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INTERVIEW

2024.11.20

「まだまだ王道を行きます」──最新の“大西亜玖璃らしさ”を表現した7thシングル「アウフタクト」その制作過程を語る

「まだまだ王道を行きます」──最新の“大西亜玖璃らしさ”を表現した7thシングル「アウフタクト」その制作過程を語る

大西亜玖璃が楽曲制作チームとともに作り上げるアーティスト像はユニークだ。ジャンルとしては“アイドル”とカテゴライズされるものが多いが、本人の嗜好やキャラクターを生かして、独自の路線を邁進しながら多くのリスナーを魅了している。7thシングルに収録された「アウフタクト」と「Fall in you」も、キュートでありながら大西亜玖璃らしいアクセントが仕込まれ、絶妙に味のあるポップソングとなっている。2曲ともに初披露の場となったファンミーティング“おおにし幼稚園 あぐぽん先生!”(2024年8月10日開催)での感触も交えながら、楽曲制作の裏側を探る。

TEXT BY 清水耕司

運命を切り開く主人公リオの姿を想像しながら

――「アウフタクト」はTVアニメ『精霊幻想記2』OPテーマとなりました。まずはこの楽曲が届いたときのことから教えていただけますか?

大西亜玖璃 事務所からのメールで「『精霊幻想記』第2期のOPテーマ曲の資料です」「レコーディング日時などの詳細は後ほど」みたいな感じで届いて、私がOPテーマを担当することもそのときに知りました。それ以前にも、『精霊幻想記』の第1期が終わるときに第2期決定という告知は出ていたので、(大西が演じる)「千堂雅人くんはまた出てくるかな」「たくさん出演できたらいいな」と思っていたんですけど、放送がいつになるのか、誰が楽曲を担当するのかなどは未知の状態でした。

――第1期の「Elder flower」では大西さんがエンディング担当だったので、オープニング担当と聞いたときは驚きもありましたか?

大西 ありました。主題歌を担当できること自体がすごいのに、今度はオープニングというところで。それと、1期ではエンディングが流れたのが第2話からだったんですが、今度はオープニングということで1話から流れるかな、というのも楽しみにしていました。

――アニメサイドから何か要望があったかどうかは聞きましたか?

大西 アニメではオープニングにハイライトシーンを差し込むということでセリフが流れるので、それならば楽曲にもセリフを入れたらいいのではないかという案をいただいた、とお聞きしました。「Elder flower」でも、イントロを長くするというアイディアはアニメサイドからいただいたので、今回もアニメ制作チームの方々が楽曲作りに対しても熱心で、ありがたいなと思いました。

――レコーディングではどう歌おうというイメージが浮かびましたか?

大西 最初に曲をいただいたときは最後のセリフが2~3行はあったので、どうやって表現しようかなって考えていました。急に話し出す感じでしたし、そこで言っている内容も、「汗や涙を全て力にして前に進んでいこう」というもので熱かったので、どういったテンションで言えばいいのかすごく悩んじゃいました。私の楽曲ではあるけれど、私は熱いタイプではないので(笑)。

――大西亜玖璃として歌うかどうかで迷ったんですね。

大西 結果的にはセリフがシンプルになって、内容も「素直に一緒に進んでいこう」という気持ちで言えるセリフになったので、歌いやすかったですね。

――“まだ見ない、未来に行こう”はシンプルでストレートですよね。レコーディングでは、どんなイメージを浮かべながら歌いましたか?

大西 アニメのオープニング映像はどんな感じになるのかな?壮大なのかな?みたいな気持ちでしたね。でも、そういう感じの楽曲なのでガツンと歌いたい気持ちもあったんですけど、語りかけるようなところや、ちょっと自分が主人公になるような感覚もあったので、伸びやかさをイメージしていました。希望に満ち溢れたイメージがありつつも『精霊幻想記』のキャラクターたちは命を懸けていますし、歌詞も楽しいだけではなく厳しい雰囲気もあったので。「乗り越える力」を感じさせる歌になったら、という気持ちでした。

レコーディング時の「新鮮な私」を届けることができた

――この楽曲で特に好きな箇所や印象に残っている箇所はありますか?

大西 好きなのは2番のサビですね。“幾つにも分かれた希望”は、大変なこともあるけど、自分の行きたい未来に向かって頑張れば希望があるんだ、というのを感じました。あとは、“運命を変えられるかい?”も印象に残りました。普段、「運命」なんて考えながら生きてはいないですからね。

――それはそうですね(笑)。

大西 みんなが聴くときは、そんな大それたことを思わなくていいんですけど。でも歌うときは主人公のリオが厳しい運命の中で自分を保ちながら頑張るような姿をイメージしていました。

――大西さんにとって、「運命」ほど熱くはなくても、何か熱を帯びる瞬間ってありますか? 熱中している趣味とか。

大西 熱中ですか……あ、でも最近は編み物が好きです。熱を帯びているというよりは(編んでいる最中は)「無」になっている感じですけど。

――でも、集中しているということですよね。ちなみに始めたきっかけは?

大西 TWICEのサナさんがかぶっていたニット帽がかわいくて、ネットで検索したんですけど見つからなくて。そうしたら、LE SSERAFIMの宮脇咲良ちゃんが編んで作ったプレゼントだったらしいんですよ。「じゃあ、私も自分で作ればその帽子をかぶれるんだ」と思ったのが始めたきっかけです。

――編み物の経験はあったんですか?

大西 小学生の頃に少しやったくらいで、あんまり……。

――意外にフットワークが軽いんですね。

大西 でも今はYouTubeに教則動画などもありますし、材料も毛糸にこだわらなければ100均ショップでも揃えられるし、やってみようかなって。新しいことを始めるにしても、体を張るようなことは得意じゃないので、バンジージャンプをやろうとは思わないと思います(笑)。

――(笑)。逆に、「アウフタクト」の歌詞で共感できるポイントはありましたか?

大西 私は音楽活動をするにあたって、みんなに身近な存在だと感じてもらいたい、共感し合えることで心の拠り所になりたい、とは思っていて。この曲も、勉強や仕事などを頑張らなきゃいけない人の背中を押せる曲になったらいいな、と思いましたし、私自身も共感できました。特に1サビの3行くらい、“今輝きの目の前の期待と不安の間”とか“眩しさが正しさなのかわからないけど”ですね。私がまだ声優になる前、このお仕事が自分に向いているかどうかがまだわからないときは“期待と不安の間”にいたので。

――当時、不安を乗り越えられた理由は何かあったんですか?

大西 なんでなんでしょうね……。輝いている部分を見てワクワクしていたけど、無知だったんだとは思います。

――だから不安に。

大西 そうですね。お母さんにも心配されましたし。

――でも、それ以前から芸能活動はされていましたよね。

大西 芸能活動についての反発はなかったんですけど、私が声優について調べれば調べるほど、大ベテランになった人でもオーディションを受けなければいけない、といったことがわかってきて、「そんなに大変な世界ならやめておいた方がいい」とはすごく言われました。でも「やりたいな」と思ったから今があるんですけど。

――そういった共感ポイントもあった「アウフタクト」ですが、完成した楽曲にはどんな大西亜玖璃が現れていると思いますか?

大西 力強く聴こえる場面もあるんですけど、語りかけるような表現もあるし、親身になれるようなところもあるし、割と大きな声で元気よく歌っているようないつもの自分とは違うけど、これも私らしい楽曲だと感じます。

――等身大な?

大西 そうですね、正確には「去年の私」です。去年の6月くらいにレコーディングしたんですけど、当時「すぐ出したいね」という話をみんなでしていました。新鮮な私を届けられたので。

次ページ:「夢の世界」をイメージした神秘的なMV

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