INTERVIEW
2024.11.05
TVアニメ『愚かな天使は悪魔と踊る』のOP主題歌「オトワ」に続き、10月放送開始のTVアニメ『凍牌~裏レート麻雀闘牌録~』のED主題歌「プラスティック・ショーケース」を担当している<太陽と踊れ月夜に唄え>。ポニーキャニオンアイドルプロジェクトから生まれた2組による合同ユニットである10 人組の<太陽と踊れ月夜に唄え>とは一体どんなグループなのか。<太陽と踊れ>の花咲花桜と<月夜に唄え>の夕綺友里杏の2人に話を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
――リスアニ!初登場になります。まず、最初に<太陽と踊れ月夜に唄え>はどんなグループなのかを教えていただけますか?
花咲花桜 基本的には6人組の<太陽と踊れ>と4人組の<月夜に唄え>で別々の2つのグループになります。アニメのタイアップのときには1グループになって、<太陽と踊れ月夜に唄え>として主題歌を歌っています。アニメソングを歌うアイドルグループとしての新しい道を切り開いていきたいと思っています。
――それぞれのグループにはどんな特徴がありますか?
花咲 <太陽と踊れ>はポップで明るいイメージで、“遊び”をテーマにした楽曲を歌っています。
夕綺友里杏 <月夜に唄え>は “少女の日記”をテーマにした楽曲を制作してくださっていて。楽曲ごとに、例えば「15歳の夏」とか、そういうイメージが決まっています。そのときの少女の気持ちを細かく歌詞に描写してくださっていて。太陽チームとは対照的にかっこ良かったり、クールなイメージの楽曲が多いです。
――お互いにそれぞれのチームはどう見えてますか?
花咲 (<月夜に唄え>は)私たちより大人っぽいなと感じています。楽曲の印象もあるんですけど、全体的に大人っぽいですね。ただ、意外と<月夜のほうが中身は<太陽>寄りというか(笑)。どちらかといえば明るいイメージです。
夕綺 <太陽>はかわいいに全振りしたような楽曲のイメージもあって、明るくてかわいらしいメンバーが多い印象ですが、<月夜>のほうが意外にノリが良いです。楽屋でふざけたりしているのは月夜のほうが多いかなっていう印象があります。
花咲 去年の7月に2組同時にデビューしました。最初の頃は<太陽>のほうがシャイな子が多くて、結構、静かでした。<月夜>のメンバーのほうが芸能経験がある子が多くて。
夕綺 <月夜>は私以外の3人が元々芸能界で活動していて、私だけが初心者でした。
花咲 私も芸能経験がなくて。このオーディションに受かるまで普通にアルバイトをしていました。そういうのもあって、最初の頃は<月夜>に引っ張ってもらいながら一致団結できる感じがありました。
夕綺 個性の違うそれぞれのチームの人柄が合わさるからこそ、2つのチームが合体して歌う全体曲では、楽曲の深みがより増すのかなというふうに捉えてます。
――今回、TVアニメ『凍牌~裏レート麻雀闘牌録~』(以下、『凍牌』)のED主題歌を歌うことが決まった時はどんな心境でしたか?
花咲 今年の1月に「オトワ」を歌わせていただき“Animelo Summer Live 2024”(以下、“アニサマ”)の本ステージに立てたことがすごく嬉しくて。今回、2作目のアニメタイアップが決まって、とっても嬉しいなという気持ちです。
夕綺 私たちは元々“アイドルとアニメの架け橋になれる存在”を目指しており、デビューした昨年は“アニサマ”のけやき広場でライブをして、今年はアニメタイアップを挟んで、2回目の出演でさいたまスーパーアリーナのステージに立たせていただきました。そこで、本格的に私たちの夢が動き出したなって感じたので、今回は2作目のタイアップということで、新鮮な気持ちと喜びを持ちつつ、より多くの方にアイドルの存在を知っていただき、同時に、アニメの一翼を担える存在になれればと思っています。
――数多くのアニソンを手がけるやしきんによる楽曲を受け取った時はどう感じましたか?
夕綺 『凍牌』が麻雀をテーマにした作品いうことだけは存じていたんですけれども、麻雀に触れたことがなく、ルールも知らない状態だったので、歌詞を見て、“アンパイ”や“テンパイ”“追っかけ Reach”など、麻雀用語みたいなものが組み合わさってるなっていうのを感じました。最初にわからない単語を調べるんですけれども、普通に調べただけだと出てこなくて。歌詞を一通り読んだだけではわからない、麻雀と掛けたときに生まれる意味の深さを知りました。さらに、実写版を観たり、アニメを見て、ストーリーに沿って展開していくように描かれている歌詞なんだということにも気づきました。アニメ本編では、一番の部分を使っていただいているんですけれども、話数が進んでいくにつれて続きの歌詞も知っていただけたら、より面白みが増すのではないかなと感じています。
花咲 私も麻雀がわからなくて、この曲をいただいたとき、正直わからない単語が多く、同じく意味を調べました。私が担当しているセリフがだいぶ麻雀に沿っていて、“チュンチュンビーム!”“それ、アガリだよ”っていうのが本当に麻雀の用語だったので、麻雀をやってなかったことに初めて後悔して、麻雀をやっていれば良かった!と思いました。
――いや、やってなくてもいいと思いますけど(笑)、ゆりあさんは実写版まで観ているんですね。
夕綺 曲を歌うときに、内容を掴みきれてないと自分の中で表現に昇華できないと感じていて。主人公がどういう感情で試合に出ていて、どういう気持ちでアミナを思い合ったり、他のキャラクターと接しているのかを読み取ってから歌詞を自分で解釈したいなと思っていました。
――どう解釈しました?ご自身と繋がる部分はありましたか。
夕綺 主人公は「氷のK」と呼ばれていて、無表情で淡々と勝負を進めていくタイプだと思うんです。私が1番で歌っている“信じるのは自分だけ”というセリフがあるんですけれども、私はこのグループのオーディションを受ける前に宝塚を受験していました。宝塚受験に向けて、クラシックバレエや声楽、ジャズダンスを習っていて、それこそ団体で受けるものではなくて、個人戦なので、レッスンの時間もひたすら自分と向き合って、鏡を見て、角度を研究して、試験本番に臨んでいたので、そのときの緊張感みたいなのを思い出しました。本当に信じるのは自分だけというか。『凍牌』では、みんながお金や臓器、手足等身体の一部、人生をかけて挑んでいるんですけれども、私も当時、今後の人生をかけて全身全霊で受験に挑んでいたので、そこがリンクしていました。
――ゆりあさんから“臓器”って言葉が出るのもすごい(笑)。かおさんはご自身と重なった部分ありました?
花咲 私も“信じるのは自分だけ”っていうところです。自分の意志が強いタイプで、自分が決めたことは絶対やるし、自分以外を信じないです。自分が本当に一番って思っています。
――このグループには、自分しか信じない人が2人もいるんですね。
花咲 このアイドルオーディションを受けるときも絶対受かるだろうっていう自信で行くくらい、本当に自分を信じてるので、結構、リンクするなと思いました。
――(笑)麻雀やったことないという2人ですけど、勝負事にはどんな姿勢で臨みますか?攻めか守りかでいうと?
花咲 絶対に攻めです!ただ安牌を狙うだけでは、私の人生がつまらないなと思ってしまうタイプです。人生に対して、絶対に波が欲しいんです。私は今、学生なんですけど、ちょうど高校3年生で、次の進路を決めるときに大学っていう選択肢もありました。アイドルと両立するか?っていうことも考えたんですけど、私はやっぱりアイドルに賭けようと思い、アイドル1本でいこうと思っています。人生も全部その1本に決めてかけていく派です。
夕綺 私は両親の影響もあって、幼稚園受験して、小学校受験してっていうふうにレールが敷かれた状態で生きてきたので、どちらかというと安牌な人生を送ってきたと思います。小中高一貫校だったんですけど、宝塚受験とともに、初めてそのレールを出るっていう選択をしました。最終的には、宝塚受験には成功せずに、大学に進んだんですけど、1回、自分で大きい決断をして、そこから安牌より一か八かかけてみようっていうほうに変わったなっていうのを思っています。このグループのオーディションを受けたのも両親に相談せずに勝手に受けてしまいました。
――お父様とお母様反対されてないですか?
夕綺 今は応援してくれています。普通に学校通って、普通に就職してっていう人生が一番安全で、安心はできると思うんですけれども、私は自分の夢に向かって一歩踏み出して、そこから思い切って賭けるほうに変わったのかなと思っています。今も自分が選んだ道にまったく後悔はしてないです!
――じゃあ、割とご自身の心境と重ねて歌えたんですね。レコーディングはどうでしたか。かおさんが印象的なセリフ、ゆりあさんが歌い出しを担当していますね。
花咲 この曲調がそもそも個人的に好きだったので、楽しくはできたんですけど、その決めゼリフのところでは、“それ、アガリだよ”を何パターンか録りました。音源になっているかっこいい感じでいくか、もっとかわいい感じでいくか、もっと跳ねる感じでいくか、すごく悩んで、何回も撮り直しました。あと、“チュンチュンビーム!”がオーディションでした。全員分録って、いいものを選ぶということだったので、絶対に取ってやるって思って、何回も「もう1回やらせてください」ってお願いしました。なんとか勝ち取った“チュンチュンビーム!”だったので嬉しかったです。
――ゆりあさんは、ファンのコメントを見ると、「ぴったりだ」「似合っている」という言葉が多いですよね。歌謡ディスコのような曲調ですが、元々昭和歌謡が好きなんですか?
夕綺 そうなんです。沢田研二さんが好きで、そこから山口百恵さんや岩崎宏美さんなど、1970年代の昭和歌謡をよく聞いています。元々は母が小さいときに西城秀樹さんのファンで、一緒に昔の「夜のヒットスタジオ」などの音楽番組を観ている中で、沢田研二さんの世界観に惹かれました。当時の楽曲を色々聴いて、歌ったりしていたので、この楽曲を聴いたときに、もうふっと降ってきたかのような感じで、自分の感性に合っていました。最近よく耳にするようなJ-POPとはまた違った曲調なので、私が好きで求めていた波長と一致していて、レコーディングもその時代にタイムスリップしたような感覚で歌えてすごく楽しかったです。
SHARE