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2024.12.20

満開に咲き誇る小倉 唯の想い――ライブツアー“小倉 唯 LIVE TOUR 2024 ~Bloomy × Meet you!~”ファイナル公演をレポート

満開に咲き誇る小倉 唯の想い――ライブツアー“小倉 唯 LIVE TOUR 2024 ~Bloomy × Meet you!~”ファイナル公演をレポート

今年でアーティスト活動12周年を迎えた声優の小倉 唯によるライブツアー“小倉 唯 LIVE TOUR 2024 ~Bloomy × Meet you!~”のファイナル公演が、11月17日、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて開催された。実に5年ぶりとなる今回のツアー。最新アルバム『Bloomy』で表現された世界観、そして久しぶりに全国各地のファンのもとへ直接会いに行ける喜び。その両方の意味を込めたツアータイトル“Bloomy × Meet you!(ブルーミーチュー)”からも伝わるとおり、29歳を迎えた小倉 唯のアーティスト性に加えて、ファン思いな一面を改めて強く感じられる公演となった。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY キセキミチコ

色とりどりの花のように、様々な美とかわいさで魅せる

会場のパシフィコ横浜 国立大ホールは、小倉が2015年に初めてソロライブを行った場所であり、以降も前回のワンマン“小倉 唯 Memorial LIVE 2023~To the 11’Eleven~”を含め何度もステージに立っている、彼女とファンにとってたくさんの思い出が詰まった場所。小倉のグッズを身に着けたファンたちが男女を問わず集まるなか(特に今年8月開催のイベント「小倉 唯 Birthday Event 2024 "唯涼祭"~Cute or Cool?~」で初グッズ化された〈I・LOVE・YUI ♡ 法被〉を着ている人が目立っていた)、ライブは小倉の様々な表情や姿を映した華やかなOPムービーと共に開幕。その映像の中の小倉がブーケを持って変身すると、今度はステージにそのブーケを手にした本物の小倉が「皆さん“Bloomy × Meet you!”にようこそー!」と元気いっぱいに登場して、アルバム『Bloomy』からラブリーなアップチューン「Lovely Happily Shiny Days」を披露する。客席からはのっけから歓声やコールが飛び交い、大きな盛り上がりを見せる。

小倉は白をベースに薄く紫に色づいたガーリーな衣装を着用。フリルや細かな飾り付けもたっぷりあしらわれていて、まるでドールのような趣きだ。続く「パンドラ♡ショコラ」では4人のダンサーズと共に踊りながら歌唱。クルッとターンするたびに大きくふくらむスカートのシルエットも含めて愛らしい。そして人気のシングル曲「Baby Sweet Berry Love」へ。客席のペンライトがピンク一色に染まるなか、小倉は客席に向けて手を振りながらステージを左右に行き交い、ファンとの“Meet You!”を楽しむ。

MCで改めて挨拶をしつつ、「ブルーミーチュー!」と手をいっぱいに広げて嬉しそうにファンを歓迎する小倉。久々のツアーということで、当初はファンがどれくらい来てくれるのか不安もあったとのことだが、ふたを開けてみれば、この日も客席は3F席までぎっしり。言葉や振る舞いの節々からも喜びが滲んでいる。さらにあらゆる場所が花で飾りつけられたステージや「童話のなかから飛び出したようなイメージ」という衣装を紹介。今回のツアーでは“お花”をモチーフに女の子らしい世界観を意識して演出などを考えたとのことだ。

そして「次は女の子の“かわいい”をギュッと詰め込んだ曲になっています」との前振りから歌われたのは、管弦楽器を交えたゴージャスなサウンドとシャッフルビートがお洒落な「アコガレCollection!」。曲中でダンサーたちがクマのぬいぐるみなどの“かわいい”グッズを小倉に手渡したり、ステージ下手側に備え付けられた鏡台に小倉が座ってお化粧直しを始めると、その鏡に映る小倉の姿がスクリーンに大映しにされるなど、凝った演出でこの楽曲の世界観、“女の子はいつだって 好きなモノに囲まれてたいの”という想いを表現した。

ここで幕間映像がスタート。小倉の朗読による絵本風のムービーで、“お花”と“女の子”の出会いの物語が“お花”の視点で語られていく。後のMCによると、この物語自体も小倉自身が考案して書き下ろしたという。近年は作詞にも積極的に取り組んでいる彼女だが、本業である声優としての朗読スキルだけでなく、クリエイティブな一面も改めて知ることのできる映像になっていた。

その“お花”の物語から繋がる形で披露されたのが、清 竜人が提供したアルバム『Bloomy』の収録曲「花占いするの♡」。文字どおり花占いをモチーフにした楽曲で、淡いミントグリーンの衣装に着替えた小倉は、華麗な手振りで花の咲く美しさを体現する。続いての「シュガーハートエイク」は、ステージ上手側に設置された街角風のセットを用いて表現。2番では街灯のもとのベンチに腰掛けながら歌唱するなど、ストーリー性を感じさせるステージングで魅せる。さらに「恋の秒針」では、花で飾られたマイクスタンドを使ってパフォーマンス。どこか切なさの滲む歌声、時折見せる寂しさそうな仕草や表情も含めて、女性の儚い美しさが感じられる1曲だった。

そんなしっとりとしたムードから一転、再び4人のダンサーたちとの息の合った振付で魅了したのが「秘密♡Melody」。間奏では「みんなで一緒に!」と呼び掛けて、ファンと共に一体感を作り上げる。その後のMCでは、本公演で唯一のフリートークパートということで、ツアー恒例となっていた各地の印象的な食べ物の話へ。「私のとっておきの横浜スイーツ」として、差し入れで食べて以来ハマっているというレナーズのドーナツを紹介。その美味しさをかわいらしいジェスチャーで表現して喝采を浴びていた。そして「このアルバムだからこそチャレンジできた、ちょっと大人っぽい様子の楽曲」という「スターチス」を披露。横揺れ系のシックなグルーヴ、振りはつけず歌で聴かせるスタンス、今の彼女だからこその見せ方になっていた。

ダンサーによるパフォーマンスコーナー、そして小倉の収録音声を用いたコール&レスポンスの時間を挿み、ここで小倉のアーティストとしての持ち味の1つとなっているダンスでも魅せるパートへ。胸元に大きなリボンの飾りをあしらったチェック柄の衣装に着替えて、ヘッドセットマイクを装着した小倉がダンサーズと共に登場し、ネコっぽい振付が素晴らしく愛らしい「Wild☆Kitty」、スモーク演出も相まってかわいさだけでなくかっこ良さも感じられた「ドキドキラビリンス」、さらに客席からひときわ大きな歓声とコールが上がった「Empty//Princess.」を連続で披露していく。「Empty//Princess.」での誘うような指の動き、どこか気の強そうな態度などの甘辛なそぶりもまた、彼女がこの数年で新たに手にした表現の一つ、と言えるだろう。

次のページ:「一瞬だからこそ、すごく儚くて、美しくて、尊い時間」

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