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REPORT

2024.10.25

麻倉もも、6年ぶりとなる声出しライブでファンの声に包まれる!ツアーファイナルをレポート。

麻倉もも、6年ぶりとなる声出しライブでファンの声に包まれる!ツアーファイナルをレポート。

2024年10月20日、東京・立川ステージガーデンにて麻倉もものツアーファイナルが行われた。本公演は4thアルバム『ChouChou』を引っ提げて、兵庫、愛知、福岡、神奈川と巡ってきたツアーの追加公演。ちょうど6年前、2018年に行われた彼女の1stライブと同日の開催となった。

TEXT BY 青木佑磨(学園祭学園)
PHOTOGRAPHY BY 江藤はんな[SHERPA+]

6年ぶりの「声出し解禁」ツアー

立川ステージガーデンの壇上は、バラ園を思わせる白いアーチや花飾りに彩られた装い。開演時間になるとゼンマイを巻く音とオルゴールの音色が鳴り響き、ステージを隠すように弛んでいたヴェールが上がる。神秘的な森の中を想起させるグリーンの光に照らされながら、麻倉ももがそこに現れた。

オープニングを飾るのは4thアルバムのラストに収録されている「あそびちゅう」。リスアニ!のインタビューでは「30歳を迎えた自分が、またここから進み出す」という意味が込められていると語ってくれた楽曲だ。自分とファンとをつなぐメッセージでありながらも、エモーショナルに頼りすぎない歌声。物語の語り部を意識したという包容力のあるボーカルで、幻想的にツアーファイナルが幕を上げる。

ドラムのビートに合わせて「Make you, Make you smile」のコールが始まり、続いては12thシングル「Sweet Essence」。1曲目のファンタジックな空気から一点、満開の笑顔で「みんなで楽しんでいきましょう!」と叫びダンサーを呼び込む。今回のツアーではお馴染みとなったお気に入りボックス(「ChouChou」=「お気に入り」の意味)と呼ばれる宝箱も登場して、意中の人にサプライズプレゼントを渡す楽曲のドタバタな世界観を振り付けでコミカルに表現。「大好きよ」の言葉に合わせて繰り出されるハートマークに客席からは大きな歓声が上がった。

畳み掛けるように「365×LOVE」。コール満載の楽曲でさらなる熱を帯びてゆくファンたちに、「ノドがかれるくらい、一番大きな声を聞かせてください!」と際限なく煽り続ける。この日、最初から最後まで過剰なまでに「みんなで一緒に!」を掲げていた彼女。何を隠そう今回のツアーは麻倉もも個人名義における「声出し解禁」のライブであり、それは6年前の1stライブ以来のことなのだ。これまで作ってきた楽曲が、客席と一体となって再び生まれ変わる瞬間を彼女自身も待ち望んでいたのである。

「今日はみんなで一緒に、素敵な思い出を作りましょう!」と呼び掛け、最初のMCへ。「すごいね!最初から高まってますね!」「既に霧みたいなのが出て、視界がボヤけてきている」と客席の熱気に感嘆する麻倉。本人いわく「阿鼻叫喚」、1曲目から泣いているファンも目に入っていたという。

またこの追加公演は2デイズ開催で、前日のライブから帰宅後にゆっくり入浴をしていたら4時間しか眠れなかったと語る。「今回のツアー初日(神戸公演)前夜に気合い入れのためにと、誤ってエナジードリンクを飲んで眠れなくなった」というエピソードを披露しつつ、「今日は朝にブチ込んできたから。エネルギーが漲ってるので、みんな私に負けないようにね!」とさらに客席を鼓舞した。

「1stライブからちょうど6年。コロナ禍で試行錯誤していたのを経て、今回はみんなからの声を一身に受けられるライブになります。私自身もできることが増えて、その姿を見てもらいたいです」と宣言して、4thアルバム新曲の「もしかしてもしかする」を披露。インタビューでも「グループアイドルの曲のような」と語っていた畳み掛ける歌詞とメロディを、もも組ダンサーズを引き連れてかわいらしく表現した。

「ハピネスピース」ではウキウキのモータウン・ビートに合わせて手拍子をしたり左右に手を振ったり、彼女の一挙手一投足に合わせて会場が1つに。爽やかに炭酸が弾ける「シュワワ!」ではダンス動画がYouTubeで公開されていることもあり、その振付をコピーするファンが多く見られた。立て続けにハッピーかつ運動量の多い楽曲を披露し、それでもなお盛り上がり続ける客席に「肺活量がすごい。それにツアーを重ねるごとにみんなダンスが上手くなってる」と称賛。「でもここからさらに疲れますので、ちゃんと水分を取って!」と注意喚起も欠かさなかった。

思い出満載の「お気に入りボックス」と共に

MCではオープニングでステージに登場した「お気に入りボックス」について。各会場で箱の中から思い出の品を取り出し、その品物について話してきたという。千秋楽の東京では、「トクベツいちばん!!」のMVに登場した特製のチョコ、「明日は君と。」のジャケットで頭に乗せている桃、客席と記念撮影をするためのインスタントカメラなどが登場。桃を手にした麻倉は「これを最初のきっかけに、色んなものを頭に乗せてきました」と実際に桃を乗せてステージ上を動き回り、「身体の一部かな?と思うくらいフィットしてる」と自画自賛、そして「この頃から見ている人~?」という問いかけに手を挙げた客席に「うれしいね、生き残りがたくさんいて」と笑った。

お気に入りボックスからブーケが取り出され、スポットライトの一筋の光が麻倉ももを包む。結婚式の日を迎えた親子の感情を優しく歌う「bouquet」が、ピアノとアコースティックギターの演奏で披露された。しっとりとした雰囲気をそのままに、ボックスに腰かけ歌われる「星空を想えば」。アクティブにダンスで魅せる楽曲が多いなか、言葉の1つ1つを大切そうに客席に届けてゆく。

温かな空気で見守られた2曲を終えるとライティングがブルーやパープルに一変し、ウィスパーボイスのポエトリーラップで綴られる「嫌いになれない。」へ。持ち味の1つとしてすっかり定着したローファイヒップホップ調の楽曲が、声優アーティストならではの声の表現でじんわりと会場に浸透していった。

曲の終わりにボックスの上に残されたブーケにそっと触れると、ステージはさらにダークな雰囲気の色味に。一輪の赤い花を胸に携えながら、執着心や束縛について歌う「LIBRA」へと繋がる。終盤の「だからもしも失えば…」の言葉から崩れ落ち、座り込んで歌うという麻倉ももらしからぬ演出に客席も息を呑んだ。

退廃的な空気の中、麻倉はそのまま降壇。初期楽曲「Good Job!」に乗せてバンド「もも組音楽隊」と「もも組ダンサーズ」のメンバー紹介が行われる。ただの紹介に終わらず、麻倉の影ナレによる各人のプチ情報や、「そんなメンバーのみんなにGood Job!と歌ってくださいね!」という盛り上げなどでより一層のファミリー感が深まっていった。

メンバー紹介後には、赤いスタジアムジャンパーにチェックのスカートというスタイルに衣装チェンジ。最新アルバムの1曲目を飾る「HIT GIRL NUMBER」でステージに舞い戻る。続く「幸せって書いて」では渋谷系ギターポップを彷彿とさせるサウンドで客席を魅了し、ノンストップで「ピンキーフック」へ。流れるような必殺曲の連打に客席のボルテージも上がり続ける。彼女の楽曲では珍しいハードロックサウンドの「秘密のアフレイド」も立て続けに披露され、ここまで2時間近く様々な楽曲の方向性を切り替えながらも一切ブレずに歌い踊り続ける、彼女の強靭な「麻倉もも力」を改めて見せつけられた。

次ページ:客席の歌声で初めて完成する「妄想メルヘンガール」

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