――先行配信楽曲の第2弾「万有引力」は、未来古代楽団の砂守岳央さんが楽曲提供した壮大な世界観のナンバー。砂守さんとの制作は今作が初めてですが、出会いに関してちょっとしたエピソードがあるらしいですね。
HACHI そうなんです。ちょっとスピリチュアルな話になってしまうのですが(笑)、私は夢占いが好きで、起きたときに夢を覚えているとその意味を調べがちなのですが、ある日、びっくりするくらい大きい満月の夢を見たんです。で、調べたら満月の夢は吉夢ということだったので、「吉夢なのはいいんだけどデカすぎてちょっと怖い」みたいなことをXにポストしたら、その少し後に砂守さんからフォローをいただいて「本当に吉夢だった!」ということがありました(笑)。そのポストがきっかけというわけでなく、偶然そのタイミングで、私からのフォローに気付いてくださってフォローを返してくださったみたいなのですが。
――アルバムにはもう1曲、未来古代楽団の松岡美弥子さんも参加した「檻」が収録されていますが、未来古代楽団の音楽は以前から聴いていたのですか?
HACHI はい。楽曲の世界観やサウンド感がすごく好きで、いつか楽曲制作をお願いしたいと思っていたのですが、今回、その念願が叶いました。「万有引力」はアルバムのコンセプトである“宇宙”も踏まえて“万有引力”をテーマに、歌詞はマクロの壮大なビジョンから個人的なミクロの苦悩へと繋がるようなイメージを綴っていただきました。サウンドも世界観の強い民族調のバラードに仕上げていただいて。ドラマチックな楽曲になったと思います。
――HACHIさんはしっとりした質感のボーカルということも相まって、こういった世界観の楽曲がすごく合う印象です。
HACHI 私自身、世界観が強めな楽曲、音に世界が乗る感じがすごく好きで、歌うときもその情景が浮かぶような歌を心がけていますし、聴いた人全員に同じビジョンが伝わるといいなと思いながら歌っています。それと私はコーラスワークも好きで、自分の声がたくさん重なってひとつの壮大な楽曲になる感じが好きなんです。なのでレコーディングでもコーラスの収録が一番楽しいですし、海野さん楽曲も間奏でコーラスを厚めにしていただくことが多いです。この楽曲もそういう部分を踏まえて作っていただきました。
――神秘的な歌声で、MVの世界の終わりを感じさせるような映像も込みで聴くと、さらにイメージが広がる楽曲に感じました。
HACHI あのMVは、私が終わる世界を見届けているような感じで、すごいスケール感ですよね。レコーディングでも、感情をたっぷり込めて歌うというよりは、いい意味で傍観しているような、終わり行く世界を上から淡々と見下ろしているようなイメージで歌いました。
――もう1曲の「万華鏡」は、HACHIさんの作品ではお馴染みの海野水玉さんが作詞・作曲、出羽良彰さんが編曲を担当しています。前作収録の「ビー玉」と同じ座組みですね。
HACHI これはアルバムのコンセプトに合わせて書き下ろしてもらったのではなくて、以前に海野さんが作ってくださった楽曲なんです。確か「HONEY BEES」と同じ時期くらいに、海野さんから「こういう楽曲も作ってみました!」という感じでデモを送っていただいたのですが、すごくいい曲だったので、いつか良いタイミングで形にできればと思っていて。今回、満を持してのリリースになります。海野さんの作る楽曲のすべてに通じて感じられる夏感もありますし、コーラスワークやメインメロディの抑揚の付け方を含めて、HACHIらしい楽曲になったと思います。
――透明感がありつつ、こちらも壮大な世界観を感じさせる楽曲になっています。
HACHI 歌詞のテーマとしては、地球の自転、生き物の生死、時間の循環をイメージして書いていただいていて。生きていくうえで、様々な後悔や欲の渦にいることの苦しさ、その因果を受け入れる強さ、幸福についての葛藤、そのすべてを万華鏡というモチーフに落とし込んだ楽曲になっています。万華鏡を回す動作というのはすごく小さいものですが、その小さな動きの中で目の前の世界がバッと変化していく。そのダイナミックさが楽曲にも落とし込まれていて。バーン!といくところもあればスッと下がるところもあって、それが万華鏡の広がりと縮小のようで、この楽曲はまさに万華鏡そのものなんです。出羽さんのアレンジが加わったことでより壮大になったので、歌詞の内容や楽曲の構成・展開を併せて楽しんでもらえると嬉しいです。
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