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INTERVIEW

2024.11.11

来年には“リスアニ!LIVE 2025”へ初出演!麻雀歴30年のオーイシマサヨシがTVアニメ『凍牌~裏レート麻雀闘牌録~』OP主題歌に込めた想いに迫る!

来年には“リスアニ!LIVE 2025”へ初出演!麻雀歴30年のオーイシマサヨシがTVアニメ『凍牌~裏レート麻雀闘牌録~』OP主題歌に込めた想いに迫る!

多彩な音楽性で魅了するオーイシマサヨシの最新シングル「ギャンブリングホール」は、命がけの麻雀勝負が繰り広げられるTVアニメ『凍牌~裏レート麻雀闘牌録~』のOP主題歌に。アニメのダークな世界観に寄り添いながら、エモーショナルかつ劇的なサウンドが詰め込まれた「ギャンブリングホール」制作エピソードと、シングルに収録された2曲のカップリング――アプリゲーム「アズールレーン」7周年記念ソング「Sea of Wonderland」、TVドラマ「サバエとヤッたら終わる」OP主題歌「あとの祭り」を語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

麻雀好きのオーイシが闇社会を描く『凍牌』主題歌のオファーに感じたこと

――「ギャンブリングホール」は『凍牌~裏レート麻雀闘牌録~』(以下『凍牌』)のOP主題歌ですが、そもそもオーイシさんは麻雀がお好きで?

オーイシマサヨシ めっちゃやります。僕、今44歳なので、麻雀歴でいうと30年くらいになりますね。

――中学時代から卓を囲んで!ずいぶんおませさんですね(笑)。

オーイシ いやいや(笑)。僕らの学生時代って麻雀マンガが結構流行っていた時期なので、実物にも触れ合いやすかったというか。世代的には麻雀をやる人とやらない人がクッキリ分かれますけど、僕のクラスメイトはやっている子が多かったので、ちょっとしたブームだったんだと思います。

――最近は麻雀を題材にした少女マンガが増えたり、小学生向けの麻雀教室が人気だったり、女性の雀士が増えたり。麻雀に対するイメージも変わりつつありますね。

オーイシ そうですよね。数年前に競技麻雀のプロリーグ「M.LEAGUE」ができて人気が上がってから、ずいぶん変わった気はしますね。僕もこの間、番組で知ったんですけど、今は高校にも麻雀部ができている。麻雀もこう……将棋、囲碁と並ぶプライオリティになってきていますよね。スポーツとしての麻雀というか、クリーンなイメージをみんなで共有する楽しみ方が。

――そんな時世の中で『凍牌』は……。

オーイシ 令和のクリーンな麻雀の世の中に、昭和の闇社会のギャンブル観をとても反映した、すごい内容になっています(笑)。僕もそうでしたけど、熱心な読者とまではいかなくても麻雀好きなら名前を聞いたりマンガを目にしたことのある方は多いはずです。

――なにせ高校生の少年・ケイが、ふとしたキッカケで闇社会の住人と出会い、裏レートの途方もない掛け金を手に雀荘を荒らし回る……というお話ですからね。それがアニメ化され、主題歌をオーイシさんに!と聞いて、どう思われましたか?

オーイシ そもそも原作マンガの連載開始が2006年という懐かしさもあり、今これをアニメ化するんだ!という驚きはありましたね。正直、大丈夫かな?と思ったんですよ。コンプライアンスの厳しい世の中で、これを放送できるのかな?って。でもアニメを観てみたら、原作を知ってるが故に上手く表現されていると思ったし、やっぱり面白い。もう、ここまで行くと今の視聴者にもファンタジーとして消化されるんだろうなと。

――たしかに、リアルとは感じないかもしれないですね。

オーイシ 時代劇も人をバサバサ斬りますけど、“時代劇”というフィルターを通せば、一つの作品として捉えることができると思います。『凍牌』も、そもそも賭け麻雀自体がダメなんですけど、こういうマンガだったから仕方ないよね、こういう世界を描いているからこうなるよねと、任侠映画を観る感覚で楽しんでいただけると思うんですよ。ただ!毎週毎週このシーン大丈夫なのかな?というのは出てくるので、ドキドキはしています(笑)。

――主人公のケイも、イカツイ連中を相手に堂々と渡り歩く、クールなダークヒーローでかっこいいんですよね。

オーイシ クールな麻雀って、リアルでは嫌われますけどね。楽しく打とうよ!派が多いですから。

――オーイシさんはどちらのタイプですか?

オーイシ 僕は『凍牌』のケイと似たタイプですね。彼ほど強くもロジカルでもないですけど、勝負が始まると、黙々と打っています。だから麻雀の席では嫌われてるのかも(苦笑)。前は自分の番組で麻雀大会を開いたりもしたし、一時期はアニソンクリエイターと一緒によく打っていたんですが、最近は忙しさにかまけてそういう機会も減ってしまったので、ちょっと寂しいですね。

“昭和”な“任侠感”を表現するビッグバンドな歌謡ジャズには、オーイシの人生観も反映

――そんな『凍牌』の主題歌を書くうえで、まずはどこから考えられましたか?

オーイシ オファーをいただいて、ぜひやらせてくださいとお返事したんですが、改めて原作を読み進めていくと、ここまで闇の社会を描いていたことに、ちょっと戸惑ったというか。どういう楽曲にしたらいいのかな?というのは、正直ありました。普段はロボットアニメなどのヒーロー物の楽曲で、“爽やかな歌声”と褒めていただくことも多いので、このダークな感じをどう僕が表現したらいいかな?と。

――確かにダークな作品への楽曲提供は、ほとんどないですよね。

オーイシ そうなんです。自分の作品で言うと『コップクラフト』というアニメが割とダークな世界観で、その時の「楽園都市」という楽曲が、ビッグバンド系のダークなジャズな感じ。そっち系で攻めることで『凍牌』のちょっと昭和な世界観だったり、闇社会の任侠物的な世界を、拾い上げることができるんじゃないかなと着想しました。

――確かに「ギャンブリングホール」は、古き昭和のシャンデリアの輝くキャバレーで流れていそうなスウィンギーでショーアップされたビッグバンドジャズ。エンターテイナーを標榜するオーイシさんに、よく似合いますよね。

オーイシ なんかね、昔から好きなんですよね、ジャズ歌謡が。スウィングしてる日本語の歌詞みたいなものが僕も大好きだったりするんです。元々大石昌良ソロでやっているときにも、そういう曲は結構作っていまして、オーイシでも趣味が出ちゃった感じです(笑)。

――タイトルもズバリ「ギャンブリングホール」=賭博場。

オーイシ はい(笑)。ちょっと直球すぎるかな?と思ったりもしたんですよ。そもそも賭博自体が合法ではないから、令和のコンプラ的にどうなんだろう?と。でも、もっと広い目線で見た時に、「人生なんてギャンブルみたいなもんだよね!」って、よく言うじゃないですか。特に僕らなんて、言ってしまえば人気商売をやらせてもらっていますから、本当に1日1日が“賭け”みたいなもの。“人生”というテーブルの上でのギャンブルって、多かれ少なかれ誰でも経験することだなと思うんですよ。自分の意思と関係なくても、そういうテーブルに座らされてしまう時があるよね?みたいなところを、『凍牌』の世界観になぞらえて、歌詞に落とし込めたんじゃないかなと思います。

――オーイシさん自身の人生を投影した歌でもある。

オーイシ 歌で嘘は吐きたくないんですよね。僕もずっとクリーンに麻雀を楽しんできた人間なので、『凍牌』に出てくる裏レートの麻雀なんて、もちろん打ったことがない。じゃあその世界について曲を書こうとした時に、何を掛け金として乗せるかといえば……やっぱり自分の人生しかなかった。だからこの曲は自分でもすごく好きですね。歌詞にも“あなたの生き様は何万円?”と書きましたが、面白いフレーズとしても受け止められるけど、そんなふうに歌われたらドキッとしますよね?

――はい、しました。自分は何と答えるんだろうと。

オーイシ ですよね。一時期、SNSで“あなたの価値をお金にすると?”診断みたいな遊びが流行りましたけど、あれにも同じ側面があるなと思って。僕もやっぱり、自分の命っていくらくらいなんだろうな?と思う時があるんですよ。だからこそ、価値のある人生、価値ある時間を過ごしていきたいと。

――そういうメッセージが、なお胸に響きますね。他にも歌詞では、劇中でも印象的な “青天井”“ハイレート”といったギャンブル用語はもちろん、2番に登場する“波を掴め”というフレーズは、アニメ第3話から登場したケイのライバル的凄腕雀士・堂嶋を表す言葉。作品ファンならなおさらグッときます。

オーイシ 僕も少なからず“波を掴む”、波に乗るというのは大事なことだと思うんですよ。何かに挑戦するにも、そういう時は明らかに上手くいく確率は上がる。麻雀のみならずですね。その辺りは、自分のリアリティとして、歌詞に入れられるなと。この曲でも歌ってますけど、大きな流れの前では、自分の波ってめちゃめちゃちっぽけに見えたり、掴みづらくなる瞬間もあるんですよ。それもすごく“人生”だなと思いながら、歌詞を書かせてもらいました。

転調によりキーを上げていくことで、レートを青天井に積み上げる『凍牌』感を表現

――そしてオーイシさんの楽曲といえばメロディやアレンジのギミックも魅力です。今回も途中で拍が変化したり、ギミカルな転調があったりと、細かなフックが散りばめられました。

オーイシ そうですね。いわゆる“昭和歌謡ジャズ”って、そう転調することはないんですが、そこを僕らしくハイブリッドにできたらいいなと思いました。拍子を変えることもそうですね。あと意識したのは、サビに向かってどんどんキーが高くなっていくところ。『凍牌』の麻雀も、レートをどんどん青天井に積み上げていきますから、1番の“見上げれば青天井 積み上がってくハイレート”という歌詞に合わせ、転調してキーの高さを積み上げていく構成にしました。

――さっきもお話にあった“あなたの生き様は何万円?”のフレーズまで来ると、オーイシさんお得意の、とんでもないハイトーンにも驚かされました。

オーイシ あはは、そうですか。やっぱりね、歌詞だけじゃなく、曲でも意味のあることがやりたくて。そういうところも面白がってもらえたらいいし、真似してくれたら嬉しいなっていう(笑)。

――楽曲全体で、オーイシさんが特に気に入っているところは?

オーイシ 2番にある“あなたの不幸せがきっと誰かの幸せ”ですね。これ、15年くらい前に、とあるカフェに行った時にメモ用紙に書いたフレーズなんです。ご飯を運んでいた店員さんが、食器をひっくり返しちゃって、裏でめちゃくちゃ怒られていたんです。その店員さんにとっては不幸な出来事だけど、それは僕らに美味しいご飯を配膳しようとしてくれたから起きたこと。“あなたの不幸せがきっと誰かの幸せ”なんだよなぁと、それをお気に入りのフレーズとしてメモを取ったことをずっと覚えていて、今回ようやく、満を持して歌詞にすることができました。

――15年の時を経て、作品へと昇華された。

オーイシ 常にメモを取ってるわけでもないんですけど、ネタ集め的なことをしていた時期がありまして。当時はまだアナログで、ノートに書きためていたんですけど、今も大事に取ってありますね。昔のことなので、そこの言葉を中心に曲を書こうとすると変な感じになっちゃうんですけど(苦笑)、たまにこうしてパズルのピースがピタっとハマる時があって。ついにここで!と、嬉しくなりました。

「ギャンブリングホール」MVは東雲うみの女博徒姿も話題に!

――この「ギャンブリングホール」は、オーイシさんが粋な和服姿の博徒になり、クールに丁半博打を打つMVも話題です。人気グラドル・コスプレイヤーの東雲うみさんが、なんと女賭博師役で出演し、華麗な壺振りを見せています。

オーイシ 東雲うみさんには、去年、僕のラジオ(「オーイシマサヨシのMBSヤングタウン」)に出演していただき、今年は『オーイシマサヨシ×鈴木愛理のアニソン神曲カバーでしょdeショー!!』という番組にもゲスト出演してもらったご縁があって。うみさんが愛理ちゃんの大ファンだったこともあり、関係値的にもすごく仲良くなれそうだったというか(笑)。「ギャンブリングホール」の映像監督に僕がボソッと、うみさんが着物姿でサラシを巻いて、片肌脱いでサイコロ振ってたら、めっちゃ強いんじゃないかな?と言ったら、「それはいいね!」と盛り上がって、ダメ元でオファーさせていただいたんですよ。想像以上にかっこ良く演じていただきました。

――映像のかっこ良さとユーモアもあるストーリー展開が、Vシネマを観るようで面白い。オーイシさんファンの方には、和装も大好評で。演奏シーンではMVではあまり観られないガットギターを和服で弾いているのもレア感ありました。

オーイシ あ、なるほど。ガットギターは珍しいかもですね。実は「ギャンブリングホール」は、サウンドとしても、エレキ系の楽器を使わないというのが、1つこだわりでした。ベースもウッドベースだし、生の金管、生ドラムに生ピアノと、全部アンプラグドでレコーディングしたんです。なので、音源でも僕はエレキギターじゃなくガットギターを弾いています。

――個性的なボディデザインのYAMAHA・NXシリーズですね。

オーイシ そうそう、そうです。元々はエレガットで、アンプラグドでも鳴りますし、プラグドしてもめちゃめちゃいい音なんです。日本人向けの指のスケールにもなっていて、とても弾きやすい。僕が今まで出会った中でも一番好きなガットギターですね。MVのバンドシーンは生ピアノを持ち込むのは難しかったので、キーボードの見た目などは嘘を吐いてますけど(苦笑)、ビッグバンドらしさを出すアンプラグドなサウンドにも、注目して聴いていただけたら嬉しいです。

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