麻央、清夏、広そのものを追求したステージを披露！“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初恋公演-”渋谷公演 夜の部レポート

ハロウィンならではのあの曲も披露

そんなエピソードトークの後は、再びソロ曲を披露していく。湊が次に見せたのは“初恋公演”で初披露となった新曲「カクシタワタシ」。この曲は感情表現がすごく、表情や全身を使って表現する感情が痛いほど伝わってくる。清夏がこれだけ自身の感情を表に出すのはちょっと意外かもと思わせたところで、「……なんてね」と誤魔化そうとするところもかわいく、そこからラストの表情はさらにグッと惹き込まれるものだった。

今回のツアーを通して、湊の歌唱やダンスの素晴らしさはもちろんのこと、こういった表現力も特筆すべきポイントだろう。湊自身、MCで今までで一番いいものが出来たと話していたように、現時点での最高のパフォーマンスを見せてくれた。

川村は「コントラスト」を披露。こちらも広らしさいっぱいで、美しいメロディにのせて歌い踊る姿はとてもきれい。この曲も回を重ねるに従って安定感が増しており、高く響かせる歌声にプロデューサーたちは聴き惚れていた。

手で片方の目を隠すようにして“必要なのはコントラスト。”と決めるところでの、しっかりと前を向く目も印象的だったが、MCでは最初の公演では目が泳いでしまって悔しかったと振り返る川村。今回はしっかり決まっていたように思うが、本人的には今回も泳いでしまったと感じたそうなので、次回披露するときにはさらにビシッと決めてくれるのを楽しみにしたい。

かっこ良さ全開でみんなを巻き込んでいったのは、七瀬の「Feel Jewel Dream」だ。もともとは英語が苦手だった麻央の設定を変更したほど、七瀬の流暢な英語はこの曲で特に魅力的な響きを放つ。ツアーを通して定番となった、曲中でみんな一緒に手を挙げて盛り上がるシーンでは、MCで麻央もこんな景色を見ていたんだと感慨深げに語っていたように、本当に嬉しそうな表情を浮かべる。

さらに、間奏でのライトとレーザーが輝く中でのダンス、見事なキックアクション、ささやきボイスなどを繰り広げてプロデューサーたちみんなを魅了していく七瀬。特にこの夜公演の配信映像では、キックでの真正面からのカメラアングルが完璧だったことも付記しておこう。

MCでは曲の振り返りに加えて、衣装の推しポイントも挙げる3人。今回のツアーでは「（特定の曲の）好きな歌詞」「衣装のポイント」などテーマを設けて、毎回違った内容を語っており、ほかにも髪型や小物、湊の提案でネイルを見せるために形を変更した手袋など、配信のアーカイブでは細かなところまでぜひチェックしてもらいたい。そしてライブは終盤戦に突入。

披露されたのは、10月にピッタリの「仮装狂騒曲」だ。“初声公演”や“初心公演”では夏ソング「キミとセミブルー」を歌ってきたところだが、季節的にもプロデューサーから期待されていたハロウィン曲。ツアー初日（10月14日）の梅田公演でこの曲のイントロが流れたときには大歓声で迎えられていた。

動物の鳴き声や扉の音、おどろおどろしいイントロから「仮装狂騒曲」が始まると、見ていても聴いていても楽しいステージを展開する3人。個性たっぷりの早口パートやトレインダンスもかわいく、ステージ中央で背中合わせに集まって回りながら歌うパートではプロデューサーたちの掛け声も飛ぶ。そのプロデューサーの熱気を受けて、3人は難易度の高いこの曲も楽しそうに披露していった。

余談にはなるが、昼の部のMCでは配信で「ハローロ」とのコメントがあったことが話題に。ハロウィン曲だから「サマーマ」（「キミとセミブルー」の歌詞にある印象的なフレーズ）ならぬ「ハローロ」なのだろうが、そういうプロデューサーの遊び心も3人は楽しんでいた。

そして、「最高にキラキラしたあたし、見ててね」と、紫雲清夏のもうひとつの新曲「Kira Kira」を湊が披露。本人も言っていたようにこの曲は渋谷にピッタリで、ミラーボールが輝くなか、ダンサブルに決めていく。このブロックでの新曲は、公演ごとに3人のうち誰か1人が持ち回りで披露してきただけに、「Kira Kira」の披露はまだ2回目。息継ぎがないほど大変な曲だとMCで話していたが、それを感じさせない楽しさいっぱいの表情を浮かべた湊のパフォーマンスは素晴らしく、会場を大いに盛り上げていた。

ちなみに、“初恋公演”で披露されたほかの2人の新曲は、有村麻央の「Top Secret」と篠澤広の「コンテンポラリのダンス」。どちらもアイドルらしさがありつつ、また新たな魅力を見せる1曲となっていた。

曲後のMCでは、ハロウィン直前ということで、アイドルたちに仮装をさせるなら何がいいかの話題で盛り上がる3人。麻央はバンパイア、広はミイラかキョンシー、清夏は黒猫、と挙げていたので、いつかそのような姿を見られるのを楽しみにしたい。

そして、「最後の曲です」との言葉に、前回の“初心公演”からの流れで「いま来たばっかり」の言葉も飛びつつ（例の警察は未登場）、本編ラスト曲は「がむしゃらに行こう！」。ららら〜と手をワイパー状に振ってみんなで一緒に盛り上がる。この曲でもソロパートで個性がたっぷりだったり、歌詞に合わせるように夕焼けに向かって指を突き出す七瀬とそれを見守る2人の構図があったりと、最後まで楽しさいっぱいのステージを見せてくれた。

プロデューサーたちへの感謝が溢れたステージ

アンコールを求めるプロデューサーたちの声。そこに響いてきたのは「サマーマ！」の掛け声。「キミとセミブルー」がアンコールとして披露されると、会場は一気に真夏の暑さ、最高潮のテンションとなる。“初恋公演”では本編で「仮装狂騒曲」を披露したため、アンコールは「キミとセミブルー」と「冠菊」のどちらかを披露する構成だ。曲中のコミカルなやり取りも見どころで、広が“お勉強不足”と言うのは「あ、2位の人だ」と花海咲季を煽るシーンを彷彿とさせるなど、ナイスなパート分けが面白い。ぴょんぴょん飛び跳ねたりカメラにもアピールしたり、会場一体となって大いに盛り上がった。

すさまじい熱気のなか、息を整えた3人は改めて感謝を込めて挨拶をする。長いようであっという間だった“初恋公演”。寂しいと口を揃えていたが、それだけ楽しく充実した日々だった表れだろう。それぞれのアイドルと出会えた幸せ、“上手く”ではなく“アイドルに近づける”を目指したこと、そして何よりも側で支えてくれたプロデューサーたちやスタッフへの感謝――自らの言葉で思いをしっかり口にする3人の姿からも、ツアーを通した成長とこれからの期待を感じさせるものだった。

最後は再び「初」を披露し、最高に素敵な笑顔を浮かべてこの瞬間を最後まで楽しんでいた。いつもの「プロデューサーさん、アイマスですよ！アイマス！」の言葉の後には、ステージ前方に出て、隅から隅、前から後までみんなに手を振ってファンサをする3人。プロデューサーが手にしているものをいじったり、ハートを返したり1人1人と交流しているのは素敵な瞬間だった。

そして、“初心公演”の3人（花岩香奈、伊藤舞音、薄井友里）に「（延期となった）12月の梅田公演がんばれ！」とバトンを渡すと、オフマイクの生声で「ありがとうございました！」とみんなに気持ちを伝えて、「美味しいもの食べてね」「また絶対会おうね」と公演を締め括った。

なお、本公演内で松田彩音（花海佑芽役）、春咲暖（秦谷美鈴役）、陽高真白（十王星南役）が出演する“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初陣公演-”の開催が発表された。これでついに12人全員がステージに立つこととなる。

いずれの公演でも初めてとは思えない見事なパフォーマンス、アイドルと演じるメンバーの個性豊かな魅力、ライブを通して深まった絆を見せてくれた“初声公演”“初心公演”“初恋公演”。そのバトンは12月の梅田公演、そして新たな3人へと繋がれていく。パフォーマンスの秀逸さで忘れそうになってしまうが、準備期間が長かったとはいえ「学園アイドルマスター」は5月にリリースされ、ようやくハーフアニバーサリーを迎える段階だ。

そんな中で、大きな成長を実感できた今回の“初 TOUR”。すべてが終わったわけではないが、彼女たちの今後が楽しみで仕方ない。

“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初恋公演-”
2024年10月27日（日）渋谷クラブクアトロ公演夜の部

＜セットリスト＞
M1. 初 / 七瀬つむぎ（有村麻央役）、湊みや（紫雲清夏役）、川村玲奈（篠澤広役）
M2. Campus mode!! / 七瀬つむぎ（有村麻央役）、湊みや（紫雲清夏役）、川村玲奈（篠澤広役）
M3. Fluorite / 七瀬つむぎ（有村麻央役）
M4. Tame-Lie-One-Step / 湊みや（紫雲清夏役）
M5. 光景/ 川村玲奈（篠澤広役）
M6. カクシタワタシ/ 湊みや（紫雲清夏役）
M7. コントラスト / 川村玲奈（篠澤広役）
M8. Feel Jewel Dream / 七瀬つむぎ（有村麻央役）
M9. 仮装狂騒曲 / 七瀬つむぎ（有村麻央役）、湊みや（紫雲清夏役）、川村玲奈（篠澤広役）
M10. Kira Kira / 湊みや（紫雲清夏役）
M11. がむしゃらに行こう！/ 七瀬つむぎ（有村麻央役）、湊みや（紫雲清夏役）、川村玲奈（篠澤広役）
EN1. キミとセミブルー / 七瀬つむぎ（有村麻央役）、湊みや（紫雲清夏役）、川村玲奈（篠澤広役）
EN2. 初 / 七瀬つむぎ（有村麻央役）、湊みや（紫雲清夏役）、川村玲奈（篠澤広役）