リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2025.02.26

ここから始まる伝説!咲季・美鈴・星南がみんなのバトンを繋いだ“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初陣公演-”渋谷公演 夜の部レポート

ここから始まる伝説!咲季・美鈴・星南がみんなのバトンを繋いだ“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初陣公演-”渋谷公演 夜の部レポート

学園アイドルマスター」(以下、「学マス」)初のライブとなる“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR”。2024年8月にスタートし、“初声公演”“初心公演”“初恋公演”とバトンを繋いできた本ツアーが、 “初陣公演”でついに千秋楽を迎えた。春咲 暖(秦谷美鈴役)、陽高真白(十王星南役)、さらに体調不良により休養中の松田彩音(花海佑芽役)のピンチヒッターとして長月あおい(花海咲季役)が出演し、ツアーの締め括りに相応しいパフォーマンスを披露。本稿では、3人の成長にも注目しつつ、みんなで繋いできた想いの集大成となった2025年2月16日開催の東京・渋谷クラブクアトロ公演の夜の部をレポートする。

TEXT BY 千葉研一

ツアーのバトンを受け取り、最高の千秋楽がスタート

半年間に渡り、キャストやスタッフはもちろんのこと、すべてのプロデューサー(「アイドルマスター」ファンの呼称)たちの想いを乗せてきたツアーの千秋楽がいよいよ幕を開ける。

期待が高まる会場に、初星学園の学園長・十王邦夫(CV:大塚明夫)とプロデューサー科担任の根緒亜紗里(CV:古賀 葵)の声が響き、2人は力強く開演を宣言。配信ではオープニングムービーとしてこれまでのツアーのダイジェストが流れ、プロデューサーたちのテンションを上げていく。“初陣公演”のスタートとなる愛知・名古屋クラブクアトロ公演の昼の部では、ステージに紗幕を設け、そこに映像を映し出す演出となっていた。

そして、オーバーチュアとともに陽高、春咲、長月の順でステージに登場し、キービジュアルでのアイドルと同じポーズをして準備はOK。「学マス」の象徴とも言える楽曲であり、ツアータイトルにもなっている「初」でライブをスタートさせた。

笑顔を浮かべて躍動する3人は、これが“初陣公演”のみならずツアー全体の千秋楽となるだけに、これまで以上に緊張していたという。普段はそういう素振りを見せない春咲が舞台裏で泣いてしまう場面や、円陣の際に陽高の手が震えていたと語っていたことからも、緊張のほどがうかがえる。だが、緊張していたと言われなければ気づかないほど、3人のパフォーマンスは冒頭から素晴らしい。長月の弾むようなステップや“しっかり見てなさい”と自信たっぷりに拳を突き出す姿、春咲の優しくふんわりした歌声やセリフ、陽高の星南を彷彿とさせるかっこ良さ――そういった個性が彼女たちならではのハーモニーを生み、プロデューサーたちの熱気もより一層高まっていった。

そのまま、ゲーム内で先日開催された「初星フェス」も記憶に新しい「Campus mode!!」へ。楽しさいっぱいのパフォーマンスはコミカルな動きや表情も魅力で、歌詞に合わせて3人がバトンを繋ぐシーンは、ツアー全公演で繋げてきたバトンだと思うと感慨深い。披露を重ねるにつれてプロデューサーたちの練度も上がっていて、歓声やコールは完璧。会場も配信も一体となって大いに盛り上がった。

この2曲での3人の立ち位置に目を向けると、曲中のフォーメーションチェンジはあるものの、基本はセンターに長月、下手側に春咲、上手側に陽高。最初の“初声公演”ではセンター:長月、下手側:小鹿なお(月村手毬役)、上手側:飯田ヒカル(藤田ことね役)となっており、アイドルたちの関係性を知っているなら、ここもニヤリとするポイントだろう。例えば、「Campus mode!!」の“一礼してから挑戦 挑戦したんなら一礼!”のパートは、同じポジションの春咲と小鹿が担当しており、かつてユニット・SyngUp!のメンバーであった美鈴と手毬との対比が頭をよぎる。星南とことねの関係もまだゲームのコミュを見ていない人は必見なほど面白い。

また、長月が松田のピンチヒッターとして“初陣公演”に出演しているのも、妹(佑芽)の分まで姉(咲季)が頑張る姿と重なって見え、目頭が熱くなる。「初星コミュ」では咲季・手毬・ことねによるユニット・Re;IRISと、佑芽・春咲・星南によるユニット・Begraziaとの物語が描かれているだけに、ゲームとシンクロして見ることでも楽しめる作りとなっていた。

個性豊かなソロ曲が、ライブステージでパワーアップ

MCで挨拶した3人は、前述したように舞台裏で緊張していたことや、プロデューサーたちの熱量のすごさを語り、今度はそれぞれのソロ曲を披露していく。

ちなみに、本ツアーはどの公演でもMCで回しをする人は交代制だったのだが、今回の担当は春咲。体調不良で名古屋クラブクアトロ公演をお休みしたこともあって、春咲が“初陣公演”で回しを担当するのは初だったが、彼女の回しは抜群。MCパートから次の曲へ行く際の煽り文句も安心感があった。

その春咲が披露したソロ曲は「ツキノカメ」。第一声から美鈴の魅力全開で優しくも想いの詰まった歌声を響かせる。間奏では曲調が一変してEDMチックなメロディにのせてキレのあるダンスをみせるなど、普段はのんびりマイペースに昼寝していても本気を出したときの実力は本物であることを楽曲の中でも表現。

後半の“「あなたのままでいい」”からは「アリーナで歌っているようなイメージ」「一気に世界観が広がるイメージ」と話していたように、まさに大きな会場に立っていると見まごうばかりの姿だ。ソロ曲のトップバッターは緊張したそうだが、自身のこれまでの経験で培われたパフォーマンス力にさらなる表現力をプラスした、美鈴のすべてを体現した素晴らしいステージとなった。

続いて、陽高が「小さな野望」を披露。荘厳で重厚なイントロから、これぞ初星学園で一番のアイドル“一番星(プリマステラ)”と言わんばかりの圧倒的な存在感をみせつける。上品さや高貴さを兼ね備えた歌声、高身長な陽高の長い手足を活かしたダイナミックなダンス、クイッと顎を上げて前を向いたときの凛々しい表情など、まさに星南そのもの。それだけでなく、心の奥にある弱い部分もさらけだし、そこから振り切ったように最高の笑顔を浮かべるのもグッとくる。

曲の後半にはリズムがゆっくりとなり、荘厳なメロディに乗せて想いを紡いでいく陽高。このパートはレッスンでは緊張のあまり全く声を張ることが出来なかったそうだが、プロデューサーの前で初めて歌った際に「私は星南で歌えている」と感じたという。そんなプロデューサーたちのおかげで成長できたエピソードも熱い。

星南のコミュを見た人はご存知の通り、彼女は生徒会長であり一番星(プリマステラ)である姿と、裏で見せるちょっと度を越してしまうこともあるかわいらしさの両方の魅力を持つ。陽高もかっこいいステージで圧倒したかと思えば、MCではとてもかわいらしい一面をのぞかせていて、星南に選ばれるべくして選ばれたと思わせてくれた。

そして、長月が「Fighting My Way」を畳み掛けていく。表情にも歌い方にも咲季の強気でかっこいいところや、私を見て!といった雰囲気が溢れる長月。前回の“初声公演”から振りを改良したとのことで、ゲーム内のライブシーンでも印象的だったキックアクションもそのひとつ。カメラマンもステージを重ねるごとに対応が上手くなり、1番では至近距離でキックを受ける臨場感、2番ではクリティカルヒットしてノックアウトされるところをカメラワークで表現してくれた。

楽曲の完成度アップや成長は、プロデューサーたちのコールも同様だ。キャストインタビューで誕生秘話を語っていたフレーズ“Ram pam pam para pum pum pa”の部分で、長月が「みんなの声聞かせて!」と求めると、プロデューサーたちによるこのフレーズが会場に響く。コールにすることを提案した佐藤貴文(「学マス」音楽プロデューサー)も浸透するにはもっと時間がかかるのではと思っていたらしく、コールを求めたのは各会場の夜の部だけだったのに、しっかり揃うのはさすがのひと言。

この曲のことでいえば、ライブ中に「MVの再生回数が900万回だった」と話していたが、2月20日に1000万回再生を突破した。長月にとって人生で初めてレコーディングしたこの曲。ステージパフォーマンスも今回のツアーを通してかなり成長しており、今後がますます楽しみだ。

次ページ:公演に向けた努力が、さらなる魅力や新たな一面を生む

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP