロディを聴いていたら、Aメロからイメージがふわっと浮かんでくる場合もありますし、サビを意識的に作ってからAメロに戻る場合もあります。「Shooting star」なんかは、完全にサビを先に書きました。特にアニメ主題歌は流れる尺が決まっていますから、やはりサビ頭に一番説得力がある、心に響くフレーズを入れたいので。
柴崎 実は「Shooting star」もTVサイズは、尺に収めるためにイントロをカットしているんです。苦肉の策でめちゃめちゃ頭を使いましたけど、たまたまきっちり収まりました(笑)。
――……と、柴崎さんが嬉しそうにおっしゃってます(笑)。フル尺で聴くとまた印象も変わる曲なので、ぜひ皆さんにもオススメしたいですね。こちらの歌詞のテーマは?
上原 テーマを考えたというよりは、完全に曲からのインスピレーションですね。『コナン』の場合、「大胆」もそうでしたが、TVシリーズの主題歌はミステリーとか謎を解き明かすといった要素は意識しないで作ってほしいというオーダーもいただいているんです。
柴崎 むしろ抽象的なイメージのほうが、ハマリやすい作品なんでしょうね。観てくれる方の中に、既に「『コナン』といえば!」のイメージが共有されているので、皆さんがそれぞれの解釈を楽しめるように。
上原 シリーズも本当に長いですから。みんなが同じテーマで曲を作ってしまうと、聴くほうもきっと飽きてしまうんじゃないかと(笑)。
――WANDSファンにとっては、「天使になんてなれなかった [WANDS第5期ver.]」と「FLOWER [WANDS第5期ver.]」の収録も嬉しいポイントです。セルフカバー曲の選定はどのように?
柴崎 選曲は、かねてからのファンの方たちのご要望にお応えしたかったのと、今やったらきっといいものになるだろうなという基準で選んでますね。ライブでもこの2曲は結構演奏していて、評判もいいので。
――上原さんのボーカルが乗る[WANDS第5期ver.]のアレンジでこだわっていることは何でしょうか?
柴崎 その時々で、全く新しいアレンジにする場合もあるんですが、この2曲はオリジナルバージョンの主軸となるアイデア、核となるものは踏襲したかったですね。そのうえで、音像が変わればいいなと。
――「FLOWER [WANDS第5期ver.]」には、特にそれがありますね。イントロから登場する深いコーラスがかかったギターリフには、かなり当時の面影を感じましたし、楽曲の核になるサウンドなんだろうなと。
柴崎 あれは、当時使っていたエフェクター機材を復活させてレコーディングしたんです。いつもの機材を使って試しに録音してみたらどうしても偽物の「FLOWER」っぽくなっちゃって。「やっぱりコレを使わないとダメだな!」となりました。なので、かなり説得力が出たと思います。
――ボーカルのやさぐれ感も、聴きどころですね。
上原 僕はロックな曲が得意なので、ライブでも「FLOWER」はすごく評判がいいんです。これまでも[WANDS第5期ver.]はたくさん歌っていますが、この曲は自分でも向いていると思います。
柴崎 上原のいいところが、かなり出ている曲なんですよ。
上原 なので原曲以上に、結構“ヤっちゃってる”曲になったかも(笑)。僕の声は元々鼻腔共鳴の響き方が洋楽向きなので、そういうテイストも感じてもらえると思います。
――新曲の「WE ALL NEED LOVE」と「リフレイン」の2曲も、他のナンバーとはテイストがまた違いますね。「WE ALL NEED LOVE」はスケールの大きなサウンドが心地良いです。
柴崎 この曲は、途中に出てくるリズムパターンの世界観がスタート地点でした。そこでゴスペルをロックバンドがやったイメージが湧き……ゆったりめですけどノリやすい、シンプルな曲になりました。
上原 タイトルからもわかる通り、歌詞のテーマは“愛”です。……といっても恋愛ではなく、人類愛。母の愛、友達との愛……世の中は今、愛がないので、もっと愛が必要だし、愛があれば解決することもたくさんあると思うんです。それを言葉にしたのがこの歌詞ですね。
――そしてアルバムのラストを飾る「リフレイン」は、情感溢れるドラマチックなバラードになりました。
柴崎 バラードをやってみたらどうかという、スタッフのリクエストに応えたんですけど……いざバラードを書こうとすると意外と出てこないもので。結構色んなバラードを聴いてイメージを膨らませようと思ったんですが、そこに答えは見つからず(苦笑)。たまたま頭にメロディが浮かんで、そこから広げていきました。バラードなんですが、ロックバンドのテイストを上原の歌で出してほしいと思って作りました。
上原 結果的に、歌詞は未練たらたらの失恋の歌になったんですけど、ここで声を大にして言いたいのは……残念ながら、実体験ではありません!(笑)。 ただ、エモーショナルなボーカルは目指したところなので、そこをじっくりと楽しんでいただけたらと思います。
――そして、ぜひ皆さんにチェックしていただきたいのが、【初回限定盤A】と【初回限定盤B】の特典です。【初回限定盤A】には昨年出演されたフェス“Japan Anison & Rock Festival 2024”での11曲におよぶ貴重なライブBlu-rayが同梱。【初回限定盤B】には2023年に行われたファンクラブライブ“WANDER-LAND NEO「FANDS」MEETING 2023”で演奏された10曲のライブ音源CDが同梱されました。
柴崎 ライブ音源のほうは、ファンクラブ会員の方のリクエストでセットリストを決め、それを全曲入れました。昔のWANDSをご存じの方にも興味を持っていただけると思うので、そこから第5期を知ってもらえたら。ライブBlu-rayのほうでは、さっきお話した「Shooting star」や「大胆」などの『コナン』曲も演奏していますので、アニソンファンの皆さんにも観ていただきたいですね。そして、第5期WANDSに興味を持ってもらえたら、ぜひ4月18日からの全国ホールツアー“WANDS Live Tour 2025 ~TIME STEW~”に遊びに来てください。初めて行く念願叶った会場もあるので、僕らも楽しみです。
●リリース情報
8th ALBUM
『TIME STEW』
3月26日発売
【初回限定盤A(CD+LIVE Blu-ray)】
品番:GZCD-5017
価格:¥6,930(税込)
<Blu-ray>
LIVE at『Japan Anison&Rock Festival 2024』 ※音楽フェスでのライブアクトを全曲完全収録!
1. 錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう [WANDS第5期ver.]
2. We Will Never Give Up
3. 明日もし君が壊れても[WANDS第5期ver.]
4. 時の扉 [WANDS第5期ver.]
5. Secret Night ~ It’s My Treat ~[WANDS第5期ver.]
6. 愛を語るより口づけをかわそう[WANDS第5期ver.]
7. RAISE INSIGHT
8. 愛を叫びたい
9. 真っ赤なLip
10. 大胆
11. 世界が終るまでは…[WANDS第5期ver.]
【初回限定盤B(CD+LIVE CD)】
品番:GZCD-5018
価格:¥4,950(税込)
<LIVE CD>
LIVE at『WANDER-LAND NEO「FANDS」MEETING 2023』 ※FC限定ライブの超貴重音源を全曲収録!
1. 恋せよ乙女
2. Just a Lonely Boy[WANDS第5期ver.]
3. 星のない空の下で
4. アイリメンバー U
5. DON’T TRY SO HARD
6. 明日もし君が壊れても[WANDS第5期ver.]
7. 空へ向かう木のように
8. 抱き寄せ 高まる 君の体温と共に
9. 世界中の誰よりきっと[WANDS第5期ver.]
10. WONDER STORY
【通常盤(CD)】
品番:GZCD-5019
価格:¥2,530(税込)
<CD>
1. 大胆
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
(TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』テーマソング)
2. 天使になんてなれなかった [WANDS第5期ver.]
作詞:上杉昇 作/編曲:柴崎浩
3. Shooting star
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
(読売テレビ・日本テレビ系全国ネット「名探偵コナン」EDテーマ)
4. WE ALL NEED LOVE
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
5. FLOWER [WANDS第5期ver.]
作詞:上杉昇 作/編曲:柴崎浩
6. リフレイン
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
●ライブ情報
WANDS Live Tour 2025 〜TIME STEW〜
【宮城公演】
2025年4月18日(金)
会場:仙台サンプラザホール
OPEN 18:00 / START 19:00
【北海道公演】
2025年4月22日(火)
会場:カナモトホール (札幌市民ホール)
【新潟公演】
2025年4月25日(金)
会場:新潟県民会館 大ホール
【香川公演】
2025年4月30日(水)
会場:レクザムホール (香川県県民ホール) 大ホール
【福岡公演】
2025年5月2日(金)
会場:福岡サンパレス
【愛知公演】
2025年5月16日(金)
会場:Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
【大阪公演】
2025年5月19日(月)
会場:大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール
【広島公演】
2025年5月21日(水)
会場:広島上野学園ホール
【東京公演】
2025年5月30日(金)
会場:東京ガーデンシアター
特設サイト
https://wands-official.jp/tour2025/
WANDS
公式サイト
https://wands-official.jp/
公式YouTube Channel
https://www.youtube.com/@wandsofficial1218
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