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INTERVIEW

2025.03.18

遊び心の詰まったバラエティ豊かな1枚で、1st LIVEへの準備は万端!前田佳織里、3rdEP「I’m ready!」リリースインタビュー

遊び心の詰まったバラエティ豊かな1枚で、1st LIVEへの準備は万端!前田佳織里、3rdEP「I’m ready!」リリースインタビュー

声優・アーティストの前田佳織里が、3月19日に3rd EP「I’m ready!」をリリースする。本作には、自身も白浜美波として出演するTVアニメ『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』(以下、『メダかわ』)のEDテーマ「キュンアピ」や作詞にも携わった自身を投影した「Progress」をはじめ、インストを含む全6曲を収録。色とりどりのナンバーで、今の前田の持つ魅力を存分に発揮している。本稿ではそんな前田へのインタビューを敢行。新譜について、そして4月27日に開催を控える初のワンマンライブについて、たっぷり語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT 須永兼次

アニメに寄り添いながら、自分史上最もかわいい曲を目指した「キュンアピ」

――この1年の前田さんは、“前田佳織里 1st fan meeting talk & mini live 2024”や“ANISAMA WORLD in ABEMAアニメ祭”、“Anison Days Festival”への出演などを通じてライブの機会が増えたように思います。その経験はアーティスト活動をするうえでの自信に、より繋がりましたか?

前田佳織里 はい。やっぱりステージに立たせていただく回数が増えるたびに、いつも歌っている曲でも、自分の中で試行錯誤していくことが増えました。「もっとこうやったら楽しくなるし、みんなに喜んでもらえるかも!」みたいに、たくさん考える余裕ができてきたように思います。特に去年は、フェスで先輩とご一緒させていただく機会が多かった年でもあったので、自分の出番以外の時に先輩方がどういうパフォーマンスをしているのかを拝見させていただいたりもして。そういう機会を通じて、吸収させていただくチャンスも多かったですね。

――様々な吸収する機会の中で、「自分にも取り入れられそうだな」と今頭の中に残っているものってありますか?

前田 以前、観に行かせていただいた、岡崎体育さんのライブですね。岡崎体育さんってセトリの作り方自体もそうなんですけど、もう本当に面白くって!遊び心に満ちていて、ときに笑いがあって。転換などでお客さんが待っている間でも楽しめるコンテンツを用意されていたり……音を繋ぎながら「初めて来た方へのライブハウスでの乗り方」みたいなこともやっていたんですよ。それを拝見して「私も、来ていただいた方により楽しんでもらえる、遊び心のあるライブづくりをしたいなぁ……」と、すごく影響を受けました。

――さて、続いて3rd EPについてお聞きしていきます。まずこの「I’m ready!」というタイトルですが、こちらは1st LIVEの“Are You Ready?”というタイトルともリンクしたものですね。

前田 3rd EPのほうでは「私は準備できてるよ!」と投げかけていまして。でもライブというのはやはり来てくれる皆さんがいて完成するものなので、そちらでは「あなたたちは準備できていますか?」と呼びかけています。その「ライブって、来てくれる方がいないと完成しないんだよ」というところをコンセプトとしても出したかったので、そのテーマが上手く伝わったらと思っています。

――EPのアー写やジャケットからも「準備万端!」感がすごく出ていますよね。

前田 自分の中でのライブに向けての出発感も込めましたし、この滑走路からどう飛び立っていくのか、1st EP、2nd EPを経て、ついに「準備はできた!」と、3rd EPを通して1つ確立した自分のスタイルをアピールするような意志を込めました。自転車でカッコつけているのも含め、少しコミカルな面もこの作品のポイントですね。

――では収録曲について、まず「キュンアピ」からお聞きしていきます。この曲を受け取ったとき、前田さんはどんな印象を持たれましたか?

前田 「すごくキャッチーでかわいいなぁ」という印象でした。「キュン」と「アピ」のリズムが、頭の中でぐるぐる回るというか。聴いたら私ももう「キュンアピ」のリズムが離れなくなって、「これはぜひ、いいに仕上げたい!」と思いました。

――そのうえで、この曲から浮かんだイメージなどはどんなものがありましたか?

前田 作品のヒロイン・川井モナちゃんの気持ちをベースに制作した曲なので、モナちゃんがハートマークの中でふわふわ漂っているようなイメージでしょうか。でも、1番だけだとそういうイメージで終わるんですけど、フルで聴くと「自分がかわいくて美少女なことにとどまらずに、自分を高めていって諦めずに(黒岩)メダカにアピールする」というモナちゃんの健気さを感じて泣けてくるような、真っ直ぐな曲なようにも感じられたんですよ。なので、そんなモナちゃんのかわいさとこの『メダかわ』という作品の素敵さを、歌を通じてたくさんの方に伝えられたらなとも思いました。

――そのイメージに繋がるキュートさや、聴く側がキュンとする要素はすごくありながらも、前田さん自身はものすごく甘く歌っているわけでもないんですよね。

前田 そうなんですよね。その塩梅が、すごく難しかったんです。自分が白浜美波ちゃんを演じていることもあって、かわいくしすぎるとちょっとキャラクターっぽく聴こえてしまうなぁと思っていて。でも「アーティスト・前田佳織里史上、最もかわいい曲」にはしたかったんです。なので声色は多少明るく聴こえるように意識しながらも、キュンキュン節をあえてつけすぎないよう気をつけて。聴いている人に、よりモナちゃんの心境としてとらえてもらえるよう意識して歌いました。

――たしかに、かわいく振りすぎるとモナとも重ならなくなってしまいますもんね。

前田 そうなんです。EDテーマということで、前田佳織里が歌っているけどそれよりはやっぱり『メダかわ』という作品を大切に伝えたいし、ヒロインのモナちゃんとメダカのドキドキするラブコメを楽しんでほしい。という気持ちはありました。

――そういうふうに目指す像が明確ななかレコーディングをされていって、特に大事にされたのはどんなことでしたか?

前田 「キュンアピ」ですごく特徴的なのが、大サビ前とか色んなところに入ってくるセリフなんですけど、その度合いを「どうやったらもっと、グッと胸に刺さってくれるかな?」というのをすごく大切にしたかったです。それと、この曲って「キュン」と「アピ」のリズム感が結構ゆったりして聴こえるんです。一定のリズムを刻みながらもエンディングらしくちょっと落ち着くようなものなので、そこは走りすぎないように、しっかりと気持ちを込めるようにするというのは、歌いながら「調整していこう」と思ったところでした。

――この曲はMVも既に公開されていますが、ただかわいいだけでは終わらない、シュールなシーンやコミカルなシーンも盛りだくさんなものになっています。

前田 これは監督さんがすごく私の人となりを調べてくださって、「前田さん自身が、とてもコミカルな方だと思います」とおっしゃられたんです(笑)。それで、「キュンアピ」という曲のかわいさを大切にしながら「面白い要素も両立させて入れたい」というお話をいただいて、“面白パート”と“かわいいパート”の両方を撮っていきました。

――全体としてどちらのシチュエーションでも撮っていって、それを編集で組み合わせて完成したんですね。

前田 はい。思ったより面白パートの比重が多かったので(笑)、完成版を観て「え、こんな面白いの!?」っていう感想でした。面白パートは、自分の中にある「面白い」と思うものの引き出しを出すのが、結構大変で(笑)。特に最初のほうは、一種の大喜利のような感覚もあったんです。でもかわいいパートでは、ウインクのようなこともやりながら、キュンキュンにキメちゃうぞっていう気持ちでしたね。

――その2つのモードを1日のうちに何度も切り替えて撮っていかれて。

前田 そうですね。撮影が長時間に及んだので大変さもありましたけど、楽しかったです。でも何より、一緒に踊ってくれていた“キュンアピガール”たちが、すごく大変で。モニターのかぶり物をしているので、ほとんど前が見えないんですよ!なのにニコニコしながら2人とも踊ってくれましたし、MV後半に出てくる私がダンボールに入って船みたいに「出発進行!」ってやるシーンでは、キュンアピガールが結構スピードを出して運んでくれて。私も「わーっ!」って言いながら思いっきり楽しんでいました(笑)。

――続いては、作詞にも携わられた「Progress」についてお聞きします。今回はどういうスタイルで、歌詞を形にされていったんでしょうか?

前田 最初に自分の中でのテーマをいくつか挙げまして。それをすっきりときれいにまとめてデモ曲として上げていただいた段階で、私が歌詞を1回全部ダーッと入れたんです。でも、この曲って同じフレーズがなくて。1サビ・2サビとかいう概念がないんですよ。なので本当に苦戦しまして……田仲(圭太)さんにご協力いただいて、どうしても出てこないフレーズについて色々ブラッシュアップしていただいたという形です。

――ちなみに、いくつか挙げられたというテーマの中で、一番大きなテーマはどんなものだったんですか?

前田 この曲は、「自分自身の弱さを見せる」ということをテーマにしています。今までは明るい曲も多かったですし、私自身まわりからも明るく見られがちではありますけど、それだけじゃなくて普段人に言わない悩みもある。それを言うことで同じような悩みや気持ちを抱えている方が歌詞に共鳴してくださって、最後にはシンガロングしてくれたら嬉しいなぁ……という気持ちがあるということをテーマとして話して制作していった形です。そういう意味では、新しい挑戦のある曲でもありますね。

――その一方で、曲の終わりにかけてサウンドが壮大になるにつれて、だんだんと顔が前や上を向いていっているようなイメージもありました。

前田 まさに、受け取ってくださっているとおりで。だんだんと自分の視野が広がって、居場所も広がっていくという流れもイメージしました。それは、この曲が私の人生を表している曲でもあるからなんですよね。最初は本当に自分の弱さを見せて、殻に閉じこもっているみたいな状況。そこからだんだんと応援してくれる身近な方々やマネージャーさん、そしてファンの方々だったりと、自分の世界が広がってきて。最終的には時空が聴いてくださっている皆さんの時間に戻って、ライブで一緒に歌ってくれることで完成する曲にしたいな……という曲なんです。

――それくらい自分を投影した歌詞を書かれて、それを歌うとなると、今まで提供されてきた曲と歌うときの感覚に違いもあったのでは?

前田 ありましたね。特にこの曲のレコーディングでは「こんなことになるんだ!」と思った面白かったことがありまして。それは、自分自身で歌唱のディレクションをするような感覚になったことなんですよ。やっぱり自分で歌詞を書いているから、歌ってみてより明確に「ここはもう少しこう歌ったほうがいいのかな?」みたいなことをより深く感じるようになって自分で自分のことについての歌詞を書くと、もっと“自分自身を監督している”みたいな感覚になるんだな、と感じたんですよね。

――なるほど。そういう初めての感覚があった。

前田 そうなんです。“プロデューサー前田”が心の中で「ここはもうちょっと声張って!」みたいなことを言いながら(笑)、歌う時にはそれを忘れて歌う自分になって……という、その2つが両立しているような不思議な感覚でした。だからこそ、頭の中で思い描いていた「こんな曲になったらいいなぁ」みたいなものが形になった時が一番感動しましたし、快感でしたね。

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