リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2024.09.20

小倉 唯が考える女性としての“美しさ”――20代ラストを飾るニューアルバム『Bloomy』に込めた“ずっと咲き続けてほしい”という想い

小倉 唯が考える女性としての“美しさ”――20代ラストを飾るニューアルバム『Bloomy』に込めた“ずっと咲き続けてほしい”という想い

声優アーティスト・小倉 唯のニューアルバム『Bloomy』は、花盛りの彼女の今この瞬間の美をパッケージした、まさに“満開に咲き誇る花”を想起させる華やかな作品に仕上がっている。「Love∞Vision」「秘密♡Melody」「Empty//Princess.」「君色のキセキ」といったレーベル移籍後の全シングル表題曲に加え、清 竜人が書き下ろした「花占いするの♡」や彼女自身が作詞で関わった多彩な新曲群が描き出すのは、29歳を迎えた彼女の等身大であり、デビュー12年目を経てますます成熟する歌声と表現の鮮やかさだ。そんなアルバムに込めた想いを通して、小倉 唯という存在の輝きに迫る。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

女性としての輝かしい瞬間、咲き誇る満開の花をイメージして

――ニューアルバムのタイトルは“満開の花”を意味する『Bloomy』ということで、これまでのアルバムの“果物”をモチーフにしたタイトルとは違う流れになりました。

小倉 唯 レーベルを移籍して最初にリリースするアルバムになるので、新しいイメージを表現できればと思い、「次は何にしよう?」と考えたときに思い浮かんだのが“お花”でした。今回、自分が20代で出す最後のアルバムになると思ったので、20代ラストという女性として輝かしい瞬間、満開の花をイメージして、『Bloomy』というタイトルにしました。アルバムを作るにあたって、全体的に美しさや華やかさを表現しながらも、繊細な一面やちょっとした切なさみたいなものを入れ込めると、女性としての美しさが引き立つのかなと考えて。今見せられる自分の最大限の美しさや表現力をギュッと詰め込みました。

――29歳の等身大の自分を表現されたわけですね。そんな『Bloomy』というテーマとリンクする楽曲が、小倉さん自身が作詞したアルバムのリード曲「Wind of Bloom」。本作にも収録のシングル曲「秘密♡Melody」を手掛けた滝澤俊輔さんが作編曲を担当しています。

小倉 この曲は実は、以前に別の楽曲のコンペで出会ったもので、聴いているだけで惹き込まれるような美しい世界観、きれいで覚えやすいメロディラインや楽曲自体の惹きの強さが想像力を掻き立てられるような楽曲だったので、いつかアルバムのリード曲として表現してみたいなと思っていたんです。当時は、アルバムのテーマを“お花”にするところまで行きついていなかったのですが、花が咲き誇るような華やかさがありますし、すごく美しい楽曲なので、結果として『Bloomy』というテーマにふさわしいリード曲になりました。

――歌詞はどんなイメージで書き進めていったのでしょうか。

小倉 アルバム全体のコンセプトでもある“満開の花”をイメージしながらも、先ほどお話した繊細さや儚い一面も表現したかったので、あえてちょっと切ないストーリー、物語は永遠に続くわけではないからこそ、瞬間の輝きが美しい、といったメッセージ性を込めました。

――実際のお花も、咲く時間が限られているからこそ、美しさと同時に儚さを感じますものね。歌詞の出だしのフレーズ“永遠じゃなくて 刹那の物語(ストーリー)ね”から、その思いがしっかりと表現されているように感じました。

小倉 ありがとうございます。私は女性アイドルグループが好きなのですが、アイドルっていつ卒業してしまうかわからないからこそ、すごく輝かしい世界だと思うんです。そういった部分もアイデアとして盛り込みながら歌詞を考えました。自分がそうというわけではないのですが、私も改めてこうして活動できている今のこの瞬間を大事にしたい、という思いがこもった歌詞になりました。

――その意味では、小倉さん自身の今のマインドが反映されている楽曲でもあると思うのですが、特にそういう部分が出たと感じるフレーズはありますか?

小倉 これは別のインタビューで指摘されて、自分でも「なるほど、たしかにそうかも」と思った部分なのですが、Dメロの“誰かに気付かれなくたっていい”という部分ですね。お仕事で表に立つときは、常に完成型の状態で、それこそ輝かしい満開の姿だったりしますが、実はそこに至るまでの過程の時間、表に出ない努力している部分のほうが長かったりするんですよね。そういった意味では“誰かに気付かれなくたっていい”というのは、私に限らず、お仕事をしている方なら誰しもが当てはまるフレーズだと思います。

――この曲の歌詞で特徴的なのが、当て字を多用されているところで。先ほどの“物語(ストーリー)”もそうですし、“夢(たね)”などもイマジネーションが膨らみます。

小倉 この楽曲の洗練されたメロディに言葉を乗せる作業はすごく難しくて。「こういうメッセージを伝えたいけど、言葉の数が上手くハマらないな」と、色々試行錯誤しながら調整していった結果、現状の形になりました。言葉の響きにこだわったのはもちろんですが、このメロディに乗せるにあたって工夫を凝らした部分になります。“夢(たね)”という言葉は花のつぼみにかけていて。遊び心のある歌詞になったのかなと思います。

――レコーディングでは、どんなイメージで歌ったのですか?

小倉 いつもよりも壮大な雰囲気で歌うことを心がけました。レコーディングではブロックごとに録ることが多いのですが、この曲はストーリー性を大事にしたかったので、1コーラスまるっと録ったりして、流れを大事にしました。

――この楽曲はMVも制作されていて、アルバムの初回限定盤Aにも収録されます。

小倉 「Wind of Bloom」ということで、風を感じるような場面もそうですし、お花のモチーフがふんだんに用いられていて、楽曲の世界観を表現したような映像にしていただきました。私がお花の絵を描いていたり、周りに色んなお花が咲いていたり。色々な衣装も着ているので、ビジュアルを含めて楽しんでいただけるMVになったのかなと思います。

――衣装は4パターン登場しますが、小倉さんはどれがお気に入りですか?

小倉 アルバムのジャケット写真でも着ているサーモンピンクのドレスは、すごく華やかで、それこそ満開のお花みたいな雰囲気もあって、アルバムを象徴するような衣装になったと思います。今回はビジュアル面も工夫していて、メイクはいつもよりヘルシーな雰囲気ですし、髪色も少しだけ明るくしたので、透明感が演出できているんじゃないかなと思います。

次ページ:可憐な乙女心からアンニュイな表現まで、新曲で見せる新たな境地

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP