INTERVIEW
2024.11.27
――ライブへのゲスト出演、楽曲提供、お互いの楽曲でのコラボレーションと、この4年間でどんどん濃い関係を築いている皆さんですが、ここでまた新たなコラボレーションが実現しました。BURNOUT SYNDROMESの5thオリジナルアルバム『ORIGAMI』は、FLOW、東山奈央さん、ASCAさん、halcaさん、niLLさん、石崎ひゅーいさんなど、多彩なアーティストとのコラボナンバーを収録しています。そしてなんとリード曲の「Xross Road(×CHiCO)」」で、『TOKYO』収録の「逢いたい逢えない feat.CHiCO」に続く、2度目のコラボが実現しました。
熊谷 色々な方々とのコラボ曲を収録したアルバムの構想は、結構前にありました。2022年にBURNOUT SYNDROMES×FLOW名義の「I Don’t Wanna Die in the Paradise」を配信で出し、その後もASCAさんとの「KUNOICHI」や東山奈央さんとの「魔王」を出し……と続く中で、この流れなら、次のアルバムはきっとコラボアルバムになるだろうなと。「逢いたい逢えない」のあとも、CHiCOさんにはぜひまた参加してもらいたいとずっと考えていたので、それならば、ぜひリード曲でバチッと歌ってもらいたい。そこで「Xross Road」を書きました。
CHiCO 嬉しかったです、またお声がけいただいて。しかもそれがリード曲。大役すぎて、私で本当にいいんですか?とびっくりしました。
熊谷 いや、そこはCHiCOさんでしょう。
廣瀬 うんうん。
石川 CHiCOさんしかいないでしょう!と、満場一致でしたよ。
――作詞・作曲はもちろん熊谷さんですが、どんな曲にしようと考えました?
熊谷 実はこの曲、CHiCOさんに楽曲提供させてもらった「イバラヒメ」と並行して書いていまして。「逢いたい逢えない」を含めた3部作のように考えていたんです。“もしもCHiCOさんが〇〇だったら?”が大きなテーマにした。「逢いたい逢えない」は切ない恋愛物語の中のCHiCOさんでしたし、「イバラヒメ」はCHiCOさんがアイドルとして世に出ていたら、こういう曲を!がテーマでした。逆に「Xross Road」は、アイドルとかアーティストではなく、普通の音楽が好きな女性として生きている姿を書きたくて、“もしも僕らとCHiCOさんがバンドを組んでたら?”をテーマにしました。
――確かに曲調がとてもストレートなギターロック。歌詞には、夢に向かっていくアマチュアバンドの日常が描かれていて、忘れていたものを思い出すような気持ちになりました。BURNOUT SYNDROMESには珍しいタイプの楽曲ですよね。
熊谷 数年前に1曲だけ、「世界を回せ」というバンド賛歌を書いたんです。バンドって楽しいなという感じのそこで今回は、もうちょっとリアルなバンドものにしたかったですね。駆け出しの頃の辛さが自分的にはリアルだったので、そういう物語をCHiCOさんと一緒にやれたら面白だろうと。
CHiCO その熊谷さんの発想がすごいですよね。
石川 パラレルワールドですもんね。僕にとっては、夢が叶ったような気がする曲でした。元々、BUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きだったので、バンドって4人でやるもんだと思っていたんです、最初。だからCHiCOさんと僕らで4人組というのが、嬉しかったなぁ。
CHiCO BURNOUT SYNDROMESは4人組にしたかったんですか?
石川 そうそう。最初に熊谷に声を掛けたのは僕なんですけど、ギターだけやってもらうつもりで彼を誘いましたからね。そしたら、いつの間にか3ピースに(苦笑)。
熊谷 (ボソリと)俺はストレイテナーが好きだったから、3人で良かったの!
廣瀬 意見が合わない(苦笑)。私は、もしかしたらこういう世界線があったのかな?ってまず思いました。あと、自分たちが辿ってきた道も歌詞に書かれているように、本当にこんな感じだったのですごくリアルで。結構、感情移入しながらドラムを叩きましたね。
――歌詞に目をやると……明け方に24回払いで買ったギターを背負って貸しスタジオで練習し、夜中に車を走らせて向かったライブハウスでリハーサルをしたけど、本番にはお客さんがいなくてフロアはスカスカ。でもかけがえのない仲間と出会えて、“「この光がいつか世界を照らす」”と信じて、バンドを続けていく。そんなバンドライフが、描かれています。
熊谷 はい。ギターは24回払いではなかったですけど(笑)、書いたことはほぼノンフィクションです。
CHiCO そうなんですね!
石川 めちゃくちゃわかりますね。歌詞は、なかでも最後の“全ての「はじめまして」を大切にすると あの日の十字路に誓う歌”というフレーズが好きですね。
CHiCO 素敵ですよね。
石川 熊谷がこれをあえて歌詞にしたことが、ヤバい誓約書やと思っていて。こう言ってしまったら、絶対に大事にしないといけない言葉だし、本気でそう思ってないと書けない。リード曲で“俺は全ての人を大事にする!”と歌い切っているアルバムって、すごくいいですよね。
熊谷 うん、思ってますよ。そもそもこのアルバム全体のテーマというのが、“×=クロス”なんです。クロス=交差ですから、クレジットでコラボ相手を“(×CHiCO)”のように表記したのもそのためで。だからリード曲のタイトルも「Xross Road」なんです。だからこのタイトルが、アルバムのテーマそのものでもあるんですよ。
石川 そうだったの!?
CHiCO そうだったんですね!
――もしかして、今初めて聞きました?
廣瀬 もうそこまで読めてないよね(苦笑)。
石川 伏線が多すぎてね(笑)。
熊谷 私が東京に出てきたのが4、 5年前くらいで、そこから人脈が広がっていった感じがあるんですね。それまでは、メンバー以外の友達もほとんどいなくて、ずっと家に籠もっていたし、飲み会とかにも行かずに、ずっと音楽漬けでした。でも東京に来て、CHiCOさんを含めて「この人の歌い方すごいな」とか「いい曲を書くな」と思う人にたくさん出会えました。そこから人との縁や絆を大事にするようになって、このコラボアルバムに繋がったと思うんですね。その始まりの歌として「Xross Road」を書いたんです。
石川 確かに僕ら、そうなんですよね。上京する前は、対バンライブの相手はみんな敵だと思っていたから、打ち上げにも出なかった。自分たちが一番だ!と思っていたんですけど、熊谷が言うように4,5年前……特に海外に行き始めてからは、それまで交わらなかったいろんなアーティストの方と交わるようになりました。その時の「はじめまして」からの繋がりは、全員が大事にするようになりました。
CHiCO 私もそうです。去年、それまでのCHiCO with HoneyWorksから飛び出してソロ活動を始めたからこそ、こうしてBURNOUT SYNDROMESさんとも、たくさんコラボする機会をいただけて。自分が音楽をやってきた中で、味わうことのなかった経験をさせてもらっているので、皆さんにとても共感できます。大変なこともたくさんあるけど、バンドだからこそ経験できる“最高”の世界線を、「Xross Road」という楽曲を通して体験できて、すごく嬉しいです。
熊谷 今のバンドが、私達と同じ景色を見たかどうかはわからないですけど、“何のために自分がこれをやってるんだろう?”と思ったり、“でもやっぱり続けていくんだ”と決意したり……それは時代が違っても、例えそれが音楽じゃなくても、こういう駆け出しの感情自体は、普遍だと思います。
――久々の音源でのデュエットになりましたが、ボーカリストのお二人のレコーディングは、いかがでした?
CHiCO 一番難しかったのは、最後のほうの“「二人の出逢いは運命だった」と 言えるよ今なら”のパートでした。全体的にも難しいところは多いんですが、まずはそこをどう歌いこなそうかと。「逢いたい逢えない」はバラードでしたけど、今回はロック。どのくらいの温度感で歌ったらいいのかな?というのも、悩みましたね。
熊谷 でも、レコーディングではほぼ一発OKだった記憶がありますね。私にとってはCHiCOさんは「プライド革命」のイメージが強いので、ギターロックは得意球だろうと思って書いた曲でした。なので、実に想像通りのテイクをもらえて、嬉しかったですよ。
石川 お互い得意なキーは違うはずなのに、ナチュラルにデュエットが決まるのは、すごいと思いましたね。熊谷の作り方もすごいし、CHiCOさんの歌い方もすごい。
熊谷 ユニゾンするところは、CHiCOさんにガン!といってほしかったので、ちょっと熊谷が無理して高めに出して、CHiCOさんだけになる瞬間は、もっと高いキーにして女性らしさを出してもらって、熊谷だけのところはちょっと下げて……という作り方をしてますね。
――演奏のほうは、どうでした?
石川 いや、それが普通にめっちゃムズいんですよね(笑)。
廣瀬 そう、そうなんです。こういうギターロックって、大体サビはシンプルなアレンジが多いんですけど、この曲はサビで思いっきり暴れています。高校生とかが考えた“私の最強フレーズ”みたいなのがパンパンに詰まっているから叩くのは大変なんですけど、楽しいところもあるから、ライブでどうなるか自分でも楽しみですね。
石川 そうなんです。おそらくライブでCHiCOさんと一緒に合わせてみてから、生でどう弾いていくかを決めたいから、ライブで聴く「Xross Road」は、音源とはちょっとまた違ったものになると思います。
――熊谷さんがこだわったところは?
熊谷 サビのアレンジですかね。私、細かく展開させるよりも、コードをぐるぐる回して洋楽っぽい作りにしたいので、この曲はサビが相当長いんです。なので、サビを4ブロックに分けて、それぞれのブロックでリズムとコードを微妙に変えて、ぐるぐるしながらも飽きないサビを工夫しました。
廣瀬 そこです、難しいのは(笑)。でも作曲した人にしかわからないリズムの重ね方とかもあるので、叩いてみて、新しい発想だと思うところもたくさんあるんですね。だから、やってて楽しい曲ですね。
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