科学サイドから魔術サイドへーー。感動的カバーで蘇る『とある魔術の禁書目録』音楽

アグレッシブなサウンドから聴かせるバラードまで、『超電磁砲』の豊かな音楽性を堪能したあと、ステージ上のスクリーンにはアニメ映像が流れる。上条当麻やインデックスといったキャラクターたちによる数々シーンがフラッシュバックしたあとにスクリーンには『とある魔術の禁書目録』のロゴが映し出される。ここからは『禁書目録』の音楽コーナーのスタートだ。まず鳴らされたのはシリーズ第2期『とある魔術の禁書目録Ⅱ』後期EDテーマである黒崎真音の「メモリーズ・ラスト」。そしてステージに登場したのは、南條愛乃だ。

ドラマティックなサウンドのなかで、切ないメロディを南條が丁寧に歌い上げる。観客もそれに呼応するように黒崎のイメージカラーである紫のペンライトを灯す。サビの最後の”君の声が今もまだ ここにあるから”というフレーズはまるで語りかけるようにも聴こえた。そして最後まで歌い切ったあとに南條は天を仰ぐ。南條の想いがしっかりと込められた歌が会場を包み込む、感動的なシーンとなった。
『禁書目録』コーナー、続いてはシリーズ第1期『とある魔術の禁書目録』後期OPテーマである川田まみ「masterpiece」をfripSideの上杉と阿部がカバー。

同じくデジタルサウンドの系譜にあるI’veとfripSideだが、オリジナルのアグレッションをふたりが踏襲しながらのパワフルなパフォーマンスは新鮮かつかっこいい。終盤でのサビでハーモニーを聴かせるというのもツインボーカルならではのアプローチだ。そこから井口裕香にバトンタッチして『禁書目録Ⅲ』後期EDテーマ「終わらない歌」へと続く。ここでも柔らかな低域を聴かせる井口のボーカルが絶品で、バンドサウンドに乗せて彼女の優しくも力強いパフォーマンスに胸を打たれる。
そして今度は岸田教団＆THE明星ロケッツが登場し、『禁書目録Ⅲ』前期OPテーマの黒崎真音「Gravitation」へ。川田まみと中沢伴行が手がけるクールな激情を鳴らしたオリジナルから岸田教団らしいパワフルなバンドサウンドに客席も拳を突き上げる。

そして中盤、”Whoa”とシンガロングするパートでichigoが客席に向かってマイクを差し出し「届かせようぜ！」と叫ぶ。すると観客もステージに、あるいはそのはるか上空に向かって”Whoa”と咆哮をぶつける。その激しくも美しい合唱は、きっと彼女に届いたはずだ。そのあとはそこにsanaが加わり、『禁書目録Ⅱ』OPテーマで川田まみの「No buts!」が鳴らされる。

シリーズ屈指の人気曲に会場のボルテージはさらに上昇。ichigoとsanaのそれぞれ異なるアプローチのボーカルだが、これが実に相性バッチリで、ヒリヒリとした緊張感あふれるサウンドにもふたりのボーカルが見事ハマっていた。最後はichigoとsanaが笑顔でグータッチして、熱狂の『禁書目録』音楽コーナーは幕を閉じたのだった。

『超電磁砲』15年という歴史は過去から現在、そして未来へと繋がっていく