「アイドルマスター」シリーズの6年ぶりの新ブランドとなるアプリゲーム「学園アイドルマスター」(以下、「学マス」)が、5月のサービス開始以降、大ヒットを続けている。ヒットの要因は様々あるが、“アイドルへの挑戦状”をテーマに掲げた楽曲の数々もそのひとつ。近年の音楽シーンを彩る多才なコンポーザーたちが参加した、アイドル作品の枠を超えた楽曲たちは圧倒的なインパクトを残している。リスアニ!では、各アイドルの1stシングルリリースを記念して、楽曲や音楽面にフィーチャーしたキャストインタビューを実施。今回は、自分に向いてなさそうだからという理由でアイドルを目指した、ミステリアスな天才少女・篠澤 広役の川村玲奈に話を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 千葉研一
――広は、最初に発表されたときからインパクトが大きく、特に足の細さは話題となりました。そういった反響はご覧になっていましたか?
川村玲奈 細すぎてめちゃくちゃ心配されていましたよね(笑)。私も気になって調べてみたら、皆さん広の細さに反応してくださっていて。たくさん話題になっていたのが嬉しかったです。
――健康的なアイドルとは真逆な感じで、どんなアイドルなのか興味を惹かれた人も多いと思います。オーディション資料での広の第一印象はいかがでしたか?
川村 アイドルたちの資料をいただき、1人1人を見ていたときに「すごく細い子がいる……!」というのが印象的でした。でも、なんとなく「この中で声を当てるならこの子かな?」と感じたました。
――生配信番組「初星学園HR」でも「ピンときた」と口にしていましたね。
川村 そうなんです。テープオーディションでは、とりあえず全員演じてみたのですが、練習の段階で声の雰囲気も含めて「一番合っているのはこの子かな」と感じたのが広ちゃんでした。マネージャーさんにも広ちゃんが一番合っていると言っていただけて、嬉しかったです。
――説明文だけでは掴みどころのないキャラクターだと思いますが、テープオーディションではどのような役作りをしたのでしょうか?
川村 キャラクターの説明に「14歳で大学を卒業した天才少女」「ミステリアス」と書かれていたので、どう表現したらいいのか悩みました。「感情があまり表に出ない」とも書かれていたので、マネージャーさんと相談しながら、なるべくローテンションにしゃべるよう工夫しました。また、見た目がマスコットっぽいかわいい雰囲気があるなと思い、少しマスコット寄りのかわいいしゃべり方をしてみたんです。
――そして、スタジオオーディションに進むわけですが、こちらも振り返っていただけますか?
川村 スタジオオーディションでも同じような役作りで臨みました。でも、音響監督さんからは「もっと表情を抑えて、自分のことを他人みたいに思ってしゃべってほしい」とディレクションいただいて。「これ以上抑えるのか……」と思ったことが、すごく印象に残っています。スタジオでディレクションをいただいてからは、キャラクターとしての印象がガラッと変わりました。
――やってみて手応えはありましたか?
川村 全くなかったです……。ディレクションに上手く応えられなくて。他にも「芸大生っぽく」とか「神秘的に」とオーダーをいただいたのですが、「どうやって表現すればいいんだろう?」と思い悩みました。私なりに頑張って表現してみましたが、自分としては良い反応をいただけた感覚がなく、手応えがなかったです。
――「アイマス」のオーディションには歌唱審査もありますが、こちらはいかがでしたか?
川村 資料をいただいて、必死に練習して挑んだのですが、難しかったです。
――そこではどんなディレクションがあったのか教えてください。
川村 「サビではもっとステージで楽しんで歌っている感じを出してほしい」と佐藤さん(「学マス」音楽プロデューサーの佐藤貴文)に言っていただきました。ですが、私はそれまでキャラソンのレコーディング経験などもなかったので、広がステージで楽しんで歌っている姿を想像できず、上手くできなかった思い出があります。
――では、セリフも歌唱もご自身的には上手くいった感がなく?
川村 はい。すごく落ち込んで帰ったのを覚えています。
――広は表現が難しそうですからね。手応えがなかったとはいえ、オーディションは見事に合格します。合格を伝えられたときのことをお聞かせください。
川村 正直、落ちてしまったと思って諦めていたのですが、マネージャーさんから電話で合格のお知らせをいただいて。そのときは自宅にいたので、大声で「本当ですか!?」と喜んで、その日は一日中テンションMAXでした。とても嬉しかったです。
――言ってしまえば、声優人生が一気に変わった瞬間ですからね。
川村 そうですね。本当に嬉しかったです。
――生配信では、顔の表情がよく動くと話していました。そこは広と真逆ですね。
川村 そうなんです。性格も全然違いますし、共通点は……体力の無さぐらいでしょうか(笑)。ですが、演じるのはとても楽しいです。
――真逆なキャラクターだからこそ、演じるのが楽しいところも多いのでは?
川村 はい。自分と正反対の性格の子を演じられるのは、やっぱり声優ならではだと思うので。
――とはいえ、川村さんにとって広という役は挑戦だと思うのですが、どんな経験になっていますか?
川村 感情を抑えてつらつら喋っているように見せつつ、少しだけニュアンスを入れたり、笑顔感を出したりするのがすごく難しいですが、毎回とても勉強になっています。広ちゃんを演じられることがとても嬉しいですし、本当に広ちゃん役に合格できてよかったと実感しています。
――セリフも歌も本当にやり甲斐がありそうですね。では、川村さん自身のこともお聞きします。小さい頃や学生時代にはどんな音楽を聴いていたのでしょうか?
川村 小さい頃は韓国のアイドルがとても好きで、KARAや少女時代を聴いていました。よくお姉ちゃんと一緒に、真似して歌って踊っていたんです。今は日本のアイドルが好きで、中でも乃木坂46はライブに何回も行くぐらい大好きです。アイドル以外では、宇多田ヒカルさんやONE OK ROCKが好きで、ONE OK ROCKのライブには何度か参加しました。
――アイドルの推し活をしていると話していましたからね。ちなみに、「アイドルマスター」はどの程度知っていましたか?
川村 もちろん名前は存じ上げていましたが、私は当時スマホゲームをあまりやったことがなくて、詳しくはなかったです。でも、高校生の頃に、ライブ映像を観てから好きになりました。特に「アイドルマスター ミリオンライブ!」の「Marionetteは眠らない」(星井美希、伊吹 翼、北上麗花、ジュリア)が大好きで、歌もダンスも覚えました。完璧に踊れます(笑)。
――体力には自信ないとのことでしたが、ダンスはいけるのですね。
川村 上手いかどうかは別として、ダンスは昔から好きでよく踊っていました。習ったことがあるわけではなくて、趣味として家で勝手に踊っていた程度ですが(笑)。
――歌や楽器は何かやられていましたか?
川村 歌は特に習ったことはなく、姉とよく歌っていたぐらいです。楽器は中学生のときに部活で3年間トランペットを吹いていましたが、今はもう吹けないですね(笑)。
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