TVアニメ『星降る王国のニナ』EDテーマ「星の伝言」をリリース。東山奈央がシングルに収録した楽曲への想いを語る

自己肯定感は年々上がっているので、純粋に向上心の塊になってます

――続いてカップリング曲ですが、「ショート」は、どのように曲をお願いしていたのですか？

東山　カップリングの打ち合わせの中で、スタッフさんがこういう曲調はどうだろうか？と、レフティさんの曲を聴かせてくださったんです。そこで、すっごく好き！と思いました。椿山さんもそうですが、レフティさんから生まれる音楽が好きなんだなと思ったので、ぜひ曲を書いていただきたいとお願いしました。そこから、最近思っていることを打ち合わせでヒアリングさせてほしいと言っていただき、くだらないことから結構深い悩みまでお話ししたんです。その中で、面白いと思ってくださったのが、私が夜な夜なショート動画を見漁って時間を溶かしてしまうという悩みで（笑）、それは結構みんなも共通して抱いている悩みかもしれないねと言ってくださったんです。

――ショート動画って、何であんなに見ちゃうんですかね……。

東山　ここにも悩んでいる方がいましたね（笑）。見ているときは楽しいと思っているんですけど、見終わったあとに「何を見てましたか？」と言われると答えられる自信がなくて。無駄に時間を過ごしているなって思っちゃうんですよね。“ショート”と言うと、いろんな意味があるので、想像を膨らませていただけたかなと思うんですけど。

――歌詞にも“もう　ショートしそう”と出てきますよね。

東山　歌詞は遊び心に溢れていて、頭がパンクしちゃうという意味でも使っているし、ラスサビでは“もう消灯しよう”と、電気を消して寝ようという意味になっている。そのくらい言葉遊びが巧みなんです。

――では、ショート動画を見漁ってしまう、今の世代の悩みを曲にしたということですか？

東山　という楽曲に見えるのですが、実はもうひとつ意味が込められているんですよ！　児童文学『モモ』という作品がありまして、レフティさんがそれをモチーフに歌詞を書いてくださったそうなんです。それならばと、私も『モモ』を読んでからレコーディングに臨もうと思い読んだのですが、読めば読むほど、この曲が『モモ』のテーマソングとしか思えないくらい、世界観にぴったりハマッた歌詞になっているんですね。だから一見するとショート動画への悩みの曲に見えるけど、『モモ』を知ってからだと聴こえ方がガラッと変わるんです。このインタビューを読んでくれている、楽曲に興味を持ってくださっている読者の皆さまには、ぜひ児童文学『モモ』を読んでいただけたらと思います。そうすると、たとえば歌詞の“灰色の空”や、最後の“オソイホドハヤクアトノコトハカンガエマセン”の意味が変わって見えてくると思います。

――唐突に不思議なワードが入ってくる感じはしていましたが、そういう意味があったのですね。

東山　そうなんです。このカタカナの歌詞は、物語に出てくる、少し先の未来が見通せるカメのメッセージでもあるんです。ショート動画を見ても、後のことは考えません！みたいな投げやりな歌詞にも見えるんですけど、物語を読むと哲学的に感じる言葉でもあるんです。

――時間をテーマにしているのは変わらないけど、『モモ』を知ると解釈が変わってくるというのは、かなり面白い試みですね。曲調もベースがズンズン響いてくる感じが良かったです。

東山　ジャンル的にはドラムンベースというらしく、ワルキューレでいうと｢絶対零度θノヴァティック｣がそれに当たるんです。曲調的には好きだったのに、自分に音楽的知識がないからドラムンベースを歌いたいです！とずっと伝えられずにいたんですけど、この曲がドラムンベースだったので、私がずっと歌いたかったやつだ！と嬉しくなりました。

――そして「むてきなガール！」は、アッパーなデジタルポップでした。

東山　「door」のときは、大人へのシフトというテーマがあって、4曲とも大人っぽい雰囲気の曲だったんですけど、そろそろぶち上がるダンスナンバーがやりたいなと思ったんです（笑）。大人へのシフトを踏まえた上で、今の自分だからやることのできる、ぶち上がるダンスナンバーってどんなふうになるんだろうと思ったんですけど、最終的にはアスリートばりのストイックなダンスナンバーをやりたいと伝えました。そうしたらAmalaさんが速攻でノリノリで楽曲を仕上げてくださって、いただいた1コーラスのデモを聴いたとき、「私がやりたかったのはこれです！」という感じでひと聴き惚れをして、そのまま1曲フルで仕上げていただきました。

――この曲を、ノリノリでレコーディングしていったのですね。

東山　でも、実際歌うとすごく大変で、レコーディングだと肺活量と体力との戦い、みたいになるんです（笑）。歌声に表情やニュアンスを付けたいなと思っているのに、テンポが速くてついつい乗り遅れてしまう……。だから歌いこなすというのがすごく大変な曲ではありました。

――そのうえで、踊る気でいるんですよね？

東山　踊る気でいます（笑）。でも私、結構振り付けと一緒に歌を覚えることが多いので、もしかしたら振り付けが私の助けになってくれるかもしれないです。ただ歌うだけで息も絶え絶えだったので、体力をつけないといけないなと思っています。自分の中でハマっている曲って、練習も楽しいので、これから練習するのも楽しみですし、実はもう振り付けが届いているので、一番早いところだとリリースイベントで見ていただけると思います！

――まだまだ自分をいじめていくスタイルなところが、さすがです（笑）。

東山　体力曲線的には落ち始めているはずなんですけど頑張ります（笑）。コーレスもあるので、“（ラッタッタタルラリラ）”とかは、みんなにも歌ってもらいたいですね。一緒に楽しんでいけたらなと思っています。

――ライブ定番ナンバーになりそうな予感が漂っていますが、東山さん自身は、無敵なマインドはあるのですか？

東山　私自身は、自信が付きにくいタイプなんですけど、自己肯定感は年々上がっている感じがするので、純粋に向上心の塊になっただけのような感じがします。前は自信も自己肯定感もなく、焦りながら努力している感じだったんですけどね。この曲はずっと前向きで、自信満々なことを歌っているんですけど、それも今の自分であれば、気持ちよく歌えるのかなって感じはしています。

――ちなみに自己肯定感が高くなったのは、何か理由があったのですか？

東山　この感じで一生生きていくのかなって思ったら楽しくないなと思えてきたんですよね。じゃあ、いつ変わるの？　今でしょ！的な感じで、そろそろ人生も1／3かもしれないと思ったら、自己肯定感を上げていかなければいけないと思ったんです。いつまでも人生新人気分で生きていてもダメだなと（笑）。

――それも素晴らしいです（笑）。そしてもう1曲、アニメ盤には、「ラピスラズリ」という、ストリングスアレンジが壮大な楽曲が収録されていたのですが、これは『星降る王国のニナ』を意識して書かれた曲ということでいいのでしょうか？

東山　イメージソングのような感じだと思っていただければと思います。ニナの瞳の色が瑠璃色ということで、タイトルも「ラピスラズリ」になっているので。作詞は、児玉雨子さんにお願いをしていて、ソロでは初めてなんですけど、ずっとお願いしたいと思っていたので、ご縁ができて嬉しかったです。ニナは、ボーイッシュだったり荒っぽいところもあったりするんですけど、彼女の根底にあるものって、包容力であったり、大きな愛であったりすると思っているんです。それがふとした言葉に表れていたりするので、この曲は、ニナの持っている愛情の部分をテーマに歌詞を書いていただきました。

――この壮大な楽曲を歌ってみていかがでしたか？

東山　「星の伝言」が向かい風に立ち向かっていく感じだとしたら、「ラピスラズリ」は温かなものに包まれているような雰囲気があったので、壮大なんだけど違う特徴を持っている曲だなと思いました。ニナって絶賛葛藤中な女の子ではあるので、全部を許して包み込みすぎると、すごく達観した歌い方になってしまうと思ったんです。だからそうはせずに、ニナの等身大な部分を全身で感じて歌おうと心がけました。この歌詞の中でも“初めて強くなろうと思った”とあって、自分の中でまだ不安定な部分もあるんですよね。“どうして　私は私としてここに　生まれたのかなぁ”という問いもまだ残っていたりするので、歌っていても、何だか切ない気持ちになるんです。

――ニナは運命に翻弄されるけど、“導かれたのではない選んだ”と歌っています。物語の中でも、最終的に自分の道を自分で選んでいるシーンがあったので、ニナの強さも曲から感じました。

東山　運命に翻弄されるのではなく、自分で選んだから強く生きていけるし、相手を愛することができる。そういう生き方ができているから、残酷な場面に出会ったとしても、彼女の目から光は消えないんでしょうね。それは自分でそういう生き方を選んだと思えているからなんだろうなと思います。

――では最後に、2月22日（土）ねこの日に、ワンマンライブ『わたしのかんがえたむてきのセトリ！』の開催が決定しましたが、どんなライブになりそうですか？

東山　なおぼうが急に強気なことを言ってるなって思っている方もいたんですけど、「むてきなガール！」からタイトルを取ってきたライブになります。そうなると、「むてき」って何だろうという哲学が始まるんですけど、東山の考える「むてき」が詰まったライブになると思います。先日セットリスト会議をしたんですけど、今回は大きなテーマがあるわけではないので、何でもありなライブをしようという感じで、今、アイデアを出し合っています。なのでセトリがまったく読めないと思うんですけど、久しぶりに踊るライブになる気がしているので、ダンスパフォーマンスが好きな方はそこを楽しみにしていただきたいです。それと普段ならやらないようなことにチャレンジすることも多々あるので、一緒に盛り上がっていただけたら嬉しいです！

●リリース情報
「星の伝言」
東山奈央
10月23日発売

【初回限定盤（CD+Blu-ray）】

品番：VTZL-245
価格：￥3,520（税込）

【通常盤（CDのみ）】

品番：VTCL-35378
価格：￥1,430（税込）

＜CD＞
01.星の伝言
作詞・作編曲：椿山日南子
02.ショート
作詞・作編曲：宮田’レフティ’リョウ
03.むてきなガール！
作詞・作編曲：Amala
04〜06.各Instrumental ver.

＜Blu-ray＞
歌手活動・７周年記念パーティーライブ7th Anniversary Party “Live☆Pallet”ダイジェスト映像
・Rainbow
・7周年メドレー（True Destiny/月がきれい/灯火のまにまに/歩いていこう！/冷めない魔法/Growing/door）
・想像ダイアリー(TVアニメ『ニセコイ』EDテーマ)
・アイドル(TVアニメ『推しの子』OPテーマ)
・バレバレ・バレンタイン(TVアニメ『神のみぞ知るセカイ』より)
・(前略)全人類へのファンファーレ！
・ボーナス映像：Rainbow（失敗ver.）

【アニメ限定盤（CD+DVD）】

品番：VTZL-246
価格：￥2,200（税込）

＜CD＞
01.星の伝言
作詞・作編曲：椿山日南子
02.ショート
作詞・作編曲：宮田’レフティ’リョウ
03.ラピスラズリ
作詞：児玉雨子/作編曲：半田翼
04.星の伝言 TV size ver.
作詞・作編曲：椿山日南子
05〜07.各Instrumental ver.

＜DVD＞
東山奈央スペシャルバラエティ番組「なおぼうの夏休み2 with すみぺとあやねる」

●イベント情報
リリースイベント
①愛知会場
2024年10月26日(土) 15:00~
会場：エアポートウォーク名古屋　３階イベントステージ

②兵庫会場
2024年10月27日(日) 14:00~
会場：阪急西宮ガーデンズ　本館4階スカイガーデン木の葉のステージ

③東京会場
2024年11月2日(土) 14:00~
会場：有明ガーデン3F みんなのテラス

詳細は東山奈央オフィシャルサイトをチェック！

●作品情報
TVアニメ『星降る王国のニナ』
2024年10月よりTOKYO MX、BS朝日ほかにて放送中

TOKYO MX：毎週木曜22:00～
BS朝日：毎週金曜23:00～

※放送日時は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承下さい。

＜イントロダクション＞
フォルトナ国城下で孤児として暮らしていたニナは、星の神のごとき深き青――瑠璃色の瞳を持っていた。
事故で亡くなったフォルトナ国の王女アリシャと同じ色の瞳ゆえ、第二王子アズールに見出され、ニナは王女に成り代わることを求められる。
身代わりの星の巫女として、王女として、与えられた使命――
それは三月のあと、大国ガルガダの第一王子セトに偽りの花嫁として嫁ぐこと。
運命に翻弄されながらも、誰かに必要とされることに喜びを感じるニナ。
そのまっすぐな瞳が見ているものとは……。

愛する人を守る決意をしたとき、それぞれの運命が大きく動き始める!!

【スタッフ】
原作：リカチ（講談社「BE・LOVE」連載）
監督：駒屋健一郎
シリーズ構成・脚本：山田由香
キャラクターデザイン：竹谷今日子
サブデザイン：加藤初重、刀根川恵、福地祐香、玉井あかね、談凱琪、古野琴絵、有永友紀、原由知
プロップデザイン：原由知
美術設定：白石洋（有限会社アーガイル）
美術監督：三宅昌和
色彩設計：伴夏代
CG監督：三谷文子（レイルズ）
撮影監督：小池真由子（チップチューン）
編集：増永純一（Imagica EMS）
音響監督：亀山俊樹
音楽：田渕夏海
音楽制作：フライングドッグ
アニメーション制作：シグナル・エムディ