リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2024.10.23

TVアニメ『星降る王国のニナ』EDテーマ「星の伝言」をリリース。東山奈央がシングルに収録した楽曲への想いを語る

TVアニメ『星降る王国のニナ』EDテーマ「星の伝言」をリリース。東山奈央がシングルに収録した楽曲への想いを語る

東山奈央が歌う、TVアニメ『星降る王国のニナ』EDテーマ「星の伝言」が10月23日にリリースされた。全形態共通のカップリング曲「ショート」、初回限定盤と通常盤に収録される「むてきなガール!」、アニメ限定盤には、『星降る王国のニナ』をモチーフにした「ラピスラズリ」が収録されている。それぞれの楽曲の魅力を、たっぷり語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一

言葉に表し切れないものを歌声に乗せることができました

――シングルとしては1年以上ぶりのリリースとなるのですが、今回はどんなシングルにしようと思ったのですか?

東山奈央 前作「door」ではシングル1枚を通して、統一感を出していく作り方をしたのですが、今作では4曲4様、バラエティ豊かなシングルになったのかなと思います。やっぱり私は、こういうシングル作りが好きみたいで、私の好みど真ん中の作り方をしたのが、今回のシングルになります。

――カップリングで遊んだり、色んなタイプの曲をやりたいのですね。

東山 そうなんです。だから結構それぞれの方向に振り切った曲になっていると思います。

――今作のクレジットを見ると、馴染みの方だけというわけでもなさそうですが、どのようにクリエイターを決めていったのでしょうか?

東山 表題曲「星の伝言」の椿山日南子さんは、『マクロスΔ』のワルキューレやソロ活動でもご縁のある方ですけど、それ以外の方は、ソロ名義では初めてになります。私がこういう曲をやってみたいですと提案したときに、「この方はそういうのが得意だからお願いしてみよう」という感じで決まったり、スタッフさんに紹介していただく感じでした。「ショート」の宮田’レフティ’リョウさんは、すごく素敵な方で打ち合わせから深いやり取りをさせていただけましたし、「ラピスラズリ」の半田 翼さんは、私のビルボードライブに足を運んでくださって、歌声の雰囲気も掴んだうえで作・編曲してくださったんです。「むてきなガール!」のAmalaさんは、レコーディングのために現場に来てくださったので、それぞれの作家さんと、かなりしっかりとしたコミュニケーションをしながら作っていくことができた、かなり濃ゆいシングルになったと思っています。

――コミュニケーションが密に取れたのですね。

東山 毎回クリエイターさんにお会いできるわけではないんですけど、今回は4曲ともがっつりディスカッションをしながら、ディレクションをいただきながら作ることができたので、思い出いっぱいです!

――自分や自分のチームで決めてやるやり方と、作家さんも入れてコミュニケーションを取りながらレコーディングするやり方があると思うのですが、どちらがやりやすい、とかはあるのでしょうか?

東山 私はディレクションが多いと嬉しいタイプで、お任せでと言われるともぞもぞしてしまうタイプなんです(笑)。自分ではこれが最善と思っていても、別の角度から見たら違う可能性があるのではないかと思うので、なるべく色んな方の意見をいただくことで、可能性を引き出していただく。そうすることでホッとするんですよね。

――それは、声優だからかもしれないですね。

東山 そうなのかな(笑)。私の性格による部分も大きいと思いますけど、自信が付きにくいタイプなので、色んな方に支えてもらったほうが、みんなで作る楽しさもあるし、いいなって思うんです。やっぱり自分ひとりでできることって限りがあるから、最大限努力しても到達できないようなまさかの方向からディレクションをいただくと、心に風が吹くんです(笑)。

――難しいことを言われたときは、やってやる!という気持ちになるのですか?

東山 燃えるときもあるし、どうしようかなぁってなる時もあります。でもレコーディングでクリアできなくても、言われたことが残っていて、ライブを重ねていく中で、急にできるようになっていることがあるんです。そう考えると、長い目で見たら成長に繋がるんですよね。

――そうやって、いつまでも向上心を持ち続けているところが素晴らしいなと、いつも思います。キャリアを重ねていくと言われなくなるけど、自分から意見をしてほしいと言えるのはすごいことです。

東山 確かに遠慮して言われないことは多くなりましたけど、私はやっぱり言われるほうが好きなので、現場帰りにもマネーシャーさんには「今日、どうでしたか?ディレクションに応えられていましたか?」って質問しちゃいます。だからマネージャーさんはいつもちゃんと私の仕事ぶりを見てないといけないので大変だと思います(笑) 。

――今回はタイアップ楽曲で、東山さんもムフルム役として出演されています。TVアニメ『星降る王国のニナ』の作品について教えてください。

東山 主人公のニナ(CV.田中美海)は孤児で、スラムで一生懸命生きてきた女の子なんですけど、瑠璃色の瞳を持っていたということで、フォルトナ国の王女・アリシャとして生きることになるんです。その中で、自分の運命に立ち向かっていく。悲痛な場面に立たされることも多いんですけど、ニナがまっすぐに生きていくことで、周りも勇気づけられていくんですよね。そして難局をニナがどう乗り越えていくのかというところから、目が離せなくなる物語なんです。

――ニナに周りが影響されていくのですね。

東山 キャラクターたちそれぞれも重たい生い立ちを背負っていたりするんですけど、そういう星の下に生まれたからという言葉で片付けずに、自分の人生をしっかり生きていこうとしているニナに感化されて、周りも愛を知っていくというところは、一番の注目ポイントになるんじゃないかなと思います。

――東山さんが演じているムフルムは、フォルトナ国の第一王子なんですよね。

東山 ムフルムもすごく一生懸命生きている男の子です。王族って人間関係が複雑だったりするし、悩んだり、プレッシャーを受けたりするけど、その中でもまっすぐに育っているところは偉いなって思います。それにふとした言動にかわいさがにじんでいるので、ほっこりする場面も多いです。

――原作のジャンルとしては、少女漫画になるんですよね。

東山 ジャンルとしてはそうなのかもしれないですね。アズール王子(CV.梅原裕一郎)とセト王子(CV.内山昂輝)というかっこいい王子が出てきて、選べないよ!って感じになるし、キュンキュンするんですけど、それだけではなくてニナの生き様に勇気をもらえる作品なんです。私が印象深かったのは、“必要とされたい”という気持ちをニナが吐露する場面なんですけど、誰しも、必要とされたい、誰かの特別になりたいという気持ちには共感すると思うんです。でもニナって、必要とされるために自分を曲げたりはしないんですよ。曲げないことで、周りが勇気をもらえて、本当に必要とされる人になっていく。これが正しい在り方だよなと思ったので、正しく生きていく術を教えてもらえる感じがしました。

――キュンとするだけではない、深みもある作品なのですね。そしてシングルの表題曲「星の伝言」は『星降る王国のニナ』のEDテーマになります。

東山 「星の伝言」を歌わせていただくに当たって原作を読ませていただいたんですけど、めくる手が止められなくて。レコーディングのときもニナが降りてきてくれたような感覚があって……。しかもアフレコ期間中にレコーディングをすることができたんですね。実際にニナの声を現場で聞くことができていたし、美海ちゃんの背中を見てアフレコの空気感も体験することができていたので、これは“声優・歌手”として、やれることの良さだなと思いました。もちろんキャストとして関わっていないときのアプローチもあるんですけど、今回は自分が現場にいたからこその空気感とか、言葉に表し切れないものを歌声に乗せることができたので、自画自賛になっちゃうんですけど、自分でも良い歌が歌えたと思っています。美海ちゃんのお芝居に後押ししてもらえた部分がたくさんありました。

――その空気感を活かせるような、すごく作品に寄り添った楽曲ですよね。

東山 聴いたときは鳥肌がぶわ~って立つ感じでした。サビに向かっていくところが大好きなんです。本当に、運命を表現しているって。運命に抗っていく強さを感じるというか。歌詞にも“向かい風”って出てくるんですけど、立ち向かう強さが曲に表れていて、聴いていても歌っていても魂が震える楽曲でした。未だに音源を流すと、ぼーっと聴き流せないというか、じっくりのめり込みながら聴いちゃうんです。やっぱり私は、椿山日南子さんが紡がれた音楽が大好きなんだなと思いました。

――6/8拍子ですし、わかりやすく熱い曲調ではないですけどね。

東山 秘めているものが熱いんですよね。自分の中で、どう前に進んでいったらいいか正解はわからないけど、遠くの星空に手を伸ばすように、自分の信じる愛だったり生き方に必死に手を伸ばそうとしている。その情熱をワルツのリズムに乗せて、とてもドラマチックに描いてくださっているなと思いました。ただ、あまり熱唱しすぎると熱苦しくなるので、思いの丈は溢れているけど、それをどのくらいの匙加減で乗せて届けていったらいいのかというのは考えました。

――アレンジや、コーラスでも盛り上げていく感じでしたからね。

東山 最終的に聴いてくださる皆さんに委ねるくらいな、ストーリーテラーな役割もありつつ、でもそこには、ニナの思いの強さや葛藤というものも秘められている。最終的には目の奥が熱くなりながら、うっかりしたら泣いちゃうくらい、迫る思いで歌わせていただきました。

――コーラスも素敵でした。

東山 椿山さんの仮歌がすごく素敵で、コーラスも椿山さんのお声だったんですけど、それがすごくきれいだったので、もはやこのままでいいのでは?という感じだったんです。実は椿山さんのコーラスも残しているので、2人でコーラスをしている感じになっています。

――歌詞で印象深い言葉はありましたか?

東山 どこも素敵すぎるんですけど、“光る声が名前を呼ぶ”という部分は、ニナが一度名前を失い、アリシャとして生きなければならなくなるんですけど、アズール王子とふたりのときだけはニナと呼んでくれる。私たちは当たり前に名前を呼んでもらえる世界で生きていますけど、ニナにとってはそれがすごく特別なことで切ないことである、というのをこの言葉が言い表していて、それがサビ終わりにあるのがグッとくるなと思いました。全体的には1番のAメロの歌詞が好きで、“向かい風に抗い底に咲く愛を 教えられ、教えて、生きていくのでしょう”は、まさに『星降る王国のニナ』なんですよね。それぞれが複雑な生い立ちの中で生きているけど、愛をもらって心を動かされていく。その過程を物語で描いてくれているからこそ、心に響く歌詞になっているんです。特に“底に咲く愛”というワードがいいですよね。人生のどん底で、愛を持つことも諦めるような中でも、咲くんですよ、愛が!すごい歌詞だと思いました。

――ラストも、そことだいたい同じメロディで、静かに“誰しもが求める特別な愛を 教えられ、教えて、生きていくのでしょう”と締めくくる感じもすごく良かったです。

東山 シンとした空気で終わっていく感じが、聴き終わったあとにため息が出ちゃうような余韻があって、とても魅力的なんです。

――「星の伝言」のMVの見どころを教えてください。

東山 星空がきれいなんですけど、どこで撮影しているのかな?って思うような映像美なんです。室内だろうなっていうのはわかると思うんですけど、合成ではないんです。なので、そのあたりも想像しながら見ていただきたいです。

――ジャケットの衣装も、星空がモチーフになっていますよね。

東山 今回はイチから衣装も作っていただいたんです。よく見ると布が2枚重なっていて、結構しっかりした生地の上に、透け感のある生地を重ねているんです。そうすることで星がだぶって見えたり、立体的に見えたりする。それもスタイリストさんのアイデアなんです。上のほうの生地には刺繍だったり、スパンコール、ラメ加工、あらゆるキラキラを乗せていただいたので、衣装展みたいなものがあったら、ぜひ実際に見ていただきたいです。多分、普通のマネキンには着せられないかもしれないですけど、ちょっと見せ方を工夫して展示できたらなって、匠の技が詰まった衣装になっています。

――東山さんの作品は、毎回、アートワーク含めてこだわっていますね。

東山 紙の質感にもこだわっていたりしますので、グッズ感覚で手にとっていただけたら嬉しいです。

次ページ:自己肯定感は年々上がっているので、純粋に向上心の塊になってます

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP