満開に咲き誇る小倉 唯の想い――ライブツアー“小倉 唯 LIVE TOUR 2024 ～Bloomy × Meet you！～”ファイナル公演をレポート

「一瞬だからこそ、すごく儚くて、美しくて、尊い時間」

先ほどの幕間映像とは逆に“女の子”の視点から“お花”との物語を描いた朗読ムービーに続いては、彼女のソロアーティストとしてのキャリアの原点にして、新たなアレンジでここまでの成長と進化をアピールした「Raise ～Bloomy ver.～」を情熱的に歌い、会場を熱狂させる。全身に花の飾りを散りばめたピンクのドレス衣装を着た小倉の凛と歌い上げる姿、バラのように赤く咲き乱れるペンライト、会場を揺るがすほどの大きなコール。間違いなくこの日のライブのハイライトと言うべき一幕だった。

その熱気渦巻くステージから一転、涼やかなシンセサウンドとスモーク演出、小倉の透明感溢れる歌声が幻想的な景色を作り出した「Clear Morning」。ブルー系の照明もまた澄んだ世界観を演出する。そして小倉は「さあ、ラスト2曲です！最後まで一緒に盛り上がっていきましょう！」とファンに檄を飛ばして、アルバム『Bloomy』からの新曲「One ＆ Only」を歌唱。この曲にはファンが歌うパートが多数盛り込まれており、小倉の「せーの！」という呼びかけに応えて「大丈夫！」と掛け合うなど、みんなで楽曲を作り上げていく。ラスサビ前では繰り返し“wow oh wow oh”と合唱して会場が1つになり、歌詞にある“Colorful Wave”よろしく客席が色とりどりのペンライトを振りながらウェーブを作り上げて、パシフィコ横浜にカラフルな景色が広がった。

早くも次がライブ本編ラストの曲ということで、「一瞬だからこそ、すごく儚くて、美しくて、尊い時間だなって、このツアーを通して私も感じました」と語る小倉。彼女がこのツアーとアルバムで表現したかった、満開に咲く時間が限られているからこその花の美しさと儚さ、“永遠じゃなくて刹那の物語（ストーリー）”のかけがえのなさを歌ったのが、次に披露された「Wind of Bloom」。アルバム『Bloomy』のリード曲にして、小倉自身が作詞したナンバーだ。スクリーンには小倉の姿と共にリリックが表示され、彼女がこのツアーを通して伝えたかったメッセージが聴覚と視覚でダイレクトに入ってくる。躍動感あるサウンド、それに合わせて華麗に舞う歌声。今まさに満開に咲き誇る小倉唯というアーティストの想いが、会場いっぱいに溢れるなか、ライブ本編は終幕した。

アンコールは、アルバム『Bloomy』のボーナストラック「わくわくシャンプー＆リンス」でスタート。ライブTシャツをアレンジしたキュートな衣装に身を包んで登場した小倉は、「みんなで一緒に“わくシャン”しましょう！」と呼び掛けて、自身が考案した振付をファンと踊りながら、ふわふわでピースフルな時間を共有する。事前にダンス動画が公開されたこの楽曲、なんでもツアーを重ねていくなかで振付を踊ってくれる人が増えていったことから、急遽ダンス動画をアップすることにしたという。

お知らせタイムでは、2025年1月11日に行われるファンクラブイベント“Yui’s＊Company. 社員総会2025 ～あけおめ Rock you ☆ The time has come～”のロゴやビジュアルなどが公開されたほか、ミニライブのコーナーは小倉のソロ公演では初となる生バンドでのお届けとなるこが発表され、喜びに沸く会場。イベントタイトルも“あけおめ Rock you”ということで、小倉は「私の魂のロックを見せつけたいと思います！」と意気込みを語っていた。

そしてここからはスペシャルメドレーの時間。「みんな、まだまだ声出していけるよな！」「ロックの練習していくぜ！」と、いつにない口調の呼びかけで来年に向けての予行演習をしつつ、コール＆レスポンスをして会場の気合いを入れ直すと、まずはアタック感の強いアップチューン「Look@Me♡」で会場のボルテージを一気に引き上げる。メドレーとはいえワンコーラスだけでなく長めに歌唱。続く「トキメキWeekend!」では、ラスサビ前にあるセリフパートも「ツアーを一緒に駆け抜けてくれてありがとう、ここにいるみーんなのことが大好き！」とロングバージョンで想いを届ける。さらにライブの鉄板曲「Honey♥Come!!」に繋げ、会場からの大合唱と“熱いエール”を受けてパーフェクトスマイルでメドレーを完走した。

そしてアンコールのラストに歌われたのは、小倉自身が作詞した楽曲「君色のキセキ」。彼女は幸せそうな表情で、客席に手を振ったりしながら歌を届けていく。ファンと共に過ごせる“キセキ”のような時間、例えあっという間に過ぎ去っていくとしてもずっと“大切にしていきたいカラフルなこの思い出”。そのかけがえのなさを心から実感できるパフォーマンスでライブを締め括る。ラストはライブの最初に持っていたブーケを再び手にして、「また私にミーチュしにきてくれますか？」と次の約束をしてステージを去っていった。

その後はツアーのバックステージ映像などで構成されたエンディングムービーが流れて終了……かと思いきや、会場からの「もう1回」コールに応えてダブルアンコールが実現！「ありがとー！」と感謝の気持ちを伝えながらダンサーズと共に再度ステージに登場した小倉は、幸せいっぱいのポップチューン「エブリデイ☆ハッピーデイ」を披露。2ndアルバム『Cherry Passport』収録のこの楽曲、2017年のツアー“小倉唯 LIVE「Smiley Cherry」”の際にみんなで踊るための振付が作られたのだが、今回はそれを久しぶりにみんなで踊ることに。会場には振りのレクチャーをする前から踊っているファンも多くいて、小倉は「すごい！ばっちりです！」と喜ぶ。さらに間奏で小倉が客席に向けてサインボールを飛ばすサービスもあり、会場にいる誰もが“嫌なことは忘れて”今日というハッピーデイを満喫するなか、ライブはフィナーレを迎えた。

最新アルバム『Bloomy』の楽曲を軸に、デビュー曲「Raise」のリアレンジ版から過去のアルバム収録曲、シングルのカップリング曲まで、まさに百花繚乱と言えるほど多彩な楽曲が並んでいた今回のツアー。そのどれもが今の彼女らしい美しさと愛らしさで表現されていて、“Bloomy（＝満開）”というタイトルのとおり、小倉唯という大輪は今がまさに花盛りであること、そしてその花はこれからも大きく咲き続けるであろうことが確信できるライブだった。

『小倉唯 LIVE TOUR 2024 〜Bloomy × Meet you!〜』
2024.11.17 パシフィコ横浜国立大ホール
＜セットリスト＞
1. Lovely Happily Shiny Days
2. パンドラ♡ショコラ
3. Baby Sweet Berry Love
4. アコガレCollection!
～SHORT MOVIE～
5. 花占いするの♡
6. シュガーハートエイク
7. 恋の秒針
8. 秘密♡Melody
9. スターチス
10. Wild☆Kitty
11. ドキドキラビリンス
12. Empty//Princess.
～SHORT MOVIE～
13. Raise ～Bloomy ver.～
14. Clear Morning
15. One ＆ Only
16. Wind of Bloom
＜ENCORE＞
17. わくわくシャンプー＆リンス
18～20. (メドレー)Look@Me♡～トキメキWeekend!～Honey♥Come!!
21. 君色のキセキ
＜DOUBLE ENCORE＞
22. エブリデイ☆ハッピーデイ