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REPORT

2024.10.25

麻倉もも、6年ぶりとなる声出しライブでファンの声に包まれる!ツアーファイナルをレポート。

麻倉もも、6年ぶりとなる声出しライブでファンの声に包まれる!ツアーファイナルをレポート。

客席の歌声で初めて完成する「妄想メルヘンガール」

MCではラストスパートに向けて少し休んだほうがいいという話の流れで、「立ちましょう立て!」(麻倉)、「ヤー!(立ち上がる)」(客)、「座りましょう座れ!」(麻倉)、「ヤー!(座る)」(客)、「なんで東京なのにわかるの!?」(麻倉)という、福岡出身ならではの風習を織り交ぜたやりとりも行われた。そうしてMCの間に少しの休憩を挟みつつ、「ここからは体力をゴリゴリ削るタイムです。いけますよね!?」とお気に入りボックスからマイクスタンドを取り出す。始まったのは、空いた両手を使って振付やクラップを行う「パンプキン・ミート・パイ」。そして4thアルバム新曲の「Muted Peony」とアップテンポな楽曲を続けて披露していく。麻倉が前後左右に手を振るのに合わせて客席でピンクのペンライトが一糸乱れぬ動きで揺れ、さらに続く「トクベツいちばん!!」では「キミが好きだよ」の歌詞やアウトロの「ラララ」で客席が麻倉ももへの想いを声をからして叫んだ。

このセクション4曲目は「妄想メルヘンガール」。コロナ禍で声出しができないライブの際には、ファンから録音した歌声を募り擬似的にコールを再現した楽曲だ。麻倉本人が「客席からの掛け声があって初めて成立する」という熱量を抱いていたこの曲が、本ツアーではついにステージと客席の掛け合いをもって「完全版」となる。単純なシンガロングではなく、一行ごとに異なる歌詞を見事に歌いこなす客席からの割れんばかりのコーラス。相互的な長年の愛情の蓄積でしか成立し得ない、「彼女の夢を叶えるため」と難解な掛け合いをものともしない美しい光景が広がっていた。

そんな感慨を噛み締める間もなく、「まだ疲れてないよね、東京こんなもんかー!?」と叫びながら始まる「Fanfare!!」。本編ラストを飾るこの「MOMO」コールもまた、1stライブから本ツアーにいたるまでの6年間ソロライブで実現できなかった風景だ。「東京、最後だよ!ツアー、最後だよ!こんなもんでいいんですか!?」と声を荒げる麻倉に、客席一丸となり歌詞に合わせて「大好き」を伝える。どんな熱狂の中でも、その歓声に耳を傾けて聞こうとする彼女の姿が印象的だった。

19曲を2時間で走り抜け、「ゆっくり休んでください!」と呼び掛けステージを降りた麻倉。間髪をいれずアンコールが始まり、休む気も休ませる気もないファンと演者との相互コミュニケーションが心地良い。そうして声援に応えてカムバックした彼女は、リボンや袖口のフリルでアレンジされたグリーンのツアーTシャツの装い。スイミング風の振付がかわいらしい「満開スケジュール」が披露され、再び会場が一体感に包まれる。「約束だよ」の歌詞では小指を客席に向け、間近で見守る人々を魅了していた。

「すごいねみんな、体力おばけだね。(舞台袖で)みんなの声が聞こえてきて、待っててくれて嬉しかった」とアンコールの感想を語る麻倉。お気に入りボックスからはツアーパンフを取り出し、こちらに収録されたファンからの質問コーナーにて「10月20日は6年前の1stライブの日」であることを知ったと話す。質問者が客席にいるのを確認しつつ、大声で盛り上がる人、腕組みをしている人、メモを取る人など様々な人が見えているとステージからの風景についても教えてくれた。「メモを取ってる人、いい感じのことを書いといてくださいね。捏造でいいから(笑)。みんながいるから私はここに立っています、的な」と話し笑いを誘う。

「次が最後の曲です。神戸でツアーが始まってからあっという間。みんなが楽しそうなのを見るのが楽しくて、みんなで楽しもうってずっと考えていて。みんなでいっぱい汗をかいて、ライブにかこつけて痩せようと思ったんだけど……ツアー先で美味しいものをいっぱい食べてしまって意味がありませんでした」と笑う麻倉。「これからもどうぞよろしくお願いします。最後に歌うのは“これから”を想像させるような1曲、みんなに届けたいです」。

そう言って本ツアーの最後を飾る、4thアルバムの新曲「Wonderland」が始まった。歌詞に繰り返し登場する「君」や「みんな」、そして「僕ら」を、客席1人1人にしっかりと伝えてゆく。リスアニ!のインタビューでは4thのボーカルレコーディングで最も苦戦したと語ったこの曲。歌録り当日にキーが上がり、より強い青春感を追い求めた結果相当なパワーが必要な楽曲になったという。しかしレコーディング時のそんなエピソードが嘘のように、伸びやかに笑顔で想いを届けていた。ステージ上に最後まで共にあり続けたお気に入りボックスからはシャボン玉が舞い、満開の笑顔で叫ぶ「みんな、最高だよー!」の声でライブは終演。「またね!おやすみ!」と麻倉ももはステージを降りていった。

狂乱のダブルアンコールと、みんなの「お気に入りボックス」に麻倉もも

しかし本公演はツアーの追加公演にして千秋楽。退場を促すアナウンスをかき消すように「もう1回!もう1回!」と願いの声が会場中を包む。「ありがとうございます!もちょだよー!」と改めて登場した麻倉は、「底なしの体力ですね。まだ足りないか!?」と客席に本日何度目かの感嘆。「私のツアーは今日で終わりですが、今年はまだまだ色んなところで歌います。自分の曲をこれからも、みんなが喜んでくれるかなって思いながら作っていきます。楽しみにしていてください!」とファンへの思いで最後のMCを締め括った。

そしてダブルアンコールとなる本当のラストの曲へ。「今回のツアーといえば、唯一“これはやります”と予習を強要した曲がありますね。私と半分半分でみんなも歌ってもらって、大変さを思い知れって(笑)。……やっとみんなと歌えるなって思います。歌詞がわからなくても声を出していいから、発散して!みんなの声を聞かせてください!皆さんの限界、見せてください!」。

そんなMCで始まったのは、本日2回目の「妄想メルヘンガール」。本編とは異なり客席も明るい照明で照らされ、会場が1つの巨大な“麻倉もも”になったかのように互いに声を涸らし1曲を完成させる。客席を意図的に疲弊させようとするサディスティックな一面も、「みんなのために」を冗談で覆い隠す一面も、ファン以外から想像される甘い砂糖菓子のような一面も、すべて一様に紛れもない“麻倉もも”であった。4thアルバム『ChouChou』のインタビューにて、普段の自分を「寝るか食べるか散歩するか、おばあちゃんみたいな生活(笑)」と語った彼女。ライブや音楽活動は非日常で、「ライブも含めて“自分がこんなことをしているんだ”って、自分自身では結構信じられないことをやっていると思います」と話していた“ごく普通の女の子”は、やはりファンとの強い愛情のやり取りにより“声優アーティスト・麻倉もも”として完成されているのかもしれない。

そうして本当の本当にツアーの最後となる楽曲が終わりを迎え、「いっぱい声を出してくれてありがとう!またみんなで会いましょう!」と明るく最後の言葉を紡ぐ。もも組音楽隊ともも組ダンサーズと並んで手を繋ぎ挨拶を終え、客席の隅々にまで手を振る。そしてこのツアーが終わる最後の最後に、なんと彼女はずっとステージ上でライブを彩り続けた「お気に入りボックス」の中へと帰っていったのだった。

その日ライブを見ていた人も、別会場でツアーを見届けた人も、すべてのファンの心の「お気に入りボックス」に麻倉ももが収納され、大切な思い出として明日からもそこに彼女がいてくれるような、そんな感覚になる一夜だった。


<セットリスト>
M01.あそびちゅう
M02.Sweet Essence
M03.365×LOVE
MC
M04.もしかしてもしかする
M05.ハピネスピース
M06.シュワワ!
MC
M07.bouquet
M08.星空を想えば
M09.嫌いになれない。
M10.LIBRA
M11.HIT GIRL NUMBER
M12.幸せって書いて
M13.ピンキーフック
M14.秘密のアフレイド
MC
M15.パンプキン・ミート・パイ
M16.Muted Peony
M17.トクベツいちばん!!
M18.妄想メルヘンガール
M19.Fanfare!!
ENCORE
EN01.満開スケジュール
MC
EN02.Wonderland
W EN.妄想メルヘンガール

関連リンク

麻倉もも Official Site
https://www.sonymusic.co.jp/artist/asakuramomo/

麻倉もも Official X
https://twitter.com/Asakura_Staff

麻倉もも Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCeO-6koTkcLNKLFcCiW1SGQ

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