リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2025.02.14

キャラクターの担当声優ってどう決まるの?ユニットは?――5年ぶりの単独ライブ控える『温泉むすめ』の場合

キャラクターの担当声優ってどう決まるの?ユニットは?――5年ぶりの単独ライブ控える『温泉むすめ』の場合

2年先の週末スケジュールが取れない声優さんも珍しくない

――先ほど声優さんのスケジュールという話がありました。もちろん人によって違うでしょうが、お忙しい人だと具体的にはどれくらい先まで埋まっているんですか?

吉村 僕が把握する範囲だと1年、2年先まで埋まっている人も珍しくないですよ。埋まっているといっても「収録予定」「イベント開催予定」といった予定があくまで多いですが……。ライブイベントを例にすると、現時点(2025年初頭)で「2026年後半、◯月の土日のスケジュールをひとまず広く聞きたい」という打診をすることもあります。それで各出演者が揃う日を見つけ、それから会場を探して、決まったら開催を確定させる。もちろん先に会場が決まっていて、そのスケジュールに参加ができる声優さんを選ぶ進行方法もありますが。コンテンツごとにこのようなスケジュール確保のし合いがあり、さらに会場の都合もあるのでとにかく公演を決めるまでは時間がかかります。『温泉むすめ』において、結果的に出演者が揃わないことで希望した時期の開催を断念したイベントも多々ありました。

――ライブ稼働がある作品を2つ以上やっている声優さんのスケジュールを確保するのなんて大変そうですね。

吉村 その通りです。SPRiNGSのメンバーは9人いることもあり特に大変なんです。近年も何度か9人を揃えられないかチャレンジしていますが、「この周辺は別作品の予定があるから難しい」とか「開催希望日周辺に別作品のライブがあり、リハーサルありのイベントは厳しい」とそれぞれに事情があってなかなか揃えられない。実際に「8人は揃うけど……」ということもありました。本人たちはやりたがっているので兼ねてからその想いは大事にしていて。SPRiNGSメンバーからも別の機会で会うときなどに「そろそろ…SPRiNGSやらないんですか?」と言われることもあります。

――お話を聞くだけで大変さが感じられます。

橋本 おっしゃる通り、大変です。ただ、『温泉むすめ』は一過性ではなく何十年と続く、声優さんと共に成長するコンテンツでありたいんです。なので、兼役もなしにしていますし、声優さんには何年経っても付き合っていただきたいと思っていまして。「あなたにこの役をお願いします。我々もあなたに全力で尽くしますから」という約束と共にキャスティングしているつもりです。ただ、現状はその約束に対して必要以上に応えてくだる方が多い印象があります。

吉村 確かに『温泉むすめ』の声優さんの多くは、担当温泉地のことやプロジェクトのことを広げてくれる伝道師みたいなことになってくれていますね。特に地方のイベントや現地を楽しむロケに参加した人ほどそういう傾向があります。

橋本 最近は他コンテンツでも増えてきましたが、声優さんが訪れた街・土地の魅力を体験してSNSを通して発信するという、今で言う旅行系インフルエンサーの先駆けとなったのは『温泉むすめ』だと勝手に自負しています。

吉村 逆にキャラクターが温泉地であまり活用されていない声優さんなんかは、そういった評判を聞いて「イベントやりたい!」「いつでも行きますよ!」「貢献したい!」とおっしゃってくれています。

『温泉むすめ』がいい経験値となり、キャリアアップのきっかけになれば

――歴代の温泉むすめで特に思い入れのあるキャスティングはありますか?

吉村 誰か1人を挙げるということはないのですが、「二代目声優を託せた人」は全員思い入れがあります。これまで声優が二代目になった温泉むすめに下呂美月や飯坂真尋、奥飛騨五十鈴、鈍川まなみ、おごと寧々などがいます。僕は声優サイドと交渉する役目なので二代目をお願いする際に「こういう事情で後任が必要になって」といった説明をします。そこでプレッシャーや引け目を感じる方もいるはずなんです。どうしても前任者と比較される目が少なからずあるからでしょう。そういったセンシティブな部分があることも理解したうえで担当するということに、強い思いや挑戦心を感じられますね。

橋本 自分は最近だとかみのやま 庵役の進藤あまねさんです。人柄やファンサービスがすごくしっかりしていて、レコーディングでもイベントでも「いい子だな」と感じることが多いです。しかもプライベートでかみのやま温泉にも行っているし、我々公式より先に Xで現地に関するポストをリポストしている(笑)。仕事に対してまったく手を抜かないのでもうリスペクトしかありません。その人柄やポテンシャルを見込んで今度のライブのテーマである新旧融合を象徴する新ユニットVUCCAのセンターをお願いすることにしました。

吉村 『温泉むすめ』の話題って公式SNS以外にも各地のSNSアカウントからアクティブに発信されているのですが、進藤さんはそれら現地からの発信や、『温泉むすめ』の一コママンガでキャラクターが取り上げられた時も漏れなく反応していて。『温泉むすめ』の活動をきちんと自分ごととして考えていて、すごくありがたいと感じています。あと思い入れという点では、僕は声優としてキャリアスタートして間もない頃の方も積極的に起用していて、それを今でも感謝してくれる方がいるのが思い出深いです。

――例えばどんな方でしょう?

吉村 2018年2月に開催された“まけんグミフェス 2018”というイベントに「温泉むすめ ゆのはな選抜」の一員としてキャスティングしたメンバーがいわゆる新人ばかりでした。その公演に参加した前田佳織里さんはその当時「人前で初めて歌って踊ります」と言っていて、不慣れながら一緒に乗り越えた思い出があります。そんな状況でも信じて起用したことをありがたく感じてくれているようで、違う機会であった際の思い出話になっています。

橋本 特にダンスに関しては苦手という方もいますが、我々はできるだけレッスンの機会を作って、とことん付き合います。一緒に成長していきたいので、それくらいはしてあげたいんです。

次のページ:新旧融合を経て『温泉むすめ』は未来へ

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP