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INTERVIEW

2024.11.05

LiSA、TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』主題歌のデジタルシングル「QUEEN」のキーワードは“激辛”“やり散らかす”!?

LiSA、TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』主題歌のデジタルシングル「QUEEN」のキーワードは“激辛”“やり散らかす”!?

現在、アリーナツアー“ソニー銀行 presents 「LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~」[SWEET&SOUR]”で全国を飛び回っているLiSAが、TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』(以下『シャンフロ』)2nd season 第1クールOPテーマとなるデジタルシングル「QUEEN」を、2024年10月13日にリリースした。『シャンフロ』1st seasonでOPテーマを手がけた謎の覆面アバターバンド「FZMZ」のMAQUMAとHONNWAKA88から初めて楽曲提供(作曲はLiSAと共作)された「QUEEN」は、過激なサウンドでLiSA&『シャンフロ』をイメージし尽くした孤高のナンバーに!

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

『シャンフロ』1st seasonは一気に観終えた

――LiSAさんは『シャンフロ』とは初コラボになりますね!

LiSA はい。原作マンガのほうは、実は連載が始まった頃から読んでいて。その頃から、面白いマンガが始まったな!と思っていたんですけど、今回、OPテーマのお話をいただいてアニメの1st seasonを拝見したら、アニメとしてもすごく面白い作品だなと、作品に歌で参加できる喜びを感じています。

――『シャンフロ』は、クソゲーをクリアすることに情熱を捧げてきた“クソゲーハンター”の陽務楽郎が、サンラクとして大人気の“神ゲー”『シャングリラ・フロンティア』の中で仲間と共に戦い、“宿敵”と出会い、運命を知っていくお話。LiSAさんとゲーム題材のアニメでは『ソードアート・オンライン』シリーズとのコラボはもうお馴染みですが、『シャンフロ』は『ソードアート・オンライン』とはまた違うベクトルの面白さがある作品ですね。

LiSA そうなんですよ。『ソードアート・オンライン』の世界観はかなりシリアスですけど、『シャンフロ』はすごく明るいイメージ。同じようにゲームとリアルを行き来するお話ですけど、印象は随分違いますね。『シャンフロ』のほうが、よりゲームの雰囲気も“知っている感じ”があるし、私の周りには結構ゲーム好きな人が多いから、そういう子たちが夢中になる理由が、すごくわかりますね。

――登場キャラクターも明るくて痛快ですしね。

LiSA そうそう、主人公のサンラクは見た目も個性的。こうしてゲームに入り込むお話って、最初はどうしてもゲームのルールや世界観の説明をしなきゃいけないから、キャラクターの1人しゃべりが多くなるじゃないですか。でも『シャンフロ』はサンラクを演じている内田雄馬くんがすごくお上手なので、一気に2クール見終えちゃいました。あと私、全員口が悪いのに、めちゃくちゃいい声でクソゲーハンターである!みたいにクソゲー、クソゲー言っているのも好きです(笑)。

FZMZとコラボレーションしたかった理由

――そんな『シャンフロ』から主題歌のオファーをもらった時は、アニメ制作側から何かオーダーはありました?

LiSA ありがたいことにほぼお任せという形で制作させていただきました。原作を読んだ方はご存じだと思いますが、2nd Seasonは前作よりバトルが多くなるのでハードめな曲。イメージとしては、私のシングルだと「REALiZE」とか、そういう方向性かなと。ありがたいことに、自由にやらせていただける感じだったので、私もこのゲームに思い切り参加したい!と思って。

――何を一番に考えました?

LiSA 「ブラックボックス」の時も『NieR:Automata』という作品を一番よくご存じのamazarashiの秋田ひろむさんに曲を書いていただいたんですけど、『シャンフロ』もぜひ作品をよく知る方に曲をお願いしようと思いましたね。『シャンフロ』といえば、1st Seasonで「BROKEN GAMES」と「Danger Danger」(FZMZ feat. Icy)という2曲のOPテーマを担当されたのはFZMZ(ファゾムズ)さん。少年マンガ原作で、しかも放送日も日曜の夕方という王道のアニメで、最初からダークな世界観を打ち出していたFZMZさんなので、私もガンガンいかせてもらいたい!と勇気をもらいまして(笑)。だったら、FZMZさんの力をお借りするのがベストだな!と思い、FZMZのリーダー・ボーカルのMAQUMA(マクマ)さんに作詞、ベースのHONNWAKA88(ホンワカパッパ)さんに作曲と編曲をお願いしました。

――クリエイター陣が発表された時、LiSAさんファンからも『シャンフロ』ファンからも、アグレッシブに作品に寄り添ってきたFZMZメンバーとのコラボを喜ぶ声が、たくさん挙がっていました。

LiSA 嬉しいですよね。彼らに曲を書いてもらうことで『シャンフロ』を観てきた皆さんにも、シーズンをまたいで曲を楽しんでいただけるかな?という思いがあったので。

――FZMZのメンバーが、他のアーティストに楽曲提供するというのも初なんですよね。

LiSA そうなんですよ。そもそもバンド自体が謎に包まれているので、どうなるだろう?と思っていたんですけど、快く引き受けてくださって。感謝ですね。

「QUEEN」は激辛サウンドでやり散らかしたかった

――具体的な楽曲作りは、どう進めていきました?

LiSA まず私が、原作のイメージや前シーズンでFZMZさんがやっていた音楽も含めて、新曲をどういう曲にしたいか?というキーワードを集めるところからでしたね。特に、私軸の話で言うと、今年は「HELLO WORLD」「Shouted Serenade」「ブラックボックス」とリリースを続けていくなかで……そろそろ激辛が食べたい!気分だったので、FZMZさんに負けないくらい、やり散らかしていいんじゃない?と。

――キーワードは“やり散らかす”。LiSAさんらしくていいですね(笑)。

LiSA でしょ?(笑)。悲壮感を抱えた切なさは「ブラックボックス」に込めたので、逆に今度は良い意味で、友達と冒険に出かけて楽しみながら自分を試す、みたいな曲にしたくて。『シャンフロ』はそういう少年性を持ったお話だし、FZMZさんもLiSAの“クラン”に参加してくれたので、「仲間と一緒にかっこいいことやろうぜ!!」をテーマにしようと思いました。

――楽曲でもバトルしようぜ!と。

LiSA そうそう(笑)。バンド感覚で作りたいなというのもあったんです。歌いたいのは激辛曲だから、特にサウンドはキモになる。なので、まずは作曲をお願いしたHONNWAKA88さんとやり取りをさせてもらって、ハードで激辛なサウンドってこういうのじゃない?というのから、一緒に考えてもらったんです。

――だから、作曲者のクレジットがHONNWAKA88さんとLiSAさんの共作になっているんですね。ちなみに、FZMZメンバーとのやりとりはやはり、バーチャル空間を介して?

LiSA もちろん!なんせクラン「QUEEN」のメンバーなので!(笑)。

――なるほど(笑)。そういう経緯でデジタル感のあるパンキッシュなミクスチャーサウンドが出来上がったと。確かに“やり散らかす”感がありますね。

LiSA 散らかしていますよね。なかでもHONNWAKA88さんがすごくこだわっていたのは、デジタル感。イントロやアウトロで聴けますけど、ゲームを感じるサウンドですよね。

――昔懐かしいアーケードのシューティングゲーム風の歪んだチップチューンサウンドですね。ゲーマー魂をくすぐりますよ。

LiSA そうそう、レトロな感じの。HONNWAKA88さんも、そういうゲームがお好きらしくて。そういう作業、すごく面白かったです。最初にサウンドから作って、あとからメロディを乗せて、私からもアイデアを出して、ああでもないこうでもないっていうやりとりをしていくのが。

――そんなハードで激辛なサウンドにのったメロディは、とてもキャッチーですね。意識しました?

LiSA HONNWAKA88さんとのやりとりの中で、サウンドはハードでも、サビはメロディを活かそうとなりました。Aメロ、Bメロもサウンドよりリズムにこだわったり、LiSAの曲としてのキャッチーさみたいなものは大事にしました。

――そういうキャッチーなメロディがありつつも、2番にラップパートが入っているのも、FZMZっぽいミクスチャー感が出てますね。

LiSA HONNWAKA88さんは最初、そこをずっと私にシャウトさせたかったみたいなんですよ。FZMZさんの曲も、必ずシャウトが入っているから。でも、あれはMAQUMAさんのシャウトがすごくかっこいいからいいんですけど、私が歌うには少し厳しいかなと感じました。特に私はシャウトのプロじゃないから、ライブで披露することを考えると、ちょっと無理をしている違和感というか……作られたものが入ってくる感じがするし、再現性が低くなってしまうと思って、であればラップがいいって私から提案させてもらって。ラップといっても、早口で畳みかけるようなラップでなはなく、あえてしゃべるようなラップを目指しました。

――そのココロは?

LiSA だってタイトルも「QUEEN」じゃないですか。クイーンらしい堂々とした余裕を出したかったんです。テンポもそんなに速くしていないのは、そういう意味もあったりします。リズムやビートにもこだわったぶん、ダンスも踊りやすい曲になりました。

MAQUMAの歌詞はフレーズすべてが『シャンフロ』にリンク

――曲が先行して出来上がり、そこから歌詞をMAQUMAさんに?

LiSA そうですね。私からはどういう歌詞にしてほしいということはお伝えしてなくて、『シャンフロ』をよく知るMAQUMAさんにお任せしました。

――受け取って感じたことは?

LiSA MAQUMAさんの歌詞って、すごいんですよ。「BROKEN GAMES」も「Danger Danger」もそうでしたけど、1つ1つのフレーズ、フレーズに理由付けがちゃんとあるんです。あまり私が明かしちゃうとMAQUMAさんが嫌がりそうなんですけど(苦笑)、例えば1番のAメロに出てくる“傷跡でさえ今はもう愛しい”はリュカオーン戦でついた傷のことだし、“ナンカイだって咲き乱れる”の“ナンカイ”は“何回”も戦う、倒すのが“難解”というダブルミーニングだったり。“雲を割いて”や“闇を照らし”も夜襲のリュカオーンとのバトルの景色だったり、私が受け取った歌詞には全部、MAQUMAさんが1フレーズごとに説明をつけて渡してくれたんです。

――LiSAさんも、自分で作詞する時は作品に寄り添ったワードを見事にチョイスされていますけど……。

LiSA そうなんですけど、私はどちらかというと、言葉ノリを優先することも多いんです。でもMAQUMAさんの言葉は、全部のフレーズに意味があるから、解像度が段違いなんですよね。全部にその言葉を選んだ理由と意味があるんです。作品愛をものすごく感じました。曲のタイトルや歌詞の主人公が「QUEEN」なのも、2nd Seasonではヒロインのサイガ-0/斎賀 玲ちゃんが、サンラクと仲間になって活躍するストーリーなので、強い女性目線になっているし、さらにそこにLiSAのことも投影してくれて、私がこの曲を歌う意味をより示してくれました。

――OPテーマが「QUEEN」になると発表された時、MAQUMAさんはLiSAを指して「現実世界で“歌姫”を超える「女王」である彼女に相応しく、また当然『シャングリラ・フロンティア』の世界観ともリンクする歌詞に注目して聴くのだ!」とコメントしていらっしゃいましたが、まさにそれですよね。

LiSA そうなんです。何重にも味わえる歌詞を書いていただけて、お願いして良かったです。

――MAQUMAさんの中で、LiSAさん自身も「QUEEN」という言葉にふさわしい、堂々たる孤高の存在というイメージがあるんでしょうね。

LiSA 自分ではそんなつもりはまったくないんですけど、デビューして今年で13周年を迎えてみると……そういう存在になりたいと思わなくても、そうあらねばならない時はありますよね。本当は、みんなの後輩のままでいたいし、責任ある立場は本当に苦手で向いてないんですけどね(苦笑)。

――ちなみにLiSAさんが、「QUEEN」の歌詞の中で特にお気に入りのフレーズはどこですか?

LiSA 1番の“愛もヘイトもそう無礼講 どうせ飲み込めば栄養”ですね。

――そこ、実にLiSAさんっぽいですよね。

LiSA あはは!MAQUMAさんに歌詞を書いてもらったのは初めてなんですけど、私もそう思う!って、すごくしっくりきています。

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