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INTERVIEW

2024.10.08

歌い手・吉乃がメジャーデビュー!TVアニメ『ひとりぼっちの異世界攻略』『来世は他人がいい』それぞれのタイアップ曲について聞いた

歌い手・吉乃がメジャーデビュー!TVアニメ『ひとりぼっちの異世界攻略』『来世は他人がいい』それぞれのタイアップ曲について聞いた

10月放送開始のTVアニメ『ひとりぼっちの異世界攻略』OP主題歌「ODD NUMBER」で、歌い手・吉乃がポニーキャニオンからメジャーデビュー。同時にTVアニメ『来世は他人がいい』ED主題歌にも起用され、異世界物と極道ラブコメディの異なる2作品に参加。吉乃初のアニメタイアップで、エッジの効いた変幻自在な歌声が作品の世界観を彩る。リスアニ初登場となる今回のインタビューでは、吉乃の音楽的バックグラウンドから2作品への思いを聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 小町碧音

音楽好きから、1人の歌い手「吉乃」になるまで

――まずは吉乃さんの音楽の原点について聞かせてください。

吉乃 父はロックバンドのThe Collectorsが好きで、母はシンガーの安部恭弘さんが好きで、そのCDを家でかけたり、それぞれのライブに家族で一緒に行っていました。音楽は常に身近にあった感じですね。

――The Collectorsのライブの印象はいかがでしたか?

吉乃 The Collectorsのライブは、「CHEWING GUM」という曲のサビでお客さんがステージに向かってガムを投げるんですよ。ガムが飛んでくるので、ボーカルの方は傘をさして歌うんです。その光景がすごく衝撃的で、「ライブってこんなことしていいんだ!」って。毎回、飛んできたガムを拾って食べるのが、楽しみでした。

――お母様が好きな安部恭弘さんのライブの印象は?

吉乃 安部恭弘さんのライブは、今はもうなくなってしまったかもしれないんですけど、六本木にあったライブハウス・レストランで開催されていたことがあって、そこではピザやポテトなど美味しい食べ物が出てくるんです。The Collectorsはガム、安部恭弘さんは美味しいご飯が食べられるという理由でついて行っていました。音楽がもちろん素敵だなとは思いつつも、当時は特に「食べ物があるからライブに行きたい!」みたいな感覚だったと思います(笑)。

――その道を通って、吉乃さんはボカロ曲を好きになっていくんですよね。

吉乃 そうですね。友達がルーズリーフに歌詞を書いて学校の廊下で、アカペラで歌っていたんですよ。その横を私が通り過ぎた時に「何を歌ってるの?」って聞いたら、「これはボーカロイドの『天ノ弱』という曲」と教えてくれました。当時はパソコンの使い方が全然わからなかったので、わざわざその友達を家に呼んで、YouTubeを開いてもらって、初めて164さんの「天ノ弱」を聴きました。そこから、じんさんのカゲプロや、色々なボカロ曲を聴くようになりました。

――当時は友達とよくカラオケにも行きましたか?

吉乃 みんなでカラオケに行くことは、多かったですね。全員がボカロかアニソンを歌っているのですが、曲が始まって画面に曲名やアーティスト名が出るのを見て、「この曲いいな。誰々の曲なんだ」と思って。家に帰ってまたパソコンで調べて聴くことを繰り返していました。

――ボカロ曲を歌う際には、どのように楽しんでいましたか?

吉乃 当時の自分は、作品としての良し悪しはあまりわかっていませんでした。ボカロ曲は、人間が歌うことを前提に作られていないことが多いので、どれも歌詞がギュッと詰まっていて、キーが高かったりテンポが速かったりと、すごく難しい曲が多いんです。でも、それをカラオケでスポーツ感覚で歌うのがすごく楽しくて。技術とか全く意識せずに、いかにこの難しい曲を歌いこなせるか、みたいな観点で、ただ歌い切ることが楽しかったです。

――当時のボカロ曲の勢いは本当にすごかったですよね。

吉乃 自分にすごく刺さったのは、Neruさんの「ロストワンの号哭」です。曲名の漢字が難しすぎて「これ何て読むの?」となりましたし、曲もすごくかっこ良くて。世間とか社会、大人に対してのフラストレーションをぶつけている歌詞に、衝撃を受けました。

――ボカロ曲ならではの破天荒でルールに縛られない表現にハマっていったと。そこからどうして歌い手に?

吉乃 元々、「歌い手になろう!」と思ってなったわけではなくて、気づいたらなっていた、みたいな感じなんです。最初は、カラオケや歌ってみた投稿アプリの「nana」でずっと歌っていました。nanaには運営さんのおすすめというページがあって、「愛を伝えたいだとか」(あいみょん)を歌った時にそこに掲載していただいたんですよ。nanaは1分半しか投稿できないんですけど、その短いサウンドがトップページに載ったことで、思った以上に多くの人に聴いてもらえたことがすごく嬉しくて、しばらくnanaに投稿し続けていました。4年くらい投稿したところで、もっと大きなプラットフォームで挑戦してみたいと考えるようになり、「より多くの人に歌を聴いてもらえるチャンスがあるかも」と思って、ボカロP・神山羊さんの「YELLOW」のカバーをTwitterに投稿しました。そしたら、当時フォロワーも知り合いしかいないアカウントだったのに、300いいねくらいついて。普段は10いいねがやっとだった私からすると、とても嬉しかったんです!「こんなに聴いてもらえるなら、もっと色々な曲をカバーしてみよう」と思ったのが入り口です。

――いち視聴者として見てきた中で影響を受けた方は誰ですか?

吉乃 色々な方面で影響を受けた方がいるのですが、一番はめいちゃんさんですね。あの明るさや前向きなエンターテインメント性は素敵だなと思います。自分にはあの明るさはなかなか出せないのですが、人を楽しませる姿勢が本当に凄くて。元々ライブをやりたい気持ちはずっとあったのですが、めいちゃんさんのライブ映像を見た時に、もっともっと頑張って、自分もいつかライブができるようになりたいなと思いました。また、歌い手さんではないんですけど、ゲーム実況者のキヨさんにもすごく影響を受けました。キヨさんの活動スタンスというか、何があっても弱音を吐かないで、全部ポジティブに変換していく姿がかっこよくて、すごく参考にさせていただいています。普段から動画を見ながら、「こういう風に生きていけたらいいな」と。発信者としての生き方はキヨさんから学んだことが多いです。

――ご両親経由のライブ経験もエンタメ性の部分で、影響しているのかもしれませんね。

吉乃 そうかもしれません。私は何でも吸収したいタイプなんです。頭は良くなくても、生き方の面では常に勉強していたいなと思っていて(笑)。だからこそ、この活動を通して、友人、仲間の表舞台に立っている姿やその裏側も見られるようになったのは、とても楽しいですね。

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