REPORT
2024.11.11
クララ・カレンでのClariSとしては最後となるツアー“ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~”が、10月26日に東京・LINE CUBE SHIBUYAでスタートを切った。クララとカレンの集大成となるツアーは定番のヒット曲から最新曲まで、2人の歴史を詰め込んだセットリストで初日から語りつくせぬ想いを込めたライブとなった。
PHOTOGRAPHY BY 平野タカシ
TEXT BY 金子光晴
“ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~”は10月26日の東京・LINE CUBE SHIBUYAでの昼夜公演からスタート。11月2日、3日は神奈川・カルッツかわさきで行われ、11月10日の大阪・Zepp Nambaがファイナル。そしてこの公演をもって、カレンがClariSを卒業。今回は、そんな節目となるツアーの初日であるLINE CUBE SHIBUYA公演の夜の部の模様をレポートする。
この前日、クララがリハーサル中に左膝を負傷したとの発表があった。医師からの判断で「ダンスなどの激しいパフォーマンスは禁止」とのことだったが、クララ本人の強い希望により、体に無理のない範囲内の演出で今回のツアーは実施されるという。
オープニングの後、仮面をつけた2人が登場。車椅子に乗ったクララをカレンが押して登場し、今日の公演がクララが椅子に座ってのパフォーマンスとなること、そしてこの形でも最高のパフォーマンスでライブを作り上げたいということがクララの口から語られた。カレンがクララの車椅子を押す姿はどこか微笑ましくもあり、ClariSらしい温かい空間が最初から作り出されていた。
1曲目は「コネクト -2017-」。言うまでもなくClariSの初期の名曲であり、仮面をつけて活動していた当時のことが思い出される。クララは椅子に座って上半身だけのパフォーマンスだったが、キレのある振りはいつもと変わらない。もちろんファンもいつも以上の全力コールを2人に送っていた。続く2曲目は「仮面ジュブナイル」で、サビのダンスを一緒に踊ってほしいとお願いがあり、早くも会場一体となって盛り上がりをみせた。
生バンドを披露してくれるバンドメンバーの紹介を挟み、3曲目「Prism」へ。2人が手を繋ぐ振りが印象的で、歌詞にもある“二つの奇跡”に感謝したくなる楽曲。そして“きっと”のコールで会場が1つになる「CLICK」と、ライブの定番曲が披露された。
クララが「皆さん、今日はいっぱい笑顔と元気をチャージしてくれましたか?」と会場に問いかけると、大きな歓声が返ってきた。この特別なツアーをファンも盛り上げたいという熱気が伝わってくる。カレンは「よく『2公演疲れないの?』と聞かれるけど、お昼の公演でいっぱいいっぱいいっぱいエネルギーとパワーと元気と笑顔をもらってるから、起きた時より元気!」と元気いっぱいな様子だ。
「again」「Gravity」「SHIORI」と2016~2017年にかけてのシングル曲が続き、哀愁漂う「アネモネ」が披露された。そして「Brave」では2人がペンライトを持って左右に振ったり、間奏でクラップしたりとファンと一体となって盛り上がる。バンドのソロパートもあって見せ場も十分。曲が終わると、クララがカレンの額の汗を拭いてあげるという微笑ましいシーンも見られた。
そして、ここからは発売されたばかりのコンセプトミニアルバム『AUTUMN TRACKS ー秋のうたー』の楽曲をすべてメドレーで披露。秋らしい哀愁が漂いながらもアップテンポで歌謡曲テイストのオリジナル曲「秋のグラディエント」、アイドルソングらしい振付がかわいらしい松田聖子のカバー「風は秋色」を披露。「風は秋色」では“あなたの腕の中で―”という歌詞のところで座っているクララをカレンが抱きしめ大きな歓声が起こっていた。秋の歌謡曲の定番ともいえる小泉今日子のカバー「木枯しに抱かれて」の後、クララのソロで「月のしずく」を披露し、カレンはソロで「思秋期」を歌った。やはり、カレンが1人でバラードを歌い上げる姿にどうしても切ない感情がこみ上げてしまう。
ここでクララとカレンがブルーのドレスに衣装替え。これは「Clear Sky -2024-」のMVの衣装だ。しかもウサ耳、ネコ耳をつけた姿にファンは大喜び。クララが観客にスタンディングをお願いすると、みんな勢いよく立ち上がり、ここからとっておきの盛り上がり曲ゾーンに突入する。
まずはClariSのライブに欠かせない定番曲「ヒトリゴト」で一気にボルテージを上げる。ポジティブな歌詞で笑顔になれる応援歌「Fight!!」は2人で虹をかける振りが印象的だった。続けて「シグナル」はClariSとは切っても切り離せない『魔法少女まどか☆マギカ』関連の楽曲(ゲームアプリ「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」Ⅱ部 集結の百禍編 イメージソング)、大ヒットとなったTVアニメ『リコリスリコイル』OP主題歌の「ALIVE」で近年のClariSの楽曲の多様さを示すような流れを見せた。
さらにライブで化けた楽曲の1つである「シニカルサスペンス」を披露。サビの振付もバチッと決まり、“待って”“置いてかないで”というクララ・カレンのセリフで大歓声が沸く。続く「Masquerade」ではClariS楽曲の隠れた魅力である妖しげな一面を見せてくれた。
「たくさんの愛を叫んでください!」と呼びかけで始まった「ふぉりら」は、観客の「好きー!」というコールが入って完成する楽曲。ClariSのライブではバンドメンバーが派手な動きをすることはあまりないが、この曲ではベースの黒須克彦、ギターの山本陽介もステージ前方に出てきて客席を盛り上げる。カレンが黒須に「好きー!」のコールをさせようとして避けられるというシーンも笑いを誘っていた。
そして「アンダンテ」。クララとカレンの関係を歌詞にしたようなハートフルな楽曲だが、この日ばかりはいつもと違った重みを感じずにはいられない。手を繋ぐ2人の姿も、もうこのツアーでしか見ることができない。ただ、最後の“ふたりの夢はずっと続いてく”という歌詞が、2人の明るい未来を約束してくれているように思えた。
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