家族から受け取った“無償の愛”を歌詞に込めて――ASCA、最新シングル「明日世界が終わるとしても」制作の裏側を聞く

ノーと言える自分であるために。媚びない歌「I DON’T CARE」

――ここからはカップリング曲のお話を。「I DON’T CARE」は、英語詞が多めで洋楽っぽい雰囲気のダークポップな楽曲です。

ASCA　これはノーと言えない人の歌ですね。その場の空気を壊したくないから、周りに合わせてしまうことってあると思うのですが、それは上手く生きていくうえで大事なスキルではあるけれども、本当に違うのであればノーと言わなくてはいけないこともあって。それは私の課題でもあるんです。

――ASCAさんはノーと言えないタイプなんですか？

ASCA　言えないときも多かったですね。私の周りにもそれで悩んでいる人が結構いて、私はその話を聞いて励ましている側のことが多いんですよ。でも、人を励ますのであれば自分もできないとダメだなと思って。そういう“媚びない女性像”を表現した楽曲になっています。多分、皆さんはASCAに対して「クール」「かっこいい」「芯がある」というイメージを持ってもらっていると思うのですが、そうなれない時もあるんです。楽曲自体は無敵モードのときの私なのですが、「ノーと言えない気持ちもわかるよ。でもノーと言っていこう！」という曲、共にそういう人間になっていけたら、それこそ自分の本心を見失わず素直に生きていけるよね、という曲ですね。

――その意味では自分にも言い聞かせるような楽曲でもあるわけですね。自分の気持ちに正直に、ノーと言える人間でありたいと。

ASCA　まさにそうですね。私、“わらって決裂”なんて経験したことないです。平和主義なので（笑）。でも、自分の意志を尊重するというのはつまり、自分の気持ちを大切にできるということなので、そういう経験が積もっていけば、自己肯定感が上がって自信が付いていくと思うんです。だからこの曲も「自分の気持ちに嘘をつかない」「素直に生きる」という意味では、さっきの話と共通していると思います。

――歌唱に目を向けると、平歌の部分は低音域を活かした妖艶な雰囲気、サビではハイトーンも交えて力強く吠える感じなど、この曲もブロックごとに温度差がある歌い方ですよね。

ASCA　これも角田さんとコミュニケーションを取りながらレコーディングしました。ただ、この楽曲の世界観に入り込むまでにすごく時間がかかってしまって。今振り返ると、レコーディングの最初の段階では無敵モードの自分になれていなかったんだと思います。「ここはどう歌おう？」と迷いながら歌っていたので、ボタンが1つどころか2個くらい掛け違えている感じで。でも、途中から「これだ！」というのを掴んで、強強モードになって歌えたので、すごく楽しいレコーディングでした。最近のテーマである“声の響き”や、低音を伸ばしてさらなる武器を磨いていきたいという部分にも取り組んでいて。特にDメロの後半は全世界の人に聴いてほしいです！

――バックの音が静かになったなか、一層パワフルな歌声を聴かせるパートですね。

ASCA　ここは声が深いし、迷いがなくて、自分でも「いい声が出た！」と思いました。邪念なく歌うことができたんですよ。ここだけを一生歌っていたいくらい、ただただ気持ち良く歌えました。

――ちなみにASCAさんはどんな時に自分が無敵だと感じますか？

ASCA　ライブで、頭で何も考えずに歌っている時ですね。それも邪念がない瞬間で。レコーディングを含めて、歌っている時にそう思える時間が、どんどん長くなってきているんです。「私、今、この歌の世界に入り込めている！」っていう。そういうときは最強になったように感じますね。あとはすごくお気に入りの服を着て1人で街を歩いている時。「今日の私、かわいい！最高！」って思います（笑）。

『SAO』との新たな黄金タッグ曲、2025年の活動に向けて

――もう1曲の「最前線」は、アプリゲーム『ソードアート・オンラインヴァリアント・ショウダウン』の新主題歌。『ソードアート・オンライン』（以下、『SAO』）シリーズとはこれまでも多数の楽曲でご一緒していますが、今回は「セルフロンティア」と同じ座組みでSakuさんが作編曲、歌詞はASCAさんとSakuさんが共作しています。

ASCA　『SAO』はASCAを色んな人と出会わせてくれている作品で、それこそ「RESISTER」があったから海外からもたくさんお声がけいただくようになりましたし、共に歩ませていただいている感覚があるんです。「RESISTER」は当時、原作を読んで感じた自分との共通点――まだ何も決まっていない状態で上京してきた自分の心情とキリトたちが重なったので、それを形にさせてもらった楽曲だったのですが、それがたくさんの人の元に届いて、歌詞を褒めてもらえる経験があったので、今回もせっかくなら自分の人生も重ねさせてもらいたいなと思って書きました。

――なるほど。今回はご自身のどんな想いを重ねたのでしょうか。

ASCA　この楽曲を制作したのは、去年の8月頃のことで。まだ（声帯ポリープの手術後の）声の出し方を模索していたので、心から自信を持って歌えていない時期だったんです。なので、制作の流れ的にはSakuさんにワンコーラスを作詞してもらってから、私が2番を作詞していったのですが、弱い自分、負けそうな自分に対して鼓舞する言葉がたくさん出てきたんですよね。“ヤワな道に価値はない”とか、自分からあえて大変な道に進んで行くくらいの気概を感じる言葉とか。私はその当時、不安な気持ちがあっても周りには「大丈夫です！」とアピールすることで、自分自身にも「大丈夫！」と言い聞かせることをやっていた時期で、越えられるかわからない課題を自分に課すことで常に限界を超えていけるように、そういう言葉を呪文のように自分に言い聞かせていたんですよ。

――“逆らって重なって逃げたくて抗って生まれ変わって今生き抜いて”ともあります。

ASCA　『SAO』のキリトたちも、自分自身を鼓舞して奮い立たせながら戦った先に今があると思うので、それは一緒だなと思ったんですね。彼らも自分も、色んな人に励ましてもらって、自分自身を鼓舞しながら生きていくだろうし、それの繰り返しなんだろうなと思って。

――そういった不屈の精神や意志の強さが楽曲や歌声からも感じられますが、レコーディングはいかがでしたか？

ASCA　今回の3曲の中では一番時間がかかりました。歌っても歌っても想像している声が出なくて、「今日中に録れるのかな？」と思ったくらいで、本当に苦しかった記憶があります。当時はすごく悩みながら録ったので、自分で音源をあまり聴けなかったんですよ。でも、レコーディングしてから1年が経った今、当時は周りにも「私は平気です」と言って分厚い鎧をまとっていたところから、支えてくれている周りの皆さんのおかげで少しずつ弱音も吐けるようになって、弱かった自分を認めてあげられるようになったことで、この楽曲もたくさん聴けるようになりました。すでにライブでもたくさん歌っているのですが、どんどん完成されていく感覚があるんですよね。本当に苦しんで生み出したからこそ、ものすごく愛着のある大切な楽曲になりました。

――きっとこの楽曲も『SAO』と共に長く歩んでいくことになるんでしょうね。

ASCA　『SAO』という作品に出会って、自分の人生を重ねたいと思えたからできた楽曲なので、作品にも感謝していますし、これからもずっと歌っていくと思います。ツアーでも育った感覚はあるのですが、まだまだ伸びしろがあると思うので、これからどんな風に育っていくのか、私自身も楽しみにしています。

――ありがとうございます。さて、リスアニ！では今年最後のインタビュ―になると思うので、少し早いですが2024年はどんな年になったかを聞いてみたいです。

ASCA　改めて、音楽というものが私の人生の真ん中にあること、歌があるから自分を認めてあげたり、さらに自信を持つことができたことを感じる1年でした。「いい歌をしっかりと届けたい！」という思いから努力することもできましたし、2024年は今までで一番ライブ活動が多かったので、その意味では修行をさせてもらっていた年でもあって。ライブをしていくなかで“取り戻している”という感覚があったんですよね。「そうそう！歌ってこういう楽しい気持ちになれるんだよね！」みたいな。なので、より素直に「歌が好きだな」と思えた年でもありました。

――そして“リスアニ！LIVE 2025”への出演も決定している2025年、どんな年にしたいですか？

ASCA　「歌が楽しい」という気持ちを取り戻してしまったので、来年は最強の気持ちで皆さんにお会いできると思っています！……と言いつつ、“リスアニ！LIVE”はすごく緊張する場なんですよね。毎年同じことを言っている気がしますけど（笑）。でも、ある程度の緊張感も大事にしつつ、それよりも「2024年はこういう楽曲を作ってきました！」とか「今の私はこういう人間です！」ということを、肩ひじ張ることなく届けて、歌が楽しい気持ちを素直に出せたらと思います。あとは5月にツアーも決定していますし、制作も引き続き行っているので期待していてください！

●リリース情報
TVアニメ『魔王様、リトライ！R』OPテーマ
「明日世界が終わるとしても」
11月27日月発売

【初回生産限定盤（CD+Blu-ray）】

品番：VVCL-2630～1
価格：￥1,980（税込）

【通常盤（CD）】

品番：VVCL-2632
価格：￥1,430（税込み）

＜CD＞
1.明日世界が終わるとしても
2.I DON’T CARE
3.最前線
4.明日世界が終わるとしても (Instrumental)
5.I DON’T CARE (Instrumental)
6.最前線 (Instrumental)

＜Blu-ray＞
明日世界が終わるとしても

●作品情報
『魔王様、リトライ！R』

放送情報
TOKYO MX　毎週土曜22:30～
RKB毎日放送　毎週土曜26:00～（初回のみ27:00スタート）
テレビ長崎　毎週木曜25:03～
BSフジ　毎週火曜24:00～
BS日テレ　毎週火曜24:30～

STAFF
原作：神埼黒音・身ノ丈あまる（双葉社モンスターコミックス）
キャラクター原案：飯野まこと
監督：古賀一臣
シリーズ構成：高山カツヒコ
キャラクターデザイン：保村成
音楽：SUPA LOVE
アニメーション制作：月虹
プロデュース：藍沢亮（Starry Cube）

CAST
九内伯斗：津田健次郎
アク：麻倉もも
藤崎茜：和氣あず未
イーグル：野口衣織（＝LOVE）
ルナ・エレガント：鈴木愛奈
田原勇：駒田航
ミンク：鈴木みのり
オルガン：橘美來
霧雨零：熊谷健太郎

●ライブ情報
ASCA LIVE TOUR 2025

2025年5月6日（火・祝）
心斎橋・JANUS（大阪）

2025年5月11日（日）
新栄・シャングリラ（愛知）

2025年5月17日（土）
Veats Shibuya（東京）

「ASCA LIVE TOUR 2025」プレリクエスト先行
受付期間：12月5日（木）12:00～12月15日（日）23:59
https://l-tike.com/asca/

リスアニ！LIVE 2025
2025年1月24日（金）開場17:00／開演18:00（予定）
2025年1月25日（土）開場15:00／開演16:00（予定）
2025年1月26日（日）開場15:00／開演16:00（予定）

ASCAは1月26日“SUNDAY STAGE”に出演！
詳しくは“リスアニ！LIVE 2025”公式サイトをチェック！
https://www.lisani.jp/live/