「学園アイドルマスター」(以下、「学マス」)初のライブとなる“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR“。“初声公演”“初心公演”とバトンを繋げてきたツアーは、3番目となる“初恋公演”を迎えた。このようなステージは初めてという七瀬つむぎ(有村麻央役)、湊 みや(紫雲清夏役)、川村玲奈(篠澤 広役)が公演に向けて続けてきた努力、成長、演じるアイドルや曲の解釈、表現――それらが結実して生み出されたパフォーマンスは、まさにアイドルがそこにいると思わせてくれるものだった。本稿では、10月27日開催の東京・渋谷クラブクアトロ公演夜の部を中心にレポートしつつ、3人の魅力や成長についても触れていく。
TEXT BY 千葉研一
8月よりスタートした“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR”。ツアーを通してすっかりお馴染みとなった初星学園の学園長・十王邦夫(CV:大塚明夫)とプロデュース科担任の根緒亜紗里(CV.古賀 葵)の挨拶、「開演じゃ!」「開演です!」の掛け声で、“初恋公演”千秋楽となる渋谷クラブクアトロ公演夜の部の幕が開いた。
ライブの構成は“初声公演”“初心公演”と同じで、オーバーチュアが流れる中でステージインした七瀬、湊、川村は「学マス」を象徴する楽曲「初」でライブをスタートさせる。湊の最初のフレーズでの清夏らしい語尾のしゃくりをはじめ、広らしい独特の空気感、麻央のかっこ良さとかわいさが融合した魅力、それらが抜群のパフォーマンスとともに披露されると、会場を埋め尽くしたプロデューサー(「アイドルマスター」シリーズのファンの呼称)たちも冒頭からテンションMAXで応えていった。
そのまま2曲目「Campus mode!!」へ。クラップも歓声もさらに大きくなり、3人とも拳を突き上げてノリノリ。この3人バージョンとして全員バージョンとは歌い分けが異なるのもライブならではで、“振りのポーズが全然キマらない”と言いつつ出来ないことが嬉しそうな川村は広そのものだったし、“邁進nowです”を担当した湊の楽しそうな歌い方や表情はまさに清夏だった。
ちなみに、湊はもともとウインクが苦手とのことで、それについてインタビューで聞いてみたところ「絶賛練習中です。ライブでは完璧なウインクを披露できるように頑張ります!」と答えていた。その言葉通り、曲中にはウインクを決めて歓声を浴びていた。
改めて3人から挨拶があり、ここからはソロ曲パート。まずは、各アイドルのソロ1曲目である有村麻央の「Fluorite」、紫雲清夏の「Tame-Lie-One-Step」、篠澤 広の「光景」を披露していった。
七瀬が後ろ向きでポーズを決めたところから振り返ると、そこは一面の紫(麻央のイメージカラー)が輝く世界。パンツスタイルの衣装に身を包んだ七瀬は、麻央の魅力に自身の魅力も加えた美しい声で「Fluorite」を歌い、みんなを魅了していく。最初の梅田公演の頃は緊張でガチガチだったが徐々に肩の力が抜けてきたそうで、セリフ調のパートではさらに気合いと感情のこもった表現も見せていた。
ちなみに、七瀬自身は長髪なのだが、これまでの公演の中で話していたように、麻央に合わせて短く見えるようにセットするべきか考えたという。最終的にはポニーテール+サイドを姫カット風にした髪型で登場し、ダンスに合わせて美しくなびくポニーテールは配信のコメントやSNSでの感想でも絶賛されていた。ゲーム中で麻央はかっこいい普段の髪型だけでなく前髪を揃えた髪型があるように、七瀬も公演によって前髪に分け目をいれたり、いれずに揃えたりしていて、そういったこだわりも嬉しいところだ。
続いては、湊が「Tame-Lie-One-Step」を披露。ゲーム内と同じように、イントロから会場にはクラップが鳴り響き、それを受けて嬉しさいっぱいの表情で躍動する。ダンスはもともと得意だと話していた通り、マイクを右手、左手と持ち替えながらのダンスはキレとメリハリが素晴らしい。しゃくりやフェイクを入れた歌い方も清夏らしさ全開で、曲中には「のってのって!」「いくよ!」などとみんなをどんどん煽っていく。こういった煽りや掛け声、フェイクなど「同じだった公演はひとつもない」というのも初ステージとは思えない彼女の魅力だろう。
楽曲について湊はインタビューで、最初にレコーディングに臨んだ際は笑顔感や幸せな感じが足りなかったこと、そこで改めて歌詞や資料を読み返し「Pっち(プロデューサー)の存在があるからこそステージに立てている――その感謝の気持ちに改めて気づき、気持ちを込めて歌うことができました」と語っていた。まさにライブでPっちたちを目の前にしたことで、最高の笑顔と多幸感が全身に溢れていたのも印象的だった。
そして、川村は「光景」で広の持つ独特の世界観を見事に表現。その表情も、高音の伸びやかで美しい響きも、指先まで意識が入ったダンスの美しさも、まさに広がステージでパフォーマンスしている姿そのもの。配信でも「広がいる」とみんなコメントしていたほどだ。
ミステリアスな雰囲気がありつつも、どこか楽しそうなのも広らしく、特に川村自身が大好きだとインタビューでも語っていた“選びとった熱が ずっと残っていて”のフレーズで一段と嬉しそうな表情を浮かべる。「広ちゃんならステージでこんな風に歌うんじゃないかな?と自分なりにいっぱい考えている」とも語っていた川村。まさにその言葉通り、広だったら嬉しそうにするよな、こんな風に歌うよな、といったその光景が広がっていた。
ソロの1曲目で見事にアイドルそのもののステージを披露した3人。レッスンは約5カ月前から行っていたそうで、3人の絆もかなり深まっているようだ。MCでは、東京(渋谷)での公演ではあるが、ホテルで3人一緒に泊まったと話す。実は10月19日に行われた広島公演では七瀬が湊と川村に手紙をプレゼントしてくれたらしく、今度は2人がイラストや手紙を贈ったという素敵なエピソードを明かしてくれた。ちなみに、湊が描いたイラストは、本人のX(旧Twitter)にアップされている。
渋谷の夜公演のMCでも少し触れましたが、むぎちゃんとかわちへのお手紙に添えるイラストを公演期間中にこっそり描いていました✏️💕
麻央先輩も広ちゃんも惹き込まれるような瞳が魅力的で好きだなぁと再確認👀✨
公演を通して2人への愛もより深まりました💜🩵#学マス pic.twitter.com/4N7hoVb5O6
— 湊みや (@miya_minato1216) October 29, 2024
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