ついにこの日が来てしまった。きっとClariSを見守ってきた多くの関係者、世界中のファン、そして何よりクララとカレンが同じ思いでいたことだろう。2024年11月10日、Zepp Namba(OSAKA)。ClariSからカレンが卒業した日を振り返る。
TEXT BY 冨田明宏
PHOTOGRAPHY BY 平野タカシ
9月1日。カレン卒業の発表があったあの日から、私は2人とニコニコ生放送の特番や、ツアー中の楽屋、そしてファンクラブイベントなどで一緒に過ごした。カレンが卒業することは発表前から聞かされていたとはいえ、当然のことだが心構えは追い付かず、とにかく「いつもどおりのClariSをファンのみんなに届ける」ことに集中することで、感傷的な気持ちから距離を置くようにしていた。
それでも約束された日はやってくる。私はこの“ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~”の最終公演を彩る、ストーリーの制作も頼まれていた。クララとアリスが2009年にニコニコ動画上でスタートさせた音楽活動。思えば私は、当時を知る数少ない関係者の1人となっていた。引っ込み思案なクララがアリスに「“歌ってみた”やってみない?」と勇気を出して声をかけたことから始まったClariSの歩み。2010年4月に「リスアニ!」創刊号の特別付録によるCDデビューから飛び出した「アリス☆クララ」はClariSとなり、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』、そして『魔法少女まどか☆マギカ』と出会うことで、誰も予想すらしていなかったシンデレラストーリーを歩み始める。そしてまさに「これから」というタイミングだった2014年、アリスが卒業を発表。たった1人残されたクララの当時の心境と、それを救ったカレンというかけがえのない存在。そしてカレン加入から始まる第二章という名の快進撃。2人で成し遂げた日本武道館公演や海外公演。仮面を外して本格的なライブ活動に移行していった最中、無情にも新型コロナウイルスが蔓延。世界中を暗く閉ざしていった。その脅威になすすべもなく停滞を余儀なくされた約3年間も、2人で手を携えて乗り越えて辿り着いた現在。そして、別々の道へと進んでいく決意をした、これからの未来へと至る道……そんな約14年に及ぶClariSの物語を、2人が考えた最終公演のセットリストの曲順、曲タイトル、歌詞からキーワードを抜き取り、“Via Fortuna”=“幸運の道”を2人が探す物語として私は紡ぎ直していった。
そのストーリーテラーは、ClariSのライブにおける物語の語り部として活動を支えた、“ウサギの執事のKUMAさん”こと熊谷拓明さんしかいないだろうと話した。ClariSとKUMAさん、3人で始めた「ClariS城の物語」は、やはり3人で締め括ってほしかったからだ。執筆は簡単ではなかったが、2人がセットリストの中に込めた想いが自ずと「幸運の道」を指し示すかのように、方向性が固まった途端、英語の曲タイトルを日本語に訳すことで特別な意味を持ったり、歌詞に込められたメッセージが不思議と2人の今の気持ちを語り始めていた。
ClariSからは「これ以上ない、これしかないストーリーです」と言ってもらうことはできたが、自分では正直に言って上手く書けていたのかはわからない。ただClariSの2人は、自らが歩んだストーリーを曲と共に噛み締めながら、最後まで本編をやり遂げてくれた。そして本編の最後を飾る「Evergreen」を歌い終わり、2人が抱き締め合い、暗転したその途端。我慢していた感情が溢れ、暗いステージの上で涙を流すクララの姿が瞼の裏に焼き付いている。カレンも、何度も込み上げる感情を必死に抑え込んでいたのが伝わってきた。それでも最後までやり遂げた2人は本当に強く、そして美しかった。
そしてアンコールで披露された懐かしい「Reflect」と、ステージ上で見せる最後の2人のやり取りは宝物のような時間だった。お互いを想う、嘘偽りの一切ない素直な気持ち。カレンが言った「この10年間、1日も幸せじゃなかった日はなかった」という言葉が印象的だったが、これは以前、私が「リスアニ!Vol.43.1 ClariS音楽大全“クラリスアニ!”」(2021年2月刊行)の中で行ったクララの単独インタビューの中での発言、「私(クララ)がClariSに加入してほしいとカレンにお願いしたことは、責任を感じていたんですよ。(中略)特殊な世界ではあると思うので、そういうところに私の一方的な想いで加入してもらったという責任は、ずっと感じていたので……。ClariSとして一緒に何かを成し遂げて、いい思い出を作ってあげられたらいいな」に対する、まるでアンサーのようだった。クララが最後に読んだ手紙からもそれは伝わってきたが、まるで「Evergreen」の歌詞のように、普段はあえて言葉にしなくても常にお互いを想い合い、わかりあえていた2人が最後に見せた本音のやり取りだったと思う。
改めてになりますが、カレンちゃん。10年間ありがとうございました。あなたの笑顔と前向きさでどれだけの人が救われたことか。本当におつかれさまでした。
そしてクララちゃん。二度のメンバー卒業を乗り越えても、ClariSを守ってくれてありがとう。何があっても続けることを選んだあなたは、真に強いアーティストです。
さて。2010年の「リスアニ!」創刊号、そして2014年10月の「リスアニ!Vol.19」特別付録「Clear Sky」といった大きな節目はもちろんだが、彼女たちが歩んだ14年を通して「リスアニ!」は常にClariSと共にあった。そして2025年、ClariSとリスアニ!は15周年を迎える。かつては謎めいていた少女たちの物語は今、幾度もの感動を生み、幾多の困難を乗り越え、また新たな奇跡の物語を生み出そうとしている。そんなClariSの姿をぜひ“リスアニ!LIVE 2025”で目撃してほしい。
“ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~”LINE CUBE SHIBUYA公演のリスアニ!レポートはこちら
https://www.lisani.jp/0000269897/
“ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~”大阪公演の公式レポートはこちら
https://www.lisani.jp/0000269845/
●ライブ情報
リスアニ!LIVE 2025
会場:日本武道館
2025年1月24日(金)開場17:00/開演18:00(予定)
2025年1月25日(土)開場15:00/開演16:00(予定)
2025年1月26日(日)開場15:00/開演16:00(予定)
※ClariSは1月25日(土)のSATURDAY STAGEに出演!
詳しくは公式サイトをチェック
https://www.lisani.jp/live/
ClariS 公式サイト
https://www.clarismusic.jp/
ClariS 公式X
https://twitter.com/ClariS_Staff
ClariS 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC-zeaPnxZHE3EcTyVl1fTdw
ClariSオフィシャルTikTokアカウント
https://www.tiktok.com/@claris.official_
ClariSオフィシャルファンクラブ「ClariS Room」
https://claris-room.com/
SHARE