3月5日に今年2枚目となるシングル「アリバイなカーテシー」をリリースした声優アーティストユニット・DIALOGUE+。アニメ『妃教育から逃げたい私』のEDテーマに起用された表題曲は、キュートかつコミカルなラブソングという、物語にもピッタリ寄り添った1曲に仕上がっている。本稿では、メンバーの中から守屋亨香と鷹村彩花、“仲良しキッズ”(以下、仲キ)ペアの2人へのインタビューを敢行。本作に込めた表現を中心に、この春以降のDIALOGUE+についての話題も含めたっぷり語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
――昨年末にはワンマンライブ“DIALOGUE+3”を、今年2月にはその追加公演“DIALOGUE+3 advance -TREASURE mode-”と“ DIALOGUE+3 advance -COURTESY mode-”を開催されました。こちらの印象からお聞きしたいです。
守屋亨香 どれも『DIALOGUE+3』というアルバムを発売したことに伴ってのライブでしたが、そのアルバムは「DIALOGUE+の音楽を1回完成させる」という目的のもと田淵(智也)さんたちと作ってきたものだったので、集大成のような気持ちもありました。「私たちの音楽はこうなんだぜ!」「どんな音楽が来ても大丈夫なんだぜ!」というのをみせたかったのもあって、少し緊張していたかもしれません。
鷹村彩花 それに場数を踏んでいない曲が多かったので不安もあって、ギリギリまでみんなで振付や歌割りを細かく確認していた覚えもあります。ただ、(「TREASURE!」を披露した)“DIALOGUE+3 advance -TREASURE mode-”の時は事前に「TREASURE!」のMVやダンス動画が出ていたので、気負いや「新曲ヤバいかも!」みたいな感覚はそんなになかったんですよ。
守屋 そうだね。結構やってたから。
鷹村 でも「アリバイなカーテシー」のほうは、私が肋骨を骨折していたのもあり(笑)、ほぼダンスのないMVにしていただいていて……だからそのぶん(「アリバイなカーテシー」を披露した)“ DIALOGUE+3 advance -COURTESY mode-”はダンスの練習量が少なかったので結構不安もあって。細かいところとかをギリギリまで詰めて頑張りました。
――そんな「アリバイなカーテシー」、お二人は曲自体を最初に聴いた時はどんな印象を受けましたか?
鷹村 「めちゃくちゃかわいい!」って思いました。
守屋 私もそう思った!
鷹村 それに私、『妃教育から逃げたい私』を「小説家になろう」で連載されていた頃から読んでいたんですよ!その後は単行本化したと聞けば小説版も読み、コミカライズが出たらそっちも読み……という原作勢だったんです。だからタイアップを知った時点で「うそ!?好きな作品!!」となったんですよ。
――“最初にタイアップ曲を聴いた原作ファン”だったわけですね。
鷹村 はい!もう得した気分でしたし、自分の好きな作品のEDテーマを歌うということで携わることが本当に嬉しかったです!特に私は本好きなので、自分が好きで読んでいた本のタイアップに携われるという嬉しさも大きかったですし。歌詞もまさに原作に合わせて作ってくださっているので、いち原作ファンとしても「これはレティシアちゃん(のことが歌われている部分)です!解釈一致ですありがとうございます!」という気持ちで。レコーディング前から「うふふ♪」っていう気持ちでずっと聴いていましたし(笑)、今も歌うのが楽しいです。
守屋 私は、いい意味で「詰まりすぎだろ!」と思いました。聞いたことのないワードが結構あったりもしたんですけど、この1曲の中には「かわいい!」というところもありつつ、私たち特有のガヤというか、セリフみたいなパートもあって。それは声優という仕事をしている私たちならではの強みだと思っているんですけど。しかもラップも始まっちゃうし、かと思ったらちょっとブレイクタイムみたいなのも始まったり……耳が忙しいんですけど、かわいくてすごく心地良いんです。そういう意味で「楽しさいっぱいの1曲だな」とも思いますね。
――シングルの表題曲としては、比較的コミカルな曲になっていると思います。
鷹村 ただ、歌詞としては恋愛ソングなので、ちゃんとキュンとするような要素は意識しつつ、それでいて恋愛色を乗せすぎないといいますか……ラブコメを意識して歌ってみました。
守屋 私はあまりコミカルになりすぎないように歌いました。例えば「にゃんぼりーdeモッフィー!!」の時はもう「やりたい放題やっていいよ」みたいな感じに言われていて、特にこの2人は8人の中でも声質が特徴的なので、そう言われたら結構そのまま「わー!」ってなるんです(笑)。でも今回はそこまではせずに、曲調や歌詞で描いている世界観に結構合わせて歌っています。
――今回も“オーディション”(DIALOGUE+のメンバーで各々に歌を披露し、パートを決めていく作業)で歌う人が決まったパートも多いと思います。
鷹村 私は一番最後の“だいぶ わちゃわちゃな 星に生まれちゃったな”のフレーズを担当することになったんですけど……私、DIALOGUE+のメンバーの中ではちょっとおバカキャラと言いますか(笑)、コミカルなキャラクター性じゃないですか?だからそれを出そうと思って「てへぺろ♪」みたいなニュアンスを入れたら採用されたんです。
――大サビの締めにも、そのテンション感がすごくマッチしています。
鷹村 そうですね。原作を読んでいたというズルもあるので(笑)。そのイメージもあって原作にも寄せつつ、自分の持ち味も出すという感じで歌っていきました。
守屋 私は“虹を描くオーバースローで”を担当しているのですが、高音の部分は自分の強みだと思っているので、そういうところは「担当できるように頑張ろう」と思っていつも歌っています。あとはラップのところも担当していて。私、ラップが苦手なんですけど、去年くらいからラップの曲をよく聴いてインプットするようにしているんです。それを生かして「自分らしいかわいさを上手く出すには、どうしたらいいんだろう?」と思いながらすごく練習しました。
――なるほど。元々意識的に取り組まれてきたことでもあったと。
守屋 はい。オーディションで採用されやすくなるよう、頑張ろうと思って。それで受かったということは、今回は入れ込んできたものが上手く発揮できていたのかもしれないですね。
――ちなみに、特に参考にされている方はいらっしゃるんですか?
守屋 礼賛というラランドのサーヤさんがボーカルを務めているグループの曲をよく聴いています。最初はちょっとかわいい曲とかも参考にしようと思ったんですが、ガチでやっているけれどゴリゴリすぎない、でもかっこ良さもあるような女性ボーカルの方の曲を参考にするのが私たちの世界観にも合うのでいいのかなぁと思って。あと、元々ラランドさんが大好きで、アーティスト活動されているのを知って曲を聴いたらすごく好きで……というのもあります。
――そしてこの曲のダンスなのですが、ラジオでは守屋さんが「事故にならないようにしないと」というお話もされていました。
守屋 はい。さっぴ(=宮原颯希)と、「多分1人転んだら、2~3人一緒に転ぶよね」みたいな話をしたんですけど、実際細かくバミリを確認しないと不安な感じではあるんです。(全員で)交差して動いていくというか……。
鷹村 それぞれがジグザグに違う方向に動いて立ち位置を変えるんですけど、あれめちゃくちゃギリギリだよね?
守屋 そう。しかも、後ろを見ずに動いたりもするので。
鷹村 前列の人が、後ろを見ずに下がってくるんですよ!最初やった時、ちょっと危なかったもんね。地味にぶつかったりするから「あ、ごめん!」みたいになっていて。
守屋 原理を理解するまでにも少し時間がかかったよね。でも初披露した後にはSNSでログっ子(DIALOGUE+のファンネーム)さんがみんな「ダンスすごかった」って書いてくれてました!
――そんなダンスの中、お二人のお気に入りポイントはどこですか?
守屋 私は間奏のところです。みんなが違う動きをしていたりするので「どこを観たらいいの!?」と思っちゃうほど目が忙しくなるんですけど、みんなお人形みたいな動きですごくかわいいんです。
鷹村 私は“投げ捨てても ほら ブーメランなティアラ”のところです。ここの振付が本当に歌詞そのままだし、めちゃくちゃポップだよね?
守屋 うん。すごくかわいい。
鷹村 本当に歌詞のまんますぎて、「(振付を担当した)沢口かなみ先生天才だな!」と思いました。しかもそれが「教育もうやらなくていいの?やったぁ!」みたいな、原作のレティシアの気持ちにもマッチしているんですよね。かつ、逃げても連行されるところまで作品のまんまだなと思ったし、単純にかわいいのもあって好きなポイントですね。
守屋 あと、“正々堂々”というフレーズが仲キポイントになっていまして(笑)。ここは私たち2人が歌っていて、みんなそれぞれ違うポーズをするんです。それもかわいいんですよ。
鷹村 そうそう。“正々堂々”って歌いながら、私たちが取り巻きを引き連れるような形で4人対4人に分かれてバトルの構えをするんです。
守屋 各々「自分だったらどういうポーズで行くか?」みたいな。私はプロレスです(笑)。
鷹村 みんな戦い方が違うんだよね。でもきょんちゃん(守屋)陣営がさっぴとゆーなさん(緒方佑奈)とゆりにゃ(内山悠里菜)なので圧倒的に強すぎて!(笑)。「こっち、100%負けるじゃん!」って毎回言ってます。
――あはは(笑)。そしてこの曲のMVは、かわいらしいシーンがふんだんに詰め込まれたものになっています。
守屋 かわいいですよね?ロケ地自体もすごくかわいいですし……あの円卓でティーパーティをしているところは本当に「好きにやっていいよ」と言われていて。
鷹村 もうずっと食べてたよね。
守屋 うん。「スタート!」って言われてからもうずーっと。流してくれていた曲に合わせて自分のパートだけ歌いつつ、あとは8人でただただティーパーティをしていたんです。だから「(完成した映像は)どうなるんだろう?」とも思ったんですけど、あんなにかわいくなるなんて!
鷹村 しかもあんなにくるくる回る映像になっていて……。こっちは目の前のお菓子に夢中で、ほぼカメラを見ずにわちゃわちゃしながら食べてるだけだったのに(笑)。
守屋 カメラを見るシーンの時間は別に用意されていたので、基本的にはカメラを見ずにっていう感じだったよね。
鷹村 うん。2時間くらいずっとカメラを見ないで、ただ食べてた。
守屋 最初はおしとやかにやっていたんですけど、途中から「もうやりたい放題やっちゃって!」みたいな時間になりまして。
鷹村 やっぱり(レティシアが)お嬢様だけど、お転婆なところもあるし……ということでそうなったんです。
守屋 で、「好きに動いていいよ」って言われてからは、私がワッフルを持っていたり……。
鷹村 村上まなつがバナナを振ったりしていました(笑)。
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