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INTERVIEW

2025.03.13

今のこはならむがすべてわかる一作──「変わるわたしと変わらないわたし」をテーマに制作されたアルバム『Iam』に込めた想いを聞く

今のこはならむがすべてわかる一作──「変わるわたしと変わらないわたし」をテーマに制作されたアルバム『Iam』に込めた想いを聞く

YouTubeチャンネル登録者数66万人超、TikTok のフォロワー27万人超、中国の動画サイトbilibiliでのチャンネル登録者数40万人超と、国境を越えて注目を集めるこはならむ。これまで親しまれたアイコンイラストを変更し、「Have a Good Game!!」でポップな楽曲の表現にも踏み込んだりとさらなる進化を遂げてきた彼女は、2024年3月からライブ活動を本格開始し、顔出しはしていないものの、フラワーアーティスト・shiroがデザインしたフェイスピースをまとい近い距離感で“君”に歌を届けてきた。様々な変化を迎えながらも彼女の「音楽を通じて聴く人1人1人の感情に寄り添いたい」という根本のスタンスは変わらない。そんなこはならむの今を詰め込んだアルバム『Iam』がいよいよ完成。本作についてじっくりと語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

テーマは「変わるわたしと変わらないわたし」

──今回のアルバム『Iam』のテーマは「変わるわたしと変わらないわたし」とのことですね。

こはならむ そうなんです。これまでバラード曲を多く歌ってきましたが、新たな一面を見せたくなって、思い切って雰囲気をガラッと変えようと思って今回のようなテーマを設けました。2曲目に収録されている「Have a Good Game!!」はその象徴で、“一緒に頑張ろう”というメッセージを込めていて。明るく楽しい曲でありながらただ盛り上がるだけじゃなく、寄り添うような曲にしたいなっています。それと、私の曲で英語が歌詞に入っていることは珍しいんです。気づいている人は少ないかもしれませんが、今まで英語の曲をなるべく歌わないようにしていて……。

──言われてみれば、カバー曲でも英語の歌詞は少なかったような。

こはな そうなんですよ。今までで一番長い英語が出てくる曲がRADWIMPSさんの「そっけない」かな?(英語の)発音に苦手意識があって避けてきたところがあったのですが、曲をたくさんの人に届けたいと思うようになり、英語で歌うことが世界中の人たちに聴いてもらうことに繋がるなら逃げずに挑戦していきたいなと考えるようになったんです。今のところ予定はないのですが、「恋してる自分すら愛せるんだ」「ごめんなんか聞きたくなかった」などの英語バージョンをいつか歌えたら面白いなとは思っています。

──期待しています。心境の変化はやはりライブの影響も大きいですか?

こはな まさにその通りです!人前に出ずにひたすらバラードを歌っていた時は“私が代わりに泣く”という感覚が強かったのですが、ライブをやるようになり、楽しい時間を作れるような曲がほしいなと思うようになって。でも、だからといってバラードを封印するわけではなくこれからも歌い続けたいなと思っています。

── 何事も挑戦といいますか。それが今のこはならむらしさ、という感じがします。

こはな 実際色々なことを始めるようにもなったんです。ギターも始めましたし、編み物、中国語や英語の勉強もしています。中国語は去年11月に北京でライブをしたことをきっかけに、今では週1回90分のレッスンを受けていて。中国の動画配信サイト・bilibiliでも毎週中国語を披露しているんです。

──今回のアルバムも英語タイトル『Iam』、シンプルながらも「I am(私は)」とこはなさんの下の名前「Lam(らむ)」のダブルミーニングとなっていてすごくいい言葉ですよね。

こはな 実はエイベックスに所属したばかりの頃、担当の方にいつか「Iam」という曲を出したいという話をしていたんです。それ以前から「I am(私は)」と「Lam(らむ)」が似てると思っていたんですけど……自分の名前を掲げるタイトルってものすごく大事な曲じゃないですか。それで当時は「今じゃないかも」という話になって。それから時間を経て、担当の方から「変わるわたしと変わらないわたし」というコンセプトには「Iam」がぴったりだね、と言っていただき、このようなタイトルにしました。実はこんなにも大切なタイトルなのに私自身は忘れかけていて(笑)。提案ただいた時は話を覚えていただいていた喜びと同時に、「そうだった!」とも思わされました。

──あはは(笑)。タイトル通りの自己紹介的なアルバムになっているようにも感じるのですが、そこは意図していたのでしょうか?

こはな 意図したものではなかったんですけど、不思議とそういう作品になったように思います。今回の曲順はライブを意識して考えたもので、例えば1曲目の「Overture」は昨年の“こはならむ BIRTHDAY LIVE”や北京での“Kohana Lam LIVE in Beijing 2024”のオープニングで流していたものなんです。私のライブは、バラードから始まって盛り上がる曲で締めることが多いので、そういった流れをアルバムにも反映しました。そういう意味でも自己紹介的な1枚になったのかなと思っています。

様々なクリエーターとのタッグで感じたアプローチの違い

──『僕の心のヤバいやつ』(以下、『僕ヤバ』)第2期EDテーマ「恋してる自分すら愛せるんだ」も収録されています。本楽曲でこはなさんを知ったという方も多いのと思いますが、改めてこはなさんにとってどのような曲ですか?

こはな 『僕ヤバ』の登場人物と一緒に、私自身も成長できた曲だと思っています。実は「恋してる自分すら愛せるんだ」はキーが高いこともあって、最初はライブでちゃんと歌いこなせる自信がなかったんです。でも練習を重ねるうちに、どんどん歌えるようになってきて、今ではギターも弾きながらよく歌っていますね。理由はわからないのですがこの曲は、ギターのコードを1つ上げると弾きやすくなるんですよ。今ではそのキーの方が歌いやすくなっていて。おかげで、高音も成長することができていますね。

── すごい!ギターはずっとやりたかったんですか?

こはな はい。家にギターはあったんですが、ずっと飾りになっていました(笑)。でも、『僕ヤバ』のイベントで「数センチメンタル」(こはならむが歌う『僕ヤバ』第1期EDテーマ)を歌わせていただいたことがきっかけで「もっと音楽を頑張りたい」と思うようになって、本格的にギター始めたんです。ちゃんと続けるためにも思い切って良いギターを買いました。薄ピンクのギターですごく気に入っています!

──ギターを弾く姿をいつかライブで見られる日が来そうですね。

こはな 「いつかは!」と思っています。ライブ後のアフタートークでちょっと弾いたことがある程度で、ちゃんと演奏しながら歌ったことはまだないんですよね。バンドのメンバーと一緒にギターを弾けたらいいなと思って、猛特訓中です。

──今回のアルバムにはたくさんのクリエイターの方が参加されています。楽曲制作をお願いする方はどのように決めていったのでしょうか?

こはな 私から提案させてもらうこともありますし、らむチームの皆さんから紹介していただき「この方にお願いしたい」と思った方にオファーをするということもありました。どのクリエイターさんとの制作も本当に楽しかったですが、なかでも「Attitude」を作ってくださったすこっぷさんと、「Iam」を作ってくださったGuianoさんとの制作は特に印象深かったです。すこっぷさんは私の話をたくさん聞いてくれて。3歳から18歳までクラシックバレエをやっていたこと、それが今の自分の表現に繋がっていることなどをじっくり聞いて、それをすごくきれいな言葉で歌詞にしてくれたんです。一方でGuianoさんは、私の言葉を引き出してくれる方で、おかげで「Iam」はまさに今の私自身を表現する楽曲になりました。

──作り方に対するアプローチが違うというのが興味深いですね。

こはな そうですね。あとは「数センチメンタル」「恋してる自分すら愛せるんだ」を手掛けてくださった蔦谷好位置さん(クレジットはKERENMI名義)との制作も思い出深いです。『僕ヤバ』の名場面や好きなセリフを私からピックアップしてそこから曲を作ってもらったのですが、レコーディング前後にも『僕ヤバ』について語り合ったりしてすごく楽しい時間でした。全曲に言えることなのですが、制作期間は本当に充実していましたね。

──逆に大変なことはありましたか?

こはな アルバム制作となると確認作業がすごく多くて、らむチーム総出で動いていました。歌詞も間違いがないか全員で確認して。最近つくづく思うんですけど、こはならむという存在は私1人だけで成り立っているのではないんだなと。感謝の気持ちでいっぱいです。

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