【エッセイ連載】「伊藤美来のmoi!」第9回：ネットショッピング

声優アーティスト・伊藤美来が日常で感じたことを切り取り、私らしく文章にしていくエッセイ連載「伊藤美来のmoi!」。

「初めましての方や応援してくれている方にも、表面的な私だけではなく自分の頭の中を見てもらう気持ちで書いていきたい。“伊藤美来”がどんな人間か知ってほしい」。

そんなオモイを込めて言葉を綴っていきます。

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お金の使い方を見直したい。自分はどちらかというと倹約家だと思っていたし、本当に欲しいものしか買わない金銭感覚を持っていると思っていた。しかし最近はどうも変だ。理由は多分、ネットショッピングである。クレジットカードやアプリ決済などをネットに登録し、お店に赴かなくても欲しいものが手に入るシステム。これがなんとも便利すぎる。こんな小さな画面に映った写真だけを見て、自分のお金を使うなんて！と尖っていた頃もあったが、今となってはその便利さにおんぶにだっことなってしまった。

私の場合、ネットショッピングといえば洋服。洋服こそ実物を見て、実際の色味を見たり試着をしてから買ったほうがいいに決まってる。わかってはいるのだが、服のネットショッピングがどうしても止められない。いくつかの言い訳を聞いてほしい。

まず1つめ。頼んだら家まで送ってくれるので、重い洋服たちを持って帰らなくて済む。夏物のTシャツ数枚とかなら良いのだが、冬のニットやカーディガンは一着でもなかなかに重量がある。大学生の頃、買い物袋の重さに腕がちぎれそうになり、もうここに置いて帰ろうかと何度も考えながら持ち帰った記憶がある。当時は学校と仕事があり、隙間時間に一気に衣装を買うことが多かった。その名残なのか、今でもバッと一気に買ってしまってそこから1年は服を買わないこともある。だからこそボタン1つで、いくつでもカートに入れられるネットショッピングはとてもありがたい。

2つめ。トータルコーディネートの正解が載っている。私は服の好みはあるが、センスがあるわけではない。服がたくさん並んでいると、その中からいい組み合わせや欲しい服を見つけるのに時間がかかってしまい、もういいや……と諦めてしまうタイプだ。しかしネットショッピングであれば、既にモデルさんがその服を使ってコーディネートした写真が並んでいる。これを見るだけで、コーデのセンスに自信のない私でも「このセーターに合わせるなら、黒のスラックスがいいのね。似てるの家にあったかも……」と失敗をしないコーディネートを組めるのである。

3つめ。写真の服がとにかくかわいい。素敵なモデルさんがかわいい洋服を着ているだけではない。とにかくお洒落で、撮り方までこだわられている。照明を上手く使っていて雰囲気のいい写真なのはもちろん、モデルさんが回っている瞬間に撮ったであろう花びらのようにフワッとしたスカート、全体が見えつつ若干下から撮って、足がすらっと見え形が綺麗に見えるジーンズ。自分がどんなスタイルだったかを完全に忘れ、自分が着てもこうなると錯覚させられてしまう。「これを買えば私も……」と、いつの間にか指が動いてしまうのだ。

ただ、罪悪感を感じずにネットショッピングができるのが、推し活である。私の場合は主に特撮とディズニーなのだが、好きなものに関しては発売になると知った時から買うと決めているので問題ない。予定通りという感じ。むしろ、現地でヒーローショーやパレードを観た際に「あの人が持ってるのいいな」「この子のグッズ買ってみようかな」とグッズを買い足したくなる。そんな時はネットショピングが強い味方で、そのシステムが神のように感じる。

ネットで決済ができるのが当たり前になったのって、いつからだろう。きっと色んな人の生活を支えているんだろうな。いつの間にか身の周りにあって、自分でも気づかぬうちに順応していたみたいだ。目に見えないお金だからこそ、慎重に考えて使わなければいけない。そんなの今更だし、当たり前だよと言われてしまうかもしれないが、ネットに関してはこの「ふと考える」ということが大事だと思う。わかっていると思っていても、ネットの便利さにゆらゆら流され、忘れがちだったりするものだ。来月はちゃんと自分に問いかけて節約しないと。今月は、今しかないと思って推し活もたくさんしたし、仕事用にという理由もつけてネットで鞄も買ってしまったし、海外遠征でいつ来られるかわからないからと、食べきれないほどお土産も買ってしまった……ん？あれ？私……問いかけたうえで、都合のいい理由をつけてお金を使ってないか？……うーん、気のせい気のせい。

▼レストランでお金をたくさん使った日にマネージャーさんが撮ってくれた写真。