“fripSideの音楽”を真正面から追及したニューアルバム『infinite Resonance 3』完成！八木沼悟志、上杉真央、阿部寿世それぞれが思う“fripSide”とは。

「3年かかる」と言っていた第3期fripSideの成熟、それがまさに今この時

――あれもお互いの息が合っていなければ怪我してしまいますしね。そうした2曲から幕をあける『iR3』ですが、ここからまたコンセプチュアルな構成を見せます。いわゆる6曲目の「Secret Operation」に向けて、季節感のある楽曲が続いていきます。

sat　そうですね。「Secret Operation」が春だし、これまでfripSideは季節感を永遠のテーマにしてずっとこう探求してきたのもある。それで最近は秋の曲もやっていないなというので、3曲目は「Solitude in Autumn」にして。こういう制作の手法としては、やっぱり第1期fripSideに近いのかもしれない。あのときも季節を決めて、自分の歌いたいテーマ、表現したいことをまず決めてからラフスケッチに入っていくという手法だった。

――そういう制作のなかで、4曲目「Winterfade」のあとには、Hisayoさんのソロ曲「Gratitude to You」へと続きます。これはHisayoさんとsatさんの共作による歌詞になりました。

sat　春の曲を作ったつもりだったんですけど、Hisayoには何も言わないで「自由に書いてくれ」って渡した気がする。

Hisayo　そうですね。渡されたときにテーマは特になくて。

sat　でも上がってきたものを見て「わかってんじゃん！」って。作詞に関しては師弟関係にもあるから、とにかく書いてみなって書いてもらったものに、「俺ならこうするけど、Hisayoが言いたいことと違ってないか？」と考えながら加筆して。多分僕1人ではこうはなってないです。やっぱりHisayoの感性というのもがちゃんと入っている。

Hisayo　最初はすごく悩んだんです。曲調的に切なくて春も感じるし、恋愛系の歌詞なのかな？とかも考えたんですけど、自分が書きたくて皆さんに伝えたいことは何かなって考えたときに、それは感謝（Grartitude）の気持ちだったんですね。fripSideに入る前もそうだし、入ってからもずっと支えて応援してくださるファンの皆さんのことを思って書きました。歌詞に“あなた”って言葉が出てくるんですけど、それはファンの皆さんのことだし、私にとってそれは家族でもあったり、satさんやMaoちゃんだったり。

――そうしたコンセプチュアルな前半を経て、後半はそこからまた異なる発展の仕方を見せます。よりディープに、昨今のfripSideのエッセンスを交えたつくりですよね。そのなかで聴かれるのがMaoさんのソロ曲「Salvation」です。

sat　今回も1曲ずつソロ曲を作ろうという構想はあって、ボーカリスト・上杉真央の良さを引き出すにはどこのチャンネルなのかなと考えて。そこでちょっとコード進行も極めてシンプルで、どっちかというと洋楽のエッセンスが多く感じるものにしようと。鍵盤でイントロのハープシコードを遊びながら弾いて、「あ、こういうので声が乗ったら面白い」って始まった曲なんですよ。で、最後のDメロも彼女がこういうふうに来たらこう歌うだろうなという想定がもうあって、そのとおりに上手くハマった。歌詞もすごく等身大のMaoというか、背伸びしない、いい歌詞を書いてくれたので、これはまた我々の1つの武器になるんだなと。

Mao　曲をいただいて聴いたときにも、私のことを思い浮かべながら書いてくれたんだろうなというのは最初に伝わってきました。今回曲をいただく前に、「今回作詞1曲お願いするね」って言われていて、その時点から「どんなことを書こうかな」というのを考えていて、自分が書きたいことを書けたなっていうのが自分の印象としてはあります。

――Maoさんが歌詞にした想いとは？

Mao　以前、初めて作詞をさせていただいた「Reach for the light」ではfripSideのボーカルになる前の期間を振り返るような形で書いていたんですけど、今回の「Salvation」は、時系列的にはfripSideのボーカルになってから自分がどう感じたか、というのを書きたいなと思って。なので等身大というのもありますし、やっぱり歌詞って「自分はこう思いました」ということだけで終わってはいけないと思っていて。「自分はこういうときにこう感じたけど、きっとみんなもこう感じることがあるよね」というのを考えていますね。今回の歌詞でいうと「1人じゃどうにもならないときってきっとあるよな」って。

――なるほど。

Mao　でも、1人じゃどうにもならないときでも、少しでも自分が前に進みたいという意志を誰かしらに伝えることができれば、きっと周りの人が助けてくれるということを私はこの3年ですごく感じたので。ステージでもHisayoやsatさんが助けてくれたり、周りのスタッフさんやファンのみんなが助けてくれたり。だから聴いてくれる人たちにも、何か前に進めないなっていうときにきっと誰かが手を差し伸べてくれるよということを言いたかったんです。

――HisayoさんもMaoさんも、これまでの経験があって出てきた歌詞というのがよくわかりますし、その成長を伺える楽曲になっていますよね。そして近年のfripSideを感じさせる楽曲が、続く「Turn Night Into Day」です。こちらは全編英詞の楽曲。

sat　これは第3期を始めるにあたって、世界に打って出られる人材を選びたい、英語圏のファンの皆さんが聴いて違和感のないものを作りたい。この発音、この内容だったら、そのまま我々の心にも入ってくるって思ってもらえるようなものを作りたいというのがあって。それは「more than you know」を作ったときからなんですけど。だから今回も事前に作詞をアメリカにいる黒川さん（Shin Kurokawa）に手伝ってもらって、Zoomで発音の練習をして。

――「more than you know」も今のfripSideの大きな武器ですからね。

sat　ファンの皆さんもこういうトランスサウンドを受け入れてくれるし、世界に向けても、日本のアニソンアーティストでここまで本物のトランスを作れるんだって感じてほしい。

――英語詞の楽曲ですが、レッスンからレコーディングまでお2人はいかがでしたか？

Hisayo　「また全編英詞の楽曲を今回のアルバムでもやるよ」と言われて気合いを入れていたんですけど、前回の「more than you know」よりも難易度が上がったというか、ハードルが上がっているのを感じて不安でした。でもレコーディングの前に、作詞してくださった黒川さんとZoomで、Maoちゃんとひたすら歌詞を読み上げては確認して歌って、というのを何度も何度もやって。だからこそ、ちゃんとしたものになったんじゃないかなと思います。レコーディングでも実際に録ったものを黒川さんに聴いてもらってアドバイスをいただいて、また録り直してというのを繰り返しました。

――こうしてクオリティの高いものに仕上がりましたし、またこれを今後のツアーでも披露するのかなと。

Mao　やるでしょう（笑）。「more than you know」のときも「ライブ大丈夫かな……？」と思っていたんですけど、実際には口と体が覚えていたので、この曲も口と体が覚えたらきっと大丈夫。

sat　そう。その場しのぎで録ってないから。録れるということは、もう体に入っているということ。だからライブは全然怖くないですよね。

――そして終盤は「Against the World」を経て、「Hesitation Snow」と「future gazer」というセルフカバーでアルバムは締め括られます。今回のセルフカバーも過去の名曲たちを3rd Phaseらしくアレンジされていますね。

sat　「Hesitation Snow」はライブで聴きたいという声もたくさんいただいていたし、「killing bites」は3rd Phaseに似合う曲なんだろうなというのは前から思っていたので。「future gazer」は『とある科学の超電磁砲』が15周年で、11月にはイベントもありますしね。

――「future gazer」で終わるのは『infinite synthesis 3』の「Side by Side」を思わせますよね。

sat　ああ、fripSideのアルバムはいつも明るく終わるけど、そうかもね。

――それこそこじつけみたいになりますが、3枚目のアルバムとしてsatさんの歌詞も含めた世界観というのが成熟してきているのは『infinite synthesis 3』という作品とも似ているのかなと。

sat　『infinite synthesis』『infinite synthesis 2』の頃は僕もまだ若くて経験も不足していたし、それが『infinite synthesis 3』で、ようやく本来の力を出せたるようになったのかなって、今振り返ると感じますよね。それに対して新体制になって、この3人で何ができるかというところを熟成させるには、やっぱり最低でも3年くらいかかりますよ。

――それは以前からおっしゃっていましたよね。

sat　2人が加入したときに、ひと回りぐるっとこの業界がわかるようになるまで最低3年くらい必要かもしれないって言っていたと思うんですけど、それがまさに今ということですよね。2人ともだいぶわかってきたと思うし、自分がどう受けて動けば、チームはどう円滑に進むのか。どんな表現をすればみんなが喜んでくれるのか。当然個々の戦力も上がっている。かつ、3人のそのシンクロも熟成されてきて。

――まさにその結晶がこの『iR3』であると。

sat　もちろんこれで満足するわけでもない。ここからさらに向こう3年、5年というビジョンがあって、こういうふうになってほしいなっていうのはある。でもね、ボーカル2人の努力に感謝です。僕は本当にそう思うんですよ。

――この先のツアーも楽しみにしたいですし、何より来年1月には“リスアニ！LIVE 2025”に再び出演となります。

sat　お呼びいただきありがとうございます。全力でやりたいですね。我々のやれるすべてをお見せしたいし、前回と比べて責任が伴うものなのかなと。

Hisayo　最近よく「もう新人じゃないぞ」ってよく言われているので、責任をますます感じてステージに上がりたいですね。

Mao　前回は本当にひよこちゃん状態で出させてもらって。でも、もうひよこじゃないからな！という思いで臨みたいと思います。

●リリース情報
fripSide Phase3 3rd original album
『infinite Resonance 3』
10月9日発売

【初回限定盤（CD+Blu-ray）】

品番：GNCA-1675
価格：￥7,700（税込）

【通常盤（CD）】

品番：GNCA-1676
価格：￥3,300（税込）

＜CD＞
1. Starlit Moment
2. Unbroken Resolve
3. Solitude in Autumn
4. Winterfade
5. Gratitude to You（vocal: Hisayo Abe）
6. Secret Operation -fripSide Edition-
7. Twinkle Star Nights
8. killing bites -version2024-
9. Salvation（vocal: Mao Uesugi）
10. Turn Night Into Day
11. Against the World
12. Hesitation Snow -version2024-
13. future gazer -version2024-

＜Blu-ray＞
・Unbroken Resolve MV
・Unbroken Resolve MV Making
・SPOT
・fripSide infinite Resonance 2 tour 2023-2024 supported by animelo<2024.1.4（Thu）Zepp Haneda TOKYO >

●ライブ情報
fripSide concert tour -the Dawn of Resonance- in 2024-2025 supported by animelo
2024年10月26日(土) 島根・松江 AZTiC canova [開場16:00／開演16:30]
2024年10月27日(日) 岡山・CRAZYMAMA KINGDOM [開場16:00／開演16:30]
2024年11月09日(土) 大阪・GORILLA HALL OSAKA [開場16:00／開演16:45]
2024年11月10日(日) 岐阜・Club-G [開場16:00／開演16:30]
2024年11月16日(土) 千葉・柏 PALOOZA [開場16:00／開演16:45]
2024年11月30日(土) 長崎・DRUM Be-7 [開場16:00／開演16:30]
2024年12月01日(日) 熊本・B.9 V-2 [開場16:00／開演16:30]
2024年12月07日(土) 滋賀・U★STONE [開場16:00／開演16:30]
2024年12月08日(日) 奈良・NEVER LAND [開場16:00／開演16:30]
2024年12月28日(土) 和歌山・CLUB GATE [開場16:00／開演16:30]
2024年12月29日(日) 徳島・club GRINDHOUSE [開場16:00／開演16:30]
2025年01月11日(土) 茨城・水戸 LIGHT HOUSE [開場16:00／開演16:30]
2025年01月19日(日) 北海道・札幌 PENNY LANE 24 [開場17:30／開演18:00]

出演：fripSide（上杉真央、阿部寿世）
出演(大阪公演のみ)：fripSide（八木沼悟志、上杉真央、阿部寿世）

fripSide concert tour -the Dawn of Resonance- in 2024-2025」＜東京公演＞
2025年02月16日(日) 東京・Toyosu PIT
出演：fripSide（八木沼悟志、上杉真央、阿部寿世

リスアニ！LIVE 2025
2025年01月24日（金）東京・日本武道館
fripSideはFRYDAY STAGE に出演

詳細はこちら
https://www.lisani.jp/live/