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INTERVIEW

2025.03.09

TRIGGER、3rd Album”Trois”発売記念!キャスト連続インタビュー【第1回目】羽多野 渉(八乙女 楽役)

TRIGGER、3rd Album”Trois”発売記念!キャスト連続インタビュー【第1回目】羽多野 渉(八乙女 楽役)

発売目前となったTRIGGER 3rd Album”Trois”の聴きどころを八乙女 楽役の羽多野 渉にインタビュー。楽曲や紐づくドラマへの印象の他、『アイドリッシュセブン』10周年イヤーを迎えた今、改めて八乙女 楽という存在を振り返り、その想いを語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 許士明香

かっこ良さも面白さも「さすがTRIGGER」に結びつく

――2025年3月12日にTRIGGERの 3rd Album”Trois”が発売されます。2021年6月23日に発売した2nd Album”VARIANT”以来となりますが、まずはアルバム制作が決まった際の率直な感想を教えてください。

羽多野 渉 ”VARIANT”が最近のことのようにも思えていたので、3年半以上経っていることに少し驚きますね。ありがたいことに前作のリリース以降も『アイドリッシュセブン』(以下『アイナナ』)関連のレコーディングがありましたし、他のグループのアルバムが出ているのも当然知っていたので、いよいよTRIGGERのアルバムを出していただけるんだなと、嬉しく思っています。

――今回のアルバムには、TVアニメや劇場ライブなど『アイナナ』が3年9ヵ月の中で見せた様々な展開に紐づく楽曲が収録されています。羽多野さんの印象に残っているものはありますか?

羽多野 2022年の9月18日にグループ記念日楽曲として発表された「Hidden Region」ですね。レコーディングが楽しくて、八乙女 楽と一緒に口角を上げながら歌えた楽曲です。疾走感のあるサウンドにジャジーな歌声が乗っていて、これまでのTRIGGERの雰囲気ともまたちょっと違う印象。ディレクターさんに歌い方のアドバイスをいただきながら楽しくレコーディングできたことも印象に残っていますし、この曲のMVが探偵もののような世界観だったのも素敵でした。グループ記念日楽曲だと、「EVOLUTION」も印象深いですね。TRIGGERの音楽はこれまでも多くのクリエイターさんによって手がけられてきましたが、この曲の作曲は、なんと浅倉大介さん。浅倉さんに作っていただけると聞いた時も驚きましたが、デモを聴いてさらに驚いたんです。

――DAサウンドを感じさせる1曲ですね。

羽多野 僕の年代的にも、浅倉さんの音楽は最初から遺伝子に刻まれていたのではないかと思うくらいに馴染みます。疾走感の中にどこか切なさも感じさせるサウンドにTRIGGERの要素が加わることで、とんでもなくかっこいい仕上がりになりました。

――その他に印象に残っているものはありますか?

羽多野 『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(以下、『ムビナナ』)の「BEAUTIFUL PRAYER」ですね。映像を観て「こんなに踊れるのか!」と思いました。楽曲自体がダンスミュージックなのですが、「歌いながら人ってこんなに踊れるんだ、すごいな……」と。あと、TRIGGERのかっこ良さも再確認しました。TRIGGERの3人はみんな天然キャラなところがあると思ってるんです。アプリのストーリーでは、ツッコミ不在のボケ倒しのような面白いシーンも多いので(笑)。でもアイドルとしてのステージングを見せつけられると、「やっぱりこの人たちはかっこ良すぎるな、さすがTRIGGERだ」と思わせられる。ただ、いざMCに入ると、やっぱりTRIGGERは面白いといいますか……これもある意味「さすがTRIGGERだ」と思わせる部分なのですが。九条 天が、非常にスケールの大きなMCを繰り広げていたんです。僕はこれまで突然宇宙について語り出すライブMCを見たことがありません。

――たしかに、なかなか目にする機会はなさそうです。

羽多野 でもそれを成立させてしまうところが、TRIGGERの成せる技とでもいいますか。『ムビナナ』の根底には、森羅万象における「宇宙」や「時間」などがテーマとしてあるんです。根底をちゃんと取り入れ、面白いようで「やっぱりかっこいい」と思わせるMCを成立させてしまうのは、さすがです。彼らはなんでもできてしまうのだなと思いますね。

――TRIGGERは楽曲についても、なんでも“TRIGGERのもの”にする印象です。

羽多野 そうなんですよ。どんな曲もこなせてしまう。それは彼らがなんでも素直に受け止められる人たちだからかなと思うんです。僕らの世界で音楽シーンが変化していくように、彼らの世界でも音楽シーンは動いていて、新しい音楽が生まれていく。懐かしい曲がリバイバルすることもあるかもしれない。それらを好奇心旺盛に受け止めて「この楽曲をどう表現しよう」と3人で打ち合わせをしながらワイワイとレコーディングしているのかな、なんて想像するとすごく微笑ましくて、僕も彼らに失礼のないように「おじさんも頑張るぞ!」と思いながらレコーディングに向かうんです。ちなみに僕は僕で「こう表現しよう」と考えながら臨みつつも、「めちゃくちゃ難しそうな新曲がきたぞ」とか「海外のアーティストさんが歌いそうだ」「英語の歌詞が多い……」とか、悩みながらのレコーディングになることも多々あります(笑)。

――特に悩んだ曲はありますか?

羽多野 前作になりますが、リード曲の「VALIANT」ですね。十 龍之介役の佐藤拓也くんと2人でデモを聴いた際、顔を見合わせたんです。「VALIANT」事件と僕らは呼んでいます。それまでのTRIGGERの楽曲は、どこか懐かしさのあるメロディアスな楽曲が多かったけれど、急にタイムスリップして未来へ行ったような気分になったんです。今回のアルバムで言うと、「Triple Down」と「SOL」も思わず深呼吸してしまうくらいの曲で、「また新しいところに来たな」と思いました。ちょっと震えましたが(笑)、常に挑戦し続けるのが、TRIGGERらしいです。

――そんな新曲について伺います。「Triple Down」と「SOL」の2曲は、それぞれどのような楽曲ですか?

羽多野 「SOL」は、大人な部分と好奇心旺盛な少年っぽい部分を持つTRIGGERらしい曲だと感じました。TRIGGERの楽曲は、月を背負って歌った「Crescent rise」など、夜や影を思わせるものが多い印象があるのですが、今回の「SOL」は「太陽」という、ある意味で対になるような楽曲です。音楽ジャンルはダンスミュージックですが、これまでとはまた違った印象で、TRIGGERの進化と新たな一面を見せてくれたように思います。「SOL」がかなり高音を使う楽曲になっているのに対して、「Triple Down」は「3人のこんな低い声、聞いたことがない!」と思うほど、低音のパートが強調されている楽曲。個人的にも、(九条 天役の)斉藤壮馬のこんな低い声を聞いたことがない。僕自身は低い声が得意で、楽としてもここまで低いパートを任せていただけることはなかったので、歌っていて楽しかったですね。この曲は音楽としてもかなりチャレンジングなもので、最初はかなり低音で始まり、途中でポンと上がる。音の階段を本当に何段もすっ飛ばしながら、高いパートを歌ったり低いパートを歌ったり、複雑に絡み合うようにパート分けがされているんです。3人のパートが合わさった完成した曲を聴いて「こんなにかっこ良くなるのか」と驚きましたね。そしてやっぱり「さすがTRIGGER」だと思いました。

――「こんな低い声聞いたことがない」と驚いた「Triple Down」のように、今回の収録曲の中で「こんな楽を見たことがない」と驚いた曲はありましたか?

羽多野 「SUISAI」ですね。この曲はアプリのストーリー第5部で描かれた舞台『ゼロ』の挿入歌です。本来の楽というよりは、楽が舞台の中で役を演じながら歌っているイメージで歌っています。この曲のレコーディングは、ストーリーの配信の前だったんです。なので、完成したストーリーを読んでからではなく、おおまかな内容だけを聞いて、「3人ならこう向き合うんじゃないかな」「楽だったらこういう表現するんじゃないかな」と想像しながらイメージを作っていきました。これまでの楽とは異なる流麗で美しさのある表現をやってみようと臨んだのもあり、すごく透明感のある仕上がりになっていて、好きな曲の1つとなりましたね。

――ちなみにレコーディング期間中に、他のキャストさんとお話をすることはありますか?

羽多野 佐藤君とは長年一緒にラジオをやっているので、レコーディング前にちょっとした作戦会議みたいなことができるんですよ。黄金パターンのようなレコーディング順があって、毎回ではないですが、一番手を佐藤君が務めることが多いんです。今回は新曲2曲ともこのパターンでした。彼が最初を務めてくれるのは本当にありがたいんですよ。龍之介が中音域の一番真ん中の柱みたいなところをドスンと歌い、天は高音パートを透明感のある少年っぽい音を表現して、楽は大人っぽい低音を担当する。これがTRIGGERの楽曲に多く見られる構成です。柱となる龍之介が最初に歌ってくれることで、楽曲の設計図ができあがるんです。佐藤君は音域が広くて高音も低音も出る人なので、柱となる中音域をバシッときめてくれます。だから、僕も壮馬も安心して楽と天ならではのスパイスを加えながら歌えるんです。

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