リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2024.11.23

TVアニメ『青の祓魔師 雪ノ果篇』EDテーマ「ツララ」でメジャーデビュー!謎多きバンド・Yobahiがリスアニ!初登場!

TVアニメ『青の祓魔師 雪ノ果篇』EDテーマ「ツララ」でメジャーデビュー!謎多きバンド・Yobahiがリスアニ!初登場!

また新たな才能が“夜”から生まれた。岐阜県出身の3ピースバンド「Yobahi」(よばひ)。「眠れない夜、あなたを奪う」をコンセプトに、孤独な夜に寄り添う、物語性の強い楽曲を産み出してきた。そして、現在放映中のTVアニメ『青の祓魔師 雪ノ果篇』EDテーマであるミディアムロックバラード「ツララ」をきっかけにメジャーフィールドへ。11月27日には「ツララ」をタイトルに掲げた6曲入りE.P.をリリースする。

顔出しはしておらず、今のところ情報も限られている謎多きバンドではあるものの、その存在に注目しているリスナーは多い。事実、東京のライブにも多くのファンや関係者が詰めかけていた。その東京でのライブの翌日、Nakatsu(Gt.Vo.)、Nagare(Gt.)、King(Dr.) への取材で、彼らがのルーツや、制作の裏にある熱い思いが明かされた。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

Yobahiが生まれるまでの紆余曲折の物語

――リスアニ!では初のインタビューということで、バンドの成り立ちについても教えて下さい。2020年に岐阜県で結成をされたんですよね?

Nagare はい。もともと、僕とNakatsuで前身となる4人組バンドを組んでいたんです。もうちょっと元気で勢いのある音楽性で、数年間活動していました。さらに遡ると、僕とNakatsuとは高校の同級生で、出席番号が前後だったんですね。

――それはもう、プリントがまわってくるたびに話すような感じですか。

Nakatsu 残念ながらプリントのやりとりしかしない仲で、当時は全然仲が良くなかったんですよ(苦笑)。

Nagare そのとおりで、少し距離があるような関係ではあったのですが……当時、GReeeeNさんの影響で「自分も音楽をやってみたい」と思っていたタイミングで、「Nakatsuがエレキギターを始めたらしい」と聞き、思い切って「アコギを始めたいんだけど教えてくれないか?」と声をかけたんです。そしたら「一緒に楽器屋に行ってやる」と言ってくれて。でも、欲しかった茶色のアコギじゃなくて、渡されたのは黒いエレキ。

Nakatsu 「新しいタイプのアコギだから」と(笑)。

――騙された?(笑)

Nagare 僕は何も分からないので「そういうものなのか」と(笑)。あとから知ったのですが、Nakatsuはバンドをやりたかったみたいで、誰か一緒にやれる人がいないかなと探していたそうなんですよ。

Nakatsu 僕らが通っていた高校はスポーツに特化していたんですね。学祭でもバンド演奏が禁止されているくらい厳しい環境で、音楽仲間を作るなら自分たちでどうにかするしかなかったんです。それで「いた!」と(笑)。

――そうしたらお2人とも強豪校のスポーツマンだったんでしょうか。

Nakatsu はい、僕は野球部、Nagareは卓球部でした。今では想像できないくらい身体を動かしてましたね。

Nagare 2人そろって坊主でしたしね。しかも、Nakatsuは野球部ということもあってクラスで目立つ存在だったんですよ。だからこそ「いけすかないやつ」なんて思っていました(笑)。そんな紆余曲折もありましたが、 それをきっかけに、一緒に音を出すようになって、2ヶ月ほどオリジナルのバンドをやりました。ただ、その後はそれぞれ進路が分かれてしまったんです。で、彼(Nakatsu)は関東の大学に行って、オリジナルバンドをやってて。僕はNakatsuのライブを観に行くファンの立場になったんです。

――そこから、また一緒に活動するきっかけがあったんですか?

Nagare Nakatsuのバンドが解散するタイミングで、「本気で音楽をやりたいから、岐阜に戻って一緒にギターを弾いてくれ」と言われたんです。結局ギターは高校時代の2ヶ月間しか触ってなくて。ギター初心者の僕にそう言ってくれるなんて本当に驚きましたが、そこからまた一緒にバンド活動を始めることになりました。それが最初に話した前身バンドです。

――NakatsuさんはなぜNagareさんに声をかけたのでしょう? その才能を見込んで?

Nakatsu 直感的に「こいつがいればなんとかなるだろうな」と。同級生の中でものすごく順調に仕事をしていたのがNagareで、当時は営業マンとして既に実績を残していたんですね。間違いなくバンドに入れるべき存在だなと思っていました。特に今の時代はプロモーションも自分たちでしないといけませんから……なんて、その頃は深く考えてなかったですが(笑)。

――その後、仕事はどうされたんですか?

Nagare きっぱり辞めました。僕自身、友だちとしてだけでなく、ボーカルとしてのNakatsuが作る音楽に惹かれていました。彼の楽曲を支えられるなら、僕の人生、そっちのほうが楽しいなって。勢いもありますね(笑)。

Nakatsu 声はかけたものの、まさか即決するとは思わなかったんですよ。「結構ぶっ飛んでるな」とは思っていました(笑)。

――少し話が前後しますが、Nakatsuさんはバンドに対して、どのようなビジョンを持っていたのでしょうか。

Nakatsu 学生の頃にバンド活動をする中で後輩の女の子から「何が目標で音楽をやってるんですか」と聞かれたことがあって。それがすごく引っかかったんですよね。なんなら未だに残ってるくらいで。パッと答えられなくて、すごく悔しくて。そこで改めて考えたんです。目標を明確にしないといけないなと。

――その質問がきっかけで目標が明確になったのですね。実際どうなんでしょう。

Nakatsu  もともとRADWIMPSさんが好きで、とあるライブに行ったことががきっかけで「自分もこんなふうに人を惹きつけたい」と思うようになったんです。僕がライブで好きな瞬間って、(客席の)前のほうに行って、後ろを見ることで。その時も同じことをしたのですが、何万人もの人が4人の音楽に熱中するってすごいことだなと思いました。それで翌日、その後輩には、当時のライブについて前置きした上で「3万人規模のライブで、自分たちの音楽を鳴らしたい」と話しました。その想いで、これまでも活動しています。

Nagare 実は僕もそのライブにNakatsuに誘われて行っていたんです。夜行バスで名古屋から向かった、本当に衝撃的なライブで。僕たちの原点となるライブだったと思います。

――ちなみに、RADWIMPSの他にはどのような音楽に興味があったんですか?

Nakatsu  もとを辿ると、僕自身はクラシックやジャズから入っていて。母は特にジャズが大好きだったので、自宅ではずっとそういう音楽が掛かっていました。僕は姉と妹の間に挟まれた環境で育ったこともあって、ピアノも習っていたんです。J-POPに出合ったのは少し遅かったくらいで、GReeeeNさん、ファンキーモンキーベイビーズさん、YUIさん、レミオロメンさんなどをよく聴いていました。そうした中、RADWIMPSさんに出会ったときは衝撃を受けました。歌詞やリズムの変化、アーティストが自分のために作ったような楽曲で、音楽の幅がこんなにも広がるのかと感動しました。

――Nagareさんは先ほど、GReeeeNの名前を上げていましたが、もともとはどのような音楽を聴かれていたのでしょうか。

Nagare 僕は2人(Nakatsu/King)のように小さい頃から楽器に触れる経験はまったくなくて。幼少期は家にSMAPさんやKinKi Kidsさん、嵐さんのDVDが並んでいて。母が大好きで、小さい頃はその映像を見ながら歌って踊っていました。僕の中では音楽はポップでキラキラしたイメージだったんです。だから、正直Nakatsuからロックを勧められるまで、偏見があったところがあって。

――ライブハウスに行ったとき、結構な衝撃があったんじゃないでしょうか。

Nagare はい。ライブハウスではないのですが、初めて全身で音楽を浴びた経験というのが、cinema staffさんの野外ライブで。そのとき、偶然にも近くのスタジオでNakatsuと練習してて、休憩中に外に出たらcinema staffさんがライブをやっていたんですね。通りかかっただけではあったのですが、その迫力と爆音に圧倒されました。「自分たちの音とまったく違う」と。

――運命的な出会いですね。Kingさんはどのようなバックボーンを持っているのでしょうか。

King 僕は父親がドラムをやっていた影響で、小さい頃からビートルズや父のバンドの音源を聴いて育ちました。そこから自然にJ-POPにも興味を持つようになりましたね。で、高校で洋楽にハマって、大学で初めてバンドを組んで……って感じでした。いちばん影響を受けているのはヨルシカさんです。

――もともとはサポートとしてYobahiを支えてきたKingさんは、Yobahiのどのようなところに惹かれたのでしょうか?

King 初めてスタジオで音を合わせる前日に楽曲を予習して。そのときに「この曲めちゃくちゃ良いな」と思ったんですよね。なにか惹かれるものがありました。言語化できないんですけど。

Nakatsu 「言語化できない」って言ってもらえるのは、なんか嬉しいな。

Nagare Kingは僕らより年下なんですけど、いちばんしっかりしているんですよ。クールなんだけど、熱さもちゃんとあって。以前から「ぜひ(正規メンバーとして)入ってほしい」という話をしてて、やっと口説き落とせたような感じですね(笑)。

King 僕はサポートとして関わっていた時期が長かったので、メンバーになってからは責任の重さを感じています。SNSでの発信や楽曲の制作にも、より真剣に向き合う必要があると実感しています。気が張っているような状態ですね(笑)。

――ところで、バンド名のYobahiにはどういう意味があるんでしょう?

Nakatsu 音楽活動は夜に集中することが多かったんですよね。好きなアーティストの曲を聴いて、そのまま朝になる、ということも。そういう夜を過ごしていくなかで、寝られない日も増えてきて、「音楽で夜を奪われているな」という話になって。ならば「夜を奪う側になれたら」という思いが生まれました。それに加えて、僕らはヨルシカさん、YOASOBIさん、ずとまよ(ずっと真夜中でいいのに)さんなど、夜界隈のバンドが好きで。僕たちもここに入りたいなという思いもありました。それで、“夜を奪う”の古語をそのままアルファベット表記にしました。他にない響きも良いなと。「よば」ではじまる言葉も、「ばひ」で終わる言葉もほとんどないので、初めて聞いたときに「なにその言葉?」というくらい印象に残るんじゃなかなと。

――ライブにも言えることではありますが、MVも物語性がすごく高くて、惹き込まれるものがあります。やはり映像は自分たちを表現する大切な要素にもなっていますか。

Nakatsu そうですね。僕たちが思いっきり演奏しているMVもいいとは思うんですけど、顔出しをしていないので、それよりは、映像を通じて物語性を伝えたいと考えています。クリエイターさんが考えてくださった映像と音楽が合わさることで、より深く楽曲に入り込んでもらえると思っています。おっしゃってくださったとおり、物語性というのは意識していているので相性が良いのかなと思います。

――相性に関しては、アニメのタイアップに関しても言えそうですね。『青の祓魔師』はもともとお好きだったとうかがっています。アニメ音楽にも興味はあったのでしょうか。

Nagare そうですね。Nakatsuがアニメが大好きなので、「これは見たほうがいい」と勧められるんですよ。昔「絶対これは見たほうがいい」と、『弱虫ペダル』を隣で見せつけられたことも(笑)。『コードギアス 反逆のルルーシュ』もNakatsuからのオススメで好きになりました。先日FLOWさんのライブに行く機会があって、感動しましたね。

Nakatsu ルルーシュ役の福山 潤さんは『青エク』の雪男役でもある。震えますよね。すごく嬉しいです。

King 影響を受けたという意味で言うと、時期的には前の曲になりますが、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』主題歌の「Catch the Moment」(LiSA)が心に残っています。それをきっかけに『SAO』を見るようになったんです。弟がもともと好きで、それで僕がたまたま耳にしたような感じだったと思うんですけど……。

――弟さんは、同郷のLiSAさんと同じレーベルからメジャーデビューしたことを喜んでいるのではないでしょうか。

King あ、言ってないかも。

NakatsuNagare えっ!?(笑)。

King 知ってはいると思うんですけど……。

――(笑)。『青エク』も奥村 燐と奥村雪男という、まさに兄弟の物語で。エンディングの映像は胸がキュッとなりました。

Nagare 僕も男兄弟で育っていて、弟がいるんです。だからこそ、燐と雪男の関係性は良いなと思いますね。兄が弟に対して感情を出す感じは分かりますね。……少なくても、うちはそうです(笑)。

次ページ:「ツララ」が生んだ奇跡

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP