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INTERVIEW

2024.11.24

fhánaの佐藤純一が手掛けるプライベートレーベル「NEW WORLD LINE」、その第1弾アーティスト・nonocの魅力に迫る!nonoc×佐藤純一(fhána)×冨田明宏スペシャル鼎談

fhánaの佐藤純一が手掛けるプライベートレーベル「NEW WORLD LINE」、その第1弾アーティスト・nonocの魅力に迫る!nonoc×佐藤純一(fhána)×冨田明宏スペシャル鼎談

アニソンシンガーの苦悩と危機意識

冨田 これからは、nonocさんのアーティスト性だけではなく、人間性も広く知ってもらうことが魅力を伝えるきっかけになりますよね。

nonoc やっぱり……。これまでのインタビューでも、自分で書いていない歌詞の場合って、私が受け取った印象はいくらでも語れますけど、本質については自分の言葉で語ることが難しくて、実は悔しい思いをしてきたんですよ。「ちゃんと作詞家さんの思いを伝えられているかな?」とか不安になることもあるので。でも自分で書いた歌詞なら、私の視点で本質をお話しできるので、もっと心が伝わるというか。

冨田 歌詞の話が一番アーティストの人間性や考え方、人生観が伝わってきますからね。

nonoc アーティストにとっては衣装やアーティストイメージも、伝えたいメッセージや「nonocとは何者か」を語るうえで重要だと思うんですけど、これまではタイアップに合わせてガラリと印象が変わることを繰り返していて。nonoc像のようなものが上手く作れているか、そこも実は不安だったんです。“角”というアイコンは持ち続けてきたんですけど、ミステリアスな印象を付けてきたから、「私の本質がやっぱり伝わりにくくなっていないかな。ファンになりにくい存在になっていないかな」って。でもこれからは「NEW WORLD LINE」の活動もあるので、より私らしさも表現できると思っていて、そこにも期待しているんですよね。

冨田 そこもまさにアニソンアーティストの苦悩ですよね。アニソンタイアップが付くのか付かないのか、良くも悪くも常に左右され続けるという。

佐藤 まさにfhánaもアニソンを中心に活動をしてきたので、すごくよくわかるんですよ。でもfhánaは元々バンドとしてのスタイルやサウンドや歌詞の世界観がしっかりと確立されていたので、アニソンアーティストと同時にバンドとしての活動もやりつつ、様々なタイアップにも対応できたのかなって。それでも危機意識は徐々に芽生えていきました。デビュー当時はポンポンとタイアップを付けていただいたので、すごく順調だったし忙しかった。深く考えている暇もなかったんですよ。でも「青空のラプソディ」がヒットした辺りで、「ちょっと待てよ」と。タイアップって自分たちの意思では付けられないのに、これに依存していたらいつか大変なことになるぞって。

冨田 実は皆さん同じ危機感の話をされますよね。私も身に沁みて感じるところはあります。

佐藤 だからこそ、さっき言ったnonocのブレない型や軸が必要で、それができてから崩したりギャップを狙ったり、印象を作っていかなければならないなって。結局タイアップに依存せざるを得ないアニソンアーティストは、タイアップが止まると活動だってできなくなってしまう。それが現実問題としてあって。「じゃあ丸々1年アニメ主題歌が付かなかったら1年間何もできないのか?」と言われたら、僕は事務所の代表として「それはあり得ないんじゃないか」と。でも、アニソンアーティストと言われる皆さんは、その縛りと“暗黙の了解”の中で戦っていて、気がつけばメジャーアーティストに仕事を奪われているのでは?と言われるような状況を生んでしまっているように感じている。だったら、音楽アーティストとして独自の活動をしっかりと継続して、タイアップがある時にはアニソンを歌う。fhánaはそういう活動の軸を自分たちで作るしかないという考えに至りました。

冨田 fhánaはできましたけど、「危機感は持っているけど色々な制約があって自由に動けない」というアニソンシンガーは実際には大勢いますよね。

nonoc アニソンを歌うことは私の人生においてなくてはならないものですし、アニソンのお陰で海外でパフォーマンスをするような経験もできているので、もちろん感謝しています。ただ私も今年でデビューして5年ですが、ほとんどがコロナ禍だったことも関係していて、ワンマンライブもたった1回だけしか経験できていないんです

佐藤 あれだけ人気作品の主題歌をたくさん歌ってきたのに、コロナ禍だったとはいえさすがに少なすぎると思うんですよ。

nonoc 私にとっては「理由はわからないけれど動きたくても動けない」のが当たり前の状態でしたね。「NEW WORLD LINE」に来てからは、ノンタイアップでも新曲をリリースできたし、ライブやイベント出演だったりカバー動画も含めて歌を歌える機会が増えました。そして11月30日にはようやくデビュー5周年記念ワンマンライブをやらせていただけることになりました。やっと長年の夢が叶うような心境なんですよ。やっと私自身の音楽活動がはじまるような、そんな心境なんです。

新曲「ドアの向こう」で表現されたnonocの現在と未来への希望

冨田 まさに「ドアの向こう」で表現されている心境ですね。新しいスタートを前に、湧き上がる期待と幸福感を噛み締めているような。

nonoc はい(笑)。幸せな歌詞が書けて本当に良かったなって。でも「ぱーっ!」と明るい笑顔というより、「にへら」と笑っている感じです。じわーっと込み上げる幸せを感じて「ふひひ…!」ってなっている感じ(笑)。

佐藤 この曲のプリプロをやったんですよ。僕がワンコーラスのデモを作って、でも最初は歌詞がなくて。プリプロだし「ラララ♪」で歌ってもらえばいいかと思っていたんです。そこで初めてnonocに曲を聴かせたんですけど、「あ、なんか歌詞書けそうです」って言ってきて。僕も「え?」ってなりまして。「私、歌詞を書くので佐藤さんも別のことしていてください」って言われたので、じゃあ僕はフルコーラスを作ろうと。2時間後にはワンコーラス分の歌詞と、フルコラースのデモが出来上がっていたんです。

冨田 お二人ともさすがですね……。

佐藤 nonocが書いた歌詞を読んで、メロディと当てはめて聴いた瞬間、思わず涙ぐんでしまったんですよね。様々な作詞家さんとお仕事をご一緒してきましたけど、良い歌詞ってある意味、理屈を超えた先にあるような気もしつつ、でも理屈にも適っているというか。そういう歌詞だと思うんですよ。

nonoc デモを聴いた瞬間に、描くべき景色が見えたんですよね。部屋が見えて、その先のストーリー展開とか、どの時系列でどの場所に行くとかまで見えて。書くべき歌詞は決まったから、あとは展開を少し加えただけです。だからすっと書けました。歩いているときに聴きたい曲だなと思ったので、歩くテンポで聴いたときに気分が良くなるような歌詞にしたいとか、そういうことも考えましたね。歌手だからどうこうではなく、みんなと同じで、部屋の中で考えごとをしたり、「私の日常が変わったよ」という誰でも共感できる要素が自然と表現できて嬉しかったです。

佐藤 完全に僕の狙いを超えた良さが歌詞で生まれていました。そのまま仮で歌を録ったんですけど、その仮歌のデータを2時間くらい延々とリピートで聴いてしまいましたから。

冨田 佐藤さん、よほど感動したんだなーと思ったのが、冒頭で言った配信番組の収録の時に「ちょっとすごい曲が出来ちゃったんで、今聴いてもらってもいいですか?」って(笑)。

nonoc 嬉しいです(笑)。そして、こうして自分が手掛けた歌詞についてのお話をじっくり聞いていただけることも今はすごく幸せです。きっとこの曲は10年後も20年後も歌っているだろうなって思いますから。

冨田 僕は今日nonocさんとしっかりお話をするのは初めてですけど、「KODO」や「Memento」の印象で、勝手に超常の人というか、超人みたいなアーティストを想像していました(笑)。でも人としての魅力、アーティストとしての才能や思考なども含めて、nonocさんに対する印象が良い意味で変わりました。でも、まだこれから届けるべき魅力があり、届けたい人がいるというのはすごく良いことでもあるので。

nonoc 本当の意味でnonocはこれから始まるんだと思います。私、シンガーとして一生歌える喉を手に入れたんですよ。

冨田 え、悪魔と契約して?

佐藤 人の寿命とか見えるの?

nonoc あははは(笑)。そんな喉を手に入れたんですけど、これからもっとすごい表現も手に入れて、まだまだ進化していきたいんです。「Memento」もセルフカバーした動画を公式チャンネルにアップしているので聴いてほしいのですが、ちゃんと進化していることを感じてもらえるんじゃないかなって。デビューしてすぐにコロナ禍になってしまって、やっとちゃんとみんなに歌を届けられるところまで来たのがこの1年。やっとここまで来れました。今考えている歌手としての目標は、ずっと変わらない安心感を与えられるこの歌声を守り続けることです。ずっと歌い続けられるアーティストが私の目標なので。

佐藤 nonocは歌唱力も高いですけど、元々の声質がすごく良いんですよ。歌声も良いし喋ってる声も良い。僕は事務所の代表として、プロデューサーとして、パートナーとして、それをファンや関係者に届けていくのが使命になりました。もっとnonocの良さが伝わる活動にしていきます。そしてこれからは待つのではなくて、自分たちで動かしていきます。タイアップに依存しすぎないアーティスト活動を、アニソンシンガーといわれる存在だって見せていかなければならないと思っています。あと、アルバムも作りたいですね。

nonoc 作りたいです!私まだアルバムを作ったことがないので。やりたいことを詰め込んだアルバム、作ってみたいです。

佐藤 今公式チャンネルで、先ずは歌でプレゼンテーションしようということで、wowakaさんの「アンノウン・マザーグース」とか、indigo la Endの「夏夜のマジック」とかのカバーがアップされていて、nonocのまだ聴かせたことのないような歌が上がっているので、ぜひチェックしてほしいです。

nonoc そして何より、11月30日の5周年ライブにはぜひ来てほしいです。バンドを背負って歌うことすら私には新鮮な経験なのですが、だからこそ私にとって大きな一歩を踏み出す、とても大切な時間になると思っています。フェスに出ても出演時間が限られているからなかなか自分の話ってできなかったのですが、ワンマンならできますよね?自分が立ちたくても立てなかったステージ、どんな心境になるかまだ全然わからないんですけど(苦笑)、みんなに会いに来てほしいです。


●リリース情報
nonoc 8th single
「ドアの向こう」

配信中

配信リンクはこちら
https://sprayer.jp/link/ayye3W39

●ライブ情報
nonoc 5th anniversary SPECIAL LIVE『”N”ew Phase』
2024年11月30日(土)代官山Space Odd

一般発売中

イープラス
https://eplus.jp/nonoc/

ローソンチケット
https://l-tike.com/order/?gLcode=70369

チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=JB110008

関連リンク

NEW WORLD LINE 公式サイト
https://newworldline.jp/

nonoc 公式サイト
https://nonoc.bitfan.id/

nonoc 公式X
https://x.com/nonoc_doll

nonoc 公式インフォメーション X
https://x.com/nonocnanoda

nonoc 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@nonoc_official

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