――そんななか早くも2nd Album『跡暖空(ミチノク)』が完成しました。前作の1st Albumは『迷跡波(メイセキハ)』というタイトルでしたが、今回もMyGO!!!!!らしいネーミングセンスですよね。
小日向 私はこのタイトルを見たとき「あったけえ」と思いました(笑)。MyGO!!!!!のみんなはこれからもいろんな困難を乗り越えていくことになると思うのですが、劇場版も公開されてアニメの物語が一旦区切りを迎えたタイミングでもあるので、みんな晴れやかな気持ちになったのかな、という想像が膨らむタイトルでもあって。
青木 “道の奥(みちのく)”という言葉にかけられていて、これまでの“足跡”と、それが道になってこれからも続いて、その先に広がっている暖かな空、というイメージだそうです。ジャケットのイラストも素敵で、Blu-ray付生産限定盤Aはみんなの表情が明るいけどシチュエーションは夜、Blu-ray付生産限定盤Bも朝焼けの空の色ですけど、完全に快晴ではない空模様なのがMyGO!!!!!らしいなと思いました。通常盤もみんな傘を持っているので、ということは直前まで雨が降っていたということなんですよね。それこそ1st LIVEの頃のビジュアルはみんな笑っていなかったですけど、今は晴れやかな表情をしているところに、色んなものを乗り越えてきた今までのストーリーを感じ取ることができて、あったけえジャケットだと思います(笑)。
――前作と比べてどんな作品になったと感じますか?
小日向 『迷跡波』のインタビューのときに羊ちゃんも言っていましたけど、前作は“MyGO!!!!!の名刺”みたいな一枚、バンドとしての強みになる楽曲を集めたアルバムだったと思うんです。それに対して今回のアルバムは色んなジャンルの楽曲が組み合わさっていて、MyGO!!!!!の幅広さと新たな挑戦を聴いていただけるようなアルバムになったと思います。
青木 『迷跡波』はMyGO!!!!!のテーマでもある“迷い”を表現した楽曲が多かったと思うのですが、今作はもちろん“迷い”もありつつ、アルバムだからこその攻めた楽曲や楽しめる楽曲も多くて。全体的に芯が太くなった気がしますし、1~2年前のMyGO!!!!!ではまだ歌えない・演奏できない楽曲たちだと思うので、成長を経た今の我々だからこそ奏でられる楽曲が並んでいると思います。
――お二人とも普段からバンドの音楽が好きというお話しですが、その意味で個人的に刺さった曲を選ぶとしたら?
小日向 好きな曲がたくさんあって悩みますけど、私は「霧周途(ミスト)」です。この曲は最初の燈ちゃんの第一声を訊いた瞬間に「好き!」ってなりました。燈ちゃんがここまで圧の強い歌い方をすることもあまりなかったですし、みんなのコーラスも今までより強めに歌っているんです。「砂寸奏」のときもコーラスを強めに歌ったのですが、そのときはプロデューサーさんから少し抑えめで歌うように言われて。でも「霧周途」のコーラスは「砂寸奏」を越えて思い切り歌ってもいいというディレクションをいただいたので、その意味でもMyGO!!!!!全員の成長が見える楽曲だと思います。
――「霧周途」はライブだとギターが見せ場になりそうですよね。
青木 そうなんです!ギターがめちゃくちゃかっこいいんですよ。でも聴きながら「あっ、これ自分が弾かなくちゃいけないんだ」って思いました(笑)。私もこのアルバムを客観的に聴いたとして一番刺さるのは「霧周途」で、冒頭はボーカルから始まるのも今どきっぽいですし、イントロや曲間のギターもかっこいいので、ライブで披露するのがすごく楽しみです。私は既存曲だと「砂寸奏」みたいなロックめの楽曲が好きなので、「霧周途」のようなライブ映えする曲が増えたのがすごく嬉しくて。
小日向 セトリのどこに持っていくか悩むよね。演出や繋ぎ次第ですごく化けそう。
青木 あとは「明弦音(アゲイン)」もいいんですよね。ガールズロック感があるので温かい雰囲気の楽曲なのかと思いきや、ちゃんと2ビートも出てきてMyGO!!!!!らしさもある曲で。MyGO!!!!!は青春パンクの要素を大切にしているので、2ビートやメロコアっぽい部分が出てくると嬉しくなります(笑)。
小日向 他にも「焚音打(たねび)」が初めてアルバム入りしてすごく嬉しかったし、「歩拾道(スピード)」も大好きなので、イチ押しが決められなくて……。
――全部語ってもらっていいですよ。
小日向 やったー!「焚音打」はライブで大切にやってきた楽曲なんですけど、「壱雫空」のカップリング曲で『迷跡波』には収録されていなかったので、もしかしたらあまり聴いたことのない人もいるのかなと思っていて。でも、今回のアルバムの最後に収録されたことで、さらに特別な楽曲になったと思います。「歩拾道」は『劇場版「BanG Dream! It’s MyGO!!!!! 後編 : うたう、僕らになれるうた & FILM LIVE」』のEDテーマなのですが、すごく晴れやかな気持ちになれる楽曲なので、アルバムの1曲目にあるのがいいなあと思います。
――「焚音打」はライブでも大切な局面で披露されることが多いですが、やはりバンドにとっても大切な楽曲なんですね。
青木 すごく特別な楽曲です。
小日向 いまだにライブで演奏していると泣きそうになりますね。歌詞にメンバーの名前が入っていることもそうですけど、特に最後のシンガロングのパートは本当に泣きそうになります。
――青木さんは他にイチ押しの曲はありますか?
青木 「夜隠染(よかぜ)」ですね。MyGO!!!!!の楽曲はアップテンポなものが多いなかで、この曲はミドルテンポなのですが、ギターが歌う感じは「無路矢」に近いと思うんです。「無路矢」を初披露するときは、それまでの曲調とだいぶ違うので、どう受け止められるか少し不安もあったのですが、今では「無路矢」が一番好きという方も結構多いので、「夜隠染」もきっと刺さる方は多いんじゃないかと思っていて。MyGO!!!!!はミドルもいけるんだぞ!ということをアピールしたいです(笑)。
――また、青木さん演じる楽奈がフィーチャーされた『劇場版「BanG Dream! It’s MyGO!!!!! 前編 : 春の陽だまり、迷い猫」』のEDテーマ「過惰幻(あだゆめ)」も今作に収録されます。
青木 この曲はメジャーやマイナーみたいにはっきり分かれている感じではなくて、どこか宗教音楽や民族音楽っぽい雰囲気もありますし、もやや霧がかかっているような感じなので、みんながまだ迷っている状態で終わった前編のストーリーを表すのにぴったりの曲だと思います。楽奈ちゃんのことはわかったけど、バンドはどうなってしまうの!?みたいな終わり方だったので。
小日向 アルバム全体を通して燈ちゃんやMyGO!!!!!が強くなってきた部分を感じるなかで、「過惰幻」に関しては、なんだか昔の燈ちゃんを思い出させるような曲だなと思いますし、それこそ「栞」(TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』EDテーマ)と同じような立ち位置の曲でもあると思うんです。燈ちゃんの紡ぐ言葉をしっとりとした気持ちで聴ける1曲なので、このアルバムの中では逆に良いスパイスになっていると思います。
――「過惰幻」は歌うようなベースラインも肝になっていますよね。
小日向 はい!ベースのフレーズが暖かで包み込んでくれるような感じなので、私も好きです。「栞」はフレットレスベースでしたが、この曲はエレキベースで演奏されているんですよね。私はフレットレス以外で、こういうアコースティックテイストの楽曲を弾いたことがないので、もしこの曲をライブで披露するとしたら、新しい挑戦になるだろうなと思っていて。いつかライブで届けたいので頑張りたいです。
――その場合、青木さんはアコギを担当することになりそうです。
青木 ライブで「栞」をアコースティックで演奏したとき、アコギを弾きながらみんなでコーラスを歌うのがすごく楽しかったんですよね。「過惰幻」のコーラスはサビのところでロングトーンの後にポルタメントがかかっていて、今までのMyGO!!!!!の楽曲でそういう歌い方をしたことはなかったので、その表現も挑戦になると思いますけど楽しみです。
――コーラスもこの楽曲の幻想的な雰囲気には欠かせない要素ですからね。その他にライブで演奏するのが楽しみな楽曲はありますか?
青木 既発曲ですけど、まだライブでは披露していない「孤壊牢(こころ)」はすごく楽しみです!初めて発表したときから「ライブがめっちゃ楽しそう!」という反応が多かったですし、この曲もギターリフがすごくかっこいいので、ギタリスト目線でもライブでやったら絶対に気持ちいい曲だろうなって思います。
小日向 みんなで“Hey! Hey!”って歌える場所もあるもんね。
青木 そうだよね。“Hey! Hey!”のパートは全部で3か所あるのですが、最初は“Hey!”を3回、あとは2回でちょっと紛らわしいので、アルバムを聴き込んで予習しておいてほしいです!
小日向 私は「歩拾道」が楽しみです。後編の映画を観たときに、この曲が流れてきてボロボロに泣いたんです(笑)。これを5人で演奏したときにどんな気持ちになるのか、エモいからこそその場で生まれる感情も楽しみですし、お客さんがどんな表情をしてくれるのかもすごく楽しみです。自分も泣いてしまわないか心配ですけど(笑)。
青木 泣いていいよ(ニコリ)。
小日向 え~!でも、泣いてしまうとちゃんと弾けるか心配だから、泣かないように頑張ります(笑)。
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