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INTERVIEW

2024.10.29

『マクロス7』FIRE BOMBER、30周年にして新たな代表曲誕生。“歌バサラ”福山芳樹、12年ぶりシングル「BURN! BURN! BURN!」と待望ライブを語る!

『マクロス7』FIRE BOMBER、30周年にして新たな代表曲誕生。“歌バサラ”福山芳樹、12年ぶりシングル「BURN! BURN! BURN!」と待望ライブを語る!

1994年10月の放送開始から30周年を迎えたTVアニメ『マクロス7』。作品と共に、いまだ根強い人気を誇るのが劇中に登場するロックバンド・FIRE BOMBERだ。この秋リリースされる30周年記念シングル「BURN! BURN! BURN!」はFIRE BOMBERにとって12年ぶりのシングルであり、表題曲では主人公=熱気バサラとヒロイン=ミレーヌ・フレア・ジーナスの情熱的な掛け合いを楽しむことができる。今回は“歌バサラ”こと歌唱担当の福山芳樹にインタビュー。この30年間を通しての思いと、楽曲やライブにかける意気込みを聞いてみた。

INTERVIEW & TEXT BY 仲上佳克

『マクロス7』以後も、シリーズとして繋がっていることがすごく嬉しい

――TVアニメ『マクロス7』が、放送開始からちょうど30周年を迎えました。このタイミングで新曲をリリースされることにどんな思いがありますか?

福山芳樹 まさか30年も続けているなんて……僕もそうですし、30年前の当時は誰もこんなことを想像していなかったと思います。FIRE BOMBERはバンドなので「マクロス」シリーズの中でもステージでの再現が難しいグループでもあるのかなと思うんですけど、僕とチエ・カジウラの2人が揃えばFIRE BOMBERと名乗っていいのかなと何となく思っているところがあって。なので、せっかくの30周年なんだからデュエットとしてシングルを出そう、というところから企画が始まったという感じでした。

――バサラとミレーヌの2人が揃ってのシングルを出せるのは、30周年の節目だからということも大きかった?

福山 バサラとミレーヌのデュエットバージョンでの楽曲はTVアニメ放送当時も存在しているんですけど、実はシングル盤とかの目立ったところには収録されていなくて。2009年にリリースされた『Re.FIRE!!』のときに「やっとデュエットで出せるね」みたいな感じだったので、今回もその続きのような感覚があります。

――TVアニメのOPテーマ「SEVENTH MOON」がバサラのソロ、EDテーマ「MY FRIENDS」がミレーヌのソロだったので、当時はやはりバサラとミレーヌの歌は別々という印象もありました。

福山 僕がチエちゃんに会ったのも、1年間続いた放送の後半になってようやく初対面くらいで、実は最初はどんな人なのかも知らなくて。おそらく『SECOND FIRE!!』という2番目のアルバムのレコーディングの直前に会ったくらいだと記憶しています。

――当時の貴重な証言ですね。

福山 当時の話で言うと、最初のレコーディングは10月の放送開始まで時間がなかったので、夏の真っ盛りに2日間、1日3曲くらいのペースで録ったんですよ。『マクロス7』という作品の世界観は紙資料で知ってはいたんですけど、オケ(歌以外の音源)を聴いたのがレコーディングの当日だったりしたので、バンドの音楽性も実は何もわかっていない状態で歌っていました。

――そんな始まりから30年続くことになるわけですから、不思議なものですね。

福山 それはやっぱり、今の世の中がネット社会になったことで、「マクロス7 歌」と入れて検索すると僕の名前が出てきたりして、認知してもらえるようになったことが大きかったんじゃないかなと思います。あとは「マクロス」シリーズ自体が続いてくれていること。後に出た作品の中でも『マクロス7』やFIRE BOMBERの歌をリスペクトしてくれる回が必ずあったりしたので、本当にありがたいと思っています。

――『マクロスF』のシェリル・ノームが「あたしの歌を聴け!」と言ったりしていたのも……。

福山 「そんなこと言ってくれるんだ!」って。ちゃんと「マクロス」シリーズとして繋がっているのがすごく嬉しいですし、そのおかげでこうやって何十年経ってもファンの人が『マクロス7』に気がついてくれて、ライブに来てくれたり、CDを買ってくれたりしているんだと僕は思います。

「変わらないバサラ」「大人に成長するミレーヌ」という対比

――30周年記念シングルの表題曲「BURN! BURN! BURN!」は、福山さんも楽曲制作の打ち合わせから参加されていたんですか?

福山 実はそうではなくて、当初から表題曲はフライングドッグの佐々木(史朗)社長が「音楽もプロデュースするから任せておいてね」という感じでした。で、「K.INOJOさんが作詞をするから、それが上がってみてのお楽しみで」……ということで、僕は出来上がるのを待っていました。

――出来上がりを聴いてのご感想は?

福山 初めて聴いたときは、FIRE BOMBERの中では今までこういう曲はなかったなと思いました。むしろFIRE BOMBER的には新しいくらいだなと。音楽的には割と古風なロックっぽい感じなので、FIRE BOMBERとしては先祖返りしているとも言えるんですけど。僕としては、ギタリストが作ったっぽい感じの曲になっていることが嬉しかったですね。サビの最後のところ(“寂しさをバネに変えるんだ”)とか……僕もそうですけど、よくギタリストの作曲家が使う作り方なんですよ。メロと裏メロとボーカルが一緒になっているという、こういうのは今までなかったなと思ったんです。

そのうえで、INOJOさんの歌詞は相変わらずINOJOさんだなと(笑)。“7(セブン)”とか、そういう作品と関連するキーワードを入れつつも、全然別なお話を持ってくるところがINOJOさんらしいなと僕は思いました。FIRE BOMBERって、戦場で歌ってはいますけど、実は普通に男女の恋愛について歌っていることがほとんどなので、改めて「FIRE BOMBERの歌詞の世界ってこれだったよな」と思い出せてくれるくらい、INOJOさんらしい歌詞でした。

――福山さんの言われる「ギタリストの作ったっぽい曲」というのは結果的にそうなったのか、それとも作・編曲の今村良太さんが意識的にそうしたものなのか、どちらだと思いますか?

福山 FIRE BOMBERは、ギタリストが歌うバンドというのはご存知だったと思うので、もしかしたら意識的なのかなと思っていました。そういう意味では非常にありがたかったです。

――バサラとミレーヌとの掛け合いは、ご自身で聴いてみていかがでしたか?

福山 僕の声は荒々しい声なので、いつもガーッと歌っているんですけど、チエちゃんはどんなときでもソフトにふわーっと歌う方なので、そのバランスが相変わらず崩れないのがFIRE BOMBERらしさだなと思いました。2人とも一緒に熱くなっているというバランスではないじゃないですか。この声が混ざるとFIRE BOMBERになるよねと、出来上がったものを聴いて改めて思ったりしましたね。

――歌声の印象だとミレーヌのほうが精神年齢は上という感じもしますよね。

福山 そうですね。バサラって、物語の中で何があってもまったく成長しないんですよ。最初に登場したときから、最後までそのままのテンションなんですけど、ミレーヌは少女から結構ちゃんと大人になって物語が終わっている。その分の成長がミレーヌからは感じられるんですけど、バサラはたぶん60歳になっても同じようなことをやっている人なんだろうなって、自分の歌を聴いて思いますね。

次ページ:新たな代表曲として、FIRE BOMBERの真髄を追求したソロボーカルナンバー

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