――ではカップリング曲についても聞かせてください。「eゴッドイーター TRIPLE BURST」主題歌の「PEAKY」についてはどのような楽曲だと感じていますか?
中川 (作詞・作曲・編曲の)Sohbanaさんには前作の「65535」も書いていただいたんですけども……、若い才能ってすごいですね!私の中にはないテンポ感と歌詞の譜割りです。「65535」はとにかく難しくて本当に苦労したんですけど、この曲もレコーディングの時、“過去・未来・今・上・下・右・左”は歌えるようになるまでに何回も噛みまくって、何度もやり直させてもらいました。でも口が歌を覚えたらすごく気持ちいい曲ですね。コンパクトで速いからジェットコースターに乗っているような、(フリーフォールの)タワー・オブ・テラーに乗ったような気分で「イェーイッ!」ってなります。あとは“斯様なバカも休み休み言え”とか、言いたくなる日本語がたくさん入っているんですよ。“ご立派にも防衛”とか“神速を尊べ兵なら”とか、心の中の思春期が喜びますね。ゲームの『GOD EATER』は4人プレイができるのでから、普段ゲームをしない友達にソフトを買い与えて無理やり“GOD EATER ハラスメント”をしてたくらいにハマりまくったので、10数年の時を超えて「中川さんで」と指名をいただけたのはすごく嬉しいです。言霊発動というか。時をかけて引き寄せた感がありますね。
――歌うときはどういったイメージで臨みましたか?
中川 (パチンコで)大当たりする前にも流れるということで気持ちは「強制的ラッキーソング」という感じでした。リリイベでも、「聴いた人の寿命が絶対伸びる呪いを込めて歌います」と言っていたんですよ。そうするとみんな、腕を振ってくれるので楽しいですね。なので、早く生のギターをバックに歌ってみたいです。
――早口な箇所では苦労されたとのことですが、中川さんは楽曲を受け取ったあとに家でどのようにして覚えているんですか?
中川 メロディと言葉を口で覚えるまで、ついつい口から出てきちゃう、みたいになるまではとにかくずっと繰り返して口ずさみます。写経の気分というか。でも私の場合、昔から絵が精神統一なんですよ。例えば、初めて日本武道館に立ったときも前日にずっと絵を描いているとか。ちょうど心地良く疲れられる作業なのか、音楽を流しながらずっと絵を描きますね。とりあえずiPadをいじる、みたいな感覚で。絵を描くのが一番いいな、ということは今回も再確認しました。でも、「65535」のほうはいまだに難しくて。「あれ、どうしたら歌えるのかな?」って思っているんですよね。一生、そう思いながら歌っていく気がしています。
――同じくカップリング曲の「流氷に消ゆキラリ」はNintendo Switch™/Steam®向けゲーム「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~」主題歌です。このお話を聞いた時は驚いたと思いますが。
中川 とにかく驚きました!「オホーツクに消ゆ」の主題歌というお話をいただいたとき、ファミコン版の箱説付きカセットが家にまだあったんですよね。それがリメイクされるというのはすごく喜ばしいことでありながら、その主題歌で、しかも堀井雄二さんが歌詞を書かれるということでビックリしました。途中、なかなか時間がとれないのでやっぱり(作詞するのは)難しいかも、という話もあったんですけど、結局半年かけて完成させてくださいました。堀井さんの言葉って『ドラゴンクエスト』の時からそうですけど、心に残るし、刺さるんですよね。“まどろみの夢 遠く大地に 歌う”には『ドラクエ』みを感じていました。あと“神”感!“女神”感かな?を歌詞から感じますね。神ってチャンスを与えてくれるけど残酷ですよね。助けてくれるわけじゃないし、時には突き放してくるし、神がいるとしたらひどいと思うことも人生にはあるじゃないですか?そういう、美しくて繊細なんだけど残酷なところを感じる歌詞ですね。だから、一生かけて、大人として歌っていくのが正しいのかな、と感じました。“あなたの夢きらり そんな生やさしき だから 闇に 渡す”もそうですよね。人生って幸せなことだけではないし、プラマイゼロと言う人もいますけど、それもわからないじゃないですか?私は、「あー、生きてて良かった」と思うことのほうが若干多い気はしますけど、でも今後はわからないし。でもそう思うと面白いですよね。私のご先祖様に、北海道を開拓した人や、鮭や鱒の孵化事業を進めた人がいるので、満を持して北海道の歌を歌う、という気持ちもありますね。
――公私ともに仲の良い、ヒャダインこと前山田健一さんが作・編曲を手がけられました。
中川 レコーディングの時、堀井さんがお忙しいのに来てくださったんですけど、やっぱりすごく緊張したんですよね。でも、確か「タイプ:ワイルド」のプロデュースをヒャダさんがしてくれたとき、そのままの私がいいと言ってくれたんですよね。今回も、ヒャダさんからもらえる指示がすごく納得できるし、ブースにいても楽しいし、ヒャダさんのおかげで「この声を使って歌うんだ」とすぐにスイッチングできました。迷いが一瞬で消える感じがあるので、ヒャダさんのディレクションで歌えるのはすごく嬉しいですね。
――最後に来年の抱負も教えてもらえますか?
中川 一番大事にしているのは歌う機会であって。だから2025年に、この楽曲たちをバンドサウンドで歌う機会が叶ったらどんなに素敵だろう、とワクワクするところではありますね。あと、好きなことについては大きな声で「好き」って叫ぼうと思いました。楳図かずお先生が、頑張ってもけなされたり叩かれたりするばかりで辛いからマンガを描くことをやめてしまったけど、でも海外が評価してくれたからまた描き始めることにしたと2021年におっしゃっていたのが忘れられないです。だから、ちゃんとはっきり声に出して、みんな言い続けるべき!本人に届くように!好きなことや夢、美味しいと思ったもの、かわいいと思ったもの、素晴らしいと思ったもの、なんでも表現していこうということを改めて思いました。それを肝に銘じる意味もあるんですけど、楳図先生に言っていただいた「またね」という言葉は私の人生を変えてくれた3文字なので、今はイベントで勝手に「またね」と言うようにしています。この言葉が子供たちや誰かに言霊として届いてくれたら、きっとまたライブができますよね。
●リリース情報
『ACROSS THE WORLD』
発売中
【完全生産限定盤】
品番:SRCL-13022~23
価格:¥8,800(税込)
・CD
・『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』絵柄LPサイズBOX
・『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』“デルタザイン”絵柄アクリルスタンド(全1種)
・“中川翔子”絵柄アクリルスタンド(全4種のうちランダムで1種を封入)
【通常盤(CD)】
品番:SRCL-13009
価格:¥1,300(税込)
<CD>
1. ACROSS THE WORLD(ACROSS THE WORLD:長編VR映画『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』主題歌)
2. PEAKY(「eゴッドイーター TRIPLE BURST」主題歌)
3. 流氷に消ゆキラリ(Nintendo Switch™/Steam®向けゲーム「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~」主題歌)
4. ACROSS THE WORLD (Instrumental)
5. PEAKY (Instrumental)
6. 流氷に消ゆキラリ (Instrumental)
●作品情報
『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』
【スタッフ】
企画:サンライズ
配給:アストレア
原作:矢立肇 富野由悠季 “機動戦士ガンダム”より
監督:鈴木健一
脚本:関西リョウジ
キャラクターデザイン:ことぶきつかさ
メカニカルデザイン:明貴美加
音楽:池田善哉
音響監督:藤野貞義
インタラクティブデザイナー:Ferdinand Dervieux
テクニカルアーティストディレクター:Gaël Chaize
CGアニメーションディレクター:山本直輝
制作:アトラスⅤ、バンダイナムコフィルムワークス
©創通・サンライズ
中川翔子 公式サイト
https://www.shokotan.jp/
公式X
https://twitter.com/shoko55mmts
Official YouTube Channel『中川翔子の「ヲ」』
https://www.youtube.com/channel/UCGlWnxRgmii2-InQLp8HmiA
『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』公式サイト
https://www.gundam.info/feature/silverphantom
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