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INTERVIEW

2024.11.22

【連載】May’n Road to 20th Anniversaryインタビュー連載「Crossroad」:第3回 佐藤涼子(りょんりょん先生)

【連載】May’n Road to 20th Anniversaryインタビュー連載「Crossroad」:第3回 佐藤涼子(りょんりょん先生)

引き出しを持つ大切さを知って歌がより楽しく

――お二人を見ていると、親子のような、姉妹のような仲の良さを感じますが、それは佐藤先生が先に心を開いた状態で接したことでMay’nさんも心を開くことができたように思えます。「水臭い」ことはせずに。

佐藤 私は最初から100%心を開いて、喋って、良い見本になっていますから。

May’n 私は小学生くらいからずっと、人と出会うとまずシャッターを閉じるタイプだったんです。ご挨拶したり少し話したりして、大丈夫だと思えたらシャッターを少しずつ開けていくんです。でも、小学生や中学生なら毎日会うからそれでもすぐに打ち解けて友達ができますけど……。

佐藤 うんうんうん。

May’n ファンの方やスタッフさんの場合、次に会うのが何ヵ月後かもしれないし、何年後かもしれないし、それでは仲良くなれないですよね。私もシャッターを開くタイミングがわからないし。やっぱり最初から開けた状態でご挨拶できることが重要なんです。その大事さに気づかされましたし、それができるようになったら人と会うことがすごく楽しくもなったんです。それに、10年前よりもファンとすごく仲良くなれている感覚は確実にあります。

佐藤 でもそれは自信をつけたからなのよ。

May’n そうですね。多分、シャッターを閉じるのは「私のことを見ないで」という意味だったんです。私はポジティブシンキングで、自己肯定感も高いつもりでしたけど、自分でありのままの自分を認められたから開けられたんだと思います。今はステージ上でも自然体の自分でいられるので、MCで思っていることがなんでも言えるようになりました。最近では「物言いが激しい」ってファンに言われるくらいに(笑)。

佐藤 そうなると楽しいじゃない?それができないからスターたちは心を病んでいくんですよ。やっぱり、「自分も同じ人間だ」というところに身を置けることが大切なんですね。

――今のMay’nさんは心身ともに健康な状態にある=高いパフォーマンスを発揮できる、ということですが現在のレッスンはその状態を維持することが主な目的なのでしょうか?

佐藤 喉の奥がまだ開いてない人ならば、レッスンでは開かせる発声を重要視しなければいけません。そこをバーンと解放することで声が大きくなり、歌にバリエーションを出せるようになるので。でもMay’nちゃんはそこをすべて通過していて、発声練習もストレッチもしっかりやっています。なので、「そこは喉が痛くなるからこうやって歌って」といったお医者さん的なアドバイスをしながら発声練習を歌に繋げていく、というのが私の役目ではありますね。10年もの付き合いなので、彼女に何が必要なのかはもうわかっています。不得意なところを導いたり、1回歌ってもらってからチェックしたりしますけど、でも、弱点があったとしてもそれが個性になればいいんですよ。どこを直して、どういったバリエーションを足してあげるか、その工事をレッスンで行っています。個性も大事にしながら歌を変えてくれる先生は少ないと思いますよ。その自負はありますね。

May’n だから、新曲が歌いづらいときは相談するときもありますし、ライブ前にその工事をお願いするときもありますけど、最近ではたくさん歌ってきた曲ほどわからなくなることがあるので、そういう曲をレッスンしてもらっていて。「ライオン」とか、あとは「ダイアモンド クレバス」とか。歌えば歌うほど、歌いたい形が見えてくる気がするので。

佐藤 「前の歌い方を変えたい」と思うんだよね。

May’n そうですね。そういうブラッシュアップが最近は多かったです。それから、「graphite/diamond」が生で歌えるようになったのは先生のおかげです。レコーディングしたときは生で歌えると思わなかったです、歌が忙しすぎて。

――歌唱力の進化と楽曲をアジャストさせている感じですね。

May’n でも、それだけではなくて。そもそもで言えば、「引き出しを多く作っておけば使いたいと思ったときにすぐ引き出せるよ」というお話をしてくださったことがすごく印象に残ったんです。私は小さい頃から歌ってきて、コンテストに出たら「上手い」と言われて、デビューしたあとのレッスンでも褒められてきたので、極端に言えば自分がレッスンする必要性に疑いを持っていたんです。でも、バラード中のバラードだからいつものMay’nとは違う歌い方をしたいと思ったとして、「そんな時にクラシックな美しい発声という引き出しがあれば楽しいよね」というお話を先生がしてくださったんです。それがボイトレに通いたいと強く思ったきっかけでした。

佐藤 いぇーい♪(笑)。

May’n (笑)。そのことは舞台をやらせていただいたときにすごく実感できました。舞台で受ける指導ってやっぱりいつもとは違うんですけど、でも、舞台での歌い方と頭を切り替えておいて、もしもJ-POPで必要なければしまっておけばいいし、もしも使ってみたいと思う瞬間があれば引き出してみればいいんです。今は引き出しを持つ大切さをすごく感じますし、引き出しを多く持つことで歌がもっと楽しくなったとすごく思います。

――10年間付き合ってきた佐藤先生の目には、今のMay’nというシンガーがどのように映っていますか?

佐藤 幼さ、かわいさ、明るさ、まるで太陽なところはずっとこのままでしょうね。変わらないし、それが良さなので変えたくないし。勿論、10代と30代では体が違うのでそこのケアは必要ですけど。でも、こうやって「うちの娘」が年齢を重ねるほどに話しがいのあるかわいい娘に成長していくのは楽しいですよ。私の身からすると、話をしたあとに「先生の悩みもスッキリした!」と言える相手になってきたということなんですね。いい具合に年を重ねて、「え?先生、それはこうじゃないですか?」とちゃんと言える存在になってきたので私の良い相談相手になってもらえています。そういう子って売れていく人たちですね。特に女子は。

――May’nさんはその実感はありますか?

May’n わからないですけど、確実に「プチりょんりょん」になっている感覚はあります(笑)。若い子にめっちゃアドバイスするようになってきたし、最近も(May’nがプロデュースしている)Abyssmareのメンバーを勝手に先生のところへ連れてきました、私がお金払って。はい(笑)。

――May’nさんがお金を払って!?今、後ろのスタッフさんからも「初耳」という声がありましたが……。

May’n 昔は、自分はこの業界に友達を作りに来たわけではない、という気持ちがあって、自分が愛情深いなんて思ったこともなかったですけど、先生から愛情深く接してもらえたことで変わってきた気がします。

佐藤 人間が深くなっているよね。こういうことがすごく大事なの、歌には。だって、取材していても昔の(シャッターを)閉じたMay’nのままだと、終わったあとの喜びが違うはずですよ。

――それは確かにそうですね。

佐藤 ボーカリストであっても人間であってほしいんです。そうならないとお仕事が繋がっていかないので。売れるために必要なことでもあるんですけど、それ以前に病まないための秘訣でもあるんですね。

――売れたけど幸せではない、というのは悲しい状況ですね。

佐藤 そうなんです。お金はあるけど幸せではないという人も結構いるので。

May’n そうですね。昔から人に嫌われないで生きていける自信はありましたけど、最近はみんなから愛されていると思えます。それって大きな違いですよね。先生が自信をたくさんくれたからだと思います。

――最後に、10年の付き合いを経て今思うことを教えてもらえますか?

May’n 20年も歌い続けてこられたのはすごいことだと思えるし、ありがたいし、達成感もありますけど、でも先生とお話しているとまだまだ課題がたくさんあると思えるんです。やりたいことがたくさん出てきて、本当に終わりがないです。今は、もっともっと歌いたいし、歌えるようになりたいという気持ちです。

佐藤 同じことを言われた(笑)。私はたくさんの仕事をしてきましたけど、もういいと満足したり、歌のことがわかったと感じたりしたことはないんです。「もっと勉強しなくちゃ」とも思うし、「こんな楽しいことがまだあるんだ」とも思えるので、いつまでも新鮮な気持ちで学びながら、進化しながら……、というのが永遠に続くんだと思います。辛い想いをしなくなることもまずないでしょうけど、だからこそ、(May’nの方を見て)一緒に楽しんで勉強していきませんか? いつまでもそばにいてね、という感じです。

May’n 大丈夫です!私、115(歳)まで生きるつもりなので(笑)。


●リリース情報
『ストロボ・ファンタジー』
発売中
発売元:Digital Double/販売元:avex pictures

【CD+Blu-ray】

品番:XNDD-00022/B
価格:2,640円(税込)

【通常盤(CD)】

品番:XNDD-00023
価格:¥1,540(税込)

<CD>
01. ストロボ・ファンタジー
TVアニメ『モブから始まる探索英雄譚』エンディング主題歌
作詞:May’n・草野華余子 作曲:草野華余子
編曲:eba・岸田(岸田教団&THE明星ロケッツ)・草野華余子

02. ウイニングショット!! feat.AYAME(from AliA)
愛知県ケーブルテレビ高校野球テーマソング
作詞:May’n・EO 作曲・編曲:EO

03. Pray
作詞:U-ka 作曲:KENT/TOMOYA(SALTY DOG)  編曲:高橋浩一郎

-Bonus Track-
戦乙女の歌
TVアニメ『モブから始まる探索英雄譚』劇中歌
作詞:つむぎしゃち 作曲・編曲:井内啓二

<Blu-ray>
M1.ストロボ・ファンタジー Music Video
M2.ストロボ・ファンタジー Music Video メイキング

●ライブ情報
May’n Special Concert 2024『May’n Xmas』
2024年12月21日(土)
会場:ヒューリックホール東京
開場:16:30/開演 17:00
音楽監督:桑山哲也(アコーディオニスト)

各プレイガイド先行抽選受付開始!
https://mayn.jp/

リスアニ!LIVE 2025
2024年1月24日(金)・ 25日(土)・26日(日)
会場:日本武道館
May’nは2日目の1/25に出演決定!

“リスアニ!LIVE 2025”公式サイトはこちら
https://www.lisani.jp/live/

May’n Acoustic Tour 2025 『Hang jam vol.5』
2025年2月4日(火)/ビルボードライブ大阪
2025年2月22日(土)/名古屋ボトムライン
2025年3月7日(金)/ビルボードライブ横浜
詳細は後日発表となります。

関連リンク

May’n オフィシャルサイト
http://mayn.jp/

May’n レーベルサイト
https://www.digitaldouble.co.jp/artists/mayn

May’n X
https://twitter.com/mayn_tw

May’n STAFF X
https://twitter.com/MaynStaff

May’n 公式YouTube
https://www.youtube.com/user/MaynOfficial

May’n OPENRECチャンネル「今夜はフルコースで!」
https://www.openrec.tv/user/maynfullcourse